273 / 597
第2ラウンドⅠ
しおりを挟む
「何が起きたんだ? ミクちゃん」
俺が見た光景はマーズベルの戦士達のほとんどがやられていた。ベリト、フィオナ、レンさん、アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさんはボロボロの体になりながらも辛うじて立ち上がっているところだった。対して、あっちは大きく息を切らしながらもレイや、スーも入れた戦力は30人程だった。唯一無傷なのにはミクちゃんだけ。
「あれを見て」
敵の集団の中から睨みを利かせて歩み寄って来たのは俺が倒したはずのマカロフ卿だった。とは言ってもあの状態でこんなにも早く復活するとは思わなかったが――。と、言う事はマカロフ卿を止めることができる人間がいなかったので、俺がいない間に一気に押されたのか。
「流石に戦況的に不利だよね」
「そうだな」
「回復をしても正直体はボロボロですわ」
レンさんはそう言って苦笑いを浮かべていた。マカロフ卿の攻撃を受けることでいっぱいなのだろう。
するとマーズベルの森の奥の方から地風竜や、電黒狼、グァイアスなどの怪鳥が沢山来た。その多さは明らかに倒れている戦士達を運ぶことができるほどの魔物の数だった。当然それを統率しているのは。
「ナリユキお待たせ! 遅れてごめんね!」
そう言って電黒狼に乗って来たノアだった。
「ありがとう。とりあえず倒された皆を安全な所へ運んでやってくれ」
「そのつもりで来たから大丈夫だよ」
魔物達は倒れている皆を自分の背中などに乗せて森の中へ戻ろうとしていた。
「させん。やれ!」
マカロフ卿の命令でマーズベルの魔物達にスキル攻撃を仕掛けようとする敵軍。
「ミクちゃん! ネオンさん!」
俺の掛け声に2人は横幅数km、高さ50m程の大型のバリアーを展開した。勿論、こんな大型のバリアーを展開すれば2人のMPの消費量は多い。
「ボクも久々に暴れるよ。ナリユキも結構疲れているようだし」
ノアはそう言いながら小石を敵軍に投げつけた。その凄まじい威力と速さを持つ小石は敵兵数人に直撃。結果として敵兵が立てなくなるほどの大ダメージを負わせた。
「音のような速さの石ころだと?」
「アイツ。ボクとキャラ被ってない? 一人称も同じだしムカつく」
「アイツはノアって名前のガキだ。舐めてかかると痛い目に見るぞ。カルベリアツリーのダンジョンのボスだからな」
「他の皆がたかが石ころで戦闘不能になるくらいだもんね。やってくれる」
「奴を仕留めろ。お前ならできる」
「分かった」
すると、スーはそう言って先陣を切って突っ込んできた。
「ナリユキ。あれはボクがやる」
「任せた」
俺がそう言うと、ノアがスーの迎撃しに行った。
「アヌビスは何もしてこないんだね」
「ああ――多分この人間同士の醜い争いを見届ける気なのだろう。まあ出て来られたら敗走も考えないといけないけど」
「だね。結局今の実力じゃ、マカロフ卿もアヌビスも止める事ができる人はナリユキ君だけだし」
「だな。ミクちゃんは状況を見ながらでいいけど、ネオンさんと同じサポート役にメインで回ってくれ」
「分かった。回復と強化を与えていればいいのね?」
「そういうことだ。ヤバそうな人がいたら、そこにバリアーと張ってサポートもしてくれ」
「いいよ。頑張ってね」
「ああ」
こうして俺の隣にはベリトとレンさんが両脇についてくれた。
「まだまだ行けます。お供させて下さいナリユキ様」
「国主さんが先頭に立ってるんやったらもっと気張らないとな。ノーディルス、アズサ! 準備はええか?」
「勿論」
「任せろ」
俺が走り始めると皆は俺の後についてきた。
「突撃だ!」
マカロフ卿が号令をかけながら真っ先に俺の方へ向かって来た。「おお~!」と気合いの入った声は、こっち側の戦力を大幅に削ったことにより、士気が高まり腹から声が出ているようだった。
「ナリユキ・タテワキ!」
「ジェノーバ・マカロフ!」
俺達はそうフルネームで呼び合い互いの拳をぶつけ合った。この分からず屋をどうにかして捕縛して本当の敵は誰かを叩きこまないといけなかった。
「メリーザがやられたんだろ? なら、狙うべき敵は俺じゃない!」
「まだほざくのか!」
マカロフ卿はそう言った後、俺の左腰にかけているホルスターからマカロフを取り出して俺の脚に撃ってきた。勿論、俺は直撃したので痛いが――。
「俺の戦闘値舐めているだろ?」
俺がそう言うとマカロフ卿は「何だと?」とドスの効いた声で睨みつけてきた。俺がグッと力を入れるとマカロフ卿の拳はゴリッ! という鈍い音を立てた。
「馬鹿な! 私は元軍人だぞ!?」
さっきの攻撃でマカロフ卿の手は腫れてしまっている。「痛い!」と思ったのは勿論の事だろう。一瞬気が緩んでいたので俺はそのままマカロフ卿を拳で押し込んだ。
マカロフ卿が体を後ろにのけぞったのを確認すると、俺は手からポンプアクション式ショットガンのレミントンM870を出して放った。狙うのは足だ。鋼の体Ⅴと言えど、同じ箇所に何発も攻撃を入れられると後々苦しくなってくるに違いない。
「おのれナリユキ・タテワキ!」
マカロフ卿がそう言ってきたので、足にもう一発お見舞いした。ポンプアクションじゃあリロード時間長いの厳しいかもしれない。俺はレミントンM870を消してAA-12の二挺持ちでマカロフ卿の足を狙って連射した。
