418 / 597
カルベリアツリーのダンジョン再々攻略Ⅳ
しおりを挟む
俺は真っ黒闇の世界を彷徨っていた。
「どこだここ……誰かいないのか!? ミクちゃん! ランベリオン! アリシア!」
そう声をかけたが誰も返事をしてくれない。何か無いかと思い暗闇をひたすら歩き続けた。
「俺――やっぱり龍騎士に殺されてしまったのか。そんでここが死後の世界なのか?」
「死後の世界ってのは想像通り孤独だな……」
そう思うと皆に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。デカイ口を叩いて結局死んでしまったのでは意味が無い。何より、ミクちゃんを悲しませしまった事――これが一番申し訳ない。ミクちゃんはふとした時にメンタルが崩壊してしまうか弱い女の子だ。俺が死んだからって後追い自殺をされたら――。
気付くとたくさんの涙が目に溢れていた。こんなに悲しい気持ちになるなんて久しぶりだ。というか初めてだ。二位がアマミヤが自殺をしたときだったら、今回が一位だ。結局どれだけ強くなろうが死ぬときは死ぬ。それは全て自分の実力不足だ。悔しい――。
罪悪感に苛まれていると俺は声が枯れるくらいまで大泣きしていた。みっともないかもしれないけど、ここには誰もいないんだ。
その次は畜生! と怒号を散らしていた。自分の人生のなかで今が一番喜怒哀楽が激しいかもしれない。そんな事を続けていると誰かに話しかけられた。声が小さくて空耳かと思った。
「なりゆき君! お願い!」
そんな声が聞こえた。明らかにミクちゃんの声だ。一発目は聞き間違いでなければナリユキ……とまでしか聞こえなかったので一体誰だったか分からないけど、俺を君付けで呼ぶのはミクちゃんだし、何よりミクちゃんの声が大好きだから聞き間違える筈がない。何ならミクちゃんの声を聞くだけで、未だに少し舞い上がっていたりするもんだ。
俺は必死に皆の声に応えようとした。ミクちゃん! ランベリオン! アリシア! そう叫んだけどあっちからの反応は全く無かった。ただ、ひたすらに3人が俺に声をかけてくれているんだ。俺の声を届かせるにはどうすればいいんだ――。
皆と会いたい――!
そう必死に願って声を出し続けた。
すると、光が少しずつ見え始めた。真っ暗闇の中を数時間はいたようなので目が痛くて仕方ない。眩しい――。
あれ? 何でだ? ミクちゃん、ランベリオン、アリシアの顔が見える――。さっきまでは声だけだったのに――。
「良かった――!」
いきなり俺はミクちゃんが飛びついて来た。当然俺は何が何だかよく分からない状態で地面に仰向けになっている。なので、ミクちゃんが俺に覆いかぶさっている状態になっている。
「めちゃくちゃ嬉しいけど、天国って感触もリアルだな」
ミクちゃんが泣きながら抱き着いてくれているのに、大変申し訳ないが、ミクちゃんの髪の匂いもそうだし、押し当てられているやたらと柔らかい胸の感触も妙にリアルだ。天国ってのはリアルと変わらない世界なのか――。いや、待て待て。だとするとミクちゃん達も死んだって事になるよな――? 復活した龍騎士に殺されたって事か?
「ごめん皆。俺のせいで皆を巻き添えにしてしまって……」
俺がそう謝罪を行うと、ぎゅ~と力強く抱きしめている手を一度離した。皆が怪訝な表情で俺の顔を見ている。
「だって俺は死んだんだろ? 再生せずに無くなった肉体が元通りになっている。それに皆がいるって事は、あの後龍騎士にやられたんだろ?」
俺がそう問いかけると、ミクちゃんは再度抱きしめてくれた。今度は優しかった。
「確かに死んでいたよ……けどこの世界は現実。もう大丈夫だよ。それにナリユキ君はあの龍騎士に勝ったんだよ」
「え? どういう事?」
ミクちゃんの言っている意味が理解できなかった。死んでいたのに? 現実に戻った? どういう事?
