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ヘキサグラム・サミットⅣ
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「その件に関しては大丈夫な筈じゃぞ? 邪気は魔族なら誰でも持っているのじゃが、面白い事に邪気には2種類あってな。それは+の邪気と-の邪気じゃ」
「+の邪気と-の邪気?」
俺がそう訊き返すとアスモデウスさんは「ふむ」と頷いた。
「まあ何ができるかと言うと、黒龍が放つ-の邪気を、妾と妾の配下達が+の邪気を込めた技で攻撃し続ければ、黒龍から放たれる邪気を抑制することができる」
「それだったら、今の間に-の邪気を放ち続けている黒龍が封印されている水晶に放てば、復活を阻止できるんじゃないか?」
俺がそう問いかけるとアスモデウスさんではなく、青龍さんが首を左右に振った。
「それは既にマルファスが実行していたが、何も変化は起きなかったらしいな。まあ、確かにアスモデウスが言ってている通り、+の邪気を込めた技で、黒龍を攻撃し続けることができれば緩和されるかもな。余が2,000年前に戦った時は、共闘してくれていた仲間に魔族はいなかったからな」
「そういう事じゃな。じゃから今回の戦いでは魔族と森妖精が鍵となる。妾はすでに魔王じゃから心配は無いが、ナリユキ閣下か青龍。または両名が龍騎士のように闇堕ちされては敵わんからのう――それだけは絶対に阻止せねばなるまい」
「黒龍の邪気に関しては分かった。しかし戦闘を行うときの対策はもっとあったほうが良いと思うが」
そう発言したのはヴェストロさんだった。文句ばかり言っていないで、何かもっとアイデアを出してくれてもいいじゃん――とは不思議とならないのがこの人の凄いところだ。寧ろ俺の事を試している気がする。
「そもそも一つ青龍さんに確認を行いたいのですが、強制転移は必ず成功するのですか?」
「失敗したことは無いな。実のところ、2,000年前に戦った時、余が黒龍を呼び寄せて戦闘を行った――ただ、長い間封印されている間に新しいスキルを身に付けられていた場合は、失敗するかもしれないな」
「では、万が一にも強制転移が黒龍に効かなかった場合を考慮すべきですね。私は、森妖精の感知型の結界を封印されている場所に予め張っておき、仮に黒龍が強制転移で呼び寄せることができなくても、その結界内で戦えばいいでしょう。どれだけ遠くにいても、瞬時に移動できる人物がこの場には三人もいます。黒龍と戦ったことがある英雄、青龍様。世界最強の国主、ナリユキ・タテワキ閣下。天使と森妖精、両方の強みの持ち、どんな傷をも一瞬で治してしまうミク・アサギ殿がいます」
そう誇らしく語るルミエール。
「ルミエールがそう言ってくれるのは素直に嬉しいぜ」
「私もです。光栄ですカーネル王」
俺が感謝を述べた後、ミクちゃんもそう続いた。戦力の分散か――。
「順当に考えれば、無人の広大な地に多くの人員を配置して、封印されているあの洞窟周辺に少数の人員を配置する方が良いでしょう。割合は成功した場合の場所が7で、失敗した場合の割合が3くらいで良いのでは無いでしょうか?」
「そうなってくると失敗したときはどうする?」
そう訊いてきたのはヴェストロさんだ。立場が同じだからいいけど、上司にいたら普通に面倒くさいな。でもまあ、こういう人がいるから、攻めと守りのバランスが保たれるんだよな。
「青龍さんが全員まとめて強制転移――」
「それは無理だ」
俺がそう言おうとしたら青龍さんに話を途中で折られた。
「強制転移はアクティブスキルだからな。黒龍と戦う事を考えると、消費できるMPは10人分くらいだな。なので、余が思っている戦力を優先的に強制転移させようと思っている。ナリユキ閣下とアスモデウスは自国の戦力分散の提案を2日後にしておいてほしい」
「今じゃなくていいんですか?」
「自国に戻って再度見つめ直す機会があったほうが良いだろうな。まあ、ナリユキ閣下の国の人間に関して、マカロフ卿が参戦するのであれば、彼は成功したときの場所にした方が良いだろうな」
それは俺も同感だ。
「ほう。それは何故だ?」
そう問いかけたのはレンファレンス王だった。
「マカロフ卿の主な攻撃は体術と復讐の時限爆弾だ。マカロフ卿は黒龍に対しての恨みが無いし、黒龍の事を四六時中考えた事も無いだろう。そう考えると、復讐の時限爆弾での連続攻撃は弱い。一度、復讐の時限爆弾を埋め込み、時間経過するのを待つ必要がある。それに復讐の時限爆弾に関してはナリユキ閣下も使用することができる。要はナリユキ閣下で事足りるという訳だ」
「――復讐の時限爆弾を使えるのか?」
ぎょっとした表情を浮かべているレンファレンス王。そして静かに驚くヴェストロさん。
「使えますよ。現在所有しているユニークスキルは、創造主、知性・記憶の略奪と献上、悪魔との機密契約、復讐の時限爆弾の4つとなります」
「冷静に考えれば、悪魔との機密契約で黒龍を封じる契約をすれば勝負はつきそうだな。あれやこれやと考えるのが馬鹿らしくなってきた」
