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掘り出されたアイテムⅣ
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「と、言うと?」
「ストーク・ディアン公爵も同じような能力を使うらしいのです。協力してくれている冒険者の情報によると、瞬時にカルカラからエウルアに移動したとか」
「それならば、ヴァレンタイン家の特殊能力の可能性も十分あり得るな」
「転移みたいな感じなんでしょうか?」
ミクちゃんがそう青龍さんにそう問いかけた。すると青龍さんは首を左右に振る。
「転移とはまた少し違うようだ。まあ、そんな特殊能力を使えるのだから、原因不明の暗殺と言っても、ヴァレンタイン家を恐れたどこかの貴族が、ヴァレンタイン家を滅亡させたというのが有力とされている」
「無難に考えればそうなりますね。でも、一族の血を欲しがる人もいるんじゃないでしょうか? それこそ一族の血がブラックマーケットに売られていても可笑しくは無い」
「そうだな。裏の世界では闇のオークションというのも存在する――そのオークションで売られていても可笑しくは無いが、そういった事に詳しい人間が、今はそっちにいるじゃないか?」
青龍さんはニッと笑みを浮かべていた。そうか――。
「マカロフ卿に訊けばいいのか」
「そういう事だ。ただ、ストーク・ディアン公爵を追いかけるのは少し止めてもらえると有難い。このカードにある名前の貴族達は認知しているから、何らかの情報を得ることができそうだが、今は黒龍をどうするかが問題だ」
確かにな。黒龍を食い止めることができなければ、世界が亡んでしまう――。
「何だ。来ていたのか。それにやたら強そうなお兄さんと可愛いお嬢さんがいるじゃないか」
後ろからそう声がした。足音は全くしなかったので相当な実力者だな――。黒髪に真紅の瞳。そして貴族のような煌びやかな黒い衣装に身を包んでいる好青年だった。
「マルファスか。いつもより早いじゃないか」
「だろ? 暇だったから早めに来てしまったんだ。でも、珍しいね。青龍がここに他国の人間を入れるなんて」
「彼はマーズベル共和国のナリユキ・タテワキ閣下。そしてその彼をサポートしているミク・アサギ殿だ」
青龍さんにそう紹介されたので、俺達は「宜しくお願いします」と述べて一礼をした。マルファス――確か青龍さんが自分より強いって言い張る友人だったよな?
「君がそうでしたか! はじめまして、マルファスと申します」
マルファスもそう言って挨拶を行ってくれた。
「でも、客人が来ているなら言ってくれよ」
「余から買った転移イヤリングがあるので、いつもいきなり現れるんだ。ナリユキ殿は念話を使えるが、オストロンとマーズベルは距離が遠いからな」
「成程ね。2人は黒龍の討伐に協力してくれるんですよね?」
「勿論です」
俺がそう言うとミクちゃんも、俺と同じく意気込みを伝えた。
「頼もしいよ。1人でも多くの猛者がいると心強い」
「そうだ。マルファス、このカードを見てくれないか?」
青龍さんはそう言ってマルファスさんに創世のカードを渡した。
「右下に名前が書いているだろう?」
「ああ」
「そこに書かれているラストネームに見覚えが無いか目を通しておいてくれ」
「何だ? 藪から棒に」
マルファスさんはそう言って首を傾げた。まあ、説明不足だもんな。
「俺達が追っている組織のアジトにあったカードです。恐らくですがその組織の創設時のメンバーだと考えております」
「だろうな。それこそ、ナリユキ殿が訊いて来たシレークス・ヴァレンタインは2,000年程前の人物だ。ミロクが消えた時期と重なっていると思うので、ナリユキ殿の推測は当たっていると思う」
「確か創世だよね? そうだとしたら有名な貴族ばかりだな。この時俺は魔界にいたから、ここにいる人物の名前はほとんど知らないが、ラストネームだけなら26人中、15人は分かるぞ」
え? マジ!? 15人も分かるの!?
