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いざ、ゾーク大迷宮Ⅰ
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「我々はゾーク大迷宮に潜り込もうと思うが、アヌビスの意見も参考程度に聞きたい」
「どのようなメンバーで行くのだ?」
「余、ナリユキ殿、アスモデウスは確定だな。あとはミク・アサギも入れたいところだ」
「私は全然構わないですよ! 行く気満々です!」
青龍さんがそう言うとミクちゃんは意気込みを見せて、アヌビスに関しては「ほう」と唸った。
「結論、今のナリユキ閣下がZ級だろ? それならば問題無いと思う。それに以前も言ったが、ゾーク大迷宮の深部に存在する石版には、森羅万象に関する情報がある。ミロクに関する何らかの情報も入手できるかもしれないな」
「それは確かにそうだな。勝てる可能性があるのであれば、いずれにしても行くべきだな」
「でも、ゾークがどんな魔物かまでは知らないんじゃろ?」
「知る訳が無いだろ。最深部には誰も近付く事すらできないのだ。ゾークの顔を見た者はいない」
「成程のう。どんなスキルを使ってくるかも分からないんじゃな?」
「勿論だ。余と同じサイズなのか、はたまた巨大な魔物かすらも分からん。ただ、余が使っている冥光の安楽死くらいなら使えると思う。冥影の移動や冥壁の拒絶も使えるだろうな」
「うわあ。また随分と厄介なスキル使えるのね。まあ一番重要なのはユニークスキルだよな」
「そうじゃのう。Z級の生命体がユニークスキルが弱いという事は考えられないしのう」
「余のユニークスキルは自然に依存しているし、ナリユキ殿のユニークスキルは――そう言えば4つあるんだったな」
「ナリユキ君が創造主を持っているお陰で、一番最初に戦ったランベリオンさんを討伐することができましたし、その後に行ったカルベリアツリーのダンジョンも難無く700層までクリアしましたからね。もはやナリユキ君に創造主が無ければここまで急成長できていません」
「そうだろうな」
ミクちゃんの分析にこの場にいる全員が納得した。
「そもそもだが、1年経たないうちにZ級まで危険度を上げたのはナリユキ閣下だけじゃないか?」
「え? そうなの?」
アヌビスの見解に俺がそう訊き返すと、青龍さんもアスモデウスさんも同意していた。
「我々龍族は生まれながらにZ級だ。成長したとは言えない。魔族に関しては人間と同じように元々のポテンシャルと成長という感じだからな」
「魔族で一番強いと言われているベリアルも元々はS級じゃからのう。長い年月をかけてZ級に君臨した。元々人間だったルシファーもそうじゃろ?」
「そうだな。ルシファーもとい龍騎士ジークフリートも余と高め合った仲だからな。彼も後発的なZ級だ」
「――何気に龍騎士の名前を聞くの初めてですね」
「ん? そうだったか?」
と、とぼける青龍さん。今まで龍騎士で統一していたのに急に名前が出てくるんだもん。吃驚するよ。
「元からZ級だった者を除いては1年以内にZ級になった者はナリユキ殿が恐らく初めてだな。ミロクがどうかは分からないがな」
「正直、今関心があるのはミロクとコヴィー・S・ウィズダムだけだ。創生にコヴィー・S・ウィズダムが入っているならば、本当にミロクを崇拝して組織に属しているのかも怪しいぞ? 余が見た感じでは、とても人に従うような人物では無かったぞ?」
「そうなるとコヴィー・S・ウィズダムの目的がますます分からないよな。一体何が目的で創生に協力して、最終的には何を企んでいるのか――」
「捕らえて知性・記憶の略奪と献上を使うか、アスモデウスの色欲支配で洗脳して吐かせるしかないか」
「――そんな人体改造しまくっている人間に色欲支配が効くとは思わん。そもそもじゃが、色欲支配は妾に対して、ほんの少しでも興味を持っている人間にしか効かない。そのほんの少しでもを膨張させて妾の支配下に置くという事じゃからのう」
「意外と弱いな」
「其方は本当にいつも一言余計じゃな」
そんなやりとりをしているのを見て思ったんだけど、青龍さんとアスモデウスさんって意外と相性良いんじゃ無いか?
