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創世についてⅠ
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あれからマーズベルに戻ると、ナリユキ閣下は来賓室にいるとのことだったが、客人と一緒に部屋から出てくれた。まさかのゲストで私がは驚いていたが、当然あっちも驚いていた。
「本当に味方になったのだな?」
「ご無沙汰しております青龍様」
「裏の世界の王に、余を様付けで呼んでくる日がくるとは思わなかった」
「今までの数々の非礼お詫び申し上げます」
私が誠心誠意を込めてメリーザと一緒に謝罪をすると「まあ良い」と鼻を鳴らした。
「何だマカロフ卿? 青龍さんとは城で戦ったときが初対面じゃなかったのか?」
「直接手を下したわけでは無いですが色々とあるのです」
「話せば長い。時間あるときにでもお前から喋っておけ」
「勿論です」
私がそう青龍様と会話をしていると、ナリユキ閣下は首を傾げていた。
そして、もう1人来賓室から出て来た。直接手を下したので一番気まずい――。
「私は絶対に許さないからね! いくらナリユキが許したとはいえ、君達が行ってきたことは到底許されるべきではない。何よりナリユキを殺そうとしていたのが一番私が腹が立っているところだ」
「申し訳ございません」
再度は私はメリーザと共に2人に謝罪をした。
ルミエール・カーネル王とクロノスだ。私達が行ったことは到底許されるべきではない。というのも、先日の拉致監禁だけではなく、裏でカーネル王国にいる要人も手にかけたことがある。それはログウェルの上層部からの命令ではあったが、結局実行したのは我々黒の殲滅軍だ。それと同じで、オストロン連邦国もカーネル王国と同様に要人を殺害したことがある。そのお陰か、アードルハイム以外の国は実際にパワーバランスを保ってきたのは事実だ。ただ、国にとっては有益な人物を失うのは損失だ。前ならば何とも思わなかったのに、最近人間らしい生活をしているせいか、妙に罪悪感が沸きあがる。
それともナリユキ・タテワキという人物に会ったせいかだろうか? いずれにせよ、人の死に対する価値観が自分の中で変わってきているのをひしひしと感じる。
「コードを捕らえてきました。別の場所でレイに見張りをさせながら待機させているので来て頂けないでしょうか?」
私がそう言うと「仕事早いな~」と褒めてもらった。以前から思っていたが、割とこの人は人たらしのようなところがある。いや――部下のモチベーションを上がるために、思ったことを口に出すのか?
「勿体なき御言葉です」
私がそう言うと、カーネル王が「何か不気味」と言っていた。それに青龍様は首を大きく縦に振っていた。普段はタメ口ではあるが、客人がいるときはせめて立てないと――という思いがあるので、自然と固い口調になってしまう。最初はナリユキ閣下に断られたが、粘っていたら「好きにしろよ面倒くさい」と折れてくれた
「こちらへどうぞ」
メリーザの案内で、私、ナリユキ閣下、青龍様、カーネル王、クロノスの6人で館を出た。この館の裏側にある木陰でレイがボスを捕らえて待機していた。
「本当に捕まえたのか。凄いな」
「元々、ログウェルの戦力が低いので我々を雇っていたのです。ボスの護衛も大したことありませんでした」
「他の兵士達はどうなんだ? 余がミク殿と乗り込んだ時、結構な人数がいたが」
「ナリユキ閣下が無償で助けてくれたので、城の兵は全て私に従ってくれていますし、特に反感は買っておりません。城内の唯一の敵は目の前にいるこのボスです」
私がそう言うと「ほう」と青龍様は顎を触っていた。
「まさか3人の国主が勢揃いとは」
「我々は六芒星という強力な協定を結んでいるからな。それにマーズベル共和国とカーネル王国は隣国だからな」
「チッ……」
ボスはそう言って舌打ちをした。するとレイが過敏に反応して、小太刀を喉元に突き付ける。
「3人の国主の前でよくそんな無礼な態度をとれるな」
「悪かった」
そう言ってボスは肩を落とした。流石にもうビビりはしないだろう。元々は肝が据わった人だしな。死ぬのもどちらかと言えば、自分の命が失うのが怖いのではなく、今まで手に入れた富が無くなるのが怖いから死ぬのが怖いと言っていたな。
「ナリユキ殿」
「ナリユキ」
「ああ。顔を見ただけで未だにぶん殴りたくなるけど、殴っても意味無いしな」
ナリユキ閣下がそう言うと、「多分一発殴ったら死んじゃうよ」とカーネル王が苦笑いを浮かべていた。
ナリユキ閣下は早速、金色に輝く右手でボスの頭に触れた。その瞬間に、ボスは呆けた表情を浮かべ始めた。記憶と知性を抜かれるとあんな顔になるのか――とか割とどうでもいい事を考えていた。確かに奪われるっていう事なら、自分が少し馬鹿になった気持ちになるもんな。
「ほう――結構いい情報持っているじゃん」
ナリユキ閣下はボスの記憶と知性を奪って何やら満足そうだった。一方ボスは「クソオオオ!」と怒号を散らし始めた。
「思い出せない――自分が誰なのか――? 私は一体何者なんだ――!?」
「おいまさか――」
私がそう言うと、ナリユキ閣下はニッと笑みを浮かべた。
「コイツに関する重要な記憶と知性を殆ど奪ってやった。生い立ちとかまで奪ったから自分が何者か分からなくなっている筈。まあコイツの生い立ち何てどうでもいいから重要なところ以外は全部秒で忘れたけどな」
前にボスに銃を撃たれた腹いせなのか、ナリユキ閣下「ナハハハ!」と聞いたことが無い高笑いをしていた。
「ナリユキ殿――なかなか恐ろしいことするな」
「まさか知性・記憶の略奪と献上で生い立ちを奪って自分が何者か分からなくさせる使い方があるんて想像もしなかった」
「一回やってみたかっただよ。コイツにとったら死ぬより怖いんじゃないかなって」
――私が言うのも何だが、ナリユキ閣下はやっぱり敵に回したら駄目なタイプだ――。そう再認識させられた恐ろしい一面だった。
「本当に味方になったのだな?」
「ご無沙汰しております青龍様」
「裏の世界の王に、余を様付けで呼んでくる日がくるとは思わなかった」
「今までの数々の非礼お詫び申し上げます」
私が誠心誠意を込めてメリーザと一緒に謝罪をすると「まあ良い」と鼻を鳴らした。
「何だマカロフ卿? 青龍さんとは城で戦ったときが初対面じゃなかったのか?」
「直接手を下したわけでは無いですが色々とあるのです」
「話せば長い。時間あるときにでもお前から喋っておけ」
「勿論です」
私がそう青龍様と会話をしていると、ナリユキ閣下は首を傾げていた。
そして、もう1人来賓室から出て来た。直接手を下したので一番気まずい――。
「私は絶対に許さないからね! いくらナリユキが許したとはいえ、君達が行ってきたことは到底許されるべきではない。何よりナリユキを殺そうとしていたのが一番私が腹が立っているところだ」
「申し訳ございません」
再度は私はメリーザと共に2人に謝罪をした。
ルミエール・カーネル王とクロノスだ。私達が行ったことは到底許されるべきではない。というのも、先日の拉致監禁だけではなく、裏でカーネル王国にいる要人も手にかけたことがある。それはログウェルの上層部からの命令ではあったが、結局実行したのは我々黒の殲滅軍だ。それと同じで、オストロン連邦国もカーネル王国と同様に要人を殺害したことがある。そのお陰か、アードルハイム以外の国は実際にパワーバランスを保ってきたのは事実だ。ただ、国にとっては有益な人物を失うのは損失だ。前ならば何とも思わなかったのに、最近人間らしい生活をしているせいか、妙に罪悪感が沸きあがる。
それともナリユキ・タテワキという人物に会ったせいかだろうか? いずれにせよ、人の死に対する価値観が自分の中で変わってきているのをひしひしと感じる。
「コードを捕らえてきました。別の場所でレイに見張りをさせながら待機させているので来て頂けないでしょうか?」
私がそう言うと「仕事早いな~」と褒めてもらった。以前から思っていたが、割とこの人は人たらしのようなところがある。いや――部下のモチベーションを上がるために、思ったことを口に出すのか?
