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巨人と亜人Ⅱ
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そのスイングは正直に言うと速すぎた。私は咄嗟に星光の聖壁を展開した、これは手をかざすと魔法陣が出現し、その魔法陣がアクティブスキルや物理攻撃を防ぐというものだ。簡潔に言えば、星光の聖域の下位互換で、主に自分の身だけを守る時に使うアクティブスキル。勿論、星光の聖域よりもMPの消費は低いが――。
「どれだけ馬鹿力なのよ!」
私はアグリオスの馬鹿力に押されていた。星光の聖域とは原則、如何なる攻撃も防ぐいうスキルだ。対して、このスキルは展開している正面しか防ぐことができない上に、如何なる攻撃も防ぐと言ったスキルではない。なので、当然自分より戦闘値が高い人が敵だとこうなってしまう。
「ぐぬぬぬ――小娘。なかなかやるな」
アグリオスは眉間に皺を寄せてさらに力を入れた。その瞬間一気に押されそうになった。マズいマズい。こんな馬鹿デカイ槍を喰らったらミンチになっちゃう!
もはや生と死の瀬戸際。ノア君の重量操作と火事場の馬鹿力があれば絶対に勝てるのに――! と無いものねだりをしてしまう。
苦戦をしているところ、何故か一気に力が湧いてきた。ちらっと下を見るとアリシアさんが微笑んでくれたので、強化をかけてくれたようだ。
私は星光の聖壁を押し込むとアグリオスは「何!?」と言いながら後ろにのけぞった。チャンスだ!
態勢を崩したアグリオスの顔面に向かって、レイピアで態勢を崩したアグリオスを畳みかける
「流星突き!」
強化もかかっているし、自分の身体向上もある影響だろうか――。カルベリアツリーのダンジョンにいたあの龍騎士に近い剣速なんじゃないだろうか? いや流石にそれは無いけど、今までで一番速い検速での流星突きだった。30回の突き攻撃は1秒もかからず終わってしまった。
「グアアア――!」
私は遠慮なくアグリオスの右目に突きを入れたので、当然この巨人は右目を失明してしまった。これも絶対切断のお陰である。目からはスプリンクラーの如く血が噴射しており、人間だと即死レベルだろう。体が大きいだけあって血の量も半端じゃない。
「き……貴様――!」
アグリオスはそう言って地面をしっかり踏んで耐えた。反撃を仕掛けようとしてきたので私はアグリオスの顔面に掌を向けた。
「燦爛の光線!」
掌から極大で美しく輝く光を放つと、それはアグリオスの顔面に直撃。アグリオスの顔は見事な焼けっぷりだ。皮膚が数ヶ所焼きただれている。
「よしっ!」
私はこの機会を逃がすまいと次の攻撃に移ろうとした時だった――!
「ミク様! 左!」
アリシアさんの声から取れる焦り。私が左を見た時にはもう遅かった。巨大すぎる拳がすでに視界を覆っていた。
意識が一瞬飛んだのは言うまでもない。ただ、言えるのは天使の翼を展開した状態で凄い勢いで吹き飛んでいるということ。
勿論、体中が泣きたくなるほど痛い。これだけ肉体的に痛い思いをしたのは初めてだ。顔以外の骨が全て砕かれたんじゃないかと言う程の激痛が全身を巡る。
私は気合いを入れて天使の翼の翼の動きを駆使してやっと止まった。眼下を見ると飛竜達が心配そうにこっちを見ている。相当飛んだ――。
「っつ……」
痛すぎる――。私は急ぎ回復を行いバラバラに砕けているであろう骨を再生した。ただ、回復をしたからといって体力を回復するわけではないので、一気に疲れた気がした。
「絶対に子供産むときより痛かった――体験したことないけど」
と、自分でも訳の分からないことを漏らしていた。
そう思っていると正面から赤いエネルギー波が飛んできた。確か鑑定士で視た時に、見たことがないアクティブスキルがあった。名前は確か破壊の滅殺光だ。
赤く巨大なエネルギー波は禍々しく邪気に満ちた黒い雷を纏っている。それこそ私の創世の超光星ばりの大きさがあるので当然凄い迫力だ。けどこんなものは私の耳に付いているこれで――。
「なっ――!」
私は転移イヤリングを使ってアグリオスの頭に移動した後、脇差に差している刀で風林一閃を繰り出した。私が放ったアクティブスキルの居合斬りは見事にアグリオスの首を斬りつけた。
先程、右目の視力を奪った時と同様、出血量は隣にいる巨人にもかかるくらいの量だった。
首を切られたアグリオスは巨体を地面に叩きつけた。
ドシン! という音を立てて地面に倒れる。当然、こんな巨大な人が倒れるわけだからアリシアさん達は大慌てで横にはけた。
「凄い」
「流石ミク様――!」
と、下でザワザワとしている。当然、今の攻撃では死なないだろう。
「皆! そこから離れて!」
私はそう言いながら、アグリオスの手を向けて照準を合わせる。そして精神を統一させて私の大量のMPをこの手に込める。
すると、アリシアさんが「はっ!」と言って皆を避難させた。
「防衛のスキルを使って下さい! 星光の聖域を使える人は準備をして下さい!」
そう言って指示をしていたけど、星光の聖域は使える人少ないからな――。
「いい感じに溜まった!」
自分の手にはものすごいエネルギーが溜まっているのを感じた。これなら倒せる――!