「凄いですね。東の国だと有名な方ばかりなんですか?」
ミクちゃんがそう問いかけると、青龍さんが「ああ」と頷いた。
「そうだな。こうして見るとミロクの人望の厚さは相当なものだな――ただ、手荒な真似をしないと情報収集はできないかもしれない。まあ余もパイプを持っているので何とかできるかもしれないが」
「え、因みにどこの貴族とパイプがあるのですか?」
「シルファ、スペンサー、ベルベットジョー、フランベール、マーキオ、アラバスターの6人だな」
「思った以上に知っているんですね」
「オストロンの国主を1,500年もしているからな。とは言っても余としては少ないと思っているぞ」
「青龍は面倒くさがりだから、他の国に顔を出すことはなかなか無いからね」
マルファスさんはそう言って悪戯な笑みを浮かべていた。
「マルファス。一言余計だ」
青龍さんはそう言ってむっとした表情を浮かべる。
「ナリユキ殿時間はあるか?」
「ええ。ありますよ」
「ならば余とマルファスのコンビで戦わないか? 勿論ナリユキ殿はその殺戮の腕有りでいい」
と、いう謎の提案をされた。青龍さんとマルファスさんが2人で襲い掛かって来るって恐ろしくないか?
「いくら何でもそれは酷じゃないか?」
「スキル見えているだろう? ナリユキ殿には、剣での攻撃、物理攻撃、アクティブスキルでの攻撃は効かないんだ。仮に攻撃を与えて腕を吹き飛ばしても再生するし、少しずつだが体力も回復していくんだ。それにあの殺戮の腕というアーティファクトは、普通の人間が使っても、相当な達人になる事ができる。寧ろちょうどいいと思うだが」
「――念波動使えないけど、戦闘値7,500前後ありそうだね」
「素の戦闘値が7,000あるからな」
青龍さんがそう言うと、マルファスさんはそれは凄いと感心していた。
「戦いの中断のタイミングはミク殿に任せる。どうだ?」
「私はいいですけど――」
ミクちゃんがそう言いながら俺の方を見た。確かに、この殺戮の腕の性能を試すことができる相手としては最高だ。戦わない理由が無い。
「いいですよ。やりましょう」
こうして妙な事に、青龍《リオ》さんとマルファスさんのコンビと戦うという事になった。殺戮の腕は俺が苦手だった空中戦を可能にすることができる。片腕だけでも十分な性能を発揮することができる。何より、今回の実戦で殺戮の腕の理解度を深めることができるはずだ。
「ストーク・ディアン公爵も同じような能力を使うらしいのです。協力してくれている冒険者の情報によると、瞬時にカルカラからエウルアに移動したとか」
「それならば、ヴァレンタイン家の特殊能力の可能性も十分あり得るな」
「転移みたいな感じなんでしょうか?」
ミクちゃんがそう青龍さんにそう問いかけた。すると青龍さんは首を左右に振る。
「転移とはまた少し違うようだ。まあ、そんな特殊能力を使えるのだから、原因不明の暗殺と言っても、ヴァレンタイン家を恐れたどこかの貴族が、ヴァレンタイン家を滅亡させたというのが有力とされている」
「無難に考えればそうなりますね。でも、一族の血を欲しがる人もいるんじゃないでしょうか? それこそ一族の血がブラックマーケットに売られていても可笑しくは無い」
「そうだな。裏の世界では闇のオークションというのも存在する――そのオークションで売られていても可笑しくは無いが、そういった事に詳しい人間が、今はそっちにいるじゃないか?」
青龍さんはニッと笑みを浮かべていた。そうか――。
「マカロフ卿に訊けばいいのか」
「そういう事だ。ただ、ストーク・ディアン公爵を追いかけるのは少し止めてもらえると有難い。このカードにある名前の貴族達は認知しているから、何らかの情報を得ることができそうだが、今は黒龍をどうするかが問題だ」
確かにな。黒龍を食い止めることができなければ、世界が亡んでしまう――。
「何だ。来ていたのか。それにやたら強そうなお兄さんと可愛いお嬢さんがいるじゃないか」
後ろからそう声がした。足音は全くしなかったので相当な実力者だな――。黒髪に真紅の瞳。そして貴族のような煌びやかな黒い衣装に身を包んでいる好青年だった。
「マルファスか。いつもより早いじゃないか」
「だろ? 暇だったから早めに来てしまったんだ。でも、珍しいね。青龍がここに他国の人間を入れるなんて」
「彼はマーズベル共和国のナリユキ・タテワキ閣下。そしてその彼をサポートしているミク・アサギ殿だ」
青龍さんにそう紹介されたので、俺達は「宜しくお願いします」と述べて一礼をした。マルファス――確か青龍さんが自分より強いって言い張る友人だったよな?
