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創世の軍団Ⅱ
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「今回はちょっと報告があったので来たんですけど――その2人は誰ですか? 不死鳥と巨虫種」
私がそう言うとランベリオンが口を開いた。
「そうだったな。まずはこの赤髪は創世に捕らえられていた不死鳥だ。S級なのに名前は無いらしいが、ミユキ殿がフーちゃんと呼び始めたのでフーちゃんで」
「宜しくだ。呼び方は好きな呼び方で構わない」
不死鳥はそう言ってきたので、私は頭を下げた。
「ミク・アサギです。宜しくお願いします」
「そして――」
ランベリオンがそう言うと、メルム・ヴィジャがランベリオンの事を睨んでいた。一体2に何があったの?
「余が紹介する。メルム・ヴィジャは余の下僕だ」
「アヌビス様に仕えるメルム・ヴィジャだ。宜しく――しかしこの飛竜と人間と親し気なようだが?」
メルム・ヴィジャがそう指したのはランベリオンとアマミヤさんだった。
「何があったのアヌビスさん?」
「ランベリオンとミユキ・アマミヤが、メルム・ヴィジャの子供を殺したらしい」
私が目を細めてランベリオンとアマミヤさんを見ていると。
「違う違う! 誤解だ! 我々は襲われていたのだ!」
「そう! 正当防衛よ!」
「――何か言い訳にしか聞こえない」
「本当だって!」
ランベリオンとアマミヤさんが声を揃えて私にそう言ってきた。いつの間にかめちゃくちゃ仲良くなっているねこの2人。
「50m程の虫が襲って来たたらミク殿も倒すだろ!?」
「そ――そんなに大きいんだ。て――事はメルム・ヴィジャさんも?」
「我の全長は70m程だが?」
「魔物の姿にならないで下さいね?」
そんなに巨大な虫は私も嫌だ――。
「何故だ?」
メルム・ヴィジャはそう私に問いかけてきた。
「人間のメスは巨大な虫が苦手な人が多いようだ」
「そうでしたか」
アヌビスが私の代わりにそう説明してくれた。骸骨のようなデザインをした黒い仮面を被っているから表情は分からないけど、多分嫌な顔はしていない。
「ところで要件とは?」
「そうそう。Qの正体が分かったんだ」
「誰だったの?」
「ストーク・ディアン公爵だったらしいの」
私がそう言うと2人は驚いた表情を浮かべていた。当然の反応と言えば当然だ。
そこから私は2人に対して説明を行っていた。ランベリオンとアマミヤさんが反応していたのは勿論だけど、アヌビスも「人間というのは本当に私欲の塊だな」などと揶揄していた。一方フーちゃん関心を示しながら聞いていてくれて、メルム・ヴィジャは聞いているのか聞いていないのかが、リアクションが無い為分からなかった。考えている事としては関係無いと思っていそうだった。
「殺戮の腕に関しては私達も使われたわ」
「そうそう。Rという男だった。装着型ではなく義手みたいだったが、あれだけ強いのにユニークスキルではなかったのか――」
「じゃあ私達はユニークスキル、アクティブスキルを使われずに倒されたって事よね――しかも30秒も経たないうちに――」
殺戮の腕がただの武器で、スキルを発動されずに負けてしまった事に悔いていた。この2人がそんな一瞬でやられるってRという人は相当な手練れなのだろうか? そもそも殺戮の腕が強すぎるのだろうか? いずれにせよ、創世の幹部の人間全員が殺戮の腕を持っていたら相当厄介だ。
「しかし、Aという女性は扇子を使っていた。殺戮の腕は使っていなかったのだが、どうやら煉鋼石という特殊な鉱石で作っていると言っていた」
「――凄いね。色々発明しているじゃん」
「煉鋼石はなかなか強力だぞ? オリハルコンと同等の稀少価値がある鉱石だ」
「ということは物凄く強度が高く強力な攻撃ができる武器が造れるって事だよね?」
「そういう事だ」
「オリハルコンか――うちの国もオリハルコンで武器を造るか。腕の立つ鍛冶職人を見つけた方がよさそうだな」
「何だ? オリハルコンは地下世界でも滅多に見ることができない幻の鉱石だが?」
「うちの国にはあるんだ。だから戦争の火種になるので我等飛竜が守っていたのだ」
「なるほどそうだったのか。珍しい鉱石があると奪い合いになるのはどの時代も同じか」
破壊の石やオリハルコンも含めて、一度全部探したほうがいいかもしれない。特に近接戦闘を武器に頼る私やアマミヤさんには必須だ。今のレイピアでも十分強いんだけど、MPを消費せずに有利に戦えるのなら稀少価値がある鉱石を使った武器を生産するほうが絶対にいいし。
「オリハルコンがあるなら武器は作っていたほうがいい。それと破壊の石に関しては厳重に保管しておくのだ。実物を見ていないからピンとこないだろうが、マカロフが説明していたように、破壊の石がパワーがあれば、森妖精が展開する強硬な結界も破壊できるからな」
「一国を沈めることができる鉱石――」
私がそう呟くとアヌビスが「そういうことだ」と頷いていた。
「敵がまた来るな――」
アヌビスがそう言って奥の方を見据えていた。暗くて分からないけど何十人という人の気配がした。
「なかなかの手練れだな」
ランベリオンやアマミヤさんからも緊張感が伝わってくる。
現れ出て来たのは金色蛇の仮面を被り、殺戮の腕を装着している男性が1人。その他は巨人族が5人で、黒いフードを被った音が4人という組み合わせだった。
第2ラウンドの幕開けだ。
私がそう言うとランベリオンが口を開いた。
「そうだったな。まずはこの赤髪は創世に捕らえられていた不死鳥だ。S級なのに名前は無いらしいが、ミユキ殿がフーちゃんと呼び始めたのでフーちゃんで」
「宜しくだ。呼び方は好きな呼び方で構わない」
不死鳥はそう言ってきたので、私は頭を下げた。
「ミク・アサギです。宜しくお願いします」
「そして――」
ランベリオンがそう言うと、メルム・ヴィジャがランベリオンの事を睨んでいた。一体2に何があったの?
