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マカロフ卿から見たマーズベルⅤ
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「それで協力関係になったという訳ですか?」
「そうだ。異論があるやつはいるか?」
マカロフ卿の問いに反応はしないものの、集められた黒の殲滅軍の構成員は同意をする者もいれば、黙っているけど何か言いたげな構成員で半々くらいだった。
「私は反対です――ナリユキ・タテワキは敵ですよ?」
そう意見をしたのはレイだった。
「そうか」
「ボクは別にいいよ! ノアといつでも戦えるって事でしょ? この前は負けたけど次は必ず勝つから!」
スーはそう言ってシャドウボクシングを行っていた。どうやら2人の間で友情が芽生えたらしい。それはそれで微笑ましい事だ。
しかし一番の問題は――。
黒の殲滅軍の構成員は一旦牢から全員出してこうして集めて話をしている。しかし奴は絶対に逃がしては駄目だ。それにいつも通りの怒号を散らしていた。
「ふざけんなマカロフ! テメェそれでも男か! 黒の殲滅軍のリーダーが聞いて呆れるぜ! つかこの牢から出せテメェ!」
鎖で手足を縛っているのにこの元気さ――一体どこから出てくるんだよ。
「ワイズ。相変わらず元気そうだな」
マカロフ卿はそう言ってほくそ笑む。それが癇に障ったのだろう。
「ああ? テメェ今笑ったろ!? 出たら絶対に殺してやる!」
「ナリユキ閣下。アイツあんな事言っているぞ?」
「出す気は無いかな~」
マカロフ卿に話を振られて俺は思わず苦笑いをしてしまった。
「はあ!? ふざけんな! つかマカロフテメェ何気にこのクソガキの事を閣下呼ばわりしているじゃねえか!」
「ああ。協力関係にあるんだ。ナリユキ閣下も私の事はマカロフ卿と呼んでいるんだ。それくらいはキッチリしないとな」
マカロフ卿がそう言うと、ワイズは頭に血が昇っていた。しっかり縛っている鎖も今にもはち切れそうな程、腕が膨れ上がっていた。全くどっからそんな力出てくるんだよ。
「糞がーーー!」
と、耳が痛くなるような怒号をまき散らしていた。
「おい、あの野獣どうにかしろよ」
俺がマカロフ卿にそう言うと――。
「まあ慣れだな」
マカロフ卿のその返しに黒の殲滅軍の面々もうんうんと頷く。
「マジか――慣れる気がしない――」
「決めつけるのは止めた方がいいぞ。まあ1年も一緒にいりゃ怒号には慣れるさ。自分勝手な行動には未だに手を焼いているが」
そう涼しい顔で言われましてもね~。
「まあ視ても分かる通りだと思うがステータスでもワイズはあらゆる状態異常を受けない。今はスキルが使えない状態だからパッシブスキルは発動しないが、生物としても相当強力な毒や睡眠薬とかじゃないと効かんからな。勿論、鎮静剤を打っても全く効かん」
「左様でございますか」
もう苦笑いしかない。ワイズを大人しくさせるには気絶をさせるしかないようだ。それにこの状態はワイズにとっては相当なストレスだ。解放したら絶対に暴れる。倒せるけど、アヌビスみたいに超越者が無いから、あんな一瞬で倒せないしな。困った。
「場所を移した方がいいな」
「そうだな。話が進まん」
俺の意見にマカロフ卿は乗ってくれて、一旦外で話し合うことになった。外に出ると賛成側と反対側で、〇×ゲームのように分かれることにした。すると、協力しないという考えを持っている人間が18人いた。思った通り半分くらいいたのだ。でも俺からすると半分以上は協力という意見に賛成しているのだ。それはマカロフ卿の人望なのか、コードの事を元々気に食わなかったのか、仲間を見捨てた人間に一矢報いたいという気持ちなのかは俺には知る由はない。ただ俺としてはシンプルに嬉しいという気持ちだ。
「協力したく無いという理由を聞かせてくれるか?」
そうすると1人の男が前に出て来た。人型化になっているものの、彼はノーディルスと同じアンデッド族だ。戦闘値は4,000程。正直めちゃくちゃ強い部類だ。名前はシェイカーというらしい。
「俺達は貴方についていくと心に決めている。ナリユキ・タテワキについていきたいとは思わない。協力関係になるという事は、ナリユキ・タテワキの指示も聞き入れなければならないし、マカロフ卿の指示も、ナリユキ・タテワキと何らかの打ち合わせをして決めた指示になる」
「つまり、ナリユキ閣下の指示を間接的にでも聞きたくないという訳だな?」
「――そういう事だ」
シェイカーはマカロフ卿にシンプルにまとめられて少し躊躇っている様子だった。
「私から言わせてもらうと指示がどうこうではない。今、諸君らがどういう気持ちになっているかを重要視している。前提としてメリーザはナリユキ・タテワキの指示も聞いており、裏切り者認定でコードはメリーザに対してヴェドラウイルスの菌を吸わせた――これは百歩譲っていいだろう」
自分の妻なのに百歩譲るんだ。凄い俯瞰的だなマカロフ卿。
「しかし、他の人間を巻き込む必要があるか? あの倒れた兵士はメリーザ以外は何も関係ない人間だぞ?」
マカロフ卿がそう言うと空気が変わった。
「確かに――」
「失敗でも裏切りでも何でも無い――」
そう言ってざわつき始めたなかレイだけはまだ不服そうな表情を浮かべていた。一体何が不服なのだろうか――?
