【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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ミクの奮闘Ⅱ

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 3人のRアールが襲い掛かってきた。正直見た目では本人がどれだなんて分からない。3人同時にビームサーベルで斬りかかって来るのを、私はひたすら避けていた。呼吸で計って太刀筋を見極めることができてもビームサーベルというアヌビスの体を斬る事ができる殺傷能力が高い武器だと緊張感も普段より凄まじい。

 というのも、アヌビスには前提として斬撃無効のスキルが付いている。だから、本来であれば超越者トランセンデンスのようなスキルを持っていなければアヌビスがビームサーベルに斬られたところでノーダメージのはずだ。けれどもアヌビスの腹部にビームサーベルが貫通し、腹部に穴を空けた――。ということはビームサーベルには、斬撃無効を無効にするような特殊な細工がされているのは間違いない。ましてや、殺戮の腕ジェノサイド・アームを造った人間だ。殺戮の腕ジェノサイド・アームを造ったときも改良に改良を重ねて今の姿になっているはず。ご都合主義な仕掛けがあっても可笑しくない。

 私はレイピアで1人のRアールを斬った。しかし怯むどころか、ニヤリと口角を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべたので、天使の翼エンジェル・ウイングを展開して一旦宙に逃げた。

「やるな」

「流石だな。スキルを視る限りはオールラウンダーで、光属性と聖属性を得意としているだけあって移動速度が速い」

「それに太刀筋を見極める力は元々そういう力を持っている。でなければ、攻撃を全て避け切るのは不可能だ」

「――どうでもいいけど、随分と口調がRアールに寄っているね。さっきのキャピキャピ感はどこにいったの?」

「私が本物だ」

「いや、私が本物だ」

「嘘をつくな私が本物だ!」

「――一番最後に喋った人は偽物ね」

「ギクッ! そ……そんな事はない!」

「いやいや、めちゃくちゃ動揺しているじゃん」

 私がそう冷たい目で見ていると、「クソオオオ!」と跪いて床をドンドンと叩いていた。当てられたことでどれだけ悔しいのよ。

「当たっているぞ。ソイツには人体改造された形跡はない。人体改造と言っても、体内に魔石が埋め込まれている事を余は示している。本物は二番目に喋ったやつだ」

「魔眼の前では流石に誤魔化せないらしい」

「何をアッサリ認めているんだ? 適当に言ってるだけかもしれないぞ?」

「魔眼に適当など無い。常識だ。魔眼の効果には透視スルーというパッシブスキルがある。その力さえあればどんな物体も見通すことができる。勿論、体内もだ」

 と、本物のRアールが悪魔のRアールに説明を始めた。正直、男の悪魔か女の悪魔かは分からないけど。

「成程。じゃあマズくないか? 本物が直ぐにバレてしまっては悪戯としては面白くないではない」

「いや! 大丈夫だ!」

 そう言い始めたのは先程落ち込んでいた悪魔のRアールだ。

「戦闘中にあのイヌコロの助言を聞きながらこの小娘が正確に捉えることができると思うか? 否! 戦況が目まぐるしく変わる中で、本物のレベリオンを捉えるのは困難だ!」

 そう言って高笑いをしている悪魔のRアール。私はアクティブスキル、光剣セイバーを伸ばして悪魔のRアールにとりあえず刺した。

「いったああああ! 悪魔に光の攻撃は無いって~!」

 と、涙目になりながらゴロゴロとのたうち回っている。腹部に一刺しなのになんで平気なの? もしかしてギャグ要員? だとしたら勝てる要素無くない? 真剣なバトル漫画にワンパンマンのサイタマやドクタースランプアラレちゃんのアラレちゃんをぶっ込んでいるようなもの――。

「油断しているからだ。私は今の攻撃避けることができるぞ」

「私もだ。隙がありすぎるのだ」

 と、痛烈なコメントの嵐――何か可哀想。

「くそ――そもそも! 人が話をしている時に光の剣を刺してくるとは卑怯だぞ!」

「いや――あの――」

 私がそう困っていると――。

「いや、私でも今のは攻撃する」

「私もだ。早めに減らした方が戦いを有利に進めることができる」

 戦いを有利に進めることができる――。私はさっきまでの行動を思い出した。レイピアで斬ったのに平然としていたのは恐らく悪魔のRアールだ。悪魔のRアールには普通の剣ではダメージを与えることはできないという仮説を立てることができる。けれども、本物のRアールにはレイピアでの攻撃は効く――。つまりMPは消費するけど、光剣セイバーで戦えば、本物にも偽物にもダメージを与えることができる――!

「何かに気付いたようだな。気を付けるんだ私」

「私もだ。あの馬鹿は放っておこう」

 本物のRアールの後に、悪魔のRアールが、私が光剣セイバーで攻撃した悪魔のRアールの事を馬鹿呼ばわりした。

「うるさい! うるさい! 今度は絶対に油断しない! 何より悪戯しないと出て来た意味が無いだろ!」

「そうだな」

「それはそうだ」

 それにしても、もう1人の悪魔は口調を徹底しているな~。子供っぽいところを考えると、完璧に演じているのが女の悪魔で、もう口調が崩れて駄々をこめているのが男の悪魔かな?

「見ていろよ! 俺の力を!」

 と、手をワキワキさせて少しいやらしい目つきになっていた。今にも「グヘヘヘ」とか言い出しそうだ。本当に嫌な予感しかない。

「――私の体でそんな目をするな」

「うわ――引く」

 あ――口調崩れた。とにかく! この2人の悪魔の力が未知数だから気合い入れて戦うしかない!
 
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