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親睦会
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「で、マカロフ卿が味方になったという訳やな?」
「そういう事だ。何か文句あるかレン・フジワラ」
「いや――マジでしっくりこえへん。だってアルティメットスキルをぶっ放した人が――」
レンさんは少し顔を紅潮させながらビールを飲み切った。もうこれで5杯目くらいだ。
「お姉さんおかわり!」
「かしこまりました」
そう返事が来るとレンさんは満足気な表情を浮かべながら焼き鳥を頬張っていた。
レイ達がログウェルに向かった後、夜は外観が少しオシャレな洋風の焼き鳥の居酒屋を貸し切って、黒の殲滅軍と親睦を深めるために飲み会を開いた。居酒屋の良いところは距離が近いし、適度な声の大きさなら許される風潮がある。だから、デートにも使えるお店だ。
他の黒の殲滅軍の構成員は、戦った何名か部下達と飲んでおり、ノアとスーは仲良く2人で大食い勝負をしていた。「すみませんおかわり!」と追加注文をしつつ、バクバクと食べる姿は食べ盛りの子供そのものだった。
ただ、アリシア達はまだマカロフ卿達の事をよく思っていないから、マーズベルの人間が集まったのは数人だ。黒の殲滅軍の構成員でも気が進まない者はいるかもしれないけど、今日の会で少しで楽しい気を楽にしてほしいと思って開催した。
そして、俺達の席には俺、レンさん、ノーディルスさん、マカロフ卿の4人だ。ミクちゃんは、メイ、アズサさん、ネオンさんと4人で仲良く女子会を行っている。
「そいやここで聞くのも何だけどよ」
「何だ?」
「亜人と巨人が破壊の石を狙いに来たって言っていたよな」
「ああ」
「その中に戦闘値5,000程の喋る亜人がいたんだけど謎が多いんだよな。だから教えてほしいんだけど」
「残念ながらそれは分からないな」
「全く分からない?」
「そうだ。私が知っていたのは巨人族のアグリオスだけだ。他の連中は特に知らん」
「秘密主義なんだな」
「というか、そもそも情報交換をそこまでしない。何かあった時に情報が漏れないように予防線を張っているんだ。アグリオスを知っていたのは奴は巨人族でも有名な戦士だったからだ。しかし我々に加担してくれたのは謎だがな」
マカロフ卿はそう言ってささみの梅肉和えに手をつけた。勿論感想は「美味い」の一言だった。どうやらロシア人の舌にも梅肉は合うらしい。まあ無理な人は無理だろうけど。
「その話す亜人気になりますね」
ノーディルスさんがそう口を開いた。
「と、言うと?」
「魔物でも俺のように人間と同じ言語を使って話すという事ができますが、亜人は人間と同じ言語を使えるという実例が今までに無いのです。恐らく本を探してもそのような実例が紹介されている記述は無いでしょうね。ですので、話す亜人と出会ったというのは貴重な体験です。国によればあの亜人をめぐって戦争を起こすかもしれません」
それはまたまた厄介なモンを拾ってしまったな。
「まあ慎重に調べたらいいさ。実際話す亜人というのは私も聞いたことが無いからな。それに意味深な事を言っていたのだろ?」
「そうなんだよな。自分が何者なのか分からないって言っていたから」
俺がそう言うとレンさんは怪訝な表情を浮かべていた。
「何かその亜人は生体実験か何かで出来た亜人って可能性は無いんか? ほら、ワイズみたいな感じで」
すると、マカロフ卿は日本酒を一度口に含んで考え込んだ。
「確かに実験しているな。そこにいた魔物という可能性もある。何しろ機密事項となっていて私ですらその実験場は知らない」
そう考えるとマカロフ卿はコードに関することで知らない事が多いのかもしれない。重要な情報は全て闇の中という訳か――。
「まあ、うちの人間が何とか暴くさ」
「それならいいけど」
「そういえば破壊の石って何なんですか?」
レンさんは俺に対してそう質問してきたが――。
「いや、俺も知らないんだよ。そんな厨二病っぽい石ランベリオンから聞いていないしな」
そう言った後、俺はマカロフ卿に視線を移した。
「正直に言うと、詳細は分からん。ただマーズベルの鉱脈か鉱山――どちらかにあるという情報だけだからな」
「破壊の石は聞いたことがありますよ」
マカロフ卿が話した後に口を開いたのはノーディルスさんだった。
「破壊の石というのは古くから世界に数個あるとされている国を1つ沈める事ができる代物です。要はエネルギーの塊です。それをアーティファクトにはめ込んで、破壊の石のエネルギーを使って大砲のように使用するのも良し。自分の中に体の中に埋め込み強大なパワーを手に入れるのも良し。使い方は自由です」
「成程な。その力は永久的なのか?」
俺がそう訊くとノーディルスさんは頷いた。
「噂によるとそうですね。そのあまりにも強大なエネルギーに、人間が埋め込むと不老不死の力を手に入れることができるとかできないとか」
「――何か妄想している事全部できそうだな」
レンさんがビールをもう1杯空けた後に口を開く。
「確かに――アイアンマンのパワードスーツみたいな感じなんですかね?」
「そうみたいだな。でも破壊の石が何でマーズベルにあるってなんで確証を得ているんだ? 調べていた時期あるのか? マカロフ卿?」
「知らん。さっきも言ったようにコードは謎が多いんだ。アジトにいる事も少ないしな」
「成程な。それで皆無事に帰ってこれている訳か。一応作戦は立てておいたけど難なく城に侵入できたらしいからな」
「タイミングが良かったんだな。とりあえず我々、黒の殲滅軍としては出来る限りの事を尽くす。Qとやらの正体を暴こうでは無いか」