「ミク殿がナリユキ殿を蘇生させたのだ」
「愛の力というものですね。ミク様はナリユキ様を蘇生を使って復活させたんですよ」
アリシアがそうニコっと笑みを浮かべた。
「蘇生? いつの間にそんなスキル――つか、それだったら――!」
ミクちゃんの寿命が――! と思ったけど、ミクちゃんはそんな事は前から知っている。ミクちゃんは前から俺に万が一の事があった時の為に蘇生は絶対に習得したいと言っていた。その為に、大天使をやたら討伐していた。軽く1,000は超えているんじゃないのだろうか? 確かに蘇生を持っている個体はいたけれど、見事にスキルをドロップすることができなかった。その蘇生がどういうスキルか何て知っているし、蘇生の発動条件については、以前マカロフ卿からも聞いている。
「それだったら?」
ミクちゃんはそう言って首を傾げた。
「いや、何でもない。ありがとうミクちゃん。また会えて嬉しいよ」
俺はそう言ってミクちゃんを優しく抱き返した。
「お熱いですね。私まで体が火照ってしまいます」
アリシアがそう言って何か危ないニオイがしたので、俺は優しくミクちゃんを離して上体を起こした。
「凄いな。体力も元通りだ。つか皆、微妙に強くなっていないか?」
ミクちゃん、ランベリオン、アリシアのステータスを再度確認した。まず戦闘値だけどミクちゃんが7,000と大幅に上昇。これは蘇生を入手したことによるパワーアップに違いない。そして、ランベリオンが6,600、アリシアが6,400と200ずつ上がっている。何か所有していなかったスキルも持っている。何より龍騎士と戦った部屋では無い。
「気付いたみたいだね。ここは901階層なの。あのままだと龍騎士が復活しちゃうから901階層をクリアして、今魔物は何もいない状態。それにナリユキ君だってものすごく強くなっているよ。念願の超越者と、アクティブスキル、黒絶斬を入手したみたい。ナリユキ君が黒紅煉刀で龍騎士と戦っていたから、刀の適性が高いって判断されたみたいだね」
――はい? それ俺めちゃくちゃ強くなっているんじゃね?
「どこだここ……誰かいないのか!? ミクちゃん! ランベリオン! アリシア!」
そう声をかけたが誰も返事をしてくれない。何か無いかと思い暗闇をひたすら歩き続けた。
「俺――やっぱり龍騎士に殺されてしまったのか。そんでここが死後の世界なのか?」
「死後の世界ってのは想像通り孤独だな……」
そう思うと皆に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。デカイ口を叩いて結局死んでしまったのでは意味が無い。何より、ミクちゃんを悲しませしまった事――これが一番申し訳ない。ミクちゃんはふとした時にメンタルが崩壊してしまうか弱い女の子だ。俺が死んだからって後追い自殺をされたら――。
気付くとたくさんの涙が目に溢れていた。こんなに悲しい気持ちになるなんて久しぶりだ。というか初めてだ。二位がアマミヤが自殺をしたときだったら、今回が一位だ。結局どれだけ強くなろうが死ぬときは死ぬ。それは全て自分の実力不足だ。悔しい――。
罪悪感に苛まれていると俺は声が枯れるくらいまで大泣きしていた。みっともないかもしれないけど、ここには誰もいないんだ。
その次は畜生! と怒号を散らしていた。自分の人生のなかで今が一番喜怒哀楽が激しいかもしれない。そんな事を続けていると誰かに話しかけられた。声が小さくて空耳かと思った。
「なりゆき君! お願い!」
そんな声が聞こえた。明らかにミクちゃんの声だ。一発目は聞き間違いでなければナリユキ……とまでしか聞こえなかったので一体誰だったか分からないけど、俺を君付けで呼ぶのはミクちゃんだし、何よりミクちゃんの声が大好きだから聞き間違える筈がない。何ならミクちゃんの声を聞くだけで、未だに少し舞い上がっていたりするもんだ。
俺は必死に皆の声に応えようとした。ミクちゃん! ランベリオン! アリシア! そう叫んだけどあっちからの反応は全く無かった。ただ、ひたすらに3人が俺に声をかけてくれているんだ。俺の声を届かせるにはどうすればいいんだ――。
皆と会いたい――!