俺が見た光景はマーズベルの戦士達のほとんどがやられていた。ベリト、フィオナ、レンさん、アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさんはボロボロの体になりながらも辛うじて立ち上がっているところだった。対して、あっちは大きく息を切らしながらもレイや、スーも入れた戦力は30人程だった。唯一無傷なのにはミクちゃんだけ。
「あれを見て」
敵の集団の中から睨みを利かせて歩み寄って来たのは俺が倒したはずのマカロフ卿だった。とは言ってもあの状態でこんなにも早く復活するとは思わなかったが――。と、言う事はマカロフ卿を止めることができる人間がいなかったので、俺がいない間に一気に押されたのか。
「流石に戦況的に不利だよね」
「そうだな」
「回復をしても正直体はボロボロですわ」
レンさんはそう言って苦笑いを浮かべていた。マカロフ卿の攻撃を受けることでいっぱいなのだろう。
するとマーズベルの森の奥の方から地風竜や、電黒狼、グァイアスなどの怪鳥が沢山来た。その多さは明らかに倒れている戦士達を運ぶことができるほどの魔物の数だった。当然それを統率しているのは。
「ナリユキお待たせ! 遅れてごめんね!」
そう言って電黒狼に乗って来たノアだった。
「ありがとう。とりあえず倒された皆を安全な所へ運んでやってくれ」
「そのつもりで来たから大丈夫だよ」
魔物達は倒れている皆を自分の背中などに乗せて森の中へ戻ろうとしていた。
「させん。やれ!」
マカロフ卿の命令でマーズベルの魔物達にスキル攻撃を仕掛けようとする敵軍。
「ミクちゃん! ネオンさん!」
俺の掛け声に2人は横幅数km、高さ50m程の大型のバリアーを展開した。勿論、こんな大型のバリアーを展開すれば2人のMPの消費量は多い。
「ボクも久々に暴れるよ。ナリユキも結構疲れているようだし」
ノアはそう言いながら小石を敵軍に投げつけた。その凄まじい威力と速さを持つ小石は敵兵数人に直撃。結果として敵兵が立てなくなるほどの大ダメージを負わせた。
「音のような速さの石ころだと?」
「アイツ。ボクとキャラ被ってない? 一人称も同じだしムカつく」
「アイツはノアって名前のガキだ。舐めてかかると痛い目に見るぞ。カルベリアツリーのダンジョンのボスだからな」
「他の皆がたかが石ころで戦闘不能になるくらいだもんね。やってくれる」
「奴を仕留めろ。お前ならできる」
「分かった」
すると、スーはそう言って先陣を切って突っ込んできた。
「ナリユキ。あれはボクがやる」
「任せた」
俺がそう言うと、ノアがスーの迎撃しに行った。
「アヌビスは何もしてこないんだね」
「ああ――多分この人間同士の醜い争いを見届ける気なのだろう。まあ出て来られたら敗走も考えないといけないけど」
「だね。結局今の実力じゃ、マカロフ卿もアヌビスも止める事ができる人はナリユキ君だけだし」
「だな。ミクちゃんは状況を見ながらでいいけど、ネオンさんと同じサポート役にメインで回ってくれ」
「分かった。回復と強化を与えていればいいのね?」
「そういうことだ。ヤバそうな人がいたら、そこにバリアーと張ってサポートもしてくれ」
「いいよ。頑張ってね」
「ああ」
こうして俺の隣にはベリトとレンさんが両脇についてくれた。
「まだまだ行けます。お供させて下さいナリユキ様」
「国主さんが先頭に立ってるんやったらもっと気張らないとな。ノーディルス、アズサ! 準備はええか?」
「勿論」
「任せろ」
俺が走り始めると皆は俺の後についてきた。
「突撃だ!」
マカロフ卿が号令をかけながら真っ先に俺の方へ向かって来た。「おお~!」と気合いの入った声は、こっち側の戦力を大幅に削ったことにより、士気が高まり腹から声が出ているようだった。
「ナリユキ・タテワキ!」
「ジェノーバ・マカロフ!」
俺達はそうフルネームで呼び合い互いの拳をぶつけ合った。この分からず屋をどうにかして捕縛して本当の敵は誰かを叩きこまないといけなかった。
「メリーザがやられたんだろ? なら、狙うべき敵は俺じゃない!」
「まだほざくのか!」
マカロフ卿はそう言った後、俺の左腰にかけているホルスターからマカロフを取り出して俺の脚に撃ってきた。勿論、俺は直撃したので痛いが――。
「俺の戦闘値舐めているだろ?」
俺がそう言うとマカロフ卿は「何だと?」とドスの効いた声で睨みつけてきた。俺がグッと力を入れるとマカロフ卿の拳はゴリッ! という鈍い音を立てた。
「馬鹿な! 私は元軍人だぞ!?」
さっきの攻撃でマカロフ卿の手は腫れてしまっている。「痛い!」と思ったのは勿論の事だろう。一瞬気が緩んでいたので俺はそのままマカロフ卿を拳で押し込んだ。
マカロフ卿が体を後ろにのけぞったのを確認すると、俺は手からポンプアクション式ショットガンのレミントンM870を出して放った。狙うのは足だ。鋼の体Ⅴと言えど、同じ箇所に何発も攻撃を入れられると後々苦しくなってくるに違いない。
「おのれナリユキ・タテワキ!」
マカロフ卿がそう言ってきたので、足にもう一発お見舞いした。ポンプアクションじゃあリロード時間長いの厳しいかもしれない。俺はレミントンM870を消してAA-12の二挺持ちでマカロフ卿の足を狙って連射した。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる