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龍・魔との戦いⅤ
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そこからはマルファスさんへの攻撃は通らなかった。と言うのも、魔妖烏がマルファスさんの周りを、円を描くようにして飛んでいた。魔妖烏がそのようにして飛ぶことで、どうやら無敵のバリアーを張っているらしい。殺戮の腕での攻撃も、銃撃も、創造主による岩山を落下させる攻撃も効かない。勿論、アクティブスキルも効かないという絶望的な状況だ。
この状況を打開するには魔妖烏を倒すしか無い。
さらに、その結界内にいるマルファスさんはMPを消費せずにアクティブスキルを放つことができるらしく、先程から死絶や悪の破壊光を連発してくる。そして、隙を見て青龍さんが攻撃をしてくるという鬼畜っぷり。正直勘弁してほしい。なので、早めに周りに飛んでいる魔妖烏を倒したところだが――。
「クソ――どうなっているんだ」
「なかなか苦しんでいるなナリユキ殿」
そう不敵な笑みを浮かべて俺に話しかけてくるのは青龍さんだ。俺を攻撃したり、俺を煽ったりと忙しい。
「どういうカラクリなんですか!? 魔妖烏に弾は当たらないし、アクティブスキル系は無効化されるし――可笑しい、それっぽいスキルも持っていないのに」
「余が水を自在に操ることができるのと同じ原理だ」
「水を操るのと同じ原理? あ――そうか!」
青龍さんは黒龍が封印されている洞窟に入るときに、水の流れを変えて小舟が進むように施した。魔族が黒翼を使って飛ぶように、魔物や種族に本来備わっている特性だ。魔妖烏には俺の弾が当たらないようにする、何らかの特性を持っているのだ。
先程までの銃撃戦を思い出すと、マルファスさんには使えなくて、魔妖烏には使える特性と考えるのが妥当だろ。なぜならば、俺の銃撃を銃撃で落としていたり、魔刀でガードをしていたからだ。もし、魔妖烏と同じ特性を持っているのであれば、そんな面倒くさい事はしないだろう。
創造主で出した剣や、殺戮の腕のビームサーベルなど、色々な攻撃手段で戦ってみた。
結果としては俺が放った弾丸だけは、バリアーで攻撃が通らないという結果ではなく、弾が外れるという結果になった。
銃だけが通用するって良く分からんがまあいいや。
そう思うと俺はデザートイーグルを消した。そしてその代役がコイツ。
取り出した武器はFPS好きなら皆が知っている最もポピュラーなアサルトライフル。AK-47だ。仮に俺の狙撃手を無効化する能力ならば、アサルトライフルで数を撃てば当たるだろう。
俺は中距離でアクティブスキルをバンバン放ってくるマルファスさんの攻撃を避けながら、魔妖烏に向けて射撃した。魔妖烏はずっとマルファスさんの周りを飛び続けているので、吃驚するくらい規則性のある動きをしている。つまり適当に連射をしていれば当たる筈だ。
そう思い、俺はAK-47を連射した。金属音を響かせながら向かって行く複数の弾丸――。
魔妖烏は鳴き声を上げながらも飛び続けた。怯みはしないものの確実にダメージを与えることができている。
「ほう――」
そう笑みを浮かべている青龍さん。正直、この人がいつ襲ってくるか分からないからヒヤヒヤしているんだよな。
「成程。狙撃手を無効化する能力だったか」
俺がそう呟くとマルファスさんは苦い表情を浮かべていた。よしっ――当たっているようだ。
そこからは俺の猛攻撃で魔妖烏を全て撃墜した。正直、ただグルグル回っている魔物を撃ち落とすのは気が引けるな。
「流石だね」
マルファスさんはそう呟くと「参った」と手を挙げた。
「あれ? この場合どうなるんだ?」
「殺戮の腕の性能は十分に分かったし、ナリユキ殿は使いこなしていたからな」
「まあ、正直なところまだまだ未熟ですよ。けど、お蔭様でいい練習になりました。ありがとうございます」
「そうか」
青龍さんはどこか満足気だった。俺としてはまだまだ青龍さんのポテンシャルが謎だから今度1VS1でやりたいな。
こうして地上で待つミクちゃんの所へと3人で戻った。
「結局私いらなかったじゃん。でもまあハイレベルな戦いが見れて楽しかったけど」
ミクちゃんは少し拗ねながらも、俺に「お疲れ様」の言葉をかけてくれた。
「悪い悪い。まさかマルファスが降参するとは思っていなかったんだ」
「流石に俺の鉄壁を崩されると、参ったの一言も言いたくなるよ。それに本気の戦いではなくて予行演習だしね」
「凄く強かったです。悪魔って初めて見たんですけど、個体値がものすごく高いんですね」
「そうだね。そもそも悪魔と呼ばれている個体が非常に少ないからね。そのなかでも魔妖烏は比較的に強い部類に入る」
「それにしても、何で銃撃だけ喰らうんですか?」
俺がそうマルファスさんに問いかけると、マルファスさんは「アハハ……」と少し気まずそうな表情を浮かべていた。
「ナリユキ殿は珍しく読み間違ていたな。魔妖烏は銃撃だけが喰らうという訳ではない」
「と、言うと?」