「君がそうでしたか! はじめまして、マルファスと申します」
マルファスもそう言って挨拶を行ってくれた。
「でも、客人が来ているなら言ってくれよ」
「余から買った転移イヤリングがあるので、いつもいきなり現れるんだ。ナリユキ殿は念話を使えるが、オストロンとマーズベルは距離が遠いからな」
「成程ね。2人は黒龍の討伐に協力してくれるんですよね?」
「勿論です」
俺がそう言うとミクちゃんも、俺と同じく意気込みを伝えた。
「頼もしいよ。1人でも多くの猛者がいると心強い」
「そうだ。マルファス、このカードを見てくれないか?」
青龍さんはそう言ってマルファスさんに創世のカードを渡した。
「右下に名前が書いているだろう?」
「ああ」
「そこに書かれているラストネームに見覚えが無いか目を通しておいてくれ」
「何だ? 藪から棒に」
マルファスさんはそう言って首を傾げた。まあ、説明不足だもんな。
「俺達が追っている組織のアジトにあったカードです。恐らくですがその組織の創設時のメンバーだと考えております」
「だろうな。それこそ、ナリユキ殿が訊いて来たシレークス・ヴァレンタインは2,000年程前の人物だ。ミロクが消えた時期と重なっていると思うので、ナリユキ殿の推測は当たっていると思う」
「確か創世だよね? そうだとしたら有名な貴族ばかりだな。この時俺は魔界にいたから、ここにいる人物の名前はほとんど知らないが、ラストネームだけなら26人中、15人は分かるぞ」
え? マジ!? 15人も分かるの!?
「凄いですね。東の国だと有名な方ばかりなんですか?」
ミクちゃんがそう問いかけると、青龍さんが「ああ」と頷いた。
「そうだな。こうして見るとミロクの人望の厚さは相当なものだな――ただ、手荒な真似をしないと情報収集はできないかもしれない。まあ余もパイプを持っているので何とかできるかもしれないが」
「え、因みにどこの貴族とパイプがあるのですか?」
「シルファ、スペンサー、ベルベットジョー、フランベール、マーキオ、アラバスターの6人だな」
「思った以上に知っているんですね」
「オストロンの国主を1,500年もしているからな。とは言っても余としては少ないと思っているぞ」
「青龍は面倒くさがりだから、他の国に顔を出すことはなかなか無いからね」
マルファスさんはそう言って悪戯な笑みを浮かべていた。
「マルファス。一言余計だ」
青龍さんはそう言ってむっとした表情を浮かべる。
「ナリユキ殿時間はあるか?」
「ええ。ありますよ」
「ならば余とマルファスのコンビで戦わないか? 勿論ナリユキ殿はその殺戮の腕有りでいい」
と、いう謎の提案をされた。青龍さんとマルファスさんが2人で襲い掛かって来るって恐ろしくないか?
「いくら何でもそれは酷じゃないか?」
「スキル見えているだろう? ナリユキ殿には、剣での攻撃、物理攻撃、アクティブスキルでの攻撃は効かないんだ。仮に攻撃を与えて腕を吹き飛ばしても再生するし、少しずつだが体力も回復していくんだ。それにあの殺戮の腕というアーティファクトは、普通の人間が使っても、相当な達人になる事ができる。寧ろちょうどいいと思うだが」
「――念波動使えないけど、戦闘値7,500前後ありそうだね」
「素の戦闘値が7,000あるからな」
青龍さんがそう言うと、マルファスさんはそれは凄いと感心していた。
「戦いの中断のタイミングはミク殿に任せる。どうだ?」
「私はいいですけど――」
ミクちゃんがそう言いながら俺の方を見た。確かに、この殺戮の腕の性能を試すことができる相手としては最高だ。戦わない理由が無い。
「いいですよ。やりましょう」
こうして妙な事に、青龍《リオ》さんとマルファスさんのコンビと戦うという事になった。殺戮の腕は俺が苦手だった空中戦を可能にすることができる。片腕だけでも十分な性能を発揮することができる。何より、今回の実戦で殺戮の腕の理解度を深めることができるはずだ。
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