【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
282 / 597

悪意Ⅰ

しおりを挟む
「どうだ? 分かったか?」

 俺の問いに「ぬううう……」と唸っていた。

「貴様……コードボスを侮辱する気か?」

「侮辱じゃない。現にメリーザから得た情報だ」

「貴様がメリーザと繋がっていた事も不服だが……」

「ヴェドラウイルスの事について言ったら俺に協力してくれたんだ。見せただろ? 俺の記憶。メリーザが進んで俺の協力者になってくれた」

「さっきの情報だけでは不足だ。洗いざらい記憶を分けろ」

 マカロフ卿はそう言って俺を睨みつけてきた。

「洗いざらいってその範囲だよ。まさか捕まっていた時の期間全て共有しろってことか?」

「そういう事だ。であれば、貴様が汚い手を使っているか否かを判断できるだろう」

「馬鹿か! どんだけ膨大な記憶があったと思っているんだ!? 簡略化された思い出とかじゃないんだぞ!? 現に俺がさっき与えた情報量でも少し苦しそうだったじゃないか!? それなら、もう一度悪魔との機密契約イビル・コントラクトで俺が嘘をついているかどうか確かめるか!? 議題は俺がメリーザを洗脳や脅しを使って強制的に協力させているかどうかだ!」

 俺がそこまで言うとマカロフ卿は少し沈黙した。

「確かに――何か狡いことを考えているような議題でも無い」

「分かったら手を引いてくれ。これ以上無意味な戦いをしたくないんだ」

 これは俺の正直な気持ちだった。何の意味も無い戦いでこれ以上――。

「脆弱だな――それで私達にどうしろと言うのだ? あくまで貴様等は潰すべき対象だ。文字通り終わりにしてやるぞ!」

 マカロフ卿は俺の体に触れようとしてきた。もう喰らわないぞ! 復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムは――!

 俺は全ての攻撃を正確にかわした。

悪魔の分身イビル・アバター

 さっきと同じパターンだ。マカロフ卿は合計6人になって俺の体に必死に触れようとしていた。

「いい加減にしろ!」

 俺は手を差し伸べてくるマカロフ卿の腕に触れた。ここまで怯えているのは本当のマカロフ卿ではないだろう。そう思って俺の復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムを発動させると1人のマカロフ卿は爆発した。完全に姿を消したのでどうやら分身で合っていたらしい。それにより、残っているマカロフ卿は一旦後ろに下がった。

「貴様――私の……」

 ここで一発本体に仕掛けておいて復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムを発動させるか……。いや、まだ早い。今行っても立ち上がってきそうな気がする――。

 そう思っていると、猛毒の雫ベノム・ドロップを仕込んでおいたスペツナズナイフが射出された。

 俺はそれを見切って避けた。分身であろうマカロフ卿が俺の背後に回り込んでいた。俺は上に手を上げるとマカロフ卿は「あ?」と声を漏らしていた。俺達の上に20m程の岩山を5個落とした。まるで隕石の如く降って来る岩山だ――避けざるを得ないだろう。

「ふざけるな! 自爆するつもりか!?」

 そう分身かもしれないマカロフ卿はそう言って俺から距離をとった。他の4人のマカロフ卿も舌打ちをしながら俺から離れる。

「自爆? そんな事しないよ」

 俺は落とした岩山はちょうど俺を囲うようにして落下してくる。ちょうどいいブラインドだ。俺の姿が見えなくなった時のタイミングで転移テレポートイヤリングを使ってマカロフ卿の後ろの取った。

「なっ――!?」

「遅いぞ」

 俺が手でマカロフ卿の背中に触れた後、蹴りで突き飛ばす。そして爆破――!

 どうやらこれも分身だったらしい。まあ本物なら復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムの性質上、仕掛けられている人間に重複して仕掛けることはできないからな。そう考えるといい実験になった。転移テレポートイヤリングはどうやら分身も含むらしい。

 そして岩山に関しては、俺が不要だと念じたので消えていた。

「もういいか。やってみよう」

 4人のマカロフ卿が俺を睨んできているところ、俺は復讐の時限爆弾リベンジ・タイムボムの効果を発動させた。俺を睨んでいる4人のマカロフ卿は横に並んでいる――。その中で中央にいたマカロフ卿が大爆発を起こした。

 まるでミサイルをぶち込んだかのような大爆発と鼓膜を突き破りそうな轟音――。

 花火のような閃光と共に真紅の炎が辺りを包み込んだ。

 仕掛けた張本人の俺ですら焦る威力だ。

 幸いにも俺とマカロフ卿の戦闘は皆と500m程離れていた。流石にユニークスキルでアルティメットスキルのように数キロにも及ぶ爆発とまではいかないので、近くにいても吹き飛ばされるくらいで大ダメージを与えるような威力ではなかった。それにカバーはネオンさんがやってくれていたので一安心だ。

 ベリトやフィオナも驚いているけど、レンさん達も相当驚いていた。威力だけで言うとアルティメットスキルとアクティブスキルの中間くらいだもんな。これがユニークスキルって最強すぎないか?

 俺がそう思っていると爆炎の中から人影が現れた。

「おいおい冗談はよしてくれ」

 俺は思わず苦笑いをした。全身火傷で上に着ていたスーツは完全にボロボロだが、闘争心はまだ消えていないマカロフ卿がいたからだ。

「ぶっ潰してやる。この森をな!」

 そうマカロフ卿は怒号を散らして掌を上空に向けた。

「一体何をする気だっ――!?」

 俺はこの時のマカロフ卿の異様な殺意と悪意――それに加えて禍々しく邪悪なエネルギーが集中していたからだ。仮にも戦闘値だけではマカロフ卿より上の俺だ――。その俺がアヌビスを見た時よりも体全身が恐怖している。悪い予感しかしない――。

 そう思うと俺はマカロフ卿の後ろに転移テレポートイヤリングを使って回り込んだ。俺がその手を掴もうとしたとき――。

終幕の宴グラウンドゼロ――!」

 マカロフ卿の手から3つの核爆弾が射出された――。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

処理中です...