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来襲Ⅰ
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あれからラングドールを帰した数日後。リーズの助言により新薬を開発をしていた。その新薬を作るベースとなったのは、滅菌Ⅴと幻幽蝶を持つ人間から血液採取を行って研究した結果、それに近い細胞をマーズベルにある素材で作ることができるという結果に至った。
そんなバタバタで且つ、主要戦力の、アマミヤ、ランベリオン、ベルゾーグ、アリスの4人が抜けているという状況でベリトから嫌な報告を受けた。
「ナリユキ様――なにやら、クインドッド平原でオスプレイを見かけたとの情報がありました」
ベリトの突然の報告に俺は頭を抱えた。多かれ少なかれこうなることは分かっていたが――。
「マカロフ卿か――」
「ええ。クインドッド平原にも魔物がいますが、空だと魔物達の時間稼ぎになりません。時期にマーズベルに到着することでしょう」
ベリトは淡々とそう報告をしてくれているが内心では焦っているのが分かる。ベリトの頭にはマカロフ卿だけではなくアヌビスがもしいたら――という危険性も視野に入れているのだろう。当然のことだ。
「アヌビスはいるのか?」
「恐らくいるでしょう――森妖精の報告では強大なパワーが2つに、それを遥かに超えるパワーが1つあると報告を受けました。他にもパワーが大きいものがありますが、この3つが特に凄いとのことです」
「その他のパワーが凄いってのは何個あったんだ?」
「2つです。その他は小さいパワーだったので兵士だと思われます」
「一人欠けているのか――一体誰が来ていないんだ? マカロフ卿、アヌビス、ワイズは確実で、メリーザ、レイ、スーの誰かが欠けている」
「いかがなさいますか? 私はフィオナ達を連れてマーズベルに入る前に迎い撃ちます」
「レンさん達はどうだ?」
「先に行っています」
「そうか。なら俺も行く。アヌビスに勝てる人間は、いずれにせよ俺しかいない」
「力及ばず申し訳ございません。ナリユキ様の御力を借りるなど本来あっては――」
と、何か凄いネガティブな事を言いそうになったので。
「いやいや。戦闘値7,000の奴を止めろとは言わんさ。戦える人間が戦えばいいだけの話。まあ今度こそは油断しないけどな。俺はアリシアに指示を出してミクちゃんと後から合流する。マーズベルには絶対入れさせるな」
「かしこまりました」
ベリトはそう言い残すとこの場から姿を消した。
《アリシア聞こえるか?》
《はいナリユキ様》
《どうやらマカロフ卿のオスプレイがクインドッド平原で確認されたらしい。あと数分もすればマーズベルの領空内に入るだろう。アリシアは市民をミーシャ達と避難誘導してくれ。避難先はマーズベル山脈がいいな。念話でロドベルト達と上手く連携をとって、ワイバーンの住処に避難するんだ》
《かしこまりました。その後に援護に行けばいいですか?》
《ああ。戦闘員はできるだけ来てくれ》
《かしこまりました。くれぐれも気を付けて下さい》
《ありがとう。頼んだぞアリシア》
《お任せください》
俺はアリシアとの念話が終わった後、病院内にいるミクちゃんの所へ転移イヤリングを使って医療施設内へと訪れた。
ミクちゃんは施設内を見回って患者達の様子を看ていた。
「あ――ナリユキ君。どうしたの? 気難しそうな顔をして」
特に俺は意識をしていなかったが、マカロフ卿とアヌビスが強襲に来たという事実に焦っていたらしい。
「マカロフ卿達が来た」
すると、ミクちゃんは「ええ~!?」と大きな声をあげた。
「それ本当に?」
「ああ。クインドッド平原でオスプレイを見たという報告があってな。先にベリトやレン達が向かってる」
「分かった。リーズさん、私離れるけど大丈夫?」
「任せてくださいそれより患者は非難させますか?」
「ほとんどの人は大丈夫だろうが、中には今動かすとどうしてもマズいヴェドラウイルスの患者もいるだろ? ほとんどが治ったとはいえ、治っていない人もいるわけだし」
「そうですね。ナリユキ様の知性・記憶の略奪と献上で滅菌Ⅴのスキル付与ができない患者がいましたから――」
「ここは患者を下手に動かすより結界を張っておいたほうがいいだろう。しんどいだろうが、森妖精お得意の結界を張って、この施設には絶対に攻撃が通らないようにしておけ。何かあればミクちゃんにも瞬時に援護に行ってもらう」
「かしこまりました」
「いいな? ミクちゃん」
「勿論大丈夫だよ」
「じゃあ行ってくるぞ」
「ええ。ご武運を」
リーズにそう言われて俺とミクちゃんは転移イヤリングを使って施設内から姿を消した。思い浮かべていたのはレンさんだ。
「お、来るん早かったですね」
「まあな。ネオンさん、状況はどうかな?」
俺は目を瞑って精神を集中しているネオンさんにそう問いかけた。森妖精は目を瞑って両手を祈るようにすると、少し離れた敵の力をある程度測れるという特性を持っている。
