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黒龍復活Ⅳ
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「貴様等とここで戦うのもいいが、俺様はこう見えても怒っていてな。長い間封印されていたんだ。破壊衝動が疼いて仕方ないのだ」
――何か聞いていた通りにヤバい龍だな。
「そうはさせないぞ」
「俺様のスピードについてこられるのか? 現に俺様が地上へ向けてアクティブスキルを放ったらどうなると思う?」
眼下に広がるのはオストロンの国土。そして地上には何千万人という国民が住んでいる。その罪の無い人間に撃つ気なのか?
「正気か?」
「俺様がそんなつまらん冗談を言う龍だったと思うか?」
ニヤリと口角を吊り上げるなり、両手8本の指先から放たれる禍々しい邪気を纏った破壊光線。指先が光ったと思えば既に地上に着弾しようとしていた。
「危ない!」
俺はついそう大声を発していた。しかし、青龍さんは至って冷静でいる。その原因は直ぐに分かった。地上に呼び寄せられていたアリシアとメシアと他のマーズベルの森妖精達が横幅数km、高さ100m程巨大な十字の光の壁を展開。あれは正真正銘に森妖精だからこそ成し得る究極の防御スキル、十字壁だ。
「ぬううう――小賢しい真似を……」
「貴様が地上へ攻撃することは分かっていた。念には念をというやつだ」
「まあ良いわ」
すると、黒龍は人型化の姿に変化した。デカイ方が桁違いの範囲の攻撃を出来るのではないんじゃないか? 何で人型化になったんだろう。
「こっちの方がスピードが出るからな。それに――」
そう言って取り出したのは、カルベリアツリーのダンジョンで龍騎士が使っていた黒刀に似た刀だった。大きく違うのは、あの龍騎士は二刀流だったが、黒龍は一刀流だった。しかし、黒刀には中学生が好きそうな、黒い雷のようなエネルギーを帯びている。よくジャ〇プ系で強敵が発する特有のアレだ。
「青龍よ。貴様剣の腕は衰えているだろう?」
「衰えているかもしれないが、余には天眼がある」
「俺様にも天眼がある。では狙うのは――」
おいちょっと待て! コイツ標的をミクちゃんにしていないか!?
そう思った瞬間、黒龍は姿を消した――実際には超高速移動でミクちゃんに斬りかかった。離れている距離は20m程。なので、俺は殺戮の腕の縮地を使って一気に距離を詰めた。
キイン――と金属音が重ね合う音が響くと、黒龍は「ん?」と声を漏らしていた。
「それだけは絶対にさせないぜ。黒龍」
「ほう。なかなかやるではないか。俺様の刀を受け止めるとはな」
そう言っていたのに、互角の勝負などできる訳が無かった。俺はいとも簡単に刀で吹き飛ばされた。ったく信じられない馬鹿力だ。
「全然反応できなかった」
そう安堵するミクちゃん。実際にミクちゃんはレイアピアを構えることすらできていなかった。あのままだと本当に一太刀でミクちゃんがやられるところだ。本当に桁違いの速さだな。てか、カルベリアツリーのダンジョンの龍騎士より速くないか?
