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真の実力Ⅳ
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「やるね――」
レガトゥスがそう言ったと同時に神樹の巨人は完全に消滅してしまった。
「まだまだ勝負はついてはいない」
「タフだね。ヘトヘトなのは僕だけじゃない筈だよ」
「お前を今ここで倒さなければ、カリブデウスとスカーに顔向けできん」
俺がそう言うとレガトゥスは二ッと口角を吊り上げた。
「彼等はまだ生きているよ。魔眼の回復を使えば時期に止まっている心臓も動くはずだよ」
「何?」
「今、ここで僕ともう少し戦って2人を助けるか、2人を助けてまた今度戦うか――君が選ぶといいよ」
レガトゥスは本気でそう言っている。つまり選ぶまでは何もしないってことか?
「不気味だな。何故そこまで気にかけるんだ?」
「単純に君との戦いが楽しかったからだよ。それに実力は何となく分かった。場合によるけど君の方が少し上かな。だから互いにまた実力をつけてた戦いんだ。こんなに楽しい戦いはなかなか無いからね」
「本気で言っているのか?」
「ああ。本当だよ」
「それではお前の情報が分からないままだ」
「確かにそうかも。でも君が破壊したアルボス城の瓦礫を探せば僕達についての情報が色々と分かるはずだよ――とだけ言っておく。僕はアジトに帰るからそれ以上の事は言えないけどね」
俺はレガトゥスの目を数秒見つめた。
「分かった。2人を回復させる」
「賢明な判断だよ。じゃあ僕は帰るからね。また会える日を楽しみにしておくよ」
レガトゥスはそう言って星光の球体に閉じ込められているIに触れるなりこの場から姿を消した。転移を使ってアジトに戻ったのだろう。ただ、アジトが遠い場合はどこかで休憩してから帰るはず。転移もなかなかMPを消費するからな。
俺はフラフラとしながらも2人に近付いた。何メートルという距離になったところで俺は魔眼の回復を使用した。
しばらく回復を行うと、本当に2人の心臓は再び動き始めた。
「よかった――」
俺はそう思うと一気に眠気が襲ってきた。魔真王も解けて疲労困憊だ。傷の痛みを感じていなかったが、アドレナリンが解けたせいか、今は全身が痛くて仕方ない。
そうして俺はそのまま天を見上げた。
「強かったなアイツ――」
そう思ったと同時に視界が暗くなっていた。無理だ――少し寝よう。
◆
しばらくしたときだった。周りから声がする――。
俺は無視気に「んっ――」という声をあげてしまった。
「おお! 起きたぞ!」
「無事だったか」
「良かったですね。無事みたいで」
「身体ボロボロだったもんな」
そんな声がした。スカーとカリブデウスの順番に話したのは分かる。ただ他の2人は誰だ?
俺はそう思いながら体をゆっくりと起こして起き上がった。すると、ナリユキ閣下とミク・アサギがいた。何でこんなところにいるんだ?