「創世の超光星!」
巨大の光が螺旋を描きながらアグリオスの頭を目掛けて飛んでいった――!
「どれだけ馬鹿力なのよ!」
私はアグリオスの馬鹿力に押されていた。星光の聖域とは原則、如何なる攻撃も防ぐいうスキルだ。対して、このスキルは展開している正面しか防ぐことができない上に、如何なる攻撃も防ぐと言ったスキルではない。なので、当然自分より戦闘値が高い人が敵だとこうなってしまう。
「ぐぬぬぬ――小娘。なかなかやるな」
アグリオスは眉間に皺を寄せてさらに力を入れた。その瞬間一気に押されそうになった。マズいマズい。こんな馬鹿デカイ槍を喰らったらミンチになっちゃう!
もはや生と死の瀬戸際。ノア君の重量操作と火事場の馬鹿力があれば絶対に勝てるのに――! と無いものねだりをしてしまう。
苦戦をしているところ、何故か一気に力が湧いてきた。ちらっと下を見るとアリシアさんが微笑んでくれたので、強化をかけてくれたようだ。
私は星光の聖壁を押し込むとアグリオスは「何!?」と言いながら後ろにのけぞった。チャンスだ!
態勢を崩したアグリオスの顔面に向かって、レイピアで態勢を崩したアグリオスを畳みかける
「流星突き!」
強化もかかっているし、自分の身体向上もある影響だろうか――。カルベリアツリーのダンジョンにいたあの龍騎士に近い剣速なんじゃないだろうか? いや流石にそれは無いけど、今までで一番速い検速での流星突きだった。30回の突き攻撃は1秒もかからず終わってしまった。
「グアアア――!」
私は遠慮なくアグリオスの右目に突きを入れたので、当然この巨人は右目を失明してしまった。これも絶対切断のお陰である。目からはスプリンクラーの如く血が噴射しており、人間だと即死レベルだろう。体が大きいだけあって血の量も半端じゃない。
「き……貴様――!」
アグリオスはそう言って地面をしっかり踏んで耐えた。反撃を仕掛けようとしてきたので私はアグリオスの顔面に掌を向けた。
「燦爛の光線!」
掌から極大で美しく輝く光を放つと、それはアグリオスの顔面に直撃。アグリオスの顔は見事な焼けっぷりだ。皮膚が数ヶ所焼きただれている。
「よしっ!」
私はこの機会を逃がすまいと次の攻撃に移ろうとした時だった――!
「ミク様! 左!」
アリシアさんの声から取れる焦り。私が左を見た時にはもう遅かった。巨大すぎる拳がすでに視界を覆っていた。
意識が一瞬飛んだのは言うまでもない。ただ、言えるのは天使の翼を展開した状態で凄い勢いで吹き飛んでいるということ。
勿論、体中が泣きたくなるほど痛い。これだけ肉体的に痛い思いをしたのは初めてだ。顔以外の骨が全て砕かれたんじゃないかと言う程の激痛が全身を巡る。
私は気合いを入れて天使の翼の翼の動きを駆使してやっと止まった。眼下を見ると飛竜達が心配そうにこっちを見ている。相当飛んだ――。
「っつ……」
痛すぎる――。私は急ぎ回復を行いバラバラに砕けているであろう骨を再生した。ただ、回復をしたからといって体力を回復するわけではないので、一気に疲れた気がした。
「絶対に子供産むときより痛かった――体験したことないけど」
と、自分でも訳の分からないことを漏らしていた。
そう思っていると正面から赤いエネルギー波が飛んできた。確か鑑定士で視た時に、見たことがないアクティブスキルがあった。名前は確か破壊の滅殺光だ。
赤く巨大なエネルギー波は禍々しく邪気に満ちた黒い雷を纏っている。それこそ私の創世の超光星ばりの大きさがあるので当然凄い迫力だ。けどこんなものは私の耳に付いているこれで――。
「なっ――!」
私は転移イヤリングを使ってアグリオスの頭に移動した後、脇差に差している刀で風林一閃を繰り出した。私が放ったアクティブスキルの居合斬りは見事にアグリオスの首を斬りつけた。
先程、右目の視力を奪った時と同様、出血量は隣にいる巨人にもかかるくらいの量だった。
首を切られたアグリオスは巨体を地面に叩きつけた。
ドシン! という音を立てて地面に倒れる。当然、こんな巨大な人が倒れるわけだからアリシアさん達は大慌てで横にはけた。
「凄い」
「流石ミク様――!」
と、下でザワザワとしている。当然、今の攻撃では死なないだろう。
「皆! そこから離れて!」
私はそう言いながら、アグリオスの手を向けて照準を合わせる。そして精神を統一させて私の大量のMPをこの手に込める。
すると、アリシアさんが「はっ!」と言って皆を避難させた。
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