【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
436 / 597

冥王ゾークⅡ

しおりを挟む
「来るが良い」

 俺はゾークにそう言われたので躊躇なく突っ込んだ。勿論、俺の腕には殺戮の腕ジェノサイド・アームが装着されているので縮地を使って一気に距離を詰める。

「なに!?」

 と、声を上げていたゾーク。思ったより俺のスピードが速いと感じたのだろう。俺はそのまま天を穿つ者エンデュアーのトリガーを引いた。

 黄色で極大の光がゾークに襲い掛かった。しかし不思議と手ごたえは無い。絶対にガードされているな。

「――いっ!?」

 俺は自分が撃った光弾こうだんがどうなったのか理解できた。攻撃が無力化されている。俺は一旦縮地を使って後退することにした。

「ナリユキ殿! 剣で攻撃を吸い込まれているぞ!」

 そう忠告をしてくれたのは青龍リオさんだ。確かにみるみる吸い込まれている。魔法みたいな大剣だな。

「まさか天を穿つ者エンデュアーが吸い込まれているとはな」

「我にそのような攻撃は効かぬ!」

 そう言ってゾークは高笑いをしていた。色々と試すしか無さそうだな。

 俺は一旦天を穿つ者エンデュアーをホルスターに収めた。そして創造主ザ・クリエイターでフルオートショットガンAA-12を取り出し、再びゾークの懐へと入った。

「攻撃がワンパターンだな!」

 そう言ってゾークは大剣を振り下ろしてきた。そう来ると思ったよ。

 俺は再び天を穿つ者エンデュアーをホルスターから取り出した。そして弾を発射した。これで俺が仮に間違っていても、格上という訳ではない筈なので、致命傷を負う事はないだろう。

 ガキイン――。

 金属音がそう響いた。俺の目に映っているのは体勢を崩したゾークだ。

「何!?」

 ゾークがそう驚いた表情を浮かべている間に、AA-12をぶっ放した。相変わらず凄い重低音だなと思いつつも、パッシブスキルで強化されている威力は絶大だった。体勢を崩して後ろにのけ反ったゾークに、合計6発の散弾が命中。直撃した箇所からは紫色の血が噴き出していた。

「ぐぬううう……貴様分かっていたのか」

 とか言いつつも、俺が負わせたダメージはみるみると治っていった。

「別に分かってやった訳じゃないよ」

「なかなかイカれた人間だな」

 冥王にイカれてるなんて言われるのなかなかヤバいな。

「あれ? どういう事ですか?」

「妾も意味がよく解らんかったのじゃ。青龍リオは理解できたのかのう?」

「そうだな。結論から言うと、ナリユキ殿は攻撃をしようとしているときであれば、天を穿つ者エンデュアー光弾こうだんを吸収されずに済むのでは? という仮説を立てたのだ」

「確かに攻撃時も吸収する能力って珍しいですもんね。それにナリユキ君は最悪攻撃を受けることがあっても、死にはしないから失敗覚悟で試したんですね。斬撃無効はあるけど、同じZ級なので超越者トランセンデンスを持っている可能性もあるし」

「そういう事だな」

「でも不思議じゃ。それならばわざわざ天を穿つ者エンデュアーを仕舞う必要は無かったじゃろう?」

「恐らくだが、一度収める事によって天を穿つ者エンデュアーでの攻撃を諦めたというアピールだったのだろう。あのフルオートショットガンを持つ事によって、今からあのショットガンで攻撃を仕掛けるように見せて、天を穿つ者エンデュアーを放ったのだ。当然、天を穿つ者エンデュアーの方が威力は上なので、意外性を突かれたゾークは、攻撃に耐えきる事ができずに、ガードが出来たものの体勢を崩した。そして、ナリユキ殿のショットガンでダメージを負わせることができたのだ。当然ながら同じ自動回復を持つ者同士で、実力が同じくらいなら、傷をたくさん負わせた方が勝つからな。自動回復とは言え、何度も修復していると回復速度が遅くなり、体力消耗が激しくなる」

「ほう――流石ナリユキ閣下じゃの。それを理解できている青龍リオの洞察力も素晴らしいがのう」

「当り前だ。余は龍だぞ。ナリユキ殿と言えど、まだこっちに来て間もない。百戦錬磨の余が負けるわけにはいかんだろう」

「それもそうじゃな。しかし、たった1年経たないうちであそこまで考えて戦えるのは凄いのう」

「それはそうだな。地頭の良さとカルベリアツリーのダンジョン攻略での戦闘経験と、知性・記憶の略奪と献上メーティスで奪った戦闘経験が生かされているのだろう」

「魔物の討伐数はナリユキ殿もミク殿も世界トップクラスじゃからのう」

「討伐数だけは私も自信ありますよ! 何度も潜っているので!」

「そうでなければ、その有り得ないくらいのスキル数は無いからな。2人共恐れ多い」

 流石、青龍リオさん凄い洞察力だ。全部当たっている。

「次は我から攻撃を行うぞ?」

「おう。いつでも来い」

 俺がそう言うとゾークは大剣を縦にして構えた。大剣がバチバチと漆黒の稲妻を走らせている。また、信じられないくらいのパワーを感じ取ることができる。その影響もあり、地震のような強い揺れが起きていた。

「いきなりMPを消費するのかよ」

「そうだ。覚悟はよいな?」

「来いよ」

 俺とゾークの間合いは10m。S級以上の実力者であれば一気に距離を縮める事ができる距離だ。常人であれば目で追うのは一苦労だろう。しかし今の俺には天眼がある。どんなスキルが発動しようが見極めてやる――。

「疾っ!」

 ゾークが繰り出して来た技は、黒い稲妻を身体全身に帯びながらの光速移動での突き攻撃だ。大剣を両手で持ちながら、まるで闘牛のように突進して来た。攻撃そのものはシンプルだが、こんなの当たったらS級の人は確実に致命傷だ。何なら前の俺なら龍騎士にやられたときのように、反応すらできずに一撃で殺されているだろう。

 面白いスキルだっ――!

 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

処理中です...