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ヴァース島の鍾乳洞Ⅰ
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「ここがそうなの?」
「情報によるとそうらしいな」
私達はメルム・ヴィジャを倒したあの1日後、森の中にいる魔物から得た情報で、世界樹から半径10km以内のこの辺りにあるという隠し通路を見つけた。魔物曰く、夜になるとこの辺りで人が突如姿を現すから怪しいと思っているとのことだった。
情報通り、巨人が入れるくらいの大きさの隠し通路を見つけた。巨人が入ることができるので、隠し通路というより、人間の私からすれば巨大な落とし穴にしか見えない。けれども隠し通路というだけあってちゃんと階段はある。
「この姿で入ることができる隠し通路とは珍しいな」
ランベリオンも単語 飛竜の姿のまま四足歩行で歩いているのでどこか楽しそうではあった。その背中に私が乗っているという状態だ。
勿論、正面は暗いし背中の隅に移動して階段1つ1つにしても、私達が普段歩いている道くらい奥行と幅があるので驚きだ。
「それにしてもジャック殿はよくこんな道を見つけたな」
「たまたまだ。道に違和感を感じて土を避けて確認しただけさ」
「我は見つけられない気がする」
「私もよ。だって結構カモフラージュされていたからね。透視のスキルが無いと無理かも」
「土の踏み方のちょっとした違和感だ。まあ慣れていないのであれば、土を踏んだ感触なんて分からないがな」
そう話をしていていると隠し通路の扉が閉まった。まあ隠し通路の扉と言うより、巨大な土のシェルターというのが正しいけど。
「勝手に閉まるの!?」
「隠し通路という訳だから勝手に閉まっても可笑しくはないだろう」
「何でアンタそんなに順応性高いのよ」
「我はうぬより冒険をしているからな」
と、ランベリオンがそう高笑いをしていると――。
「ここは敵の基地かもしれんのだぞ。静かにしろ」
と、ジャックさんに言われていたのでランベリオン「すまん」と言って凹んでいた。
数分歩くとライトが照らされており、左側には川が流れている空間へと出て来た。辺りを見渡す限りここは鍾乳洞のようだ。
「綺麗な所ね」
隠し通路と言えど人が通るということもあり、しっかりと道には巨大な松明が鍾乳洞を照らしていた。
「熱いわね」
「巨人サイズだからな」
私達は橋を渡り歩いていると川には魚などの生物もいた。でも魚といっても大きさは凄く大きい。全長3m程だから、アマゾンにいるピラルクのような魚がこの透明で綺麗な水に沢山いたからだ。
「美味しそうな魚ばかりだな」
ランベリオンは涎垂らしながらそう言っていた。
「さっき朝食を食べたばかりだろ」
「この姿でいると直ぐにお腹が減るのだ。仕方ないだろう」
「困った奴だな」
ジャックさんの言う通りだ。できれば人型化の状態で過ごしてほしいけど、その状態になると歩幅が一気に小さくなっちゃうから、どうしても遠く感じてしまう。
「あそこが出口のようだ」
20分程歩くと奥から光が差し込んできた。
「ほお!」
鍾乳洞を抜けて出て来た広い空間――床はレンガで造られている広々とした空間だった。そんな空間に2つの特徴的なものがあった。
「石碑があるぞ!」
ランベリオンがそう言ったのは高さ5m程の巨大な石碑だった。
「それに何かの樹の幹ね」
私がそう言っているとジャックさんが木の幹と石碑に近付いた。樹の幹に関しては天井を突き抜けていた。
「この文字は何だ?」
ランベリオンが珍しく首を傾げていた。ジャックさんも同様の反応だ。どうやらこの島でも使われていない文字らしい。けれども、私にはこの文字には見覚えがあった。どこか英語に似ている気がするのだ。
「一体何だったか思い出せない……こういう時タテワキさんがいれば分かるかもしれないのに!」
「何だ? ミユキ殿見覚えあるのか?」
「ええ――ランベリオンなら分かるかもしれないけど、この文字英語に似ているわよね?」
私がそう言うとランベリオンは石碑に近付いて「むむ――」と唸っていた。
「確かに似ているな。しかしこんな文字見たこと無いぞ?」
「俺もだ。ヴァース島ではこのような文字を使わないからな。元々この島がこの世界の始まりとされている。それが全世界の共通言語だから、我々が特別に使っている言葉などない」
「いや、ちょくちょくあるでしょ。原則は共通言語かもしれないけど」
私がそう言うとジャックさんは小声で。
「少し面倒な女だな」
とランベリオンに同意を求めていた。
「お――おう」
って頷いているし。
「しかしこんなところに石碑があるなんて一体何を示しているのかしら」
「もしかしたら、創世についての手がかりがあるかもしれないわね」
「それに楽園についての情報もあるかもしれない」
私達がそう考察をしているとジャックさんは首を左右に振った。
「わざわざ楽園に関する情報をこの石碑に刻むだろうか? そもそもここがどこか分からない以上、二人が探している情報とは限らない。もっと別の何かかもしれないぞ?」
「確かにそうね――じゃあ一体何の?」
「この島にまつわる伝説とか?」
「確かにそれはありそう。でもそれは私達に関係あるのかしら?」
「歴史を知るにはいいんじゃないか? もしかしたらコヴィー・S・ウィズダムの本にも書いていないことかもしれない!」
