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いざカルカラへⅠ
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「成程な。つまり調子にのっている奴がいるという事か」
「いや、別に調子に乗っているわけでは無いと思うぞ」
「そんな小学生じゃあるまいし」
俺はミクちゃんを連れてカルディアのところに会いに行っていた。カルディア達は喫茶店でちょうど朝食を澄ましている所だったそうだ。カルディア達が飛ばされた国は、西の国でも北の大地と呼ばれるているエウルア連邦共和国という国の森林地帯に吹き飛ばされていたようだ。
「しかし大変だったな。しばらく人がいなかったんだろ?」
「そうだな。エウルア連邦共和国と気付くまで二日程かかったからな」
「我が飛べば直ぐなのだが、偽物のQと戦闘でかなり疲労していたので、音速で飛ぶことはできなかったのだ」
「拙僧達は、MPの回復手段が無いのでな。しっかり食べてしっかり寝るのが一番の回復なのだ」
「成程な」
「しかし、悪かったな。依頼主に任務を引き継ぐ形になるとは思わなかった」
「拙僧達の力不足だ。申し訳ない」
カリブデウスとスカーがそう謝罪してきた。別に謝罪なんか求めていない。ほら、カルディアに関しては何の悪びれも見せずに、食用トナカイ肉のスクランブルエッグを食べている。
「別に問題無いですよ」
「つか悪いけど、カルディアが市民達を善良な方法で納得させるイメージが湧かないというか――」
俺がそうポロっと話をすると、カリブデウスとスカーが苦い表情を浮かべていた。
「ん? どうした?」
「な……」
「何でもない」
カリブデウスが言った後にスカーがそう続けて説明してくれたけど、マジで何なんだ?
「鼻につく言い方だがまあ別にいいだろう。それに事実だしな」
「やっぱりそうなんだ」
ミクちゃんは思わず苦笑いを浮かべていた。
「どうする? うちの国にまだ青龍さんがいるから、マーズベルに一瞬で戻せるぞ?」
俺がそう言うとカルディアは少し考えて始めた。
「ん? どうした?」
俺がそう言うと、スカーが口を開く。
「実は、創世に関する情報がこの国にもありそうなんだ」
俺は一瞬頭がフリーズした。いや、こっち西の国だろ? 創世ってどんだけ活動範囲広いんだよ。
「つい先日の事だ。創世と関連がありそうな大聖堂を見たんだ」
「大聖堂?」
ミクちゃんがそう首を傾げていたが俺には分かる。カルディアがノックの心臓を喰らって入手した情報は、決まった日時に、Qが大聖堂に訪れるという行動パターンを割り出した。そんなに頻繫に大聖堂に訪れるのだから、創世と何らかの関係があるんじゃないかと踏んでいるのだ。どれほどの深い繋がりかどうかまで分からないが、ステンドグラスに描かれているのが貴族らしいので、大方創世の昔の幹部を指しているのだろうと推測している。
「カルディア達がQと遭遇出来たところだよ」
「そうだったんだ。じゃあめちゃくちゃ怪しいね」
「そういう事だ。だから拙者達は引き続き調査を続けたいと思う」
「何より、我々で倒したあの敵が影武者だったからな。本物を倒せていない事に納得がいっていない」
そう言ったカリブデウスの目には何が何でもやってやるという気迫が見えた。
「一応言っておくと、マーズベルとエウルアの距離って約6,000kmだぞ?」
「コイツが飛んでくれるから問題無い」
カルディアがそう言ってカリブデウスの頬をつねった。
「いたっ! 何するんだカルディア!」
「別にいいだろ。減るもんじゃないし」
「減るとかそういう問題ではない! 同じ事された貴様はどうするんだ!?」
「殺すに決まっているだろ!」
「矛盾しているじゃないか!」
「俺はやられるのは嫌だが、やるのは好きなんだ。つうか、朝からビービー喚くな」
「貴様が先にやったんだろ!」
と、まあいつのように仲良く口喧嘩を展開していた。
「アハハ……いつも通りだね~」
ミクちゃんはそう言って苦笑いを浮かべていた。
「じゃあ俺とミクちゃんそろそろ行くわ。また適当なタイミングで顔出すよ。そのときに報告をくれ」
「そうか。報告を記した手紙などは良かったか?」
「そうだな。そう言えば一週間一度は連絡欲しいかな」
「分かった。フクロウか何かで手紙を送ろう」
「おう頼んだ」
俺がそうスカーとそう話していると、カルディアとカリブデウスは喧嘩を止めた。
「もう行くのか?」
「ああ。カルカラには知り合いが1人いるから、その人の事を思い浮かべて移動するよ。ミクちゃんは俺の後について来てくれ。5秒後~10秒後に来てくれれば問題無い」
「分かった」
「じゃあ皆」
「気を付けてな」
3人にそう見送られて俺は目を瞑ってアーツさんの顔を思い浮かべた。
人の声が聞こえて吸っている空気も――ニオイも違ったので街が変わったのは明らかだった。一番気になるのは水の音がすることだ。これは恐らく噴水だな。
目を開けると周りは人々が行き交う噴水広場だった。
「アーツさんいた?」
そう後ろから声がした。ミクちゃんだ。
「いやそれが見えないんだよな~」
俺はそう言いながらも辺りを見渡した。すると、反対側の場所に、頭にターバンを巻いている杖をついている 森妖精がいた。杖をついているのに背筋が伸びて姿勢が良いあの老人。間違いない――アーツさんだ。
「いた! ミクちゃんついてきて!」
「うん!」
俺はミクちゃんと一緒に何やら貴族と話をしているアーツさんに声をかけた。
「アーツさんこんにちは」
俺がそう声をかけるとアーツさんが俺に気付くなり。
「おお! ナリユキ殿か。久しいな」
「アーツさんも事件に巻き込まれて重症と聞いていましたが、すっかり元気そうで何よりです」
俺がそう言うとフォフォフォと、相変わらず賢者の爺さんらしさ全開の笑みを浮かべていた。
「いや、別に調子に乗っているわけでは無いと思うぞ」
「そんな小学生じゃあるまいし」
俺はミクちゃんを連れてカルディアのところに会いに行っていた。カルディア達は喫茶店でちょうど朝食を澄ましている所だったそうだ。カルディア達が飛ばされた国は、西の国でも北の大地と呼ばれるているエウルア連邦共和国という国の森林地帯に吹き飛ばされていたようだ。
「しかし大変だったな。しばらく人がいなかったんだろ?」
「そうだな。エウルア連邦共和国と気付くまで二日程かかったからな」
「我が飛べば直ぐなのだが、偽物のQと戦闘でかなり疲労していたので、音速で飛ぶことはできなかったのだ」
「拙僧達は、MPの回復手段が無いのでな。しっかり食べてしっかり寝るのが一番の回復なのだ」
「成程な」
「しかし、悪かったな。依頼主に任務を引き継ぐ形になるとは思わなかった」
「拙僧達の力不足だ。申し訳ない」
カリブデウスとスカーがそう謝罪してきた。別に謝罪なんか求めていない。ほら、カルディアに関しては何の悪びれも見せずに、食用トナカイ肉のスクランブルエッグを食べている。
「別に問題無いですよ」
「つか悪いけど、カルディアが市民達を善良な方法で納得させるイメージが湧かないというか――」
俺がそうポロっと話をすると、カリブデウスとスカーが苦い表情を浮かべていた。
「ん? どうした?」
「な……」
「何でもない」
カリブデウスが言った後にスカーがそう続けて説明してくれたけど、マジで何なんだ?
「鼻につく言い方だがまあ別にいいだろう。それに事実だしな」
「やっぱりそうなんだ」
ミクちゃんは思わず苦笑いを浮かべていた。
「どうする? うちの国にまだ青龍さんがいるから、マーズベルに一瞬で戻せるぞ?」
俺がそう言うとカルディアは少し考えて始めた。
「ん? どうした?」
俺がそう言うと、スカーが口を開く。
「実は、創世に関する情報がこの国にもありそうなんだ」
俺は一瞬頭がフリーズした。いや、こっち西の国だろ? 創世ってどんだけ活動範囲広いんだよ。
「つい先日の事だ。創世と関連がありそうな大聖堂を見たんだ」
「大聖堂?」
ミクちゃんがそう首を傾げていたが俺には分かる。カルディアがノックの心臓を喰らって入手した情報は、決まった日時に、Qが大聖堂に訪れるという行動パターンを割り出した。そんなに頻繫に大聖堂に訪れるのだから、創世と何らかの関係があるんじゃないかと踏んでいるのだ。どれほどの深い繋がりかどうかまで分からないが、ステンドグラスに描かれているのが貴族らしいので、大方創世の昔の幹部を指しているのだろうと推測している。
「カルディア達がQと遭遇出来たところだよ」
「そうだったんだ。じゃあめちゃくちゃ怪しいね」
「そういう事だ。だから拙者達は引き続き調査を続けたいと思う」
「何より、我々で倒したあの敵が影武者だったからな。本物を倒せていない事に納得がいっていない」
そう言ったカリブデウスの目には何が何でもやってやるという気迫が見えた。
「一応言っておくと、マーズベルとエウルアの距離って約6,000kmだぞ?」
「コイツが飛んでくれるから問題無い」
カルディアがそう言ってカリブデウスの頬をつねった。
「いたっ! 何するんだカルディア!」
「別にいいだろ。減るもんじゃないし」
「減るとかそういう問題ではない! 同じ事された貴様はどうするんだ!?」
「殺すに決まっているだろ!」
「矛盾しているじゃないか!」
「俺はやられるのは嫌だが、やるのは好きなんだ。つうか、朝からビービー喚くな」
「貴様が先にやったんだろ!」
と、まあいつのように仲良く口喧嘩を展開していた。
「アハハ……いつも通りだね~」
ミクちゃんはそう言って苦笑いを浮かべていた。
「じゃあ俺とミクちゃんそろそろ行くわ。また適当なタイミングで顔出すよ。そのときに報告をくれ」
「そうか。報告を記した手紙などは良かったか?」
「そうだな。そう言えば一週間一度は連絡欲しいかな」
「分かった。フクロウか何かで手紙を送ろう」
「おう頼んだ」
俺がそうスカーとそう話していると、カルディアとカリブデウスは喧嘩を止めた。
「もう行くのか?」
「ああ。カルカラには知り合いが1人いるから、その人の事を思い浮かべて移動するよ。ミクちゃんは俺の後について来てくれ。5秒後~10秒後に来てくれれば問題無い」
「分かった」
「じゃあ皆」
「気を付けてな」
3人にそう見送られて俺は目を瞑ってアーツさんの顔を思い浮かべた。
人の声が聞こえて吸っている空気も――ニオイも違ったので街が変わったのは明らかだった。一番気になるのは水の音がすることだ。これは恐らく噴水だな。
目を開けると周りは人々が行き交う噴水広場だった。
「アーツさんいた?」
そう後ろから声がした。ミクちゃんだ。
「いやそれが見えないんだよな~」
俺はそう言いながらも辺りを見渡した。すると、反対側の場所に、頭にターバンを巻いている杖をついている 森妖精がいた。杖をついているのに背筋が伸びて姿勢が良いあの老人。間違いない――アーツさんだ。
「いた! ミクちゃんついてきて!」
「うん!」
俺はミクちゃんと一緒に何やら貴族と話をしているアーツさんに声をかけた。
「アーツさんこんにちは」
俺がそう声をかけるとアーツさんが俺に気付くなり。
「おお! ナリユキ殿か。久しいな」
「アーツさんも事件に巻き込まれて重症と聞いていましたが、すっかり元気そうで何よりです」
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