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アヌビスとRⅠ
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「来い人間。その減らず口を叩いてやる」
「いいだろう」
Rはそう言うとその場から姿を消した。この私ですら目に追う事はできない。唯一彼を見つけることができるとすれば、学生時代に培った集中力で気配を感じ取る事だ――。
いたっ! アヌビスの真後ろだ! 私が声を出そうとした時だった――。アヌビスはRが繰り出す殺戮の腕から出したビームサーベルを金色の杖で受け止めていた。そもそも本当にビームサーベルを出せることに驚きだけど。
「何だあれは!?」
「ビームサーベルね――」
「ビームサーベル!? どっかで聞いたことあるな――」
「どうせ漫画やアニメの話で聞いたことがあるんでしょ? こっちにビームサーベルなんて概念自体が無いはずよ」
「そうか――確かに無い」
アマミヤさんがいつの間にかナリユキ君みたいになっている――。ランベリオンと関わると皆ああなってしまうのだろうか――。
ビームサーベルを振るとブオン――というよく映画で聞く効果音に似た音が出ていた。
「まんまじゃん」
「まんまですね」
アマミヤさんの後に私がそう言うと、ランベリオンとフーちゃんが首を傾げていた。
「ほう――余は手を抜いているわけではないのに、よく粘るな」
そう言ってアヌビスは不敵な笑みを浮かべていた。
「化物め――強化された私の力を難なく受け止めるとは」
「よそ見をしている暇ないぞ? 余には魔眼がある」
アヌビスがそう言ってRの顔を睨むと、Rの顔に炎が燃え移った。Rは苦しみながらも、その炎を殺戮の腕で吸収した――!?
ちょっと待って。ステータスを視たらそんな効果は無かったはず――。
「無駄だぞ。コイツの名前はRという名前になっているが、本当なら本名になっていないといけない。それが鑑定士Ⅵのスキルだ。しかし、コイツの名前はRのまま――つまり出鱈目だ。全部が全部、殺戮の腕の効果だと思っていたら相手の思う壺だぞ」
「ごめんありがとう!」
アヌビスは何年生きているんだろう――戦闘での考察力凄い。私も見習わないと。
「さて炎を消したところでこれは防げまい」
アヌビスがRに手を向けると、Rは金縛りにでもあったかのように身動きが取れずにいた。
「念力」
アヌビスがそう言ってRに掌を向けると、Rはそのまま空中に放り出されて、この空間のコンクリートの天井に激突した。Rは見事に埋まったままになってしまう。
「おっと力が強すぎた。魂吸引で巨人の魂を吸い取ってMPが有り余っているせいだな」
声に出ない――何だこの出鱈目な強さ――。
「アヌビス強すぎない?」
「我とミユキ殿手も足も出なかったのにな」
「あの魔物といい勝負していたんだよね、タテワキさん」
「らしいな。2人共化物だ」
「どうした? もっと余を楽しませてくれ。マーズベルの国主のナリユキ・タテワキはこんなもんじゃなかったぞ」
「おのれ怪物め!」
Rはそう言って天井から抜け出して真下にいるアヌビスに直下していった。
「ほう。気合いだけは十分のようだ」
アヌビスはそう言って落ちてくるRに向かって手を向けると――。
刹那――Rもアヌビスに手を向けていたので、アヌビスが何かする前にRがアヌビスを吹き飛ばした。アヌビスは咄嗟に杖を持ちながら両手で顔を覆ったが、空中でクルクルと回転して吹き飛んでいたのだ。
「もしかしてあの技――」
「ナリユキ君がよく使う排除だね」
「あんなスキルまで――いや、あれも殺戮の腕なのか?」
「いや、分からないな。もう何でもありだねあの武器」
「全てが殺戮の腕の効果のような気がして仕方ない」
「確かに――」
私とランベリオンが吞気にそう話をしていると、Rの手には赤いエネルギーが集中していた。
「あれは破壊の滅殺光だ。この島出身の者なら使えるスキルだ。あれはアクティブスキルで間違いないだろう」
破壊の滅殺光――アグリオスが放っていたスキルだ。あのスキルめちゃくちゃ強いけどアヌビスなら問題ない――。
アヌビスは空中で体勢を整えて、禍々しく邪気に満ちた黒い雷を纏っている赤いエネルギー波――破壊の滅殺光を――。
受け止めずに自分の周囲を光で包み込んだ。アヌビスの足元にある魔法陣が描かれている範囲が、光が包み込む範囲だ。あれは私やアリシアさんが得意とする星光の聖域。
その星光の聖域が破壊の滅殺光を見事にかき消した。
「天下の冥魔族でも今の攻撃は防御スキルを使うのか」
「馬鹿いえ。あんなもんスキルリターンを使って、他の所に飛ばしたら瓦礫に埋もれてしまうだろ。最も上に飛んだらいいが、スキルリターンで飛ばせる方向はランダムだ。リスクの方が大きいとみたまでだ」
「ほう――地下世界の魔物でも人間に対して配慮はするんだな?」
「配慮をしていておかしいか? まあ死んでも悲しいとは思わないが、協力関係にあるのでな。勿論、貴様の部下共はどうでもよい。何なら貴様との戦闘中に部下共の命を奪って余の奴隷にしてやっても構わないのだぞ?」
「……悪趣味な魔物だ」
