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黒龍復活Ⅲ
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「ミクちゃん行くぞ!」
「そうだね!」
「余も行く」
「分かりました。それでは手を繋ぎましょう」
右側にミクちゃん、左側に青龍さん。そして何故か中央にいる俺。普通ならば青龍さんが中央だと思うんだけどまあいいや。
俺はミクちゃんに黒龍の情報を知性・記憶の略奪と献上で共有した。少々ミクちゃんのイメージが曖昧でも俺と青龍さんがいるからカバーできる。
「これが黒龍――」
「そうだ。じゃあ行くよ」
「うん」
ミクちゃんがそう返事をすると俺達3人は目を閉じた。転移イヤリングでの移動が成功したのは直ぐに分かった。寒いし風が吹き荒れているからだ。そして、目を閉じていても分かる圧倒的な威圧感と禍々しい邪気――。
俺が目を開けるとそこには8本の角を生やした薄花色をした瞳に漆黒の鱗を持つ龍だ。体長に関しては100mどころではない。200m近くあるんじゃないか? ニーズヘッグの倍くらいあるんだけど――。
そして一番注目すべきは、全身から溢れ出る禍々しすぎる邪気だ。この邪気を感じているだけで、4,000~5,500くらいの戦闘値の人はキリキリとした頭痛と吐き気がするだろう。普通の人ならば邪気に堪えることができずに命を奪われてしまうのではないだろうか? まさに黒龍という存在そのものが国を亡ぼすことができる。
「久しぶりだな。黒龍よ」
人型化姿で、青龍偃月刀を右手に持ち宙に浮いている青龍さんがそう黒龍に話しかけた。
「何だ? 殺されに来たのではなく無駄話をする為に俺様の前に現れたのか? 青龍よ。それにそこにいる人間は誰だ? あの忌まわしき龍騎士の末裔か?」
「いや、ただの転生者の人間だ」
「人間? 面白い冗談だ。そんな強い人類は龍騎士だけだろ?」
「2,000年も眠っていれば世界は大きく変わるものだ」
「ほう――確かに鑑定士で視る限りでは人間のようだ。しかし俺様の前では無力だぞ?」
黒龍はそう言って俺達3人に対して目だけで威圧をかけてきた。毛穴という毛穴が黒龍から放たれる邪気を感じ取っている――。
正直な所、戦うのが嫌なくらいだ。そもそも、ステータスどころか戦闘値も分からないなんて怖いの一言に尽きる。
「生半可な気持ちで俺様の前に立っているようではないな」
「当り前だ。余が集めた勇敢な戦士の頂点に君臨する2人だ」
「成程な。ではこれはほんの挨拶代わりだ!」
黒龍はそう言って口を大きく開いた。挨拶代わりのレベルじゃないエネルギーが黒龍の口に集中している。
「相変わらず桁違いだな。余に任せろ」
黒龍が吐き出して来た黒い炎の玉。説明するまでも無いがここにも邪気が込められている。アスモデウスさんが言っていた-の邪気だ。
普通に考えれば、S級になってしまった青龍さんがこの炎の玉を止めることはできない――。
案ずることは無かった。俺とミクちゃんの前に立った自信に満ち溢れた表情をした青龍さんは、青龍偃月刀でその黒炎の玉を上空へ飛ばした。
「本当に挨拶代わりだな。余も昔と比べると随分と弱くなってしまったが、貴様も随分と弱くなったのではないか?」
「抜かせ。S級の龍など地に落ちたものだ」
「その地に落ちた龍が返すことができない技を披露するべきじゃないのか?」
「青龍さん煽ってどうするんですか!?」
「そうですよ!」
俺の後にミクちゃんが続いた。
「あまりにも弱い威力だったのでな」
「あれで威力が弱いんですか。最近見た放出系のアクティブスキルで、破壊の滅殺光ばりの威力でしたけど」