「何か2人って仲が良いからお似合いだと思うのにな~」
そう呟いたのはミクちゃんだった。しかしそのミクちゃんの一言で、青龍さんとアスモデウスさんはミクちゃんを見るなり、同時に「無い!」と言い張った。息もピッタリなんだけどな。それに青龍さんとアスモデウスさんの子供って凄く強そうだけど。
「じゃれ合うのはその辺にして、ゾーク大迷宮に行くのであれば早急に支度しろ。余が連れていってやろう」
アヌビスがそう得意気に話すと俺達四人は目を合わせた。そして俺が「行こう」と言うと、アヌビスは満足気な表情を浮かべていた。
「ゾーク大迷宮で初クリアを拝むことができるかもな。大丈夫だ。ゾークを倒すことができれば、黒龍だって倒すことはできる筈だ」
「分かってるよ。必ずクリアをしてみせるさ」
俺がそう言うとアヌビスはベッドから出た。
「ぎゃふん!」
と変な声を上げながらアヌビスは転げてしまったのだ。らしくないから思わず笑ってしまったのは言うまでもない。
「嬉しくなって無茶するからだよ。まだまだ万全の状態じゃないんだから」
ミクちゃんはそう言いながら手を差し伸べると、アヌビスはその手を振り払って――。
「ええい! 早く行くぞ!」
と顔を少し赤らめながら医務室を出た。シンプルに恥ずかしかったようだ。
「どのようなメンバーで行くのだ?」
「余、ナリユキ殿、アスモデウスは確定だな。あとはミク・アサギも入れたいところだ」
「私は全然構わないですよ! 行く気満々です!」
青龍さんがそう言うとミクちゃんは意気込みを見せて、アヌビスに関しては「ほう」と唸った。
「結論、今のナリユキ閣下がZ級だろ? それならば問題無いと思う。それに以前も言ったが、ゾーク大迷宮の深部に存在する石版には、森羅万象に関する情報がある。ミロクに関する何らかの情報も入手できるかもしれないな」
「それは確かにそうだな。勝てる可能性があるのであれば、いずれにしても行くべきだな」
「でも、ゾークがどんな魔物かまでは知らないんじゃろ?」
「知る訳が無いだろ。最深部には誰も近付く事すらできないのだ。ゾークの顔を見た者はいない」
「成程のう。どんなスキルを使ってくるかも分からないんじゃな?」
「勿論だ。余と同じサイズなのか、はたまた巨大な魔物かすらも分からん。ただ、余が使っている冥光の安楽死くらいなら使えると思う。冥影の移動や冥壁の拒絶も使えるだろうな」
「うわあ。また随分と厄介なスキル使えるのね。まあ一番重要なのはユニークスキルだよな」
「そうじゃのう。Z級の生命体がユニークスキルが弱いという事は考えられないしのう」
「余のユニークスキルは自然に依存しているし、ナリユキ殿のユニークスキルは――そう言えば4つあるんだったな」
「ナリユキ君が創造主を持っているお陰で、一番最初に戦ったランベリオンさんを討伐することができましたし、その後に行ったカルベリアツリーのダンジョンも難無く700層までクリアしましたからね。もはやナリユキ君に創造主が無ければここまで急成長できていません」
「そうだろうな」
ミクちゃんの分析にこの場にいる全員が納得した。
「そもそもだが、1年経たないうちにZ級まで危険度を上げたのはナリユキ閣下だけじゃないか?」
「え? そうなの?」
アヌビスの見解に俺がそう訊き返すと、青龍さんもアスモデウスさんも同意していた。
「我々龍族は生まれながらにZ級だ。成長したとは言えない。魔族に関しては人間と同じように元々のポテンシャルと成長という感じだからな」
「魔族で一番強いと言われているベリアルも元々はS級じゃからのう。長い年月をかけてZ級に君臨した。元々人間だったルシファーもそうじゃろ?」
「そうだな。ルシファーもとい龍騎士ジークフリートも余と高め合った仲だからな。彼も後発的なZ級だ」
「――何気に龍騎士の名前を聞くの初めてですね」
「ん? そうだったか?」
と、とぼける青龍さん。今まで龍騎士で統一していたのに急に名前が出てくるんだもん。吃驚するよ。
「元からZ級だった者を除いては1年以内にZ級になった者はナリユキ殿が恐らく初めてだな。ミロクがどうかは分からないがな」
「正直、今関心があるのはミロクとコヴィー・S・ウィズダムだけだ。創生にコヴィー・S・ウィズダムが入っているならば、本当にミロクを崇拝して組織に属しているのかも怪しいぞ? 余が見た感じでは、とても人に従うような人物では無かったぞ?」
「そうなるとコヴィー・S・ウィズダムの目的がますます分からないよな。一体何が目的で創生に協力して、最終的には何を企んでいるのか――」
「捕らえて知性・記憶の略奪と献上を使うか、アスモデウスの色欲支配で洗脳して吐かせるしかないか」
「――そんな人体改造しまくっている人間に色欲支配が効くとは思わん。そもそもじゃが、色欲支配は妾に対して、ほんの少しでも興味を持っている人間にしか効かない。そのほんの少しでもを膨張させて妾の支配下に置くという事じゃからのう」
「意外と弱いな」
「其方は本当にいつも一言余計じゃな」
そんなやりとりをしているのを見て思ったんだけど、青龍さんとアスモデウスさんって意外と相性良いんじゃ無いか?
「何か2人って仲が良いからお似合いだと思うのにな~」
そう呟いたのはミクちゃんだった。しかしそのミクちゃんの一言で、青龍さんとアスモデウスさんはミクちゃんを見るなり、同時に「無い!」と言い張った。息もピッタリなんだけどな。それに青龍さんとアスモデウスさんの子供って凄く強そうだけど。
「じゃれ合うのはその辺にして、ゾーク大迷宮に行くのであれば早急に支度しろ。余が連れていってやろう」
アヌビスがそう得意気に話すと俺達四人は目を合わせた。そして俺が「行こう」と言うと、アヌビスは満足気な表情を浮かべていた。
「ゾーク大迷宮で初クリアを拝むことができるかもな。大丈夫だ。ゾークを倒すことができれば、黒龍だって倒すことはできる筈だ」
「分かってるよ。必ずクリアをしてみせるさ」
俺がそう言うとアヌビスはベッドから出た。
「ぎゃふん!」
と変な声を上げながらアヌビスは転げてしまったのだ。らしくないから思わず笑ってしまったのは言うまでもない。
「嬉しくなって無茶するからだよ。まだまだ万全の状態じゃないんだから」
ミクちゃんはそう言いながら手を差し伸べると、アヌビスはその手を振り払って――。
「ええい! 早く行くぞ!」
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