【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
366 / 597

ヒーティスの案内Ⅰ

しおりを挟む
「ほう。戻って来たか」

 俺とミクちゃんがアスモデウスさんのところへ戻ると、アスモデウスさんとゼパルが話をしていた。何やら会議中のようだ。

「ギルドにまだいたんだ。てっきりどこかへ移動しているんだと思っていた」

「別に移動してもよいのじゃが、また邪竜アジ・ダハーカに乗ってここに来るのは面倒くさいじゃろう?」

「確かにな」

「じゃからここでギルドで今抱えている問題を聞いておったのじゃ。後は冒険者の不満や悩みとかじゃの」

「定期的に行っているのか?」

「そうじゃの。月に一度くらいはギルドに訪れて問題点などを聞いておる。というか、其方の国はいつギルドを作るのじゃ?」

「まあ。いずれかって感じかな。そもそも隣国にカーネルがあるから慌てる必要無いんだよ。むしろいらない可能性もあるから悩んでる」

「確かにそうじゃの。じゃあ行くか。町を案内するぞ」

「もういいんですか?」

 ミクちゃんがアスモデウスさんにそう問いかけると、アスモデウスさんは「問題無い」と返事をした。

「よしゼパル。其方もついて来い」

「私もですか!?」

「何じゃ? 嫌なのか?」

「滅相もございません」

 アスモデウスさんが少し拗ねたような表情をすると、ゼパルは首をブンブンと左右に振った。

「じゃあ行こうかの!」

 と、アスモデウスさんが張り切っているんだけど、何気に一番楽しみにしているんじゃないか? 俺とミクちゃんも楽しみではあるけど、アスモデウスさんの気合いの入り方が異常だ。

 そうして連れてこられたのはまずは武器屋だ。今夜はあの偽ドラグーンタワーで会食をするようなので、軽く町を案内してくれるそうだ。

「ここには世にも珍しい武器が置いている。また、オーダーメイドも出来るから、もし良かったら造っていってもよいぞ」

 置かれていた武器は、剣、刀、長刀、小太刀、体刀、槍、サーベル、レイピア、弓など様々な武器があった。

「お、銃もある。店主、手に取ってもいいですか?」

「勿論です」

 この店の店主は獣人の女の子だった。戦闘値は3,000と、獣人にしてはやたらと高い。それこれも店を襲われた時に対抗できる為だろうか? いずれにせよ、こんな戦闘値の人間が店主だったら安心だな。

 俺が手に取った銃はデザートイーグルのような銃身が大きい銃だった。しかし銃の特徴としては、銃身が紅色をしている事だった。

「変わった銃だな」

 値段を見てみると金貨5枚とやたらと高い。拳銃の相場って5万円~10万円ほどじゃなかったか? 50万円ってスナイパーライフルとかの値段じゃね?

「これ、凄く高いですけど、銃の相場はこれくらいが普通なんですか?」

「これは特別に高いんですよ。銃身が紅色でしょう?」

「ええ」

紅昇石べにしょうせきと魔石で造られた銃になっています」

「――それだと逆に安くないか?」

「確かに安いですね。ただこの銃は主を選ぶのでなかな買える人はいないのです。しかし、ナリユキ閣下であれば問題ないかもしれません」

 ――何かどっかで聞いたような設定だな。

「て、事は強いのか?」

「勿論強力です。少量のMPを弾に込めながら撃つことができる銃です」

「威力はどれくらいあるんですか?」

「それは分からないですね」

 店主の獣人がそう苦笑いをしていると、アスモデウスさんが「ふむ」と声を漏らした。

「どうした?」

「確か、この銃は200年程前に亡くなった爺が造った銃じゃったのう。こんなところにあるとは」

「知っているのか?」

「勿論じゃ。奴も魔族で妾の配下じゃった。マカロフ卿が来る前に、銃という武器を秘密裏に造っていた転生者がいての。その転生者が銃の造り方を教えたのじゃ」

 ――いやいや待て待て。デザートイーグルが造られたってのって、60年も経っていないよな? こんな銃を作る奴が200年も前にいたのか? いや、そもそも俺達の時代の時系列とこっちの世界の時系列は一体どうなっているんだ? 今まで気にしていなかったけど、よくよく考えたらおかしいじゃないか。コヴィー・S・ウィズダムさんはこっちの世界に来て随分と経つはずだ。なのに、技術の進歩があっちの世界を上回っている――。誰と協力したか分からないけど殺戮の腕ジェノサイド・アームなんて俺達が来た世界よりか技術が進歩しているじゃないか。

 となれば、この銃めちゃくちゃ気になるぞ。うちでもこの銃に隠された技術を盗むことができるんじゃないか?

「俺、これ買うよ。いいですよね?」

「買う前に試し撃ちしたほうがいいかもしれませんね。持った感じは問題なさそうそうですか?」

「ああ。問題ない」

 この銃は主を選ぶ――ならば相当な威力を発揮するはずだ。これで弱かったらそれはそれで面白いんだけど、銃の強化スキルが付いている俺が使えば確実に化けるはずだ。

「MPを込めるイメージをして下さい。銃が真の主では無いと判断した際に、MPを大きく抜き取られてしまいます。ずっと持っていれば確実にMP切れで命を落とします」

「面白いじゃないか」

 俺は銃にMPを思い切り込めた。しかし実際にはMPを銃に込めたというより、MPを銃に奪われたという不思議な感覚だ。

「特に何ともないな」

 俺がそう怪訝な表情を浮かべていると店主が「凄い」と褒めてきた。割と大きい声だったから吃驚するんだけど。

「どうやら選ばれたようじゃな」

「やったねナリユキ君!」

 という事らしい。

 てな訳で奇妙な出会いでこの銃を手に入れた。名前は天を穿つ者エンデュアーという名前らしい。格好いい――。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

裏切者には神罰を

夜桜
恋愛
 幸せな生活は途端に終わりを告げた。  辺境伯令嬢フィリス・クラインは毒殺、暗殺、撲殺、絞殺、刺殺――あらゆる方法で婚約者の伯爵ハンスから命を狙われた。  けれど、フィリスは全てをある能力で神回避していた。  あまりの殺意に復讐を決め、ハンスを逆に地獄へ送る。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

捨てられた私は森で『白いもふもふ』と『黒いもふもふ』に出会いました。~え?これが聖獣?~

おかし
ファンタジー
王子の心を奪い、影から操った悪女として追放され、あげく両親に捨てられた私は森で小さなもふもふ達と出会う。 最初は可愛い可愛いと思って育てていたけど…………あれ、子の子達大きくなりすぎじゃね?しかもなんか凛々しくなってるんですけど………。 え、まってまって。なんで今さら王様やら王子様やらお妃様が訪ねてくんの?え、まって?私はスローライフをおくりたいだけよ……? 〖不定期更新ですごめんなさい!楽しんでいただけたら嬉しいです✨〗

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

処理中です...