412 / 597
ヘキサグラム・サミットⅢ
しおりを挟む
「青龍よ。戦力を集めていると言ったな?」
そう問いかけたのはヴェストロさんだった。
「ああ」
「今集まっている戦力は、具体的にはどのくらいいるんだ?」
「そう言われると思ってリストを作成した。良かったら目を通してくれ」
そう言って青龍さんが渡した筆で書かれたリスト。ヴェストロさんは目を通すなり、苦い表情を浮かべていた。
「これだけか――しかし、実際に戦闘値4,000以上の人物を集めるのも難しいからな」
「いつでも戦えるよう、皆にはすでにオストロンで待機してもらっている。後は、アスモデウスとナリユキ閣下の戦闘員に協力してもらうのみとなっている」
「成程な――まあ文句を垂れたいところではあるが、黒龍の強さは別次元だ。どれだけ文句を垂れようが滅ぶときは一瞬。そうならないように、青龍が動いてくれているのであれば何も言えまい」
「しかしそうなると、各国にこの話を広めるかどうかだな。非常に難しい選択だ……」
そう言って頭を悩ませているのはレンファレンス王だった。確かに選択は難しい。話を発表すれば世界中が大混乱になる。話を発表しなければ、何故公表しなかったと大騒ぎなる。でもこの場合は――。
「やっぱり私は公表するべきだと思います。知っている重要な情報を開示せずに、そのまま世界で大きな被害を生んでしまった場合、絶対に後悔すると思うからです」
俺がそう発言をすると、青龍さん、レンファレンス王、ヴェストロさんは苦い表情を浮かべていた。
「不服のようですね――?」
そう恐る恐る訊いたのはルミエールだった。確かに3人は明らかに納得していない様子だ。
「準備期間はありますし、せっかくここで皆様が集まっているのですから、世界中の人にこの話を広めた上で、どのような対策をとるのか? という話まで進めましょう」
「しかしだな――話を広めてしまって世界中が未曾有の大混乱にでもなったら、我々ではカバーがしきれないぞ」
「それに勝手な行動をされても困るしのう」
「対策は何か案があるのか?」
青龍さん、ヴェストロさんがそう呟き、レンファレンス王から対策はあるのか? という問いをされた。
「対策らしい対策はまだ思い浮かびませんが、黒龍の戦闘フィールドを決めることができたら良いのではないでしょうか? あくまでの一案ですが、誰も住んでいない広大な土地に我々が待機し、復活した黒龍を青龍さんの強制転移で、呼び寄せて戦闘を行うというものです」
「しかし、黒龍がその場に留まるとは限らないだろう?」
ヴェストロさんがそう発言をすると、アスモデウスさんが首を左右に振った。
「ここに優秀な防衛スキルを持つ人間が一人いるじゃろう?」
そう、アスモデウスさんが指したのはミクちゃんだった。ミクちゃんは「私ですか?」と驚きを隠せない様子だった。
「ミク・アサギ殿の力と、マーズベルの森妖精の力があれば何とかなるじゃろう。しかし、あまりにも長時間じゃと結界の力が弱まってしまうので、戦闘時間は長くて六時間くらいが限界じゃろう。まあ、結界を張る森妖精達には心身ともに疲弊するから少々酷ではあるがの。勿論、妾の国の森妖精も力を貸す。皆で一蓮托生となって戦えば何とかなるもんじゃ。それに青龍は実際に黒龍を追い払っているではないか。今回はそのパートナーがナリユキ閣下と妾という訳じゃ。何か不服かの?」
アスモデウスさんが言って、意地悪な笑みを浮かべると青龍さんは「そうだな……」と強引に納得させられた感満載だった。
「魔王の妾が地上で魔真王を使ってしまうと、地図を書き換えないといけなくなってしまうが、その辺りは仕方ない」
「……気になっていたのですが、魔真王を使うとどれくらい強くなるのですか?」
ルミエールがそう訊くとアスモデウスさんは「そうじゃな~」と顎をかいた。
「確実に1,000年は使っていないからのう。正直分からないのう――。まあ期待には応えられるはずじゃ」
呑気に応えるアスモデウスさんに、本当に大丈夫かな~と心配な様子のルミエール。
「カルディアの例で言うと、創生の幹部のレガトゥスと対等に戦っていたのは相当凄い実力だと思う。実力がどのくらい上がるのかと言うと、村人から英雄になるくらいの上がり方なんじゃないかな? 何かやってくれそうなカルディアだけど、以前はマカロフ卿に負けている――しかし、今回は良い勝負をしていた。そう考えると凄くないか?」
「――確かに。マカロフ卿も強いけど、レガトゥスはさらに強かった。そんなレガトゥスとカルディアは互角に戦っていたのであれば、魔真王の力は凄まじいものだね」
「そうだ。だからアスモデウスさんが魔真王を使えて、うちのミクを筆頭に、防衛ラインを強固にすれば勝てる可能性はあるんじゃないかなと思います」
俺がそう発言するとレンファレンス王が、青龍さんに視線を移して問いかけた。
「どうなんだ? 青龍よ」
「そうだな――確かに可能性はある。しかし、黒龍が厄介なのは純粋な強さだけでは無い。龍騎士を魔王へと変えてしまった一種のウイルスのような邪気だ」
そう問いかけたのはヴェストロさんだった。
「ああ」
「今集まっている戦力は、具体的にはどのくらいいるんだ?」
「そう言われると思ってリストを作成した。良かったら目を通してくれ」
