325 / 597
ミクの奮闘Ⅱ
しおりを挟む
3人のRが襲い掛かってきた。正直見た目では本人がどれだなんて分からない。3人同時にビームサーベルで斬りかかって来るのを、私はひたすら避けていた。呼吸で計って太刀筋を見極めることができてもビームサーベルというアヌビスの体を斬る事ができる殺傷能力が高い武器だと緊張感も普段より凄まじい。
というのも、アヌビスには前提として斬撃無効のスキルが付いている。だから、本来であれば超越者のようなスキルを持っていなければアヌビスがビームサーベルに斬られたところでノーダメージのはずだ。けれどもアヌビスの腹部にビームサーベルが貫通し、腹部に穴を空けた――。ということはビームサーベルには、斬撃無効を無効にするような特殊な細工がされているのは間違いない。ましてや、殺戮の腕を造った人間だ。殺戮の腕を造ったときも改良に改良を重ねて今の姿になっているはず。ご都合主義な仕掛けがあっても可笑しくない。
私はレイピアで1人のRを斬った。しかし怯むどころか、ニヤリと口角を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべたので、天使の翼を展開して一旦宙に逃げた。
「やるな」
「流石だな。スキルを視る限りはオールラウンダーで、光属性と聖属性を得意としているだけあって移動速度が速い」
「それに太刀筋を見極める力は元々そういう力を持っている。でなければ、攻撃を全て避け切るのは不可能だ」
「――どうでもいいけど、随分と口調がRに寄っているね。さっきのキャピキャピ感はどこにいったの?」
「私が本物だ」
「いや、私が本物だ」
「嘘をつくな私が本物だ!」
「――一番最後に喋った人は偽物ね」
「ギクッ! そ……そんな事はない!」
「いやいや、めちゃくちゃ動揺しているじゃん」
私がそう冷たい目で見ていると、「クソオオオ!」と跪いて床をドンドンと叩いていた。当てられたことでどれだけ悔しいのよ。
「当たっているぞ。ソイツには人体改造された形跡はない。人体改造と言っても、体内に魔石が埋め込まれている事を余は示している。本物は二番目に喋ったやつだ」
「魔眼の前では流石に誤魔化せないらしい」
「何をアッサリ認めているんだ? 適当に言ってるだけかもしれないぞ?」
「魔眼に適当など無い。常識だ。魔眼の効果には透視というパッシブスキルがある。その力さえあればどんな物体も見通すことができる。勿論、体内もだ」
と、本物のRが悪魔のRに説明を始めた。正直、男の悪魔か女の悪魔かは分からないけど。
「成程。じゃあマズくないか? 本物が直ぐにバレてしまっては悪戯としては面白くないではない」
「いや! 大丈夫だ!」
そう言い始めたのは先程落ち込んでいた悪魔のRだ。
「戦闘中にあのイヌコロの助言を聞きながらこの小娘が正確に捉えることができると思うか? 否! 戦況が目まぐるしく変わる中で、本物のレベリオンを捉えるのは困難だ!」
そう言って高笑いをしている悪魔のR。私はアクティブスキル、光剣を伸ばして悪魔のRにとりあえず刺した。
「いったああああ! 悪魔に光の攻撃は無いって~!」
と、涙目になりながらゴロゴロとのたうち回っている。腹部に一刺しなのになんで平気なの? もしかしてギャグ要員? だとしたら勝てる要素無くない? 真剣なバトル漫画にワンパンマンのサイタマやドクタースランプアラレちゃんのアラレちゃんをぶっ込んでいるようなもの――。
「油断しているからだ。私は今の攻撃避けることができるぞ」
「私もだ。隙がありすぎるのだ」
と、痛烈なコメントの嵐――何か可哀想。
「くそ――そもそも! 人が話をしている時に光の剣を刺してくるとは卑怯だぞ!」
「いや――あの――」
私がそう困っていると――。
「いや、私でも今のは攻撃する」
「私もだ。早めに減らした方が戦いを有利に進めることができる」
戦いを有利に進めることができる――。私はさっきまでの行動を思い出した。レイピアで斬ったのに平然としていたのは恐らく悪魔のRだ。悪魔のRには普通の剣ではダメージを与えることはできないという仮説を立てることができる。けれども、本物のRにはレイピアでの攻撃は効く――。つまりMPは消費するけど、光剣で戦えば、本物にも偽物にもダメージを与えることができる――!
「何かに気付いたようだな。気を付けるんだ私」
「私もだ。あの馬鹿は放っておこう」
本物のRの後に、悪魔のRが、私が光剣で攻撃した悪魔のRの事を馬鹿呼ばわりした。
「うるさい! うるさい! 今度は絶対に油断しない! 何より悪戯しないと出て来た意味が無いだろ!」
「そうだな」
「それはそうだ」
それにしても、もう1人の悪魔は口調を徹底しているな~。子供っぽいところを考えると、完璧に演じているのが女の悪魔で、もう口調が崩れて駄々をこめているのが男の悪魔かな?
「見ていろよ! 俺の力を!」
と、手をワキワキさせて少しいやらしい目つきになっていた。今にも「グヘヘヘ」とか言い出しそうだ。本当に嫌な予感しかない。
「――私の体でそんな目をするな」
「うわ――引く」
あ――口調崩れた。とにかく! この2人の悪魔の力が未知数だから気合い入れて戦うしかない!
