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黒龍の対策Ⅰ
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「力不足で申し訳ない」
そう言って謝罪をしてきた青龍さん。
あれから2日後、俺達は負傷者をオスプレイで近くの村へと運んだ。距離としては100km程は離れたところにある場所だ。村人の皆は青龍さんが重傷を負っていたので祈りながら見守っていた。そして、俺達に対しては大袈裟なくらい感謝してきてくれた。
マーズベルの俺と同じように、青龍さんは国を引っ張る絶対的な存在。また、国の最高の護り神とのことだ。青龍さんがいなくなってしまっては、私達はどうやって生活をしたら良いのか――? と涙を流しながら訴えてくるほど、国民達はハッピーに暮らせているそうだ。まあ、やっぱり国営をしている以上は反対意見もあるだろうけど、そのような事は限りなく少ないらしい。
「悔いていても仕方ありませんよ」
「そうだな……」
珍しく落ち込んでいる青龍さん。今は俺と青龍さんとアスモデウスさんの3人でドラグーンタワーの会議室にいる。だからこそ見せた弱音なのだろう。
「しかしあんなスキルがあったとはのう。お蔭で森は灰になっておったな」
「まあ、自然に関しては余の美しき生命があるので問題はないがな」
「確かにそうじゃった。しかし別格じゃったの。よくあんな化物を昔止めたのう」
「余は確かに弱くなっているが、少し戦ったあの感じだと、奴は相当強くなっている。絶対に食い止めるとは言ったものの予想を遥かに上回る強さだ。黒龍が復活したことは公表すべきだな」
「でもどうするのじゃ? 復活した今は奴を放っていおくわけにもいくまい。かと言って今のままでは戦力不足じゃ。大きな犠牲を払ってしまったからのう」
「うちの森妖精も青龍さんが集めた戦士達もやられてしまいましたからね。それに森妖精達が戦死してしまった事に関しては、うちの他の森妖精達にとってショックが大きいです。戦意喪失とまではいきませんが、何人かはショックを受けて無気力になっている状態です」
「精神の病というやつじゃな。無理も無いのう」
「もはやこうなってしまった以上。我々で何とかするしかない。ヒーティスは死者は出なかったんだな?」
「お陰様でな。正直、ナリユキ閣下のところの森妖精達がいなければ、妾も何人かを犠牲にしていたとい思う。本当に感謝しておる」
「アスモデウスさんがそう俺に頭を下げてきた」
あの時何があったのかと言うと、森妖精達が死力を尽くして防衛スキルを発動していたようだ。十字壁は展開するまでに時間がかかるので、あの一瞬で展開することができなかった。なので、他の防衛スキルでダメージを軽減したようだ。しかし、森妖精達はMPを限界まで防衛スキルにつぎ込んだのと、黒龍の出鱈目な威力もあって、あの爆発に耐えきる事ができなった。その結果、森妖精達は戦死していた。
「ところで青龍さん。黒龍が逃げる場所に心当たりはありませんか? 千里眼を使っても黒龍が何処にいるか分からないんですよ」
「それは余も確認している。現在も奴の様子を視ることができなからな。場所としてはオストロンから3,000km程南に進んだラヴァー火山にいる筈だ。当然、特殊な磁場が発しているので、奴も余達の事を確認することはできない」
「成程ですね。ならばその火山に一日でも早く攻め込むべきですね」
「それはそうだな。前提として、一度屈辱を味わった相手は殺すまで追いかけるという粘着気質な性格を奴はしているので、余に加えて、ナリユキ殿が奴のターゲットになった事は間違いない。ただ、奴は虫の居所が今は悪くなっている筈だ。MPが十分に回復すれば破壊をするに違いない。余達が止めることができなければ、近いうちに何処かの国が地図から消えてしまう」
神妙な顔つきをしながらそう恐ろしい事を告げてきた。でもまあそうか。元々怒らせると破壊衝動に駆り立てられて、次々と色々な国を破壊するはた迷惑な龍だ。ある意味ごく自然の事だ。
「ラヴァー火山に一番近い人が住んでいる国はヴァーキンじゃったな」
「そうだ。なので余はヴァーキン王に会いに行くつもりだ。ナリユキ殿も良かったら来てくれ」
「俺もですか?」
「ああ。ヴァーキンには創生のカードにあった貴族、シルファ家がいるのだ。一石二鳥という訳だ」
「そういう事でしたか」
「ああ」
「2人は瞬時に色々な所へ移動できるから羨ましいのう」
「お前がこの転移イヤリングを持っていたら何か良からぬ事に使いそうだがな」
「べ――別に持っていたらナリユキ閣下を襲おうかな~とか考えておらんぞ!」
「考えていたんですね。アスモデウスさんは美人だけど却下です」
「そうハッキリ言われると悲しいのじゃ。い……一度くらい妾の相手をしてほしいものじゃ。て――テクニックは自信ある!」
アスモデウスさんがそう恥じらいながら言っているけどフル無視でいこう。いや、確かに可愛いけどそうじゃない。
「アスモデウスがここまで男に振り回されているのは初めて見るから面白いのだが、話を脱線するのは止めてもらいたい」
青龍さんはそう言ってアスモデウスさんを睨みつけた。するとアスモデウスさんは指をツンツンとさせていた。
