【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
388 / 597

研究施設Ⅰ

しおりを挟む
 ビアーズと話をしたあの夜。直ぐに行くという話だったが、より高度な潜入ができるように2日後の夜にここ来ていた。と、いうのもパラシュートの練習をしていたからだ。何かあったときの為にとレイが予め用意をしていたらしい。

「とうとう来たわね」

「この日をどれだけ待ち望んでいたことか――」

 俺はエヴァの言葉に同意した。地上からの潜入が難しいのであれば、空から行けばいい――というレイの提案だ。そして背中にあるバックパックという背負う事ができる鞄から、パラシュートというものを使って降りるらしい。何度か練習したので、レイはもちろんの事、アリス、フィオナ、エヴァ、シュファ、カルロータ、ランベーフも準備はバッチリだ。

「いいか? 作戦通り中央の屋根がある発煙筒を目指して着地するんだ」

 レイの作戦では、巨大な八角形のドームのような建造物の中央の屋根に着地しようとのことだった。

 現在は北、東、西と警備がされているが、唯一南側だけは警備員が配置されていないらしい。なので、後ろを振り返らない限りはバレないという事になる。というか夜なので基本的には気付かれないと思う。

 しかし、それだと発煙筒が目立ちそうだが、設置場所の屋根の部分はちょうど周りより低い場所にあるので、発煙筒が気付かれることはまず無いとの事だった。

「まあこの作戦は最善やな。俺が空飛んでいたら目立つやろうし」

「練習したとは言えドキドキするね~。それにウイングスーツも着てる! めちゃくちゃ感動!」

「確かにミリタリー映画でしか見たことが無いからな。まさか異世界でオスプレイからパラシュートを使って飛び降りるとは思わなかったし、ウイングスーツを着るとも思ってなかった」

 ランベーフ、シュファ、カルロータがそう意気込んでいた。ウイングスーツという奇妙な物にも着せられていた。このスーツは風の抵抗をより抑えることができる代物らしい。大きく広げると、鳥の翼のように広がる変わったデザインの服だ。

「お空から飛び降りる何てワクワクしますね」

「あたしも緊張とワクワクが半々」

 マーズベル組は割と呑気だった。アリスに至っては好奇心しかないようだ。

「それでは降りる。ついてこい」

 レイはそう言ってゴーグルを付けて飛び降りた。その次はエヴァが躊躇なく飛び降りる。ここは高度3,000m程あるらしいが、そんな所から飛び降りて無事の技術なんて、俺達の世界では物理攻撃無効Ⅴのスキルがついていないと無理な気しかしかないが、このパラシュートというのは風船のような傘をしたものを展開して、空気抵抗を利用して減速し、安全に着地する代物らしい。正直、転生者が来た世界の発明品は素晴らしい物ばかりだからな。

「よし。いくか」

 俺もオスプレイから飛び降りた。初めて見た時は勿論感動したのものだ。空ってこんなに素晴らしいのか! と。それに何度も見ても空から見下ろすこの世界の地上は素晴らしい。広大な森もあるし湖もある。そして北側にはマルーン共和国の都市も見える。遠くでやけに灯りが集合してるのは民家の証だ。

 俺はそう思いながら真っ逆さまに落ちていくと、遠くに火花を散らしている発煙筒が見えた。俺はレイがパラシュートを開いた高さあたりで俺もパラシュートを展開した。

 使い方は簡単だ。パラシュートの本体を空に放り投げてバックパックに付いている金具を抜くだけだ。そうして俺は無事にパラシュートを展開することができた。あとは操作をしながら目的地を目指すだけだ。

 レイとエヴァが先に着いていた。そこで空を飛んでいる俺達を見守ってくれているが、高度30mとかになっているのでもう誰も死ぬことはない。

 無事に皆が到着するとレイはどこか安心した表情を浮かべていた。

「よし、皆無事に着陸できたな」

「ものすごく楽しかったです!」

 と、満面の笑みを浮かべているアリスを見ていると緊張感という概念が無くなりそうだ。レイに関してはヤレヤレと溜め息をついている。

「まあ無事で何よりだ。強大な相手がいるのが予測されるなか、欠員が出てしまっては任務をこなせる可能性が低くなってしまうからな」

 だよな。レイが人の命の心配をするはずがないよな。

「アリス。入れそうなところはあるか?」

 レイの言葉にアリスは「そうですね~」と言って白い鉄の屋根をまじまじと見ていた。青の瞳ブルーリー・アイズを使って、降りるところに敵がいないかを確認しているのだ。

「あ、この辺り倉庫みたいなところがありますね」

 アリスがそう言って止まった場所は、着陸地点から東に40m程離れたところだ。

「この倉庫には敵はいないようです。入りましょうか?」

「よし。入ろう」

 レイはそう言って屋根に触れるなり、何のスキルを使ったのか分からないが、人が一人分入れる程の穴を空けた。

「本当に潜入に特化しているな」

「俺がいればどんな所でも入ることができる」

 レイはそう言って穴の中に入って行った。俺達もその穴の中に入るなり辺りを見渡す。

 辺りにあるのは木箱が置かれている30㎡くらいの空間だった。箱の中に一体何が入っているのか気になるとこではあるが――。

「恐らくここはF地点だな。子供達がいるB地点まで向かうぞ」

 レイの指示に俺達はコクリと頷いた。どういう結果が待ち望んでいるかは分からないが、救い出せる命があると信じて突き進む。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

異世界でスローライフとか無理だから!

まる
ファンタジー
突如青白い光に包まれ目を開ければ、目の前には邪神崇拝者(見た目で勝手に判断)の群れが! 信用できそうもない場所から飛び出していざ行かん見慣れぬ世界へ。 ○○○○○○○○○○ ※ふんわり設定。誤字脱字、表現の未熟さが目につきます。 閲覧、しおり、お気に入り登録ありがとうございます!

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

処理中です...