【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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カルベリアツリーのダンジョン再々攻略Ⅳ

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 俺は真っ黒闇の世界を彷徨っていた。

「どこだここ……誰かいないのか!? ミクちゃん! ランベリオン! アリシア!」

 そう声をかけたが誰も返事をしてくれない。何か無いかと思い暗闇をひたすら歩き続けた。

「俺――やっぱり龍騎士に殺されてしまったのか。そんでここが死後の世界なのか?」

「死後の世界ってのは想像通り孤独だな……」

 そう思うと皆に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。デカイ口を叩いて結局死んでしまったのでは意味が無い。何より、ミクちゃんを悲しませしまった事――これが一番申し訳ない。ミクちゃんはふとした時にメンタルが崩壊してしまうか弱い女の子だ。俺が死んだからって後追い自殺をされたら――。

 気付くとたくさんの涙が目に溢れていた。こんなに悲しい気持ちになるなんて久しぶりだ。というか初めてだ。二位がアマミヤが自殺をしたときだったら、今回が一位だ。結局どれだけ強くなろうが死ぬときは死ぬ。それは全て自分の実力不足だ。悔しい――。

 罪悪感にさいなまれていると俺は声が枯れるくらいまで大泣きしていた。みっともないかもしれないけど、ここには誰もいないんだ。

 その次は畜生! と怒号を散らしていた。自分の人生のなかで今が一番喜怒哀楽が激しいかもしれない。そんな事を続けていると誰かに話しかけられた。声が小さくて空耳かと思った。

「なりゆき君! お願い!」

 そんな声が聞こえた。明らかにミクちゃんの声だ。一発目は聞き間違いでなければナリユキ……とまでしか聞こえなかったので一体誰だったか分からないけど、俺を君付けで呼ぶのはミクちゃんだし、何よりミクちゃんの声が大好きだから聞き間違える筈がない。何ならミクちゃんの声を聞くだけで、未だに少し舞い上がっていたりするもんだ。

 俺は必死に皆の声に応えようとした。ミクちゃん! ランベリオン! アリシア! そう叫んだけどあっちからの反応は全く無かった。ただ、ひたすらに3人が俺に声をかけてくれているんだ。俺の声を届かせるにはどうすればいいんだ――。

 皆と会いたい――! 

 そう必死に願って声を出し続けた。

 すると、光が少しずつ見え始めた。真っ暗闇の中を数時間はいたようなので目が痛くて仕方ない。眩しい――。

 あれ? 何でだ? ミクちゃん、ランベリオン、アリシアの顔が見える――。さっきまでは声だけだったのに――。

「良かった――!」

 いきなり俺はミクちゃんが飛びついて来た。当然俺は何が何だかよく分からない状態で地面に仰向けになっている。なので、ミクちゃんが俺に覆いかぶさっている状態になっている。

「めちゃくちゃ嬉しいけど、天国って感触もリアルだな」

 ミクちゃんが泣きながら抱き着いてくれているのに、大変申し訳ないが、ミクちゃんの髪の匂いもそうだし、押し当てられているやたらと柔らかい胸の感触も妙にリアルだ。天国ってのはリアルと変わらない世界なのか――。いや、待て待て。だとするとミクちゃん達も死んだって事になるよな――? 復活した龍騎士に殺されたって事か?

「ごめん皆。俺のせいで皆を巻き添えにしてしまって……」

 俺がそう謝罪を行うと、ぎゅ~と力強く抱きしめている手を一度離した。皆が怪訝な表情で俺の顔を見ている。

「だって俺は死んだんだろ? 再生せずに無くなった肉体が元通りになっている。それに皆がいるって事は、あの後龍騎士にやられたんだろ?」

 俺がそう問いかけると、ミクちゃんは再度抱きしめてくれた。今度は優しかった。

「確かに死んでいたよ……けどこの世界は現実。もう大丈夫だよ。それにナリユキ君はあの龍騎士に勝ったんだよ」

「え? どういう事?」

 ミクちゃんの言っている意味が理解できなかった。死んでいたのに? 現実に戻った? どういう事?

「ミク殿がナリユキ殿を蘇生させたのだ」

「愛の力というものですね。ミク様はナリユキ様を蘇生リザレクションを使って復活させたんですよ」

 アリシアがそうニコっと笑みを浮かべた。

蘇生リザレクション? いつの間にそんなスキル――つか、それだったら――!」

 ミクちゃんの寿命が――! と思ったけど、ミクちゃんはそんな事は前から知っている。ミクちゃんは前から俺に万が一の事があった時の為に蘇生リザレクションは絶対に習得したいと言っていた。その為に、大天使をやたら討伐していた。軽く1,000は超えているんじゃないのだろうか? 確かに蘇生リザレクションを持っている個体はいたけれど、見事にスキルをドロップすることができなかった。その蘇生リザレクションがどういうスキルか何て知っているし、蘇生リザレクションの発動条件については、以前マカロフ卿からも聞いている。

「それだったら?」

 ミクちゃんはそう言って首を傾げた。

「いや、何でもない。ありがとうミクちゃん。また会えて嬉しいよ」

 俺はそう言ってミクちゃんを優しく抱き返した。

「お熱いですね。私まで体が火照ってしまいます」

 アリシアがそう言って何か危ないニオイがしたので、俺は優しくミクちゃんを離して上体を起こした。

「凄いな。体力も元通りだ。つか皆、微妙に強くなっていないか?」

 ミクちゃん、ランベリオン、アリシアのステータスを再度確認した。まず戦闘値だけどミクちゃんが7,000と大幅に上昇。これは蘇生リザレクションを入手したことによるパワーアップに違いない。そして、ランベリオンが6,600、アリシアが6,400と200ずつ上がっている。何か所有していなかったスキルも持っている。何より龍騎士と戦った部屋では無い。

「気付いたみたいだね。ここは901階層なの。あのままだと龍騎士が復活しちゃうから901階層をクリアして、今魔物は何もいない状態。それにナリユキ君だってものすごく強くなっているよ。念願の超越者トランセンデンスと、アクティブスキル、黒絶斬こくぜつざんを入手したみたい。ナリユキ君が黒紅煉刀くろべにれんとうで龍騎士と戦っていたから、刀の適性が高いって判断されたみたいだね」

 ――はい? それ俺めちゃくちゃ強くなっているんじゃね?
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