「勿体なき御言葉です」
私がそう言うと、カーネル王が「何か不気味」と言っていた。それに青龍様は首を大きく縦に振っていた。普段はタメ口ではあるが、客人がいるときはせめて立てないと――という思いがあるので、自然と固い口調になってしまう。最初はナリユキ閣下に断られたが、粘っていたら「好きにしろよ面倒くさい」と折れてくれた
「こちらへどうぞ」
メリーザの案内で、私、ナリユキ閣下、青龍様、カーネル王、クロノスの6人で館を出た。この館の裏側にある木陰でレイがボスを捕らえて待機していた。
「本当に捕まえたのか。凄いな」
「元々、ログウェルの戦力が低いので我々を雇っていたのです。ボスの護衛も大したことありませんでした」
「他の兵士達はどうなんだ? 余がミク殿と乗り込んだ時、結構な人数がいたが」
「ナリユキ閣下が無償で助けてくれたので、城の兵は全て私に従ってくれていますし、特に反感は買っておりません。城内の唯一の敵は目の前にいるこのボスです」
私がそう言うと「ほう」と青龍様は顎を触っていた。
「まさか3人の国主が勢揃いとは」
「我々は六芒星という強力な協定を結んでいるからな。それにマーズベル共和国とカーネル王国は隣国だからな」
「チッ……」
ボスはそう言って舌打ちをした。するとレイが過敏に反応して、小太刀を喉元に突き付ける。
「3人の国主の前でよくそんな無礼な態度をとれるな」
「悪かった」
そう言ってボスは肩を落とした。流石にもうビビりはしないだろう。元々は肝が据わった人だしな。死ぬのもどちらかと言えば、自分の命が失うのが怖いのではなく、今まで手に入れた富が無くなるのが怖いから死ぬのが怖いと言っていたな。
「ナリユキ殿」
「ナリユキ」
「ああ。顔を見ただけで未だにぶん殴りたくなるけど、殴っても意味無いしな」
ナリユキ閣下がそう言うと、「多分一発殴ったら死んじゃうよ」とカーネル王が苦笑いを浮かべていた。
ナリユキ閣下は早速、金色に輝く右手でボスの頭に触れた。その瞬間に、ボスは呆けた表情を浮かべ始めた。記憶と知性を抜かれるとあんな顔になるのか――とか割とどうでもいい事を考えていた。確かに奪われるっていう事なら、自分が少し馬鹿になった気持ちになるもんな。
「ほう――結構いい情報持っているじゃん」
ナリユキ閣下はボスの記憶と知性を奪って何やら満足そうだった。一方ボスは「クソオオオ!」と怒号を散らし始めた。
「思い出せない――自分が誰なのか――? 私は一体何者なんだ――!?」
「おいまさか――」
私がそう言うと、ナリユキ閣下はニッと笑みを浮かべた。
「コイツに関する重要な記憶と知性を殆ど奪ってやった。生い立ちとかまで奪ったから自分が何者か分からなくなっている筈。まあコイツの生い立ち何てどうでもいいから重要なところ以外は全部秒で忘れたけどな」
前にボスに銃を撃たれた腹いせなのか、ナリユキ閣下「ナハハハ!」と聞いたことが無い高笑いをしていた。
「ナリユキ殿――なかなか恐ろしいことするな」
「まさか知性・記憶の略奪と献上で生い立ちを奪って自分が何者か分からなくさせる使い方があるんて想像もしなかった」
「一回やってみたかっただよ。コイツにとったら死ぬより怖いんじゃないかなって」
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