そうランベリオンは興奮気味に話をしているので少し落ち着いてほしい。魔物とは思えない程知識に対して貪欲だ。
「情報によるとそうらしいな」
私達はメルム・ヴィジャを倒したあの1日後、森の中にいる魔物から得た情報で、世界樹から半径10km以内のこの辺りにあるという隠し通路を見つけた。魔物曰く、夜になるとこの辺りで人が突如姿を現すから怪しいと思っているとのことだった。
情報通り、巨人が入れるくらいの大きさの隠し通路を見つけた。巨人が入ることができるので、隠し通路というより、人間の私からすれば巨大な落とし穴にしか見えない。けれども隠し通路というだけあってちゃんと階段はある。
「この姿で入ることができる隠し通路とは珍しいな」
ランベリオンも単語 飛竜の姿のまま四足歩行で歩いているのでどこか楽しそうではあった。その背中に私が乗っているという状態だ。
勿論、正面は暗いし背中の隅に移動して階段1つ1つにしても、私達が普段歩いている道くらい奥行と幅があるので驚きだ。
「それにしてもジャック殿はよくこんな道を見つけたな」
「たまたまだ。道に違和感を感じて土を避けて確認しただけさ」
「我は見つけられない気がする」
「私もよ。だって結構カモフラージュされていたからね。透視のスキルが無いと無理かも」
「土の踏み方のちょっとした違和感だ。まあ慣れていないのであれば、土を踏んだ感触なんて分からないがな」
そう話をしていていると隠し通路の扉が閉まった。まあ隠し通路の扉と言うより、巨大な土のシェルターというのが正しいけど。
「勝手に閉まるの!?」
「隠し通路という訳だから勝手に閉まっても可笑しくはないだろう」
「何でアンタそんなに順応性高いのよ」
「我はうぬより冒険をしているからな」
と、ランベリオンがそう高笑いをしていると――。
「ここは敵の基地かもしれんのだぞ。静かにしろ」
と、ジャックさんに言われていたのでランベリオン「すまん」と言って凹んでいた。
数分歩くとライトが照らされており、左側には川が流れている空間へと出て来た。辺りを見渡す限りここは鍾乳洞のようだ。
「綺麗な所ね」
隠し通路と言えど人が通るということもあり、しっかりと道には巨大な松明が鍾乳洞を照らしていた。
「熱いわね」
「巨人サイズだからな」
私達は橋を渡り歩いていると川には魚などの生物もいた。でも魚といっても大きさは凄く大きい。全長3m程だから、アマゾンにいるピラルクのような魚がこの透明で綺麗な水に沢山いたからだ。
「美味しそうな魚ばかりだな」
ランベリオンは涎垂らしながらそう言っていた。
「さっき朝食を食べたばかりだろ」
「この姿でいると直ぐにお腹が減るのだ。仕方ないだろう」
「困った奴だな」
ジャックさんの言う通りだ。できれば人型化の状態で過ごしてほしいけど、その状態になると歩幅が一気に小さくなっちゃうから、どうしても遠く感じてしまう。
「あそこが出口のようだ」
20分程歩くと奥から光が差し込んできた。
「ほお!」
鍾乳洞を抜けて出て来た広い空間――床はレンガで造られている広々とした空間だった。そんな空間に2つの特徴的なものがあった。
「石碑があるぞ!」
ランベリオンがそう言ったのは高さ5m程の巨大な石碑だった。
「それに何かの樹の幹ね」
私がそう言っているとジャックさんが木の幹と石碑に近付いた。樹の幹に関しては天井を突き抜けていた。
「この文字は何だ?」
ランベリオンが珍しく首を傾げていた。ジャックさんも同様の反応だ。どうやらこの島でも使われていない文字らしい。けれども、私にはこの文字には見覚えがあった。どこか英語に似ている気がするのだ。
「一体何だったか思い出せない……こういう時タテワキさんがいれば分かるかもしれないのに!」
「何だ? ミユキ殿見覚えあるのか?」
「ええ――ランベリオンなら分かるかもしれないけど、この文字英語に似ているわよね?」
私がそう言うとランベリオンは石碑に近付いて「むむ――」と唸っていた。
「確かに似ているな。しかしこんな文字見たこと無いぞ?」
「俺もだ。ヴァース島ではこのような文字を使わないからな。元々この島がこの世界の始まりとされている。それが全世界の共通言語だから、我々が特別に使っている言葉などない」
「いや、ちょくちょくあるでしょ。原則は共通言語かもしれないけど」
私がそう言うとジャックさんは小声で。
「少し面倒な女だな」
とランベリオンに同意を求めていた。
「お――おう」
って頷いているし。
「しかしこんなところに石碑があるなんて一体何を示しているのかしら」
「もしかしたら、創世についての手がかりがあるかもしれないわね」
「それに楽園についての情報もあるかもしれない」
私達がそう考察をしているとジャックさんは首を左右に振った。
「わざわざ楽園に関する情報をこの石碑に刻むだろうか? そもそもここがどこか分からない以上、二人が探している情報とは限らない。もっと別の何かかもしれないぞ?」
「確かにそうね――じゃあ一体何の?」
「この島にまつわる伝説とか?」
「確かにそれはありそう。でもそれは私達に関係あるのかしら?」
「歴史を知るにはいいんじゃないか? もしかしたらコヴィー・S・ウィズダムの本にも書いていないことかもしれない!」
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