「確かに常識的だと強いな。しかし奴もナリユキ殿も、もう常識の範疇を越えているのだ。Z級ともなるとアクティブスキルの威力も桁違い。試してみるんだ」
俺はまず試したい武器があった。それは黒紅煉刀だ。その黒紅煉刀を振りかざす。前提として、龍騎士を倒したことで刀系のスキルをいくつか入手していたみたいで――。
「なかなかの斬撃を撃ちよるわ」
黒龍に簡単に避けられてしまった赤い斬撃。しかし、斬撃が飛んで行ったところの空間が歪んでいる。
「思った以上の威力だな」
「ナリユキ君凄い」
2人共普通に驚いてくれている。まあ俺が一番驚いているんだけど――。
「最近Z級になったのか? しかし自身の力を過信し過ぎると痛い目をみるぞ!」
そう言って黒炎の玉を口から5個放出させてきた。それと同時に爪で空間を引き裂いたと思ったら斬撃が飛んでくるという訳の分からない連続攻撃だ。
「ミクちゃん!」
「任せて!」
俺がミクちゃんにそう声をかけると、ミクちゃんが星光の聖域を展開してくれた。
俺達3人は光で包み込まれて黒龍の攻撃を通さない。威力が強すぎて熱を感じる。まあそもそも、熱無効なのにそれを無効化されているって話なんだけどね。そんな事は以前から知っていた事だから今更驚く事でもない。問題は威力だ。ミクちゃんが展開した星光の聖域の光にヒビが入っている。こんなの初めて見た。
「余に任せよ」
青龍さんはミクちゃんが辛そうな表情をしているのを見て、巨大な水のドームを展開した。すると黒龍の黒炎の玉は見事に鎮火した。これは雷属性以外のスキルを無効化にする事ができる水球だ。でも、黒炎は全て焼き尽くすんじゃ無かったっけ? ちょっとチンプンカンプンになってきた。
「厄介なアクティブスキルは健在のようだな」
「当り前だ。余は水を操る龍。貴様の黒炎に対抗できる唯一無二の力だからな」
青龍さんは黒龍と対等に戦っているように見える。そう考えるととても弱体化しているようには見えないけど、全盛期の青龍さんはどれだけ強かったのだろう?
「そうだね!」
「余も行く」
「分かりました。それでは手を繋ぎましょう」
右側にミクちゃん、左側に青龍さん。そして何故か中央にいる俺。普通ならば青龍さんが中央だと思うんだけどまあいいや。
俺はミクちゃんに黒龍の情報を知性・記憶の略奪と献上で共有した。少々ミクちゃんのイメージが曖昧でも俺と青龍さんがいるからカバーできる。
「これが黒龍――」
「そうだ。じゃあ行くよ」
「うん」
ミクちゃんがそう返事をすると俺達3人は目を閉じた。転移イヤリングでの移動が成功したのは直ぐに分かった。寒いし風が吹き荒れているからだ。そして、目を閉じていても分かる圧倒的な威圧感と禍々しい邪気――。
俺が目を開けるとそこには8本の角を生やした薄花色をした瞳に漆黒の鱗を持つ龍だ。体長に関しては100mどころではない。200m近くあるんじゃないか? ニーズヘッグの倍くらいあるんだけど――。
そして一番注目すべきは、全身から溢れ出る禍々しすぎる邪気だ。この邪気を感じているだけで、4,000~5,500くらいの戦闘値の人はキリキリとした頭痛と吐き気がするだろう。普通の人ならば邪気に堪えることができずに命を奪われてしまうのではないだろうか? まさに黒龍という存在そのものが国を亡ぼすことができる。
「久しぶりだな。黒龍よ」
人型化姿で、青龍偃月刀を右手に持ち宙に浮いている青龍さんがそう黒龍に話しかけた。
「何だ? 殺されに来たのではなく無駄話をする為に俺様の前に現れたのか? 青龍よ。それにそこにいる人間は誰だ? あの忌まわしき龍騎士の末裔か?」
「いや、ただの転生者の人間だ」
「人間? 面白い冗談だ。そんな強い人類は龍騎士だけだろ?」