「不思議そうな顔をしているな。最近報告書を見て心配になって飛んで来たんだ」
「そしたら、皆ボロボロの状態でいたので何があったかと思いましたよ。カリブデウスさんもスカーさんも体の一部が無くなっていたので――カルディアさんは人体の神経がボロボロになっていましたし」
「治してくれたのか?」
「勿論ですよ。協力してくれている皆様には私の治癒をちゃんと受けてもらいますし、負傷しているなら治すのは義務だと考えています」
「拙僧は両足を治してもらったぞ」
「我は身体の骨と両腕だ。本当に何でも治せるあたり、天使を見ているようだな」
カリブデウスはガハハハと珍しく豪快に笑っていた。すると、ミク・アサギは「褒めすぎです」と謙遜していた。
「それにしてもここはどこだ?」
辺りを見渡す限りは医務室のようだった。白い天井に白い壁――と無機質な部屋だ。
「マーティンにある医療施設の一室をお借りしています」
「そうか。あとでお金は返すよ」
「いらないよ。それより体をしっかり回復させてくれ。魔真王とかいう無茶苦茶な特殊能力を使ったんだろ? その特殊能力はミクちゃんの見立てだとあまり使わない方がいいぞ? 無茶な戦い方過ぎて寿命が縮まる」
「使わないと勝てなかったので使ったまでだ。奴はあんたと同じくらいの実力だったからな」
「成程――でもそんな敵に自分より強いって言わせたんだから、魔真王を使っている時のカルディアって相当強いんだろ?」
「戦闘値はまともに測った事は無いが7,500前後はあるはず――」
俺がそう言うとミク・アサギは「凄すぎる」と呟き絶句していた。言わば俺の中の制限がある必殺技だからな。安定感だけで言えば、ナリユキ閣下には確実に負ける。実際にマカロフ卿にも勝つことはできなかったし、アヌビスとかいう化物はどうしても勝てる気がしない。如何せん、無効にするスキルが多すぎる。ナリユキ閣下に関しても、斬撃などの剣攻撃は効かないし、俺が得意な肉弾戦でもダメージを与えることができない。アクティブスキルに関してはスキルリターンで無効化――となると、ユニークスキルとアルティメットスキルで戦う方法しかないが、アルティメットスキルはそう何度も連発できるものじゃないし、仮に直撃してもスライムのように再生するからな。戦闘値が俺の方が上でも無敵要素が多すぎるんだ。アヌビスのように超越者のようなスキルが無ければまず勝てないだろう。
「そんなに強い敵と戦って無事で何よりだ」
「本当ですよ」
「ありがとう」
俺がそう言うとカリブデウスとスカーが目を丸くして驚いていた。
「カルディアが――」
「お礼を言った!」
「五月蠅いな。別にいいだろ。それより、創世の情報は掴めそうだ。何があるかは分からないが、金色蛇の仮面を付けた男――L。本名はレガトゥスという人間と森妖精のハーフの男にアルボス城の瓦礫の中に手がかりがあるから、探してみるといいよ――と言われた」
「その話、詳しく聞かせてくれないか?」
「ああ。勿論だ」
レガトゥスがそう言ったと同時に神樹の巨人は完全に消滅してしまった。
「まだまだ勝負はついてはいない」
「タフだね。ヘトヘトなのは僕だけじゃない筈だよ」
「お前を今ここで倒さなければ、カリブデウスとスカーに顔向けできん」
俺がそう言うとレガトゥスは二ッと口角を吊り上げた。
「彼等はまだ生きているよ。魔眼の回復を使えば時期に止まっている心臓も動くはずだよ」
「何?」
「今、ここで僕ともう少し戦って2人を助けるか、2人を助けてまた今度戦うか――君が選ぶといいよ」
レガトゥスは本気でそう言っている。つまり選ぶまでは何もしないってことか?
「不気味だな。何故そこまで気にかけるんだ?」
「単純に君との戦いが楽しかったからだよ。それに実力は何となく分かった。場合によるけど君の方が少し上かな。だから互いにまた実力をつけてた戦いんだ。こんなに楽しい戦いはなかなか無いからね」
「本気で言っているのか?」
「ああ。本当だよ」
「それではお前の情報が分からないままだ」
「確かにそうかも。でも君が破壊したアルボス城の瓦礫を探せば僕達についての情報が色々と分かるはずだよ――とだけ言っておく。僕はアジトに帰るからそれ以上の事は言えないけどね」
俺はレガトゥスの目を数秒見つめた。
「分かった。2人を回復させる」
「賢明な判断だよ。じゃあ僕は帰るからね。また会える日を楽しみにしておくよ」
レガトゥスはそう言って星光の球体に閉じ込められているIに触れるなりこの場から姿を消した。転移を使ってアジトに戻ったのだろう。ただ、アジトが遠い場合はどこかで休憩してから帰るはず。転移もなかなかMPを消費するからな。
俺はフラフラとしながらも2人に近付いた。何メートルという距離になったところで俺は魔眼の回復を使用した。
しばらく回復を行うと、本当に2人の心臓は再び動き始めた。
「よかった――」
俺はそう思うと一気に眠気が襲ってきた。魔真王も解けて疲労困憊だ。傷の痛みを感じていなかったが、アドレナリンが解けたせいか、今は全身が痛くて仕方ない。
そうして俺はそのまま天を見上げた。
「強かったなアイツ――」
そう思ったと同時に視界が暗くなっていた。無理だ――少し寝よう。
◆
しばらくしたときだった。周りから声がする――。
俺は無視気に「んっ――」という声をあげてしまった。
「おお! 起きたぞ!」
「無事だったか」
「良かったですね。無事みたいで」
「身体ボロボロだったもんな」
そんな声がした。スカーとカリブデウスの順番に話したのは分かる。ただ他の2人は誰だ?