「つまり、コードは自分の為なら味方ですら何でもいいという事だ。しかし、ここにいるナリユキ・タテワキ閣下は、敵同士という前提があるなか、部下に薬を持たせてログウェルに行って助けてくれたんだ。そんな話は私との交渉にも使えた筈なんだ」
マカロフ卿の発言に皆はさらにざわつき始めた。初めて演説聞いたけどめちゃくちゃ上手いな。マジでカリスマ性凄いわ。
「そうだ。異論があるやつはいるか?」
マカロフ卿の問いに反応はしないものの、集められた黒の殲滅軍の構成員は同意をする者もいれば、黙っているけど何か言いたげな構成員で半々くらいだった。
「私は反対です――ナリユキ・タテワキは敵ですよ?」
そう意見をしたのはレイだった。
「そうか」
「ボクは別にいいよ! ノアといつでも戦えるって事でしょ? この前は負けたけど次は必ず勝つから!」
スーはそう言ってシャドウボクシングを行っていた。どうやら2人の間で友情が芽生えたらしい。それはそれで微笑ましい事だ。
しかし一番の問題は――。
黒の殲滅軍の構成員は一旦牢から全員出してこうして集めて話をしている。しかし奴は絶対に逃がしては駄目だ。それにいつも通りの怒号を散らしていた。
「ふざけんなマカロフ! テメェそれでも男か! 黒の殲滅軍のリーダーが聞いて呆れるぜ! つかこの牢から出せテメェ!」
鎖で手足を縛っているのにこの元気さ――一体どこから出てくるんだよ。
「ワイズ。相変わらず元気そうだな」
マカロフ卿はそう言ってほくそ笑む。それが癇に障ったのだろう。
「ああ? テメェ今笑ったろ!? 出たら絶対に殺してやる!」
「ナリユキ閣下。アイツあんな事言っているぞ?」
「出す気は無いかな~」
マカロフ卿に話を振られて俺は思わず苦笑いをしてしまった。
「はあ!? ふざけんな! つかマカロフテメェ何気にこのクソガキの事を閣下呼ばわりしているじゃねえか!」
「ああ。協力関係にあるんだ。ナリユキ閣下も私の事はマカロフ卿と呼んでいるんだ。それくらいはキッチリしないとな」
マカロフ卿がそう言うと、ワイズは頭に血が昇っていた。しっかり縛っている鎖も今にもはち切れそうな程、腕が膨れ上がっていた。全くどっからそんな力出てくるんだよ。
「糞がーーー!」
と、耳が痛くなるような怒号をまき散らしていた。
「おい、あの野獣どうにかしろよ」
俺がマカロフ卿にそう言うと――。
「まあ慣れだな」
マカロフ卿のその返しに黒の殲滅軍の面々もうんうんと頷く。
「マジか――慣れる気がしない――」
「決めつけるのは止めた方がいいぞ。まあ1年も一緒にいりゃ怒号には慣れるさ。自分勝手な行動には未だに手を焼いているが」
そう涼しい顔で言われましてもね~。
「まあ視ても分かる通りだと思うがステータスでもワイズはあらゆる状態異常を受けない。今はスキルが使えない状態だからパッシブスキルは発動しないが、生物としても相当強力な毒や睡眠薬とかじゃないと効かんからな。勿論、鎮静剤を打っても全く効かん」
「左様でございますか」
もう苦笑いしかない。ワイズを大人しくさせるには気絶をさせるしかないようだ。それにこの状態はワイズにとっては相当なストレスだ。解放したら絶対に暴れる。倒せるけど、アヌビスみたいに超越者が無いから、あんな一瞬で倒せないしな。困った。
「場所を移した方がいいな」
「そうだな。話が進まん」
俺の意見にマカロフ卿は乗ってくれて、一旦外で話し合うことになった。外に出ると賛成側と反対側で、〇×ゲームのように分かれることにした。すると、協力しないという考えを持っている人間が18人いた。思った通り半分くらいいたのだ。でも俺からすると半分以上は協力という意見に賛成しているのだ。それはマカロフ卿の人望なのか、コードの事を元々気に食わなかったのか、仲間を見捨てた人間に一矢報いたいという気持ちなのかは俺には知る由はない。ただ俺としてはシンプルに嬉しいという気持ちだ。
「協力したく無いという理由を聞かせてくれるか?」
そうすると1人の男が前に出て来た。人型化になっているものの、彼はノーディルスと同じアンデッド族だ。戦闘値は4,000程。正直めちゃくちゃ強い部類だ。名前はシェイカーというらしい。
「俺達は貴方についていくと心に決めている。ナリユキ・タテワキについていきたいとは思わない。協力関係になるという事は、ナリユキ・タテワキの指示も聞き入れなければならないし、マカロフ卿の指示も、ナリユキ・タテワキと何らかの打ち合わせをして決めた指示になる」
「つまり、ナリユキ閣下の指示を間接的にでも聞きたくないという訳だな?」
「――そういう事だ」
シェイカーはマカロフ卿にシンプルにまとめられて少し躊躇っている様子だった。
「私から言わせてもらうと指示がどうこうではない。今、諸君らがどういう気持ちになっているかを重要視している。前提としてメリーザはナリユキ・タテワキの指示も聞いており、裏切り者認定でコードはメリーザに対してヴェドラウイルスの菌を吸わせた――これは百歩譲っていいだろう」
自分の妻なのに百歩譲るんだ。凄い俯瞰的だなマカロフ卿。
「しかし、他の人間を巻き込む必要があるか? あの倒れた兵士はメリーザ以外は何も関係ない人間だぞ?」
マカロフ卿がそう言うと空気が変わった。
「確かに――」
「失敗でも裏切りでも何でも無い――」
そう言ってざわつき始めたなかレイだけはまだ不服そうな表情を浮かべていた。一体何が不服なのだろうか――?
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