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ヘキサグラム・サミットⅠ
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あれから2日後。俺達はドラグーンタワーの会議室に招集された。勿論、青龍さんの強制転移によって、各国のトップと付き人がこの場で顔合わせとなる。
「これだけ短いスパンでの開催は初めてじゃないのか?」
そう口にしたのはレンファレンス王だった。
「色々と問題が起きているようじゃからのう。仕方あるまい」
「何だ? 何か知っているような口ぶりだな?」
「妾は青龍から話を聞いておったからのう」
アスモデウスさんがそう言うと「むう」と唸るレンファレンス王。
「それにしても本当に短いスパンでの開催ですね。一年も経たない間での開催は歴代最高記録ではないのですか?」
ルミエールがそう口を開くと、アスモデウスさんは「そうじゃな――言われみれば」と顎に手を突きながら返事をした。
しばらく談笑をしていると、青龍さんがコホンと咳払いをして席に着いた。
「それではこれより第1回、六芒星会議を行う」
前回と同じく、青龍さんの合図で部屋の灯りが消えた。唯一違うのは六芒星になった事で、開催回数が第1回にリセットされた事だ。
「知っての通りだと思うが、最近ナリユキ閣下は色々と動いていてな。ログウェル王国のノック暗殺もナリユキ閣下が絡んでいる」
「あれは驚いたな。ノックは相当セコイ真似をしていたようだが、冒険者が殺害したんだろ? カーネルの小僧の所の冒険者パーティーと聞いた」
ヴェストロさんがそう発言をしながら腕を組んだ。
「そうです。ナリユキ閣下が依頼した――というより、ナリユキ閣下に恩が出来たので、それの気持ちとして、冒険者パーティーが動いた形になりますね。魔族と人間のハーフのカルディア。水蛇竜のカリブデウスと、妖鬼のスカーの三人組となります。先日の会議に出た、レン・フジワラのパーティーと肩を並べる実績を持ち、実力も相当高いです」
「私のほうから補足すると、カルディアは魔真王という技をコントロールできるようになったようです。その状態だと実践はどうか分かりませんが、戦闘値だけなら私より上ですね」
ルミエールの発言の後に俺がそう補足すると、レンファレンス王もヴェストロさんも驚いていた。ヴェストロさんに関してはサングラスをしているので、目の表情は分からないけど、目を丸くして驚いている――というより、強さそのものに興味を持って目を光らせている気がした。
「そうらしいのう。魔真王は魔王の資質を持つ魔族が発動できる特性じゃ。この世界にも凄い魔族の血を持つ者がいたのう。魔界にいる魔王が使えるのは当然じゃが、この世界で使えるのは妾だけかと思っていたのう」
そう話が広がったので、青龍さんが間に入った。
「そういう事だ。ナリユキ閣下。簡単に最近の出来事を教えてくれないか?」
「勿論です」
俺は青龍さんと打ち合わせした通りに近況報告を行った。マカロフ卿が協力関係にある件。Qの正体がストーク・ディアン公爵だった件。創生という裏組織の幹部が貴族が多く、また森妖精の始祖、ミロクがボスだいう件。世界各国の少年少女が被検体となり、創生の施設で人間を魔物にする人体実験が行われていた件。それらの事柄を簡単に説明した。
「――濃いな。ワシはいつも通り政治の問題を処理していだけじゃからのう。ナリユキ閣下のように世界を揺れ動かすような事件に突っ込んでおらんし、それほどの事をここ半年程でやっておったとはな」
「創生の幹部については後々ナリユキ閣下と調査を行う予定だ」
「シルファ、スペンサー、ベルベットジョー、フランベール、マーキオ、アラバスターか――他には無いのか?」
ヴェストロさんがそう言ってきたので、俺はアルボス城で見つけた26枚のカードを渡した。
「成程な――東の国ばかりじゃな。しかしワシはここにいる貴族との交流は無いのう。力になれずにすまないな」
ヴェストロさんは俺にそう謝罪をしてきた。
「今、一番気になっているのはヴァレンタイン家だ。ファーストネームは不明だが、ストーク・ディアン公爵の正体はヴァレンタイン家の生き残りだと考えている」
「ヴァレンタイン家と言えば不思議な力を持つ血筋だと聞いたな」
「私はヴァレンタイン家の名前は初めて聞きました」
ルミエールがそう呟くと、レンファレンス王もヴェストロさんも「無理もない」と声を揃えていた。
「そして、マーズベルで保管しているこの武器の使用について議論をしたいのです」
俺はそう言って殺戮の腕を見せた。腕に装着されたこのハイテクな機械にレンファレンス王、ヴェストロさんは釘付けになっていた。
「それが組織が使用していた武器か。どれだけ弱い人間でも達人になれるという――」
ヴェストロさんはそう言って俺の顔をじっと見つめてきた。詳しい説明しろと言わんばかりに視線を感じる。
「これには使用者の実力によって、様々な能力が使用可能になります。先日、老人の森妖精のコンスルという人物と戦いました。彼は創生でも位が高い人間だったのですが、この武器を造ったのは、コヴィー・S・ウィズダムと、ファルティオ・シュタインです」
俺がそう発言すると付き人達も驚いた表情を浮かべていた。無理も無いだろう――ファルティオ・シュタインは俺達の世界で言うと、ノーベル化学賞のような偉大な賞をいくつも持っている十賢者の一人。そんな偉大な人が、裏では俺達が敵対視している組織の武器を造った張本人。まあ俺は知らんかったけど、コンスルの記憶を奪ったから知った。これはまた随分な大物が関わっているなって。
「まさかじゃな――ワシはシュタイン博士の本をいつくも持っているが、本にはその殺戮の腕とやらの事は書かれていなかった――が、知性・記憶の略奪と献上を持っているナリユキ閣下が言うのであれば間違いないだろう。何しろ敵の記憶を奪っている訳じゃしな」
ヴェストロさんがそう肩を落とすと、レンファレンス王も難しい表情をしていた。
「これだけ短いスパンでの開催は初めてじゃないのか?」
そう口にしたのはレンファレンス王だった。
「色々と問題が起きているようじゃからのう。仕方あるまい」
「何だ? 何か知っているような口ぶりだな?」
「妾は青龍から話を聞いておったからのう」
アスモデウスさんがそう言うと「むう」と唸るレンファレンス王。
「それにしても本当に短いスパンでの開催ですね。一年も経たない間での開催は歴代最高記録ではないのですか?」
ルミエールがそう口を開くと、アスモデウスさんは「そうじゃな――言われみれば」と顎に手を突きながら返事をした。
しばらく談笑をしていると、青龍さんがコホンと咳払いをして席に着いた。
「それではこれより第1回、六芒星会議を行う」
前回と同じく、青龍さんの合図で部屋の灯りが消えた。唯一違うのは六芒星になった事で、開催回数が第1回にリセットされた事だ。
「知っての通りだと思うが、最近ナリユキ閣下は色々と動いていてな。ログウェル王国のノック暗殺もナリユキ閣下が絡んでいる」
「あれは驚いたな。ノックは相当セコイ真似をしていたようだが、冒険者が殺害したんだろ? カーネルの小僧の所の冒険者パーティーと聞いた」
ヴェストロさんがそう発言をしながら腕を組んだ。
「そうです。ナリユキ閣下が依頼した――というより、ナリユキ閣下に恩が出来たので、それの気持ちとして、冒険者パーティーが動いた形になりますね。魔族と人間のハーフのカルディア。水蛇竜のカリブデウスと、妖鬼のスカーの三人組となります。先日の会議に出た、レン・フジワラのパーティーと肩を並べる実績を持ち、実力も相当高いです」