「さっきから攻撃ばかりされているな」
「そうだな。こっちも仕掛けない事には勝負がつかない。それに援軍を呼んだところで、我々のように飛ぶスキルを持っていない人間は攻撃することすらできない。まずは、奴を地上に追い込むんだ」
「了解です」
俺とミクちゃんがそう返事をしたと同時に一人の男性が現れた。
「申し訳ない。遅れてしまった」
突如姿を現したのはマルファスさんだ。勿論、黒翼を展開して宙に浮いている。
「ここに着いた時から呼んでいたのだがな」
「妾も応戦するぞ」
アスモデウスさんもこっちに来てくれたようだ。前線の主力となるメンバーは揃った。あとはランベリオンが来てくれると有難いんだけどな。
「何か特殊な磁場があるようだな。そのせいでこっちに来るのが遅くなってしまったんだ」
「これも-の邪気の影響じゃのう。魔王でもないのに凄い邪気じゃ」
「次から次へと蠅が寄ってきやがって」
「魔王の力を久しぶりに見せようか。其方はこの世界にとって害じゃからのう。駆除しなければいけない」
「アスモデウス。確か魔界にいた女だったな。何故こんなところにいる?」
「それはこっちの世界の方が好きじゃからのう。魔王だからと言って、其方のように破壊ばかりを好むという訳ではない」
「ほざけ」
そう呟いたと同時に放たれた邪気。この龍はまるで呼吸をするかのように邪気を放っているが、ただならぬ殺気が込められていた。
「ミクちゃん!」
「ごめんね。ナリユキ君!」
ミクちゃんも俺が感じた殺気を感じ取ったのだろう。今回の作戦ではミクちゃんは後衛。強力なサポートの要となる。言わばヒーラー兼タンク。絶対に死んではならない。なのでミクちゃんは転移イヤリングを使って地上へと避難した。
そうして俺、青龍さん、アスモデウスさん、マルファスさんは、黒龍の刀での攻撃を一太刀ずつ浴びる。天眼が動きを捉える事が出来ても身体が反応しない。
正直この一太刀。信じられないくらいの威力だ。4人同時に斬りつける荒業を披露したにも関わらず、1人に対して全集中したような破壊力とスピード。正直言って出鱈目すぎる。
俺は心臓に届かないくらいの深手を腹部に負った。皆もなかなか酷い深手を負っている。青龍さんは右手から大量出血しているし、アスモデウスさんは脇腹から血が溢れ出ている。マルファスさんは左半身から大量出血している。
「――流石にキツイのう」
アスモデウスさんが意外にもケロッとしている。魔眼を使って皆の傷を治していた。俺は自動で回復するから特に問題は無いが――。
「黒滅龍炎弾」
黒龍が放ったそのアクティブスキルは、直径10m程の黒い炎がマシンガンの如く飛んで来た――。
――何か聞いていた通りにヤバい龍だな。
「そうはさせないぞ」
「俺様のスピードについてこられるのか? 現に俺様が地上へ向けてアクティブスキルを放ったらどうなると思う?」
眼下に広がるのはオストロンの国土。そして地上には何千万人という国民が住んでいる。その罪の無い人間に撃つ気なのか?
「正気か?」
「俺様がそんなつまらん冗談を言う龍だったと思うか?」
ニヤリと口角を吊り上げるなり、両手8本の指先から放たれる禍々しい邪気を纏った破壊光線。指先が光ったと思えば既に地上に着弾しようとしていた。
「危ない!」
俺はついそう大声を発していた。しかし、青龍さんは至って冷静でいる。その原因は直ぐに分かった。地上に呼び寄せられていたアリシアとメシアと他のマーズベルの森妖精達が横幅数km、高さ100m程巨大な十字の光の壁を展開。あれは正真正銘に森妖精だからこそ成し得る究極の防御スキル、十字壁だ。
「ぬううう――小賢しい真似を……」
「貴様が地上へ攻撃することは分かっていた。念には念をというやつだ」
「まあ良いわ」
すると、黒龍は人型化の姿に変化した。デカイ方が桁違いの範囲の攻撃を出来るのではないんじゃないか? 何で人型化になったんだろう。
「こっちの方がスピードが出るからな。それに――」
そう言って取り出したのは、カルベリアツリーのダンジョンで龍騎士が使っていた黒刀に似た刀だった。大きく違うのは、あの龍騎士は二刀流だったが、黒龍は一刀流だった。しかし、黒刀には中学生が好きそうな、黒い雷のようなエネルギーを帯びている。よくジャ〇プ系で強敵が発する特有のアレだ。
「青龍よ。貴様剣の腕は衰えているだろう?」
「衰えているかもしれないが、余には天眼がある」
「俺様にも天眼がある。では狙うのは――」
おいちょっと待て! コイツ標的をミクちゃんにしていないか!?
そう思った瞬間、黒龍は姿を消した――実際には超高速移動でミクちゃんに斬りかかった。離れている距離は20m程。なので、俺は殺戮の腕の縮地を使って一気に距離を詰めた。
キイン――と金属音が重ね合う音が響くと、黒龍は「ん?」と声を漏らしていた。
「それだけは絶対にさせないぜ。黒龍」
「ほう。なかなかやるではないか。俺様の刀を受け止めるとはな」
そう言っていたのに、互角の勝負などできる訳が無かった。俺はいとも簡単に刀で吹き飛ばされた。ったく信じられない馬鹿力だ。
「全然反応できなかった」
そう安堵するミクちゃん。実際にミクちゃんはレイアピアを構えることすらできていなかった。あのままだと本当に一太刀でミクちゃんがやられるところだ。本当に桁違いの速さだな。てか、カルベリアツリーのダンジョンの龍騎士より速くないか?
「さっきから攻撃ばかりされているな」
「そうだな。こっちも仕掛けない事には勝負がつかない。それに援軍を呼んだところで、我々のように飛ぶスキルを持っていない人間は攻撃することすらできない。まずは、奴を地上に追い込むんだ」
「了解です」
俺とミクちゃんがそう返事をしたと同時に一人の男性が現れた。
「申し訳ない。遅れてしまった」
突如姿を現したのはマルファスさんだ。勿論、黒翼を展開して宙に浮いている。
「ここに着いた時から呼んでいたのだがな」
「妾も応戦するぞ」
アスモデウスさんもこっちに来てくれたようだ。前線の主力となるメンバーは揃った。あとはランベリオンが来てくれると有難いんだけどな。
「何か特殊な磁場があるようだな。そのせいでこっちに来るのが遅くなってしまったんだ」
「これも-の邪気の影響じゃのう。魔王でもないのに凄い邪気じゃ」
「次から次へと蠅が寄ってきやがって」
「魔王の力を久しぶりに見せようか。其方はこの世界にとって害じゃからのう。駆除しなければいけない」
「アスモデウス。確か魔界にいた女だったな。何故こんなところにいる?」
「それはこっちの世界の方が好きじゃからのう。魔王だからと言って、其方のように破壊ばかりを好むという訳ではない」
「ほざけ」
そう呟いたと同時に放たれた邪気。この龍はまるで呼吸をするかのように邪気を放っているが、ただならぬ殺気が込められていた。
「ミクちゃん!」
「ごめんね。ナリユキ君!」
ミクちゃんも俺が感じた殺気を感じ取ったのだろう。今回の作戦ではミクちゃんは後衛。強力なサポートの要となる。言わばヒーラー兼タンク。絶対に死んではならない。なのでミクちゃんは転移イヤリングを使って地上へと避難した。
そうして俺、青龍さん、アスモデウスさん、マルファスさんは、黒龍の刀での攻撃を一太刀ずつ浴びる。天眼が動きを捉える事が出来ても身体が反応しない。
正直この一太刀。信じられないくらいの威力だ。4人同時に斬りつける荒業を披露したにも関わらず、1人に対して全集中したような破壊力とスピード。正直言って出鱈目すぎる。
俺は心臓に届かないくらいの深手を腹部に負った。皆もなかなか酷い深手を負っている。青龍さんは右手から大量出血しているし、アスモデウスさんは脇腹から血が溢れ出ている。マルファスさんは左半身から大量出血している。
「――流石にキツイのう」
アスモデウスさんが意外にもケロッとしている。魔眼を使って皆の傷を治していた。俺は自動で回復するから特に問題は無いが――。
「黒滅龍炎弾」
黒龍が放ったそのアクティブスキルは、直径10m程の黒い炎がマシンガンの如く飛んで来た――。
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