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マルーン共和国での合流Ⅱ
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「名前までは分からないですよね?」
「そうですね――お力添えできずに申し訳ございません」
「十分すぎる程です。ありがとうございました」
再度俺達は村人の男性にお礼をした。
「そろそろ時間だ」
そう言って突如姿を現したのは、黒の殲滅軍のレイだ。
「分かった。今すぐ向かう」
フィオナがそう言うと、レイはコクリと頷いてその場から消えてしまった。
「では私達はこれで」
「ええ。気を付けて下さい」
俺達は情報提供をしてくれた村人に別れを告げて、この村の入口に向かう事にした。俺、アリス、フィオナ、レイに加えて、森妖精が5人に、黒の殲滅軍の構成員が3人という大所帯だ。正直これだけの人数がいれば、相手も驚かないだろうか? と心の中では思っていたりする。
数分ほど待っていると、馬に乗った4人が西の方角から走って来るのが見えた。
「来ましたね」
アリスが言ったと同時に4頭の馬は止まった。先頭の馬に乗っている女性は、長くて毛先がクリっとした癖がついている金髪の女性だった。青い目に白い肌。厚い唇。まるで絵画のように美しい女性だ。
その右後ろにいるのは茶髪の前髪を右に分けている可愛いスレンダーな女性だった。確か転生者と言っていたが、彼女もミクと同じ国の出身地なのだろうか? 幼い顔立ちで愛嬌があるところが似ている。
その次は1人目の左後ろにいる女性は、褐色の肌にくっきりとした目鼻立ちと高い頬骨で、黒髪を後ろにまとめている女性だ。豊満な胸を主張するかのように、胸元が大きく開いた服を着ている。
そして最後尾にいる男は、全身黒の鎧を身に纏い、糸のように細い目をした肌が白い銀髪の男だった。恐らくコイツが邪竜なのだろう。イメージをしていた人型化と違うな。
如何せん、鑑定士を持っていない俺にはコイツ等の名前が分からない。スキルの習得はそれほど難しくないと聞くし、俺は元々は人間だ。スキル適性が無くて習得出来ないことは無い――筈だ。取るべきだな。不便だ。
「随分と大所帯ね」
そう口を開いたのは先頭にいる女性だった。挨拶をしようとしているのか、4人は馬から降りてきた。
「それくらい、相手にしようとしている組織が強大な可能性がありますから。申し遅れました、私はアリスと申します」
「私はフィオナです」
「フォルボスだ」
「――人魚姫の御姫様、闇森妖精、亜人、そして強すぎる人間と、その他の森妖精。凄い戦力ね。私はエヴァよ。宜しく」
先頭に立っている女性はエヴァという名前らしい。まあ鑑定士が無いから本名かどうかすら分からんが。
「私は淑華だよ! 宜しくね!」
と、吃驚するくらいの笑顔で挨拶をしてきたのはミクと雰囲気が似ている茶髪の可愛い女性だ。
「私はカルロータだ。宜しく」
そう挨拶をしてきたのは褐色肌の露出女。露出女は流石に響き悪いか――。
「俺はランベーフや。宜しくな」
糸のように細い目をしているがニコニコと笑みを浮かべている――それがやけに気に障る。
「大所帯ではあるが頼もしいね。良い関係を築きたいわ」
エヴァがそう言うとランベーフが「あっ」と声を漏らした。
「そう言えば報酬の取り分はどうなるん?」
「え、まさかこの人数で分け合うのか!? どうなんだ!? お金が減るなら私は嫌だぞ!」
カルロータという女性はなかなか現金な人だ。
「相変わらずね。確か報酬は要らなかったはずよ。そうよね?」
エヴァがそう俺達の方を見て話しかけてきた。
「そうですよ。私達はマーズベルの国主、ナリユキ閣下の指示でここに来ておりますから」
「マーズベルと言えば最近話題のあの国主か。確か、アードルハイムの帝都を岩山で潰したとか」
「凄いですよね。誰もアードルハイムに手を付けることができなかったのに」
「流石の俺でも正直ビビったわ。竜の間でもナリユキ閣下の恐ろしさは知れ渡ってるで?」
シュファ、カルロータ、ランベーフの順にそう話をした。ランベーフに関しては、レンやアズサと似たような話し方をしているが何故だ? 奴は邪竜だろう?
「まずは孤児院に行って様子を見るんだったな?」
「ああ。そうだ」
俺がそう喋ると、4人の冒険者は驚いた表情を見せた。
「何や、喋る亜人って聞いたこと無いんやけど俺の知識不足か? 一応1,000年くらいは生きてるんやけどな」
「ランベーフさんで聞いたことが無いなら、私達転生者組は勿論知らないですよね~」
と、顎に人差し指を当てて空を見上げるシュファ。
「売ったら高そうだな」
不謹慎すぎるカルロータ。本当に、こんな女はお金にしか興味が無いのか。そう思っていたら、エヴァがカルロータにゲンコツを浴びせた。
「やめなさい。情報を聞いていたわよね? そもそも、私達が見つけ出そうとしているマッシュ君を見つける為よ。もっと後の事を考えたら、カルロータの発言がいかに不謹慎か分かるはずよ。彼はこの姿にされて苦しめられていたのよ」
「すまん」
涙目になりながらカルロータは俺に謝ってきた。うんまあ良いか。確かに喋る亜人なんて珍しいもんな。もしも昔のアードルハイムに見つかったら捕まっていたことだろう。
「ではそろそろ行きましょう」
アリスがそう呟くと、エヴァが「ええ。行きましょう」と応じた。
「そうですね――お力添えできずに申し訳ございません」
「十分すぎる程です。ありがとうございました」
再度俺達は村人の男性にお礼をした。
「そろそろ時間だ」
そう言って突如姿を現したのは、黒の殲滅軍のレイだ。
「分かった。今すぐ向かう」
フィオナがそう言うと、レイはコクリと頷いてその場から消えてしまった。
「では私達はこれで」
「ええ。気を付けて下さい」
俺達は情報提供をしてくれた村人に別れを告げて、この村の入口に向かう事にした。俺、アリス、フィオナ、レイに加えて、森妖精が5人に、黒の殲滅軍の構成員が3人という大所帯だ。正直これだけの人数がいれば、相手も驚かないだろうか? と心の中では思っていたりする。
数分ほど待っていると、馬に乗った4人が西の方角から走って来るのが見えた。
「来ましたね」
アリスが言ったと同時に4頭の馬は止まった。先頭の馬に乗っている女性は、長くて毛先がクリっとした癖がついている金髪の女性だった。青い目に白い肌。厚い唇。まるで絵画のように美しい女性だ。
その右後ろにいるのは茶髪の前髪を右に分けている可愛いスレンダーな女性だった。確か転生者と言っていたが、彼女もミクと同じ国の出身地なのだろうか? 幼い顔立ちで愛嬌があるところが似ている。
その次は1人目の左後ろにいる女性は、褐色の肌にくっきりとした目鼻立ちと高い頬骨で、黒髪を後ろにまとめている女性だ。豊満な胸を主張するかのように、胸元が大きく開いた服を着ている。
そして最後尾にいる男は、全身黒の鎧を身に纏い、糸のように細い目をした肌が白い銀髪の男だった。恐らくコイツが邪竜なのだろう。イメージをしていた人型化と違うな。
如何せん、鑑定士を持っていない俺にはコイツ等の名前が分からない。スキルの習得はそれほど難しくないと聞くし、俺は元々は人間だ。スキル適性が無くて習得出来ないことは無い――筈だ。取るべきだな。不便だ。
「随分と大所帯ね」
そう口を開いたのは先頭にいる女性だった。挨拶をしようとしているのか、4人は馬から降りてきた。
「それくらい、相手にしようとしている組織が強大な可能性がありますから。申し遅れました、私はアリスと申します」
「私はフィオナです」
「フォルボスだ」
「――人魚姫の御姫様、闇森妖精、亜人、そして強すぎる人間と、その他の森妖精。凄い戦力ね。私はエヴァよ。宜しく」
先頭に立っている女性はエヴァという名前らしい。まあ鑑定士が無いから本名かどうかすら分からんが。
「私は淑華だよ! 宜しくね!」
と、吃驚するくらいの笑顔で挨拶をしてきたのはミクと雰囲気が似ている茶髪の可愛い女性だ。
「私はカルロータだ。宜しく」
そう挨拶をしてきたのは褐色肌の露出女。露出女は流石に響き悪いか――。
「俺はランベーフや。宜しくな」
糸のように細い目をしているがニコニコと笑みを浮かべている――それがやけに気に障る。
「大所帯ではあるが頼もしいね。良い関係を築きたいわ」
エヴァがそう言うとランベーフが「あっ」と声を漏らした。
「そう言えば報酬の取り分はどうなるん?」
「え、まさかこの人数で分け合うのか!? どうなんだ!? お金が減るなら私は嫌だぞ!」
カルロータという女性はなかなか現金な人だ。
「相変わらずね。確か報酬は要らなかったはずよ。そうよね?」
エヴァがそう俺達の方を見て話しかけてきた。
「そうですよ。私達はマーズベルの国主、ナリユキ閣下の指示でここに来ておりますから」
「マーズベルと言えば最近話題のあの国主か。確か、アードルハイムの帝都を岩山で潰したとか」
「凄いですよね。誰もアードルハイムに手を付けることができなかったのに」
「流石の俺でも正直ビビったわ。竜の間でもナリユキ閣下の恐ろしさは知れ渡ってるで?」
シュファ、カルロータ、ランベーフの順にそう話をした。ランベーフに関しては、レンやアズサと似たような話し方をしているが何故だ? 奴は邪竜だろう?
「まずは孤児院に行って様子を見るんだったな?」
「ああ。そうだ」
俺がそう喋ると、4人の冒険者は驚いた表情を見せた。
「何や、喋る亜人って聞いたこと無いんやけど俺の知識不足か? 一応1,000年くらいは生きてるんやけどな」
「ランベーフさんで聞いたことが無いなら、私達転生者組は勿論知らないですよね~」
と、顎に人差し指を当てて空を見上げるシュファ。
「売ったら高そうだな」
不謹慎すぎるカルロータ。本当に、こんな女はお金にしか興味が無いのか。そう思っていたら、エヴァがカルロータにゲンコツを浴びせた。
「やめなさい。情報を聞いていたわよね? そもそも、私達が見つけ出そうとしているマッシュ君を見つける為よ。もっと後の事を考えたら、カルロータの発言がいかに不謹慎か分かるはずよ。彼はこの姿にされて苦しめられていたのよ」
「すまん」
涙目になりながらカルロータは俺に謝ってきた。うんまあ良いか。確かに喋る亜人なんて珍しいもんな。もしも昔のアードルハイムに見つかったら捕まっていたことだろう。
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