「余が紹介する。メルム・ヴィジャは余の下僕だ」
「アヌビス様に仕えるメルム・ヴィジャだ。宜しく――しかしこの飛竜と人間と親し気なようだが?」
メルム・ヴィジャがそう指したのはランベリオンとアマミヤさんだった。
「何があったのアヌビスさん?」
「ランベリオンとミユキ・アマミヤが、メルム・ヴィジャの子供を殺したらしい」
私が目を細めてランベリオンとアマミヤさんを見ていると。
「違う違う! 誤解だ! 我々は襲われていたのだ!」
「そう! 正当防衛よ!」
「――何か言い訳にしか聞こえない」
「本当だって!」
ランベリオンとアマミヤさんが声を揃えて私にそう言ってきた。いつの間にかめちゃくちゃ仲良くなっているねこの2人。
「50m程の虫が襲って来たたらミク殿も倒すだろ!?」
「そ――そんなに大きいんだ。て――事はメルム・ヴィジャさんも?」
「我の全長は70m程だが?」
「魔物の姿にならないで下さいね?」
そんなに巨大な虫は私も嫌だ――。
「何故だ?」
メルム・ヴィジャはそう私に問いかけてきた。
「人間のメスは巨大な虫が苦手な人が多いようだ」
「そうでしたか」
アヌビスが私の代わりにそう説明してくれた。骸骨のようなデザインをした黒い仮面を被っているから表情は分からないけど、多分嫌な顔はしていない。
「ところで要件とは?」
「そうそう。Qの正体が分かったんだ」
「誰だったの?」
「ストーク・ディアン公爵だったらしいの」
私がそう言うと2人は驚いた表情を浮かべていた。当然の反応と言えば当然だ。
そこから私は2人に対して説明を行っていた。ランベリオンとアマミヤさんが反応していたのは勿論だけど、アヌビスも「人間というのは本当に私欲の塊だな」などと揶揄していた。一方フーちゃん関心を示しながら聞いていてくれて、メルム・ヴィジャは聞いているのか聞いていないのかが、リアクションが無い為分からなかった。考えている事としては関係無いと思っていそうだった。
「殺戮の腕に関しては私達も使われたわ」
「そうそう。Rという男だった。装着型ではなく義手みたいだったが、あれだけ強いのにユニークスキルではなかったのか――」
「じゃあ私達はユニークスキル、アクティブスキルを使われずに倒されたって事よね――しかも30秒も経たないうちに――」
殺戮の腕がただの武器で、スキルを発動されずに負けてしまった事に悔いていた。この2人がそんな一瞬でやられるってRという人は相当な手練れなのだろうか? そもそも殺戮の腕が強すぎるのだろうか? いずれにせよ、創世の幹部の人間全員が殺戮の腕を持っていたら相当厄介だ。
「しかし、Aという女性は扇子を使っていた。殺戮の腕は使っていなかったのだが、どうやら煉鋼石という特殊な鉱石で作っていると言っていた」
「――凄いね。色々発明しているじゃん」
「煉鋼石はなかなか強力だぞ? オリハルコンと同等の稀少価値がある鉱石だ」
「ということは物凄く強度が高く強力な攻撃ができる武器が造れるって事だよね?」
「そういう事だ」
「オリハルコンか――うちの国もオリハルコンで武器を造るか。腕の立つ鍛冶職人を見つけた方がよさそうだな」
「何だ? オリハルコンは地下世界でも滅多に見ることができない幻の鉱石だが?」
「うちの国にはあるんだ。だから戦争の火種になるので我等飛竜が守っていたのだ」
「なるほどそうだったのか。珍しい鉱石があると奪い合いになるのはどの時代も同じか」
破壊の石やオリハルコンも含めて、一度全部探したほうがいいかもしれない。特に近接戦闘を武器に頼る私やアマミヤさんには必須だ。今のレイピアでも十分強いんだけど、MPを消費せずに有利に戦えるのなら稀少価値がある鉱石を使った武器を生産するほうが絶対にいいし。
「オリハルコンがあるなら武器は作っていたほうがいい。それと破壊の石に関しては厳重に保管しておくのだ。実物を見ていないからピンとこないだろうが、マカロフが説明していたように、破壊の石がパワーがあれば、森妖精が展開する強硬な結界も破壊できるからな」
「一国を沈めることができる鉱石――」
私がそう呟くとアヌビスが「そういうことだ」と頷いていた。
「敵がまた来るな――」
アヌビスがそう言って奥の方を見据えていた。暗くて分からないけど何十人という人の気配がした。
「なかなかの手練れだな」
ランベリオンやアマミヤさんからも緊張感が伝わってくる。
現れ出て来たのは金色蛇の仮面を被り、殺戮の腕を装着している男性が1人。その他は巨人族が5人で、黒いフードを被った音が4人という組み合わせだった。
第2ラウンドの幕開けだ。
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