「2,000年も眠っていれば世界は大きく変わるものだ」
「ほう――確かに鑑定士で視る限りでは人間のようだ。しかし俺様の前では無力だぞ?」
黒龍はそう言って俺達3人に対して目だけで威圧をかけてきた。毛穴という毛穴が黒龍から放たれる邪気を感じ取っている――。
正直な所、戦うのが嫌なくらいだ。そもそも、ステータスどころか戦闘値も分からないなんて怖いの一言に尽きる。
「生半可な気持ちで俺様の前に立っているようではないな」
「当り前だ。余が集めた勇敢な戦士の頂点に君臨する2人だ」
「成程な。ではこれはほんの挨拶代わりだ!」
黒龍はそう言って口を大きく開いた。挨拶代わりのレベルじゃないエネルギーが黒龍の口に集中している。
「相変わらず桁違いだな。余に任せろ」
黒龍が吐き出して来た黒い炎の玉。説明するまでも無いがここにも邪気が込められている。アスモデウスさんが言っていた-の邪気だ。
普通に考えれば、S級になってしまった青龍さんがこの炎の玉を止めることはできない――。
案ずることは無かった。俺とミクちゃんの前に立った自信に満ち溢れた表情をした青龍さんは、青龍偃月刀でその黒炎の玉を上空へ飛ばした。
「本当に挨拶代わりだな。余も昔と比べると随分と弱くなってしまったが、貴様も随分と弱くなったのではないか?」
「抜かせ。S級の龍など地に落ちたものだ」
「その地に落ちた龍が返すことができない技を披露するべきじゃないのか?」
「青龍さん煽ってどうするんですか!?」
「そうですよ!」
俺の後にミクちゃんが続いた。
「あまりにも弱い威力だったのでな」
「あれで威力が弱いんですか。最近見た放出系のアクティブスキルで、破壊の滅殺光ばりの威力でしたけど」
「確かに常識的だと強いな。しかし奴もナリユキ殿も、もう常識の範疇を越えているのだ。Z級ともなるとアクティブスキルの威力も桁違い。試してみるんだ」
俺はまず試したい武器があった。それは黒紅煉刀だ。その黒紅煉刀を振りかざす。前提として、龍騎士を倒したことで刀系のスキルをいくつか入手していたみたいで――。
「なかなかの斬撃を撃ちよるわ」
黒龍に簡単に避けられてしまった赤い斬撃。しかし、斬撃が飛んで行ったところの空間が歪んでいる。
「思った以上の威力だな」
「ナリユキ君凄い」
2人共普通に驚いてくれている。まあ俺が一番驚いているんだけど――。
「最近Z級になったのか? しかし自身の力を過信し過ぎると痛い目をみるぞ!」
そう言って黒炎の玉を口から5個放出させてきた。それと同時に爪で空間を引き裂いたと思ったら斬撃が飛んでくるという訳の分からない連続攻撃だ。
「ミクちゃん!」
「任せて!」
俺がミクちゃんにそう声をかけると、ミクちゃんが星光の聖域を展開してくれた。
俺達3人は光で包み込まれて黒龍の攻撃を通さない。威力が強すぎて熱を感じる。まあそもそも、熱無効なのにそれを無効化されているって話なんだけどね。そんな事は以前から知っていた事だから今更驚く事でもない。問題は威力だ。ミクちゃんが展開した星光の聖域の光にヒビが入っている。こんなの初めて見た。
「余に任せよ」
青龍さんはミクちゃんが辛そうな表情をしているのを見て、巨大な水のドームを展開した。すると黒龍の黒炎の玉は見事に鎮火した。これは雷属性以外のスキルを無効化にする事ができる水球だ。でも、黒炎は全て焼き尽くすんじゃ無かったっけ? ちょっとチンプンカンプンになってきた。
「厄介なアクティブスキルは健在のようだな」
「当り前だ。余は水を操る龍。貴様の黒炎に対抗できる唯一無二の力だからな」
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