「ああ、頼んだ」
そうして俺達の親睦会はこれから数時間程続いた。無事に物事が運べるように祈ろう。
「そういう事だ。何か文句あるかレン・フジワラ」
「いや――マジでしっくりこえへん。だってアルティメットスキルをぶっ放した人が――」
レンさんは少し顔を紅潮させながらビールを飲み切った。もうこれで5杯目くらいだ。
「お姉さんおかわり!」
「かしこまりました」
そう返事が来るとレンさんは満足気な表情を浮かべながら焼き鳥を頬張っていた。
レイ達がログウェルに向かった後、夜は外観が少しオシャレな洋風の焼き鳥の居酒屋を貸し切って、黒の殲滅軍と親睦を深めるために飲み会を開いた。居酒屋の良いところは距離が近いし、適度な声の大きさなら許される風潮がある。だから、デートにも使えるお店だ。
他の黒の殲滅軍の構成員は、戦った何名か部下達と飲んでおり、ノアとスーは仲良く2人で大食い勝負をしていた。「すみませんおかわり!」と追加注文をしつつ、バクバクと食べる姿は食べ盛りの子供そのものだった。
ただ、アリシア達はまだマカロフ卿達の事をよく思っていないから、マーズベルの人間が集まったのは数人だ。黒の殲滅軍の構成員でも気が進まない者はいるかもしれないけど、今日の会で少しで楽しい気を楽にしてほしいと思って開催した。
そして、俺達の席には俺、レンさん、ノーディルスさん、マカロフ卿の4人だ。ミクちゃんは、メイ、アズサさん、ネオンさんと4人で仲良く女子会を行っている。
「そいやここで聞くのも何だけどよ」
「何だ?」
「亜人と巨人が破壊の石を狙いに来たって言っていたよな」
「ああ」
「その中に戦闘値5,000程の喋る亜人がいたんだけど謎が多いんだよな。だから教えてほしいんだけど」
「残念ながらそれは分からないな」
「全く分からない?」
「そうだ。私が知っていたのは巨人族のアグリオスだけだ。他の連中は特に知らん」
「秘密主義なんだな」
「というか、そもそも情報交換をそこまでしない。何かあった時に情報が漏れないように予防線を張っているんだ。アグリオスを知っていたのは奴は巨人族でも有名な戦士だったからだ。しかし我々に加担してくれたのは謎だがな」
マカロフ卿はそう言ってささみの梅肉和えに手をつけた。勿論感想は「美味い」の一言だった。どうやらロシア人の舌にも梅肉は合うらしい。まあ無理な人は無理だろうけど。
「その話す亜人気になりますね」
ノーディルスさんがそう口を開いた。
「と、言うと?」
「魔物でも俺のように人間と同じ言語を使って話すという事ができますが、亜人は人間と同じ言語を使えるという実例が今までに無いのです。恐らく本を探してもそのような実例が紹介されている記述は無いでしょうね。ですので、話す亜人と出会ったというのは貴重な体験です。国によればあの亜人をめぐって戦争を起こすかもしれません」
それはまたまた厄介なモンを拾ってしまったな。
「まあ慎重に調べたらいいさ。実際話す亜人というのは私も聞いたことが無いからな。それに意味深な事を言っていたのだろ?」
「そうなんだよな。自分が何者なのか分からないって言っていたから」
俺がそう言うとレンさんは怪訝な表情を浮かべていた。
「何かその亜人は生体実験か何かで出来た亜人って可能性は無いんか? ほら、ワイズみたいな感じで」
すると、マカロフ卿は日本酒を一度口に含んで考え込んだ。
「確かに実験しているな。そこにいた魔物という可能性もある。何しろ機密事項となっていて私ですらその実験場は知らない」
そう考えるとマカロフ卿はコードに関することで知らない事が多いのかもしれない。重要な情報は全て闇の中という訳か――。
「まあ、うちの人間が何とか暴くさ」
「それならいいけど」
「そういえば破壊の石って何なんですか?」
レンさんは俺に対してそう質問してきたが――。
「いや、俺も知らないんだよ。そんな厨二病っぽい石ランベリオンから聞いていないしな」
そう言った後、俺はマカロフ卿に視線を移した。
「正直に言うと、詳細は分からん。ただマーズベルの鉱脈か鉱山――どちらかにあるという情報だけだからな」
「破壊の石は聞いたことがありますよ」
マカロフ卿が話した後に口を開いたのはノーディルスさんだった。
「破壊の石というのは古くから世界に数個あるとされている国を1つ沈める事ができる代物です。要はエネルギーの塊です。それをアーティファクトにはめ込んで、破壊の石のエネルギーを使って大砲のように使用するのも良し。自分の中に体の中に埋め込み強大なパワーを手に入れるのも良し。使い方は自由です」
「成程な。その力は永久的なのか?」
俺がそう訊くとノーディルスさんは頷いた。
「噂によるとそうですね。そのあまりにも強大なエネルギーに、人間が埋め込むと不老不死の力を手に入れることができるとかできないとか」
「――何か妄想している事全部できそうだな」
レンさんがビールをもう1杯空けた後に口を開く。
「確かに――アイアンマンのパワードスーツみたいな感じなんですかね?」
「そうみたいだな。でも破壊の石が何でマーズベルにあるってなんで確証を得ているんだ? 調べていた時期あるのか? マカロフ卿?」
「知らん。さっきも言ったようにコードは謎が多いんだ。アジトにいる事も少ないしな」
「成程な。それで皆無事に帰ってこれている訳か。一応作戦は立てておいたけど難なく城に侵入できたらしいからな」
「タイミングが良かったんだな。とりあえず我々、黒の殲滅軍としては出来る限りの事を尽くす。Qとやらの正体を暴こうでは無いか」
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