何故か考えるのを放棄したヴェストロさん。いやいや、悪魔との機密契約は相手に触れないといけなから、それまでが大変なのよ。他の人だったらさほど問題無いけど、俺は初めて戦うZ級だからな。
「+の邪気と-の邪気?」
俺がそう訊き返すとアスモデウスさんは「ふむ」と頷いた。
「まあ何ができるかと言うと、黒龍が放つ-の邪気を、妾と妾の配下達が+の邪気を込めた技で攻撃し続ければ、黒龍から放たれる邪気を抑制することができる」
「それだったら、今の間に-の邪気を放ち続けている黒龍が封印されている水晶に放てば、復活を阻止できるんじゃないか?」
俺がそう問いかけるとアスモデウスさんではなく、青龍さんが首を左右に振った。
「それは既にマルファスが実行していたが、何も変化は起きなかったらしいな。まあ、確かにアスモデウスが言ってている通り、+の邪気を込めた技で、黒龍を攻撃し続けることができれば緩和されるかもな。余が2,000年前に戦った時は、共闘してくれていた仲間に魔族はいなかったからな」
「そういう事じゃな。じゃから今回の戦いでは魔族と森妖精が鍵となる。妾はすでに魔王じゃから心配は無いが、ナリユキ閣下か青龍。または両名が龍騎士のように闇堕ちされては敵わんからのう――それだけは絶対に阻止せねばなるまい」
「黒龍の邪気に関しては分かった。しかし戦闘を行うときの対策はもっとあったほうが良いと思うが」
そう発言したのはヴェストロさんだった。文句ばかり言っていないで、何かもっとアイデアを出してくれてもいいじゃん――とは不思議とならないのがこの人の凄いところだ。寧ろ俺の事を試している気がする。
「そもそも一つ青龍さんに確認を行いたいのですが、強制転移は必ず成功するのですか?」
「失敗したことは無いな。実のところ、2,000年前に戦った時、余が黒龍を呼び寄せて戦闘を行った――ただ、長い間封印されている間に新しいスキルを身に付けられていた場合は、失敗するかもしれないな」
「では、万が一にも強制転移が黒龍に効かなかった場合を考慮すべきですね。私は、森妖精の感知型の結界を封印されている場所に予め張っておき、仮に黒龍が強制転移で呼び寄せることができなくても、その結界内で戦えばいいでしょう。どれだけ遠くにいても、瞬時に移動できる人物がこの場には三人もいます。黒龍と戦ったことがある英雄、青龍様。世界最強の国主、ナリユキ・タテワキ閣下。天使と森妖精、両方の強みの持ち、どんな傷をも一瞬で治してしまうミク・アサギ殿がいます」
そう誇らしく語るルミエール。
「ルミエールがそう言ってくれるのは素直に嬉しいぜ」
「私もです。光栄ですカーネル王」
俺が感謝を述べた後、ミクちゃんもそう続いた。戦力の分散か――。
「順当に考えれば、無人の広大な地に多くの人員を配置して、封印されているあの洞窟周辺に少数の人員を配置する方が良いでしょう。割合は成功した場合の場所が7で、失敗した場合の割合が3くらいで良いのでは無いでしょうか?」
「そうなってくると失敗したときはどうする?」
そう訊いてきたのはヴェストロさんだ。立場が同じだからいいけど、上司にいたら普通に面倒くさいな。でもまあ、こういう人がいるから、攻めと守りのバランスが保たれるんだよな。
「青龍さんが全員まとめて強制転移――」
「それは無理だ」
俺がそう言おうとしたら青龍さんに話を途中で折られた。
「強制転移はアクティブスキルだからな。黒龍と戦う事を考えると、消費できるMPは10人分くらいだな。なので、余が思っている戦力を優先的に強制転移させようと思っている。ナリユキ閣下とアスモデウスは自国の戦力分散の提案を2日後にしておいてほしい」
「今じゃなくていいんですか?」
「自国に戻って再度見つめ直す機会があったほうが良いだろうな。まあ、ナリユキ閣下の国の人間に関して、マカロフ卿が参戦するのであれば、彼は成功したときの場所にした方が良いだろうな」
それは俺も同感だ。
「ほう。それは何故だ?」
そう問いかけたのはレンファレンス王だった。
「マカロフ卿の主な攻撃は体術と復讐の時限爆弾だ。マカロフ卿は黒龍に対しての恨みが無いし、黒龍の事を四六時中考えた事も無いだろう。そう考えると、復讐の時限爆弾での連続攻撃は弱い。一度、復讐の時限爆弾を埋め込み、時間経過するのを待つ必要がある。それに復讐の時限爆弾に関してはナリユキ閣下も使用することができる。要はナリユキ閣下で事足りるという訳だ」
「――復讐の時限爆弾を使えるのか?」
ぎょっとした表情を浮かべているレンファレンス王。そして静かに驚くヴェストロさん。
「使えますよ。現在所有しているユニークスキルは、創造主、知性・記憶の略奪と献上、悪魔との機密契約、復讐の時限爆弾の4つとなります」
「冷静に考えれば、悪魔との機密契約で黒龍を封じる契約をすれば勝負はつきそうだな。あれやこれやと考えるのが馬鹿らしくなってきた」
何故か考えるのを放棄したヴェストロさん。いやいや、悪魔との機密契約は相手に触れないといけなから、それまでが大変なのよ。他の人だったらさほど問題無いけど、俺は初めて戦うZ級だからな。
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