【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
422 / 597

黒龍復活Ⅲ

しおりを挟む
「ミクちゃん行くぞ!」

「そうだね!」

「余も行く」

「分かりました。それでは手を繋ぎましょう」

 右側にミクちゃん、左側に青龍リオさん。そして何故か中央にいる俺。普通ならば青龍リオさんが中央だと思うんだけどまあいいや。

 俺はミクちゃんに黒龍ニゲル・クティオストルーデの情報を知性・記憶の略奪と献上メーティスで共有した。少々ミクちゃんのイメージが曖昧でも俺と青龍リオさんがいるからカバーできる。

「これが黒龍ニゲル・クティオストルーデ――」

「そうだ。じゃあ行くよ」

「うん」

 ミクちゃんがそう返事をすると俺達3人は目を閉じた。転移テレポートイヤリングでの移動が成功したのは直ぐに分かった。寒いし風が吹き荒れているからだ。そして、目を閉じていても分かる圧倒的な威圧感と禍々しい邪気――。

 俺が目を開けるとそこには8本の角を生やした薄花うすはな色をした瞳に漆黒の鱗を持つ龍だ。体長に関しては100mどころではない。200m近くあるんじゃないか? ニーズヘッグの倍くらいあるんだけど――。

 そして一番注目すべきは、全身から溢れ出る禍々しすぎる邪気だ。この邪気を感じているだけで、4,000~5,500くらいの戦闘値の人はキリキリとした頭痛と吐き気がするだろう。普通の人ならば邪気に堪えることができずに命を奪われてしまうのではないだろうか? まさに黒龍という存在そのものが国を亡ぼすことができる。

「久しぶりだな。黒龍よ」

 人型化ヒューマノイド姿で、青龍偃月刀を右手に持ち宙に浮いている青龍リオさんがそう黒龍ニゲル・クティオストルーデに話しかけた。

「何だ? 殺されに来たのではなく無駄話をする為に俺様の前に現れたのか? 青龍よ。それにそこにいる人間は誰だ? あの忌まわしき龍騎士の末裔か?」

「いや、ただの転生者の人間だ」

「人間? 面白い冗談だ。そんな強い人類は龍騎士だけだろ?」

「2,000年も眠っていれば世界は大きく変わるものだ」

「ほう――確かに鑑定士で視る限りでは人間のようだ。しかし俺様の前では無力だぞ?」

 黒龍ニゲル・クティオストルーデはそう言って俺達3人に対して目だけで威圧をかけてきた。毛穴という毛穴が黒龍ニゲル・クティオストルーデから放たれる邪気を感じ取っている――。

 正直な所、戦うのが嫌なくらいだ。そもそも、ステータスどころか戦闘値も分からないなんて怖いの一言に尽きる。

「生半可な気持ちで俺様の前に立っているようではないな」

「当り前だ。余が集めた勇敢な戦士の頂点に君臨する2人だ」

「成程な。ではこれはほんの挨拶代わりだ!」

 黒龍ニゲル・クティオストルーデはそう言って口を大きく開いた。挨拶代わりのレベルじゃないエネルギーが黒龍ニゲル・クティオストルーデの口に集中している。

「相変わらず桁違いだな。余に任せろ」

 黒龍ニゲル・クティオストルーデが吐き出して来た黒い炎の玉。説明するまでも無いがここにも邪気が込められている。アスモデウスさんが言っていたマイナスの邪気だ。

 普通に考えれば、S級になってしまった青龍リオさんがこの炎の玉を止めることはできない――。

 案ずることは無かった。俺とミクちゃんの前に立った自信に満ち溢れた表情をした青龍リオさんは、青龍偃月刀でその黒炎の玉を上空へ飛ばした。

「本当に挨拶代わりだな。余も昔と比べると随分と弱くなってしまったが、貴様も随分と弱くなったのではないか?」

「抜かせ。S級の龍など地に落ちたものだ」

「その地に落ちた龍が返すことができない技を披露するべきじゃないのか?」

青龍リオさん煽ってどうするんですか!?」

「そうですよ!」

 俺の後にミクちゃんが続いた。

「あまりにも弱い威力だったのでな」

「あれで威力が弱いんですか。最近見た放出系のアクティブスキルで、破壊の滅殺光ディスラクション・レーズばりの威力でしたけど」

「確かに常識的だと強いな。しかし奴もナリユキ殿も、もう常識の範疇を越えているのだ。Z級ともなるとアクティブスキルの威力も桁違い。試してみるんだ」

 俺はまず試したい武器があった。それは黒紅煉刀くろべにれんとうだ。その黒紅煉刀くろべにれんとうを振りかざす。前提として、龍騎士を倒したことで刀系のスキルをいくつか入手していたみたいで――。

「なかなかの斬撃を撃ちよるわ」

 黒龍ニゲル・クティオストルーデに簡単に避けられてしまった赤い斬撃。しかし、斬撃が飛んで行ったところの空間が歪んでいる。

「思った以上の威力だな」

「ナリユキ君凄い」

 2人共普通に驚いてくれている。まあ俺が一番驚いているんだけど――。

「最近Z級になったのか? しかし自身の力を過信し過ぎると痛い目をみるぞ!」

 そう言って黒炎の玉を口から5個放出させてきた。それと同時に爪で空間を引き裂いたと思ったら斬撃が飛んでくるという訳の分からない連続攻撃だ。

「ミクちゃん!」

「任せて!」

 俺がミクちゃんにそう声をかけると、ミクちゃんが星光の聖域ルミナ・サンクチュアリを展開してくれた。

 俺達3人は光で包み込まれて黒龍ニゲル・クティオストルーデの攻撃を通さない。威力が強すぎて熱を感じる。まあそもそも、熱無効なのにそれを無効化されているって話なんだけどね。そんな事は以前から知っていた事だから今更驚く事でもない。問題は威力だ。ミクちゃんが展開した星光の聖域ルミナ・サンクチュアリの光にヒビが入っている。こんなの初めて見た。

「余に任せよ」

 青龍リオさんはミクちゃんが辛そうな表情をしているのを見て、巨大な水のドームを展開した。すると黒龍ニゲル・クティオストルーデの黒炎の玉は見事に鎮火した。これは雷属性以外のスキルを無効化にする事ができる水球ウォーター・ドームだ。でも、黒炎は全て焼き尽くすんじゃ無かったっけ? ちょっとチンプンカンプンになってきた。

「厄介なアクティブスキルは健在のようだな」

「当り前だ。余は水を操る龍。貴様の黒炎に対抗できる唯一無二の力だからな」

 青龍リオさんは黒龍ニゲル・クティオストルーデと対等に戦っているように見える。そう考えるととても弱体化しているようには見えないけど、全盛期の青龍リオさんはどれだけ強かったのだろう?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

処理中です...