そう言って青龍さんが渡した筆で書かれたリスト。ヴェストロさんは目を通すなり、苦い表情を浮かべていた。
「これだけか――しかし、実際に戦闘値4,000以上の人物を集めるのも難しいからな」
「いつでも戦えるよう、皆にはすでにオストロンで待機してもらっている。後は、アスモデウスとナリユキ閣下の戦闘員に協力してもらうのみとなっている」
「成程な――まあ文句を垂れたいところではあるが、黒龍の強さは別次元だ。どれだけ文句を垂れようが滅ぶときは一瞬。そうならないように、青龍が動いてくれているのであれば何も言えまい」
「しかしそうなると、各国にこの話を広めるかどうかだな。非常に難しい選択だ……」
そう言って頭を悩ませているのはレンファレンス王だった。確かに選択は難しい。話を発表すれば世界中が大混乱になる。話を発表しなければ、何故公表しなかったと大騒ぎなる。でもこの場合は――。
「やっぱり私は公表するべきだと思います。知っている重要な情報を開示せずに、そのまま世界で大きな被害を生んでしまった場合、絶対に後悔すると思うからです」
俺がそう発言をすると、青龍さん、レンファレンス王、ヴェストロさんは苦い表情を浮かべていた。
「不服のようですね――?」
そう恐る恐る訊いたのはルミエールだった。確かに3人は明らかに納得していない様子だ。
「準備期間はありますし、せっかくここで皆様が集まっているのですから、世界中の人にこの話を広めた上で、どのような対策をとるのか? という話まで進めましょう」
「しかしだな――話を広めてしまって世界中が未曾有の大混乱にでもなったら、我々ではカバーがしきれないぞ」
「それに勝手な行動をされても困るしのう」
「対策は何か案があるのか?」
青龍さん、ヴェストロさんがそう呟き、レンファレンス王から対策はあるのか? という問いをされた。
「対策らしい対策はまだ思い浮かびませんが、黒龍の戦闘フィールドを決めることができたら良いのではないでしょうか? あくまでの一案ですが、誰も住んでいない広大な土地に我々が待機し、復活した黒龍を青龍さんの強制転移で、呼び寄せて戦闘を行うというものです」
「しかし、黒龍がその場に留まるとは限らないだろう?」
ヴェストロさんがそう発言をすると、アスモデウスさんが首を左右に振った。
「ここに優秀な防衛スキルを持つ人間が一人いるじゃろう?」
そう、アスモデウスさんが指したのはミクちゃんだった。ミクちゃんは「私ですか?」と驚きを隠せない様子だった。
「ミク・アサギ殿の力と、マーズベルの森妖精の力があれば何とかなるじゃろう。しかし、あまりにも長時間じゃと結界の力が弱まってしまうので、戦闘時間は長くて六時間くらいが限界じゃろう。まあ、結界を張る森妖精達には心身ともに疲弊するから少々酷ではあるがの。勿論、妾の国の森妖精も力を貸す。皆で一蓮托生となって戦えば何とかなるもんじゃ。それに青龍は実際に黒龍を追い払っているではないか。今回はそのパートナーがナリユキ閣下と妾という訳じゃ。何か不服かの?」
アスモデウスさんが言って、意地悪な笑みを浮かべると青龍さんは「そうだな……」と強引に納得させられた感満載だった。
「魔王の妾が地上で魔真王を使ってしまうと、地図を書き換えないといけなくなってしまうが、その辺りは仕方ない」
「……気になっていたのですが、魔真王を使うとどれくらい強くなるのですか?」
ルミエールがそう訊くとアスモデウスさんは「そうじゃな~」と顎をかいた。
「確実に1,000年は使っていないからのう。正直分からないのう――。まあ期待には応えられるはずじゃ」
呑気に応えるアスモデウスさんに、本当に大丈夫かな~と心配な様子のルミエール。
「カルディアの例で言うと、創生の幹部のレガトゥスと対等に戦っていたのは相当凄い実力だと思う。実力がどのくらい上がるのかと言うと、村人から英雄になるくらいの上がり方なんじゃないかな? 何かやってくれそうなカルディアだけど、以前はマカロフ卿に負けている――しかし、今回は良い勝負をしていた。そう考えると凄くないか?」
「――確かに。マカロフ卿も強いけど、レガトゥスはさらに強かった。そんなレガトゥスとカルディアは互角に戦っていたのであれば、魔真王の力は凄まじいものだね」
「そうだ。だからアスモデウスさんが魔真王を使えて、うちのミクを筆頭に、防衛ラインを強固にすれば勝てる可能性はあるんじゃないかなと思います」
俺がそう発言するとレンファレンス王が、青龍さんに視線を移して問いかけた。
「どうなんだ? 青龍よ」
「そうだな――確かに可能性はある。しかし、黒龍が厄介なのは純粋な強さだけでは無い。龍騎士を魔王へと変えてしまった一種のウイルスのような邪気だ」
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
チート転生~チートって本当にあるものですね~
水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!!
そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。
亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる