【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
353 / 597

噂を広げろⅤ

しおりを挟む
 本日の結果は98人と昨日に比べて落ち込んだが、結局リリーと、もう1人ディアン公爵に興味の無い人間がいたので、ディアン公爵が殺人犯だという情報を共有した。しかしリリーのように質問してくるような事はなかった。むしろ事件の事を俺が共有して、「もう大丈夫」と言った途端逃げたのだ。まあ仕方ない――。

 昨日が127人で、今日が98人という結果にはなったが、事件の真相を共有できたのが2日間で14人。ディアン公爵が真犯人という情報を与えることができたのが2人となった。

 つまり情報共有できたのは約6%。ディアン公爵が真犯人と伝えることができたのは0.8%と1%にも満たない。俺が今までにやった課金ゲームと言われていたスマホアプリのURが当たる確率がおおよそ3%だった。つまり課金ゲームのガチャより酷い確率となる。

 俺が1週間でこの噂を広めようとしている目標は100人だ。これはディアン公爵が真犯人だと伝える人数。これを営業をやっていたときのKPIシートを作ったとしたら地獄のような数字になる。まずは100人が真犯人を知っておかなければならないという事は、11,250人と会わないといけなくなる。今日のを除いて残り11,025人だとして、それを後5日しか無いと計算すると、1日で2,205人と会わないといけないという計算だ。朝の9時から夜18時まで、休憩1時間の勤務時間8時間としよう。1時間に会わないといけない人数は約275人。地獄だ――。

「ナリユキ君また凄い顔しているよ? そんなに電卓叩きながら嫌そうな顔をしているナリユキ君初めて見たよ」

 そう言われたのでミクちゃんに電卓を見せた。

「275.625――何の数字?」

「これは明日から1時間で会わないといけない人数」

 俺がそう言うとミクちゃんは顔を引きつらせながら――。

「ナリユキ君悪い冗談だな~」

「マジだぞ。予定だった後5日という納期に間に合わせるためにはな」

「――ブラック企業ですか?」

「本当にそうだな。体力的に無理だ。そりゃ無茶なノルマだな~とか会社で働いている時に思ったけど、まあ何とくなくいけていたんだ。普通に粗利1,000万円の大型契約取れたことあるしな」

「す――凄いね」

「運が良かっただけだな」

 俺がそう言うとミクちゃんが再度「すご――」と声を漏らしていた。

「これは物理的に無理な数字だな。だからとりあえずリリーには協力してもらおうと思う。人を増やせば宣伝力もアップする。後は俺が捌き切るだけなんだけど――」

「ナリユキ君は1人大体どれくらいで捌くの?」

「話とかもするからな。1人1分はみておきたい。でもまあリリーみたいなのが特例があると少し変わってくるけど」

「じゃあ1時間で60人が限界じゃない?」

「そうなんだよ~。逆算すると1日で480人がMAXになるな」

「ということは11,025人÷60人で180時間くらい必要って事だよね?」

「ミクちゃん暗算早いな。あと183.75時間だな。だから1日8時間労働をあと23日間続けていれば物理的に目標達成できる最短時間労働日数という訳だ。だから合計25日だな」

「ナリユキ君、悪魔の分身イビル・アバター使えないもんね」

「別に何でも使える訳じゃないからな俺」

復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムは使えるのにね」

「そうなんだよ。スキルの習得に関しては本当に謎だよな。多分、悪魔の分身イビル・アバターの適正なんだろうな。やり方は分かるのに」

「出来ないのは仕方ないよ――あ、そろそろ時間だね」

 ミクちゃんがそう言っていたので意識をすると体内時計では20時45分となっていた。

「そうだな」

 俺とミクちゃんは急いで準備に取り掛かった。とは言っても俺がささっと着替えるだけだ。

 そうして約束の場所に向かうと人が行き交う中、リリーが1人で佇んでいた。

「すまない。待たせてしまったようだな」

「いえ。大丈夫よ。さっき来たばかりだから――お弟子さんも一緒なのね」

「ああそうだ」

「私は椿と申します。宜しくお願いします」

 そう言ってミクちゃんは適当な名前を言って挨拶をした。

「こちらこそ宜しくお願いします」

 リリーはそう言ってミクちゃんに一礼をした。

「2人共変わった名前ね?」

「我々の出身国は少し特殊でな」

「そうなの」

 と、言っていたけど、そもそも国に和名の人なんて存在するのか? いないと思うけどそこはまあいいか。とりあえず誤魔化すことができれば。

「で、来たという事はそれなりの覚悟があるということでいいか?」

「覚悟?」

「ああ。俺達は訳あって素性を明かすことができないのだ。しかしある条件を飲み込んでくれれば君の質問に答えよう」

 リリーはしばらく考えた後――。

「どういう条件なの?」

「今から君に教える情報を他人に話さない事だ」

 すると、リリーはキョトンとした表情を見せていた。

「そんなの簡単じゃない」

「ただし、嘘をついてもらっては困るから、俺のスキルでルールを作る。君が守るルールは、俺と椿の情報を誰かに聞かれない事だ。なので、教える情報を誰にも話さなければいいだけだ。勿論、独り言とかで漏らして聞かれてもアウト」

「それを破ればどうなるの?」

「死ぬ」

 俺がそう言うとリリーは目を丸くしていた。

「でも事件の真相を知ることができるのであればいいもの。情報を誰にも聞かれなかったらいんでしょいいんでしょ?」

「そういうことだ。まあ安心してくれ。このスキルは俺が一方的なルールを君に押し付けるスキルでは無い。俺にもルールを課して、命を懸けなければならない」

「それはまた随分リスキーなスキルね」

「いや? 軽いルールで良いんだけど、君にはこれからやってもらいたいこともあるから、俺は君を故意で殺害しないことを誓おう。勿論、今回君に課すルールで俺が君を殺してしまうのは別の話だ」

「いいでしょう。その条件を飲む」

 リリーはそう言って俺の瞳を真っすぐ見てきた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...