というのも、アヌビスには前提として斬撃無効のスキルが付いている。だから、本来であれば超越者のようなスキルを持っていなければアヌビスがビームサーベルに斬られたところでノーダメージのはずだ。けれどもアヌビスの腹部にビームサーベルが貫通し、腹部に穴を空けた――。ということはビームサーベルには、斬撃無効を無効にするような特殊な細工がされているのは間違いない。ましてや、殺戮の腕を造った人間だ。殺戮の腕を造ったときも改良に改良を重ねて今の姿になっているはず。ご都合主義な仕掛けがあっても可笑しくない。
私はレイピアで1人のRを斬った。しかし怯むどころか、ニヤリと口角を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべたので、天使の翼を展開して一旦宙に逃げた。
「やるな」
「流石だな。スキルを視る限りはオールラウンダーで、光属性と聖属性を得意としているだけあって移動速度が速い」
「それに太刀筋を見極める力は元々そういう力を持っている。でなければ、攻撃を全て避け切るのは不可能だ」
「――どうでもいいけど、随分と口調がRに寄っているね。さっきのキャピキャピ感はどこにいったの?」
「私が本物だ」
「いや、私が本物だ」
「嘘をつくな私が本物だ!」
「――一番最後に喋った人は偽物ね」
「ギクッ! そ……そんな事はない!」
「いやいや、めちゃくちゃ動揺しているじゃん」
私がそう冷たい目で見ていると、「クソオオオ!」と跪いて床をドンドンと叩いていた。当てられたことでどれだけ悔しいのよ。
「当たっているぞ。ソイツには人体改造された形跡はない。人体改造と言っても、体内に魔石が埋め込まれている事を余は示している。本物は二番目に喋ったやつだ」
「魔眼の前では流石に誤魔化せないらしい」
「何をアッサリ認めているんだ? 適当に言ってるだけかもしれないぞ?」
「魔眼に適当など無い。常識だ。魔眼の効果には透視というパッシブスキルがある。その力さえあればどんな物体も見通すことができる。勿論、体内もだ」
と、本物のRが悪魔のRに説明を始めた。正直、男の悪魔か女の悪魔かは分からないけど。
「成程。じゃあマズくないか? 本物が直ぐにバレてしまっては悪戯としては面白くないではない」
「いや! 大丈夫だ!」
そう言い始めたのは先程落ち込んでいた悪魔のRだ。
「戦闘中にあのイヌコロの助言を聞きながらこの小娘が正確に捉えることができると思うか? 否! 戦況が目まぐるしく変わる中で、本物のレベリオンを捉えるのは困難だ!」
そう言って高笑いをしている悪魔のR。私はアクティブスキル、光剣を伸ばして悪魔のRにとりあえず刺した。
「いったああああ! 悪魔に光の攻撃は無いって~!」
と、涙目になりながらゴロゴロとのたうち回っている。腹部に一刺しなのになんで平気なの? もしかしてギャグ要員? だとしたら勝てる要素無くない? 真剣なバトル漫画にワンパンマンのサイタマやドクタースランプアラレちゃんのアラレちゃんをぶっ込んでいるようなもの――。
「油断しているからだ。私は今の攻撃避けることができるぞ」
「私もだ。隙がありすぎるのだ」
と、痛烈なコメントの嵐――何か可哀想。
「くそ――そもそも! 人が話をしている時に光の剣を刺してくるとは卑怯だぞ!」
「いや――あの――」
私がそう困っていると――。
「いや、私でも今のは攻撃する」
「私もだ。早めに減らした方が戦いを有利に進めることができる」
戦いを有利に進めることができる――。私はさっきまでの行動を思い出した。レイピアで斬ったのに平然としていたのは恐らく悪魔のRだ。悪魔のRには普通の剣ではダメージを与えることはできないという仮説を立てることができる。けれども、本物のRにはレイピアでの攻撃は効く――。つまりMPは消費するけど、光剣で戦えば、本物にも偽物にもダメージを与えることができる――!
「何かに気付いたようだな。気を付けるんだ私」
「私もだ。あの馬鹿は放っておこう」
本物のRの後に、悪魔のRが、私が光剣で攻撃した悪魔のRの事を馬鹿呼ばわりした。
「うるさい! うるさい! 今度は絶対に油断しない! 何より悪戯しないと出て来た意味が無いだろ!」
「そうだな」
「それはそうだ」
それにしても、もう1人の悪魔は口調を徹底しているな~。子供っぽいところを考えると、完璧に演じているのが女の悪魔で、もう口調が崩れて駄々をこめているのが男の悪魔かな?
「見ていろよ! 俺の力を!」
と、手をワキワキさせて少しいやらしい目つきになっていた。今にも「グヘヘヘ」とか言い出しそうだ。本当に嫌な予感しかない。
「――私の体でそんな目をするな」
「うわ――引く」
あ――口調崩れた。とにかく! この2人の悪魔の力が未知数だから気合い入れて戦うしかない!
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
没落貴族に転生したけどチート能力『無限魔力』で金をザックザック稼いで貧しい我が家の食卓を彩ろうと思います~
街風
ファンタジー
出産直後に、バク転からの仁王立ちで立ち上がった赤子のルークは、すでに己が生物の頂点に君臨していると自覚していた。だがそれとは対極に、生まれた生家は最低最弱の貧乏貴族。食卓に並ぶのは痩せた魚と硬いパンだけ。愛する家族のためにルークは奔走する。
「これは大変だっ、父上、母上、ルークにお任せ下さい。お金を稼ぎに冒険へでかけてきますゆえ」※0歳です。
時に現れる敵をバッサバッサと薙ぎ倒し、月下の光に隠れて、最強の赤子が悪を切り裂く!
これは全てを破壊する力を持った0歳児が、家族の幸せを望む物語。 ヒロインも多数登場していきます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる