【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
432 / 597

いざ、ゾーク大迷宮Ⅰ

しおりを挟む
「我々はゾーク大迷宮に潜り込もうと思うが、アヌビスの意見も参考程度に聞きたい」

「どのようなメンバーで行くのだ?」

「余、ナリユキ殿、アスモデウスは確定だな。あとはミク・アサギも入れたいところだ」

「私は全然構わないですよ! 行く気満々です!」

 青龍リオさんがそう言うとミクちゃんは意気込みを見せて、アヌビスに関しては「ほう」と唸った。

「結論、今のナリユキ閣下がZ級だろ? それならば問題無いと思う。それに以前も言ったが、ゾーク大迷宮の深部に存在する石版には、森羅万象アルカナに関する情報がある。ミロクに関する何らかの情報も入手できるかもしれないな」

「それは確かにそうだな。勝てる可能性があるのであれば、いずれにしても行くべきだな」

「でも、ゾークがどんな魔物かまでは知らないんじゃろ?」

「知る訳が無いだろ。最深部には誰も近付く事すらできないのだ。ゾークの顔を見た者はいない」

「成程のう。どんなスキルを使ってくるかも分からないんじゃな?」

「勿論だ。余と同じサイズなのか、はたまた巨大な魔物かすらも分からん。ただ、余が使っている冥光の安楽死インフェルーメン・ユーサネイシャくらいなら使えると思う。冥影の移動インフェウンブラ・モヴェーレ冥壁の拒絶インフェモエニウム・アンチも使えるだろうな」

「うわあ。また随分と厄介なスキル使えるのね。まあ一番重要なのはユニークスキルだよな」

「そうじゃのう。Z級の生命体がユニークスキルが弱いという事は考えられないしのう」

「余のユニークスキルは自然に依存しているし、ナリユキ殿のユニークスキルは――そう言えば4つあるんだったな」

「ナリユキ君が創造主ザ・クリエイターを持っているお陰で、一番最初に戦ったランベリオンさんを討伐することができましたし、その後に行ったカルベリアツリーのダンジョンも難無く700層までクリアしましたからね。もはやナリユキ君に創造主ザ・クリエイターが無ければここまで急成長できていません」

「そうだろうな」

 ミクちゃんの分析にこの場にいる全員が納得した。

「そもそもだが、1年経たないうちにZ級まで危険度を上げたのはナリユキ閣下だけじゃないか?」

「え? そうなの?」

 アヌビスの見解に俺がそう訊き返すと、青龍リオさんもアスモデウスさんも同意していた。

「我々龍族は生まれながらにZ級だ。成長したとは言えない。魔族に関しては人間と同じように元々のポテンシャルと成長という感じだからな」

「魔族で一番強いと言われているベリアルも元々はS級じゃからのう。長い年月をかけてZ級に君臨した。元々人間だったルシファーもそうじゃろ?」

「そうだな。ルシファーもとい龍騎士ジークフリートも余と高め合った仲だからな。彼も後発的なZ級だ」

「――何気に龍騎士の名前を聞くの初めてですね」

「ん? そうだったか?」

 と、とぼける青龍リオさん。今まで龍騎士で統一していたのに急に名前が出てくるんだもん。吃驚するよ。

「元からZ級だった者を除いては1年以内にZ級になった者はナリユキ殿が恐らく初めてだな。ミロクがどうかは分からないがな」

「正直、今関心があるのはミロクとコヴィー・S・ウィズダムだけだ。創生ジェスにコヴィー・S・ウィズダムが入っているならば、本当にミロクを崇拝して組織に属しているのかも怪しいぞ? 余が見た感じでは、とても人に従うような人物では無かったぞ?」

「そうなるとコヴィー・S・ウィズダムの目的がますます分からないよな。一体何が目的で創生ジェスに協力して、最終的には何を企んでいるのか――」

「捕らえて知性・記憶の略奪と献上メーティスを使うか、アスモデウスの色欲支配アスモデウスで洗脳して吐かせるしかないか」

「――そんな人体改造しまくっている人間に色欲支配アスモデウスが効くとは思わん。そもそもじゃが、色欲支配アスモデウスは妾に対して、ほんの少しでも興味を持っている人間にしか効かない。そのほんの少しでもを膨張させて妾の支配下に置くという事じゃからのう」

「意外と弱いな」

「其方は本当にいつも一言余計じゃな」

 そんなやりとりをしているのを見て思ったんだけど、青龍リオさんとアスモデウスさんって意外と相性良いんじゃ無いか?

「何か2人って仲が良いからお似合いだと思うのにな~」

 そう呟いたのはミクちゃんだった。しかしそのミクちゃんの一言で、青龍リオさんとアスモデウスさんはミクちゃんを見るなり、同時に「無い!」と言い張った。息もピッタリなんだけどな。それに青龍リオさんとアスモデウスさんの子供って凄く強そうだけど。

「じゃれ合うのはその辺にして、ゾーク大迷宮に行くのであれば早急に支度しろ。余が連れていってやろう」

 アヌビスがそう得意気に話すと俺達四人は目を合わせた。そして俺が「行こう」と言うと、アヌビスは満足気な表情を浮かべていた。

「ゾーク大迷宮で初クリアを拝むことができるかもな。大丈夫だ。ゾークを倒すことができれば、黒龍だって倒すことはできる筈だ」

「分かってるよ。必ずクリアをしてみせるさ」

 俺がそう言うとアヌビスはベッドから出た。

「ぎゃふん!」

 と変な声を上げながらアヌビスは転げてしまったのだ。らしくないから思わず笑ってしまったのは言うまでもない。

「嬉しくなって無茶するからだよ。まだまだ万全の状態じゃないんだから」

 ミクちゃんはそう言いながら手を差し伸べると、アヌビスはその手を振り払って――。

「ええい! 早く行くぞ!」

 と顔を少し赤らめながら医務室を出た。シンプルに恥ずかしかったようだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

処理中です...