俺はそう思いながら体をゆっくりと起こして起き上がった。すると、ナリユキ閣下とミク・アサギがいた。何でこんなところにいるんだ?
「不思議そうな顔をしているな。最近報告書を見て心配になって飛んで来たんだ」
「そしたら、皆ボロボロの状態でいたので何があったかと思いましたよ。カリブデウスさんもスカーさんも体の一部が無くなっていたので――カルディアさんは人体の神経がボロボロになっていましたし」
「治してくれたのか?」
「勿論ですよ。協力してくれている皆様には私の治癒をちゃんと受けてもらいますし、負傷しているなら治すのは義務だと考えています」
「拙僧は両足を治してもらったぞ」
「我は身体の骨と両腕だ。本当に何でも治せるあたり、天使を見ているようだな」
カリブデウスはガハハハと珍しく豪快に笑っていた。すると、ミク・アサギは「褒めすぎです」と謙遜していた。
「それにしてもここはどこだ?」
辺りを見渡す限りは医務室のようだった。白い天井に白い壁――と無機質な部屋だ。
「マーティンにある医療施設の一室をお借りしています」
「そうか。あとでお金は返すよ」
「いらないよ。それより体をしっかり回復させてくれ。魔真王とかいう無茶苦茶な特殊能力を使ったんだろ? その特殊能力はミクちゃんの見立てだとあまり使わない方がいいぞ? 無茶な戦い方過ぎて寿命が縮まる」
「使わないと勝てなかったので使ったまでだ。奴はあんたと同じくらいの実力だったからな」
「成程――でもそんな敵に自分より強いって言わせたんだから、魔真王を使っている時のカルディアって相当強いんだろ?」
「戦闘値はまともに測った事は無いが7,500前後はあるはず――」
俺がそう言うとミク・アサギは「凄すぎる」と呟き絶句していた。言わば俺の中の制限がある必殺技だからな。安定感だけで言えば、ナリユキ閣下には確実に負ける。実際にマカロフ卿にも勝つことはできなかったし、アヌビスとかいう化物はどうしても勝てる気がしない。如何せん、無効にするスキルが多すぎる。ナリユキ閣下に関しても、斬撃などの剣攻撃は効かないし、俺が得意な肉弾戦でもダメージを与えることができない。アクティブスキルに関してはスキルリターンで無効化――となると、ユニークスキルとアルティメットスキルで戦う方法しかないが、アルティメットスキルはそう何度も連発できるものじゃないし、仮に直撃してもスライムのように再生するからな。戦闘値が俺の方が上でも無敵要素が多すぎるんだ。アヌビスのように超越者のようなスキルが無ければまず勝てないだろう。
「そんなに強い敵と戦って無事で何よりだ」
「本当ですよ」
「ありがとう」
俺がそう言うとカリブデウスとスカーが目を丸くして驚いていた。
「カルディアが――」
「お礼を言った!」
「五月蠅いな。別にいいだろ。それより、創世の情報は掴めそうだ。何があるかは分からないが、金色蛇の仮面を付けた男――L。本名はレガトゥスという人間と森妖精のハーフの男にアルボス城の瓦礫の中に手がかりがあるから、探してみるといいよ――と言われた」
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