【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
404 / 597

龍・魔との戦いⅤ

しおりを挟む
 そこからはマルファスさんへの攻撃は通らなかった。と言うのも、魔妖烏クロウがマルファスさんの周りを、円を描くようにして飛んでいた。魔妖烏クロウがそのようにして飛ぶことで、どうやら無敵のバリアーを張っているらしい。殺戮の腕ジェノサイド・アームでの攻撃も、銃撃も、創造主ザ・クリエイターによる岩山を落下させる攻撃も効かない。勿論、アクティブスキルも効かないという絶望的な状況だ。

 この状況を打開するには魔妖烏クロウを倒すしか無い。

 さらに、その結界内にいるマルファスさんはMPを消費せずにアクティブスキルを放つことができるらしく、先程から死絶デスペリア悪の破壊光アビス・ディストラクションを連発してくる。そして、隙を見て青龍リオさんが攻撃をしてくるという鬼畜っぷり。正直勘弁してほしい。なので、早めに周りに飛んでいる魔妖烏クロウを倒したところだが――。

「クソ――どうなっているんだ」

「なかなか苦しんでいるなナリユキ殿」

 そう不敵な笑みを浮かべて俺に話しかけてくるのは青龍リオさんだ。俺を攻撃したり、俺を煽ったりと忙しい。

「どういうカラクリなんですか!? 魔妖烏クロウに弾は当たらないし、アクティブスキル系は無効化されるし――可笑しい、それっぽいスキルも持っていないのに」

「余が水を自在に操ることができるのと同じ原理だ」

「水を操るのと同じ原理? あ――そうか!」

 青龍リオさんは黒龍ニゲル・クティオストルーデが封印されている洞窟に入るときに、水の流れを変えて小舟が進むように施した。魔族が黒翼を使って飛ぶように、魔物や種族に本来備わっている特性だ。魔妖烏クロウには俺の弾が当たらないようにする、何らかの特性を持っているのだ。

 先程までの銃撃戦を思い出すと、マルファスさんには使えなくて、魔妖烏クロウには使える特性と考えるのが妥当だろ。なぜならば、俺の銃撃を銃撃で落としていたり、魔刀ハデスでガードをしていたからだ。もし、魔妖烏クロウと同じ特性を持っているのであれば、そんな面倒くさい事はしないだろう。

 創造主ザ・クリエイターで出した剣や、殺戮の腕ジェノサイド・アームのビームサーベルなど、色々な攻撃手段で戦ってみた。

 結果としては俺が放った弾丸だけは、バリアーで攻撃が通らないという結果ではなく、弾が外れるという結果になった。

 銃だけが通用するって良く分からんがまあいいや。

 そう思うと俺はデザートイーグルを消した。そしてその代役がコイツ。

 取り出した武器はFPS好きなら皆が知っている最もポピュラーなアサルトライフル。AK-47カラシニコフだ。仮に俺の狙撃手を無効化する能力ならば、アサルトライフルで数を撃てば当たるだろう。

 俺は中距離でアクティブスキルをバンバン放ってくるマルファスさんの攻撃を避けながら、魔妖烏クロウに向けて射撃した。魔妖烏クロウはずっとマルファスさんの周りを飛び続けているので、吃驚するくらい規則性のある動きをしている。つまり適当に連射をしていれば当たる筈だ。

 そう思い、俺はAK-47カラシニコフを連射した。金属音を響かせながら向かって行く複数の弾丸――。

 魔妖烏クロウは鳴き声を上げながらも飛び続けた。怯みはしないものの確実にダメージを与えることができている。

「ほう――」

 そう笑みを浮かべている青龍リオさん。正直、この人がいつ襲ってくるか分からないからヒヤヒヤしているんだよな。

「成程。狙撃手を無効化する能力だったか」

 俺がそう呟くとマルファスさんは苦い表情を浮かべていた。よしっ――当たっているようだ。

 そこからは俺の猛攻撃で魔妖烏クロウを全て撃墜した。正直、ただグルグル回っている魔物を撃ち落とすのは気が引けるな。

「流石だね」

 マルファスさんはそう呟くと「参った」と手を挙げた。

「あれ? この場合どうなるんだ?」

殺戮の腕ジェノサイド・アームの性能は十分に分かったし、ナリユキ殿は使いこなしていたからな」

「まあ、正直なところまだまだ未熟ですよ。けど、お蔭様でいい練習になりました。ありがとうございます」

「そうか」

 青龍リオさんはどこか満足気だった。俺としてはまだまだ青龍リオさんのポテンシャルが謎だから今度1VS1でやりたいな。

 こうして地上で待つミクちゃんの所へと3人で戻った。

「結局私いらなかったじゃん。でもまあハイレベルな戦いが見れて楽しかったけど」

 ミクちゃんは少し拗ねながらも、俺に「お疲れ様」の言葉をかけてくれた。

「悪い悪い。まさかマルファスが降参するとは思っていなかったんだ」

「流石に俺の鉄壁を崩されると、参ったの一言も言いたくなるよ。それに本気の戦いではなくて予行演習だしね」

「凄く強かったです。悪魔って初めて見たんですけど、個体値がものすごく高いんですね」

「そうだね。そもそも悪魔と呼ばれている個体が非常に少ないからね。そのなかでも魔妖烏クロウは比較的に強い部類に入る」

「それにしても、何で銃撃だけ喰らうんですか?」

 俺がそうマルファスさんに問いかけると、マルファスさんは「アハハ……」と少し気まずそうな表情を浮かべていた。

「ナリユキ殿は珍しく読み間違ていたな。魔妖烏クロウは銃撃だけが喰らうという訳ではない」

「と、言うと?」

「見ていた限りあの銃は連射数が早かった。魔妖烏クロウは全ての攻撃を防御できるし、マルファスのこだわりで、狙撃手を無効化するという特性を持っているが、その効果を発動するクールタイムを上回っていただけだ。すなわち、魔妖烏クロウは連続攻撃に弱い――」

「そういう事」

 青龍リオさんの言葉に頷いたマルファスさん。マジか。全然違うじゃん。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

ギフト争奪戦に乗り遅れたら、ラストワン賞で最強スキルを手に入れた

みももも
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたイツキは異空間でギフトの争奪戦に巻き込まれてしまう。 争奪戦に積極的に参加できなかったイツキは最後に残された余り物の最弱ギフトを選ぶことになってしまうが、イツキがギフトを手にしたその瞬間、イツキ一人が残された異空間に謎のファンファーレが鳴り響く。 イツキが手にしたのは誰にも選ばれることのなかった最弱ギフト。 そしてそれと、もう一つ……。

処理中です...