そう必死に願って声を出し続けた。
すると、光が少しずつ見え始めた。真っ暗闇の中を数時間はいたようなので目が痛くて仕方ない。眩しい――。
あれ? 何でだ? ミクちゃん、ランベリオン、アリシアの顔が見える――。さっきまでは声だけだったのに――。
「良かった――!」
いきなり俺はミクちゃんが飛びついて来た。当然俺は何が何だかよく分からない状態で地面に仰向けになっている。なので、ミクちゃんが俺に覆いかぶさっている状態になっている。
「めちゃくちゃ嬉しいけど、天国って感触もリアルだな」
ミクちゃんが泣きながら抱き着いてくれているのに、大変申し訳ないが、ミクちゃんの髪の匂いもそうだし、押し当てられているやたらと柔らかい胸の感触も妙にリアルだ。天国ってのはリアルと変わらない世界なのか――。いや、待て待て。だとするとミクちゃん達も死んだって事になるよな――? 復活した龍騎士に殺されたって事か?
「ごめん皆。俺のせいで皆を巻き添えにしてしまって……」
俺がそう謝罪を行うと、ぎゅ~と力強く抱きしめている手を一度離した。皆が怪訝な表情で俺の顔を見ている。
「だって俺は死んだんだろ? 再生せずに無くなった肉体が元通りになっている。それに皆がいるって事は、あの後龍騎士にやられたんだろ?」
俺がそう問いかけると、ミクちゃんは再度抱きしめてくれた。今度は優しかった。
「確かに死んでいたよ……けどこの世界は現実。もう大丈夫だよ。それにナリユキ君はあの龍騎士に勝ったんだよ」
「え? どういう事?」
ミクちゃんの言っている意味が理解できなかった。死んでいたのに? 現実に戻った? どういう事?
「ミク殿がナリユキ殿を蘇生させたのだ」
「愛の力というものですね。ミク様はナリユキ様を蘇生を使って復活させたんですよ」
アリシアがそうニコっと笑みを浮かべた。
「蘇生? いつの間にそんなスキル――つか、それだったら――!」
ミクちゃんの寿命が――! と思ったけど、ミクちゃんはそんな事は前から知っている。ミクちゃんは前から俺に万が一の事があった時の為に蘇生は絶対に習得したいと言っていた。その為に、大天使をやたら討伐していた。軽く1,000は超えているんじゃないのだろうか? 確かに蘇生を持っている個体はいたけれど、見事にスキルをドロップすることができなかった。その蘇生がどういうスキルか何て知っているし、蘇生の発動条件については、以前マカロフ卿からも聞いている。
「それだったら?」
ミクちゃんはそう言って首を傾げた。
「いや、何でもない。ありがとうミクちゃん。また会えて嬉しいよ」
俺はそう言ってミクちゃんを優しく抱き返した。
「お熱いですね。私まで体が火照ってしまいます」
アリシアがそう言って何か危ないニオイがしたので、俺は優しくミクちゃんを離して上体を起こした。
「凄いな。体力も元通りだ。つか皆、微妙に強くなっていないか?」
ミクちゃん、ランベリオン、アリシアのステータスを再度確認した。まず戦闘値だけどミクちゃんが7,000と大幅に上昇。これは蘇生を入手したことによるパワーアップに違いない。そして、ランベリオンが6,600、アリシアが6,400と200ずつ上がっている。何か所有していなかったスキルも持っている。何より龍騎士と戦った部屋では無い。
「気付いたみたいだね。ここは901階層なの。あのままだと龍騎士が復活しちゃうから901階層をクリアして、今魔物は何もいない状態。それにナリユキ君だってものすごく強くなっているよ。念願の超越者と、アクティブスキル、黒絶斬を入手したみたい。ナリユキ君が黒紅煉刀で龍騎士と戦っていたから、刀の適性が高いって判断されたみたいだね」
――はい? それ俺めちゃくちゃ強くなっているんじゃね?
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。
みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる