【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
330 / 597

乱入者Ⅳ

しおりを挟む
 私が着いた頃にはちょうどアヌビスがQキューと対峙しているところだった。

「アリシアだと――?」

 Qキューは私達の気配を感じてこっちに振り向いた。しかし、疑問なのが何故Qキューがアリシアさんの事を知っているかだ――。森妖精エルフの族長だからアリシアさんを知っているのは不思議ではないけど、初対面なら「アリシアか?」や「ほう――アリシアか」というリアクションでいい筈だ。

「アリシアさん。知り合い?」

Qキューの正体はストーク・ディアン公爵なんですよね?」

「そうです」

「で、あるなら私はストーク・ディアン公爵という人間とは会ったことはありません。名前だけは有名なので認知しておりますが――」

「じゃあ今の反応はストーク・ディアン公爵が一方的に知っているという事ですね」

「そうだと思います」

 アリシアさんはそう言っていたけど表情を見るからにどこか自信が無さそうだった。

Qキュー。アリシアさんの事を知っているような口ぶりだったけど知り合い?」

「アリシアよ」

 私の疑問は無視で、Qキューがアリシアさんに声をかけた。

「君はそんなところにいるべき存在では無い。森妖精エルフ達を引き連れて我々の所へ来るべきなんだ」

「どういう事だ?」

 私が話す前にアヌビスがそう問いかけた。しかし、Qキューはそれを気にも留めずアリシアさんに話しかけていた。

「どういう意味ですか? さっぱり分からないです」

「その森羅万象アルカナというユニークスキル――強すぎると思ったことはないか?」

「確かに強いです。どうして私がこんな力を持っているのか疑問に思う事があります。だから長い間自分の使命を探し続けていた。一時期冒険者になったのもその影響――」

 そこまでアリシアさんは喋ると「ハッ」とした表情を浮かべていた。

「喋りすぎたみたいですね」

 そこまで聞いたQキューは何やら満足そうだった。

「君の力はある方によって分け与えられたスキルだ。君が生まれた2,000年程前にね」

 2,000年――気が遠くなるな――。てか何でQキューはそんな事を知っているんだろう。アリシアさんと一体何の関係が――。

「2,000年前か――その時余は封印されていたな」

 と、今度はアヌビスが気になる情報を投下してきたけどそれは後で聞こう。

「私にスキルを分け与えた――?」

「そうだ。それで君は森羅万象アルカナという強力なスキルを持っているのだ」

「どういう事? スキルを分け与える?」

 私がそう質問してもQキューは無視を続けた。

「君の使命はそのユニークスキルを使って我々とあの方の為に世の中を動かすことだ。君と戦いたくはない。一緒に来て欲しい」

 Qキューはそう言って手を差し伸べて来た。しかしアリシアさんは、Qキューの事をキッと鋭い目つきで睨んでいた。

「最初から最後まで出鱈目を――この世界で生まれる生物は皆、誕生したときにユニークスキルを持ち、転生者は夢や希望、もっとこうなりたかったなどの願望が元となり、ユニークスキル付与されます」

「確かにそうだ。しかし特例もある。胎児のときはユニークスキルが付与されていないのだ。赤子として出て来たときにこのユニークスキルが付与される――いや、この話はどうでもいい」

 ――いや、私としてはその話もっと聞きたいんだけど――。

「貴様の正体は人間だろう? 何故余ですら知らなかった情報を知っているのだ」

 アヌビスですら知らなかった情報らしい。まあアヌビスは地下世界アンダー・グラウンドという特殊な世界の住人だから案外知らないのか――。いや、何か石版とか記されていそうな気もするんだけどな。

「それは初耳ですね」

「だろうな。これはごく一部の者しか知らない情報だ。いずれにせよ、君がいるならあの方に報告しなくては――」

「ちょっと待て! 貴様逃げる気か!?」

「一旦退くだけだ。1VS3の状況で勝てると思う程、自分の力を過信していない。ましてや、アリシアとアヌビスのコンビ――私にとっては最悪だ」

 それは誰にとっても最悪な気がする。と――思っていたら、Qキューが何か結晶のようなものを出していた。

「ミク・アサギ! アリシア! 奴を逃がすな!」

 アヌビスがそう強い口調で言ったので私とアリシアさん、そしてアヌビスの3人でQキューを掴みにかかった。

「逃がさない!」

 そう言って捕らえようとした瞬間に姿を消してしまった。

「逃がしてしまったか――!」

 アヌビスはそう言って床をドン! と力強く叩いていた。

「今のアレは?」

 アリシアさんも知らないようだったのでアヌビスが口を開いた。

「アレも転移テレポート系統の鉱石だ。余が知っている限りは地上にはない。地下世界アンダー・グラウンドで稀に目にする鉱石だ。とは言ってもオリハルコンや煉鋼石れんこうせき、破壊の石に比べると稀少度は下がるがな」

「つまり☆が4くらいの鉱石という事か――」

 私がそう呟くとアヌビスは首を傾げていた。

「何でもないよ。こっちの話だから」

「そうか」

 と。アヌビスは少しモヤモヤしていそうだが、まあいいかという表情をしていた。

「私の生い立ち……」

 アリシアさんはQキューに言われた意味深な発言の事について熟考していた。無理もない。見ず知らずの他人が何故自分の生い立ちをペラペラ話すことができるのか意味が分からないもんね。

森羅万象アルカナ地下世界アンダー・グラウンドで密かに伝わる伝説と聞いたことがある。そしてその伝説を知る方法が、ゾーク大迷宮の深部に存在する石版だ。元々、余はゾーク大迷宮の番人もしているが、残念ながらその伝説は知らんくてな」

「そうか――どんな伝説か全く聞いたことないの?」

「勿論ざっくりとは知っている。とある3つのスキルに纏わる話だ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...