Rはそう言った後に首を左右に振って鳴らした。
「さあ来い。今度は貴様のスキルを見せてみろ」
「面白い」
アヌビスは口角を吊り上げてRに襲い掛かった。
「いいだろう」
Rはそう言うとその場から姿を消した。この私ですら目に追う事はできない。唯一彼を見つけることができるとすれば、学生時代に培った集中力で気配を感じ取る事だ――。
いたっ! アヌビスの真後ろだ! 私が声を出そうとした時だった――。アヌビスはRが繰り出す殺戮の腕から出したビームサーベルを金色の杖で受け止めていた。そもそも本当にビームサーベルを出せることに驚きだけど。
「何だあれは!?」
「ビームサーベルね――」
「ビームサーベル!? どっかで聞いたことあるな――」
「どうせ漫画やアニメの話で聞いたことがあるんでしょ? こっちにビームサーベルなんて概念自体が無いはずよ」
「そうか――確かに無い」
アマミヤさんがいつの間にかナリユキ君みたいになっている――。ランベリオンと関わると皆ああなってしまうのだろうか――。
ビームサーベルを振るとブオン――というよく映画で聞く効果音に似た音が出ていた。
「まんまじゃん」
「まんまですね」
アマミヤさんの後に私がそう言うと、ランベリオンとフーちゃんが首を傾げていた。
「ほう――余は手を抜いているわけではないのに、よく粘るな」
そう言ってアヌビスは不敵な笑みを浮かべていた。
「化物め――強化された私の力を難なく受け止めるとは」
「よそ見をしている暇ないぞ? 余には魔眼がある」
アヌビスがそう言ってRの顔を睨むと、Rの顔に炎が燃え移った。Rは苦しみながらも、その炎を殺戮の腕で吸収した――!?
ちょっと待って。ステータスを視たらそんな効果は無かったはず――。
「無駄だぞ。コイツの名前はRという名前になっているが、本当なら本名になっていないといけない。それが鑑定士Ⅵのスキルだ。しかし、コイツの名前はRのまま――つまり出鱈目だ。全部が全部、殺戮の腕の効果だと思っていたら相手の思う壺だぞ」
「ごめんありがとう!」
アヌビスは何年生きているんだろう――戦闘での考察力凄い。私も見習わないと。
「さて炎を消したところでこれは防げまい」
アヌビスがRに手を向けると、Rは金縛りにでもあったかのように身動きが取れずにいた。
「念力」
アヌビスがそう言ってRに掌を向けると、Rはそのまま空中に放り出されて、この空間のコンクリートの天井に激突した。Rは見事に埋まったままになってしまう。
「おっと力が強すぎた。魂吸引で巨人の魂を吸い取ってMPが有り余っているせいだな」
声に出ない――何だこの出鱈目な強さ――。
「アヌビス強すぎない?」
「我とミユキ殿手も足も出なかったのにな」
「あの魔物といい勝負していたんだよね、タテワキさん」
「らしいな。2人共化物だ」
「どうした? もっと余を楽しませてくれ。マーズベルの国主のナリユキ・タテワキはこんなもんじゃなかったぞ」
「おのれ怪物め!」
Rはそう言って天井から抜け出して真下にいるアヌビスに直下していった。
「ほう。気合いだけは十分のようだ」
アヌビスはそう言って落ちてくるRに向かって手を向けると――。
刹那――Rもアヌビスに手を向けていたので、アヌビスが何かする前にRがアヌビスを吹き飛ばした。アヌビスは咄嗟に杖を持ちながら両手で顔を覆ったが、空中でクルクルと回転して吹き飛んでいたのだ。
「もしかしてあの技――」
「ナリユキ君がよく使う排除だね」
「あんなスキルまで――いや、あれも殺戮の腕なのか?」
「いや、分からないな。もう何でもありだねあの武器」
「全てが殺戮の腕の効果のような気がして仕方ない」
「確かに――」
私とランベリオンが吞気にそう話をしていると、Rの手には赤いエネルギーが集中していた。
「あれは破壊の滅殺光だ。この島出身の者なら使えるスキルだ。あれはアクティブスキルで間違いないだろう」
破壊の滅殺光――アグリオスが放っていたスキルだ。あのスキルめちゃくちゃ強いけどアヌビスなら問題ない――。
アヌビスは空中で体勢を整えて、禍々しく邪気に満ちた黒い雷を纏っている赤いエネルギー波――破壊の滅殺光を――。
受け止めずに自分の周囲を光で包み込んだ。アヌビスの足元にある魔法陣が描かれている範囲が、光が包み込む範囲だ。あれは私やアリシアさんが得意とする星光の聖域。
その星光の聖域が破壊の滅殺光を見事にかき消した。
「天下の冥魔族でも今の攻撃は防御スキルを使うのか」
「馬鹿いえ。あんなもんスキルリターンを使って、他の所に飛ばしたら瓦礫に埋もれてしまうだろ。最も上に飛んだらいいが、スキルリターンで飛ばせる方向はランダムだ。リスクの方が大きいとみたまでだ」
「ほう――地下世界の魔物でも人間に対して配慮はするんだな?」
「配慮をしていておかしいか? まあ死んでも悲しいとは思わないが、協力関係にあるのでな。勿論、貴様の部下共はどうでもよい。何なら貴様との戦闘中に部下共の命を奪って余の奴隷にしてやっても構わないのだぞ?」
「……悪趣味な魔物だ」
Rはそう言った後に首を左右に振って鳴らした。
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