「見ていた限りあの銃は連射数が早かった。魔妖烏は全ての攻撃を防御できるし、マルファスのこだわりで、狙撃手を無効化するという特性を持っているが、その効果を発動するクールタイムを上回っていただけだ。すなわち、魔妖烏は連続攻撃に弱い――」
「そういう事」
青龍さんの言葉に頷いたマルファスさん。マジか。全然違うじゃん。
この状況を打開するには魔妖烏を倒すしか無い。
さらに、その結界内にいるマルファスさんはMPを消費せずにアクティブスキルを放つことができるらしく、先程から死絶や悪の破壊光を連発してくる。そして、隙を見て青龍さんが攻撃をしてくるという鬼畜っぷり。正直勘弁してほしい。なので、早めに周りに飛んでいる魔妖烏を倒したところだが――。
「クソ――どうなっているんだ」
「なかなか苦しんでいるなナリユキ殿」
そう不敵な笑みを浮かべて俺に話しかけてくるのは青龍さんだ。俺を攻撃したり、俺を煽ったりと忙しい。
「どういうカラクリなんですか!? 魔妖烏に弾は当たらないし、アクティブスキル系は無効化されるし――可笑しい、それっぽいスキルも持っていないのに」
「余が水を自在に操ることができるのと同じ原理だ」
「水を操るのと同じ原理? あ――そうか!」
青龍さんは黒龍が封印されている洞窟に入るときに、水の流れを変えて小舟が進むように施した。魔族が黒翼を使って飛ぶように、魔物や種族に本来備わっている特性だ。魔妖烏には俺の弾が当たらないようにする、何らかの特性を持っているのだ。
先程までの銃撃戦を思い出すと、マルファスさんには使えなくて、魔妖烏には使える特性と考えるのが妥当だろ。なぜならば、俺の銃撃を銃撃で落としていたり、魔刀でガードをしていたからだ。もし、魔妖烏と同じ特性を持っているのであれば、そんな面倒くさい事はしないだろう。
創造主で出した剣や、殺戮の腕のビームサーベルなど、色々な攻撃手段で戦ってみた。
結果としては俺が放った弾丸だけは、バリアーで攻撃が通らないという結果ではなく、弾が外れるという結果になった。
銃だけが通用するって良く分からんがまあいいや。
そう思うと俺はデザートイーグルを消した。そしてその代役がコイツ。
取り出した武器はFPS好きなら皆が知っている最もポピュラーなアサルトライフル。AK-47だ。仮に俺の狙撃手を無効化する能力ならば、アサルトライフルで数を撃てば当たるだろう。
俺は中距離でアクティブスキルをバンバン放ってくるマルファスさんの攻撃を避けながら、魔妖烏に向けて射撃した。魔妖烏はずっとマルファスさんの周りを飛び続けているので、吃驚するくらい規則性のある動きをしている。つまり適当に連射をしていれば当たる筈だ。
そう思い、俺はAK-47を連射した。金属音を響かせながら向かって行く複数の弾丸――。
魔妖烏は鳴き声を上げながらも飛び続けた。怯みはしないものの確実にダメージを与えることができている。
「ほう――」
そう笑みを浮かべている青龍さん。正直、この人がいつ襲ってくるか分からないからヒヤヒヤしているんだよな。
「成程。狙撃手を無効化する能力だったか」
俺がそう呟くとマルファスさんは苦い表情を浮かべていた。よしっ――当たっているようだ。
そこからは俺の猛攻撃で魔妖烏を全て撃墜した。正直、ただグルグル回っている魔物を撃ち落とすのは気が引けるな。
「流石だね」
マルファスさんはそう呟くと「参った」と手を挙げた。
「あれ? この場合どうなるんだ?」
「殺戮の腕の性能は十分に分かったし、ナリユキ殿は使いこなしていたからな」
「まあ、正直なところまだまだ未熟ですよ。けど、お蔭様でいい練習になりました。ありがとうございます」
「そうか」
青龍さんはどこか満足気だった。俺としてはまだまだ青龍さんのポテンシャルが謎だから今度1VS1でやりたいな。
こうして地上で待つミクちゃんの所へと3人で戻った。
「結局私いらなかったじゃん。でもまあハイレベルな戦いが見れて楽しかったけど」
ミクちゃんは少し拗ねながらも、俺に「お疲れ様」の言葉をかけてくれた。
「悪い悪い。まさかマルファスが降参するとは思っていなかったんだ」
「流石に俺の鉄壁を崩されると、参ったの一言も言いたくなるよ。それに本気の戦いではなくて予行演習だしね」
「凄く強かったです。悪魔って初めて見たんですけど、個体値がものすごく高いんですね」
「そうだね。そもそも悪魔と呼ばれている個体が非常に少ないからね。そのなかでも魔妖烏は比較的に強い部類に入る」
「それにしても、何で銃撃だけ喰らうんですか?」
俺がそうマルファスさんに問いかけると、マルファスさんは「アハハ……」と少し気まずそうな表情を浮かべていた。
「ナリユキ殿は珍しく読み間違ていたな。魔妖烏は銃撃だけが喰らうという訳ではない」
「と、言うと?」
「見ていた限りあの銃は連射数が早かった。魔妖烏は全ての攻撃を防御できるし、マルファスのこだわりで、狙撃手を無効化するという特性を持っているが、その効果を発動するクールタイムを上回っていただけだ。すなわち、魔妖烏は連続攻撃に弱い――」
「そういう事」
青龍さんの言葉に頷いたマルファスさん。マジか。全然違うじゃん。
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