「拗ねるな。議題はまだまだあるぞ」
そう言って謝罪をしてきた青龍さん。
あれから2日後、俺達は負傷者をオスプレイで近くの村へと運んだ。距離としては100km程は離れたところにある場所だ。村人の皆は青龍さんが重傷を負っていたので祈りながら見守っていた。そして、俺達に対しては大袈裟なくらい感謝してきてくれた。
マーズベルの俺と同じように、青龍さんは国を引っ張る絶対的な存在。また、国の最高の護り神とのことだ。青龍さんがいなくなってしまっては、私達はどうやって生活をしたら良いのか――? と涙を流しながら訴えてくるほど、国民達はハッピーに暮らせているそうだ。まあ、やっぱり国営をしている以上は反対意見もあるだろうけど、そのような事は限りなく少ないらしい。
「悔いていても仕方ありませんよ」
「そうだな……」
珍しく落ち込んでいる青龍さん。今は俺と青龍さんとアスモデウスさんの3人でドラグーンタワーの会議室にいる。だからこそ見せた弱音なのだろう。
「しかしあんなスキルがあったとはのう。お蔭で森は灰になっておったな」
「まあ、自然に関しては余の美しき生命があるので問題はないがな」
「確かにそうじゃった。しかし別格じゃったの。よくあんな化物を昔止めたのう」
「余は確かに弱くなっているが、少し戦ったあの感じだと、奴は相当強くなっている。絶対に食い止めるとは言ったものの予想を遥かに上回る強さだ。黒龍が復活したことは公表すべきだな」
「でもどうするのじゃ? 復活した今は奴を放っていおくわけにもいくまい。かと言って今のままでは戦力不足じゃ。大きな犠牲を払ってしまったからのう」
「うちの森妖精も青龍さんが集めた戦士達もやられてしまいましたからね。それに森妖精達が戦死してしまった事に関しては、うちの他の森妖精達にとってショックが大きいです。戦意喪失とまではいきませんが、何人かはショックを受けて無気力になっている状態です」
「精神の病というやつじゃな。無理も無いのう」
「もはやこうなってしまった以上。我々で何とかするしかない。ヒーティスは死者は出なかったんだな?」
「お陰様でな。正直、ナリユキ閣下のところの森妖精達がいなければ、妾も何人かを犠牲にしていたとい思う。本当に感謝しておる」
「アスモデウスさんがそう俺に頭を下げてきた」
あの時何があったのかと言うと、森妖精達が死力を尽くして防衛スキルを発動していたようだ。十字壁は展開するまでに時間がかかるので、あの一瞬で展開することができなかった。なので、他の防衛スキルでダメージを軽減したようだ。しかし、森妖精達はMPを限界まで防衛スキルにつぎ込んだのと、黒龍の出鱈目な威力もあって、あの爆発に耐えきる事ができなった。その結果、森妖精達は戦死していた。
「ところで青龍さん。黒龍が逃げる場所に心当たりはありませんか? 千里眼を使っても黒龍が何処にいるか分からないんですよ」
「それは余も確認している。現在も奴の様子を視ることができなからな。場所としてはオストロンから3,000km程南に進んだラヴァー火山にいる筈だ。当然、特殊な磁場が発しているので、奴も余達の事を確認することはできない」
「成程ですね。ならばその火山に一日でも早く攻め込むべきですね」
「それはそうだな。前提として、一度屈辱を味わった相手は殺すまで追いかけるという粘着気質な性格を奴はしているので、余に加えて、ナリユキ殿が奴のターゲットになった事は間違いない。ただ、奴は虫の居所が今は悪くなっている筈だ。MPが十分に回復すれば破壊をするに違いない。余達が止めることができなければ、近いうちに何処かの国が地図から消えてしまう」
神妙な顔つきをしながらそう恐ろしい事を告げてきた。でもまあそうか。元々怒らせると破壊衝動に駆り立てられて、次々と色々な国を破壊するはた迷惑な龍だ。ある意味ごく自然の事だ。
「ラヴァー火山に一番近い人が住んでいる国はヴァーキンじゃったな」
「そうだ。なので余はヴァーキン王に会いに行くつもりだ。ナリユキ殿も良かったら来てくれ」
「俺もですか?」
「ああ。ヴァーキンには創生のカードにあった貴族、シルファ家がいるのだ。一石二鳥という訳だ」
「そういう事でしたか」
「ああ」
「2人は瞬時に色々な所へ移動できるから羨ましいのう」
「お前がこの転移イヤリングを持っていたら何か良からぬ事に使いそうだがな」
「べ――別に持っていたらナリユキ閣下を襲おうかな~とか考えておらんぞ!」
「考えていたんですね。アスモデウスさんは美人だけど却下です」
「そうハッキリ言われると悲しいのじゃ。い……一度くらい妾の相手をしてほしいものじゃ。て――テクニックは自信ある!」
アスモデウスさんがそう恥じらいながら言っているけどフル無視でいこう。いや、確かに可愛いけどそうじゃない。
「アスモデウスがここまで男に振り回されているのは初めて見るから面白いのだが、話を脱線するのは止めてもらいたい」
青龍さんはそう言ってアスモデウスさんを睨みつけた。するとアスモデウスさんは指をツンツンとさせていた。
「拗ねるな。議題はまだまだあるぞ」
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