【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
336 / 597

創世についてⅠ

しおりを挟む
 あれからマーズベルに戻ると、ナリユキ閣下は来賓室にいるとのことだったが、客人と一緒に部屋から出てくれた。まさかのゲストで私がは驚いていたが、当然あっちも驚いていた。

「本当に味方になったのだな?」

「ご無沙汰しております青龍リオ・シェンラン様」

「裏の世界の王に、余を様付けで呼んでくる日がくるとは思わなかった」

「今までの数々の非礼お詫び申し上げます」

 私が誠心誠意を込めてメリーザと一緒に謝罪をすると「まあ良い」と鼻を鳴らした。

「何だマカロフ卿? 青龍リオさんとは城で戦ったときが初対面じゃなかったのか?」

「直接手を下したわけでは無いですが色々とあるのです」

「話せば長い。時間あるときにでもお前から喋っておけ」

「勿論です」

 私がそう青龍リオ・シェンラン様と会話をしていると、ナリユキ閣下は首を傾げていた。

 そして、もう1人来賓室から出て来た。直接手を下したので一番気まずい――。

「私は絶対に許さないからね! いくらナリユキが許したとはいえ、君達が行ってきたことは到底許されるべきではない。何よりナリユキを殺そうとしていたのが一番私が腹が立っているところだ」

「申し訳ございません」

 再度は私はメリーザと共に2人に謝罪をした。

 ルミエール・カーネル王とクロノスだ。私達が行ったことは到底許されるべきではない。というのも、先日の拉致監禁だけではなく、裏でカーネル王国にいる要人も手にかけたことがある。それはログウェルの上層部からの命令ではあったが、結局実行したのは我々黒の殲滅軍ブラック・ジェノサイドだ。それと同じで、オストロン連邦国もカーネル王国と同様に要人を殺害したことがある。そのお陰か、アードルハイム以外の国は実際にパワーバランスを保ってきたのは事実だ。ただ、国にとっては有益な人物を失うのは損失だ。前ならば何とも思わなかったのに、最近人間らしい生活をしているせいか、妙に罪悪感が沸きあがる。

 それともナリユキ・タテワキという人物に会ったせいかだろうか? いずれにせよ、人の死に対する価値観が自分の中で変わってきているのをひしひしと感じる。

「コードを捕らえてきました。別の場所でレイに見張りをさせながら待機させているので来て頂けないでしょうか?」

 私がそう言うと「仕事早いな~」と褒めてもらった。以前から思っていたが、割とこの人は人たらしのようなところがある。いや――部下のモチベーションを上がるために、思ったことを口に出すのか? 

「勿体なき御言葉です」

 私がそう言うと、カーネル王が「何か不気味」と言っていた。それに青龍リオ・シェンラン様は首を大きく縦に振っていた。普段はタメ口ではあるが、客人がいるときはせめて立てないと――という思いがあるので、自然と固い口調になってしまう。最初はナリユキ閣下に断られたが、粘っていたら「好きにしろよ面倒くさい」と折れてくれた

「こちらへどうぞ」

 メリーザの案内で、私、ナリユキ閣下、青龍リオ・シェンラン様、カーネル王、クロノスの6人で館を出た。この館の裏側にある木陰でレイがボスコードを捕らえて待機していた。

「本当に捕まえたのか。凄いな」

「元々、ログウェルの戦力が低いので我々を雇っていたのです。ボスコードの護衛も大したことありませんでした」

「他の兵士達はどうなんだ? 余がミク殿と乗り込んだ時、結構な人数がいたが」

「ナリユキ閣下が無償で助けてくれたので、城の兵は全て私に従ってくれていますし、特に反感は買っておりません。城内の唯一の敵は目の前にいるこのボスコードです」

 私がそう言うと「ほう」と青龍リオ・シェンラン様は顎を触っていた。

「まさか3人の国主が勢揃いとは」

「我々は六芒星ヘキサグラムという強力な協定を結んでいるからな。それにマーズベル共和国とカーネル王国は隣国だからな」

「チッ……」

 ボスコードはそう言って舌打ちをした。するとレイが過敏に反応して、小太刀を喉元に突き付ける。

「3人の国主の前でよくそんな無礼な態度をとれるな」

「悪かった」

 そう言ってボスコードは肩を落とした。流石にもうビビりはしないだろう。元々は肝が据わった人だしな。死ぬのもどちらかと言えば、自分の命が失うのが怖いのではなく、今まで手に入れた富が無くなるのが怖いから死ぬのが怖いと言っていたな。

「ナリユキ殿」

「ナリユキ」

「ああ。顔を見ただけで未だにぶん殴りたくなるけど、殴っても意味無いしな」

 ナリユキ閣下がそう言うと、「多分一発殴ったら死んじゃうよ」とカーネル王が苦笑いを浮かべていた。

 ナリユキ閣下は早速、金色に輝く右手でボスコードの頭に触れた。その瞬間に、ボスコードは呆けた表情を浮かべ始めた。記憶と知性を抜かれるとあんな顔になるのか――とか割とどうでもいい事を考えていた。確かに奪われるっていう事なら、自分が少し馬鹿になった気持ちになるもんな。

「ほう――結構いい情報持っているじゃん」

 ナリユキ閣下はボスコードの記憶と知性を奪って何やら満足そうだった。一方ボスコードは「クソオオオ!」と怒号を散らし始めた。

「思い出せない――自分が誰なのか――? 私は一体何者なんだ――!?」

「おいまさか――」

 私がそう言うと、ナリユキ閣下はニッと笑みを浮かべた。

「コイツに関する重要な記憶と知性を殆ど奪ってやった。生い立ちとかまで奪ったから自分が何者か分からなくなっている筈。まあコイツの生い立ち何てどうでもいいから重要なところ以外は全部秒で忘れたけどな」

 前にボスコードに銃を撃たれた腹いせなのか、ナリユキ閣下「ナハハハ!」と聞いたことが無い高笑いをしていた。

「ナリユキ殿――なかなか恐ろしいことするな」

「まさか知性・記憶の略奪と献上メーティスで生い立ちを奪って自分が何者か分からなくさせる使い方があるんて想像もしなかった」

「一回やってみたかっただよ。コイツにとったら死ぬより怖いんじゃないかなって」

 ――私が言うのも何だが、ナリユキ閣下はやっぱり敵に回したら駄目なタイプだ――。そう再認識させられた恐ろしい一面だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

処理中です...