「私のほうから補足すると、カルディアは魔真王という技をコントロールできるようになったようです。その状態だと実践はどうか分かりませんが、戦闘値だけなら私より上ですね」
ルミエールの発言の後に俺がそう補足すると、レンファレンス王もヴェストロさんも驚いていた。ヴェストロさんに関してはサングラスをしているので、目の表情は分からないけど、目を丸くして驚いている――というより、強さそのものに興味を持って目を光らせている気がした。
「そうらしいのう。魔真王は魔王の資質を持つ魔族が発動できる特性じゃ。この世界にも凄い魔族の血を持つ者がいたのう。魔界にいる魔王が使えるのは当然じゃが、この世界で使えるのは妾だけかと思っていたのう」
そう話が広がったので、青龍さんが間に入った。
「そういう事だ。ナリユキ閣下。簡単に最近の出来事を教えてくれないか?」
「勿論です」
俺は青龍さんと打ち合わせした通りに近況報告を行った。マカロフ卿が協力関係にある件。Qの正体がストーク・ディアン公爵だった件。創生という裏組織の幹部が貴族が多く、また森妖精の始祖、ミロクがボスだいう件。世界各国の少年少女が被検体となり、創生の施設で人間を魔物にする人体実験が行われていた件。それらの事柄を簡単に説明した。
「――濃いな。ワシはいつも通り政治の問題を処理していだけじゃからのう。ナリユキ閣下のように世界を揺れ動かすような事件に突っ込んでおらんし、それほどの事をここ半年程でやっておったとはな」
「創生の幹部については後々ナリユキ閣下と調査を行う予定だ」
「シルファ、スペンサー、ベルベットジョー、フランベール、マーキオ、アラバスターか――他には無いのか?」
ヴェストロさんがそう言ってきたので、俺はアルボス城で見つけた26枚のカードを渡した。
「成程な――東の国ばかりじゃな。しかしワシはここにいる貴族との交流は無いのう。力になれずにすまないな」
ヴェストロさんは俺にそう謝罪をしてきた。
「今、一番気になっているのはヴァレンタイン家だ。ファーストネームは不明だが、ストーク・ディアン公爵の正体はヴァレンタイン家の生き残りだと考えている」
「ヴァレンタイン家と言えば不思議な力を持つ血筋だと聞いたな」
「私はヴァレンタイン家の名前は初めて聞きました」
ルミエールがそう呟くと、レンファレンス王もヴェストロさんも「無理もない」と声を揃えていた。
「そして、マーズベルで保管しているこの武器の使用について議論をしたいのです」
俺はそう言って殺戮の腕を見せた。腕に装着されたこのハイテクな機械にレンファレンス王、ヴェストロさんは釘付けになっていた。
「それが組織が使用していた武器か。どれだけ弱い人間でも達人になれるという――」
ヴェストロさんはそう言って俺の顔をじっと見つめてきた。詳しい説明しろと言わんばかりに視線を感じる。
「これには使用者の実力によって、様々な能力が使用可能になります。先日、老人の森妖精のコンスルという人物と戦いました。彼は創生でも位が高い人間だったのですが、この武器を造ったのは、コヴィー・S・ウィズダムと、ファルティオ・シュタインです」
俺がそう発言すると付き人達も驚いた表情を浮かべていた。無理も無いだろう――ファルティオ・シュタインは俺達の世界で言うと、ノーベル化学賞のような偉大な賞をいくつも持っている十賢者の一人。そんな偉大な人が、裏では俺達が敵対視している組織の武器を造った張本人。まあ俺は知らんかったけど、コンスルの記憶を奪ったから知った。これはまた随分な大物が関わっているなって。
「まさかじゃな――ワシはシュタイン博士の本をいつくも持っているが、本にはその殺戮の腕とやらの事は書かれていなかった――が、知性・記憶の略奪と献上を持っているナリユキ閣下が言うのであれば間違いないだろう。何しろ敵の記憶を奪っている訳じゃしな」
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