「もうすぐに来ます。あと30秒ほどです」
「そうか。厳戒態勢に入るぞ。皆、準備はいいな?」
「任せといてください」
レンさんがそう言うと、アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさんも同じく返事をしてくれた。
「ナリユキ様。速かったですね」
そう言って森の中から出て来た軍団は、ベリトとフィオナを含めた人間、森妖精、猪戦士、牛獣人などの兵士達総勢1,000人だ。
「おお。俺とミクちゃんは転移イヤリング使って来たから速いけど、ベリト達も速くない?」
「急いできましたので」
フィオナがそう言って前に出て俺に会釈してくれた。
「そうか。助かるよ」
そう話をしているうちにオスプレイがそのまま突っ込んできた。
「ナリユキさん。誰もおれへんで?」
レンさんがそう言ってくれたので、突っ込んでくる無人のオスプレイを破壊できる。操縦者がいないってことだ。まあ何処に行ったのか分からんが。
「破壊しましょうか?」
「頼む」
ベリトは俺がそう言うと悪の破壊光を筆頭に、フィオナが破壊光線を発射。オスプレイは見事に爆発と共に粉々に消しとんだ。
「随分派手な歓迎だな。ナリユキ・タテワキ」
墜落したオスプレイをバックに歩いて来たのは、ただならぬ怨嗟を宿した目で俺を睨めつけてくるマカロフ卿だった。
そんなバタバタで且つ、主要戦力の、アマミヤ、ランベリオン、ベルゾーグ、アリスの4人が抜けているという状況でベリトから嫌な報告を受けた。
「ナリユキ様――なにやら、クインドッド平原でオスプレイを見かけたとの情報がありました」
ベリトの突然の報告に俺は頭を抱えた。多かれ少なかれこうなることは分かっていたが――。
「マカロフ卿か――」
「ええ。クインドッド平原にも魔物がいますが、空だと魔物達の時間稼ぎになりません。時期にマーズベルに到着することでしょう」
ベリトは淡々とそう報告をしてくれているが内心では焦っているのが分かる。ベリトの頭にはマカロフ卿だけではなくアヌビスがもしいたら――という危険性も視野に入れているのだろう。当然のことだ。
「アヌビスはいるのか?」
「恐らくいるでしょう――森妖精の報告では強大なパワーが2つに、それを遥かに超えるパワーが1つあると報告を受けました。他にもパワーが大きいものがありますが、この3つが特に凄いとのことです」
「その他のパワーが凄いってのは何個あったんだ?」
「2つです。その他は小さいパワーだったので兵士だと思われます」
「一人欠けているのか――一体誰が来ていないんだ? マカロフ卿、アヌビス、ワイズは確実で、メリーザ、レイ、スーの誰かが欠けている」
「いかがなさいますか? 私はフィオナ達を連れてマーズベルに入る前に迎い撃ちます」
「レンさん達はどうだ?」
「先に行っています」
「そうか。なら俺も行く。アヌビスに勝てる人間は、いずれにせよ俺しかいない」
「力及ばず申し訳ございません。ナリユキ様の御力を借りるなど本来あっては――」
と、何か凄いネガティブな事を言いそうになったので。
「いやいや。戦闘値7,000の奴を止めろとは言わんさ。戦える人間が戦えばいいだけの話。まあ今度こそは油断しないけどな。俺はアリシアに指示を出してミクちゃんと後から合流する。マーズベルには絶対入れさせるな」
「かしこまりました」
ベリトはそう言い残すとこの場から姿を消した。
《アリシア聞こえるか?》
《はいナリユキ様》
《どうやらマカロフ卿のオスプレイがクインドッド平原で確認されたらしい。あと数分もすればマーズベルの領空内に入るだろう。アリシアは市民をミーシャ達と避難誘導してくれ。避難先はマーズベル山脈がいいな。念話でロドベルト達と上手く連携をとって、ワイバーンの住処に避難するんだ》
《かしこまりました。その後に援護に行けばいいですか?》
《ああ。戦闘員はできるだけ来てくれ》
《かしこまりました。くれぐれも気を付けて下さい》
《ありがとう。頼んだぞアリシア》
《お任せください》
俺はアリシアとの念話が終わった後、病院内にいるミクちゃんの所へ転移イヤリングを使って医療施設内へと訪れた。
ミクちゃんは施設内を見回って患者達の様子を看ていた。
「あ――ナリユキ君。どうしたの? 気難しそうな顔をして」
特に俺は意識をしていなかったが、マカロフ卿とアヌビスが強襲に来たという事実に焦っていたらしい。
「マカロフ卿達が来た」
すると、ミクちゃんは「ええ~!?」と大きな声をあげた。
「それ本当に?」
「ああ。クインドッド平原でオスプレイを見たという報告があってな。先にベリトやレン達が向かってる」
「分かった。リーズさん、私離れるけど大丈夫?」
「任せてくださいそれより患者は非難させますか?」
「ほとんどの人は大丈夫だろうが、中には今動かすとどうしてもマズいヴェドラウイルスの患者もいるだろ? ほとんどが治ったとはいえ、治っていない人もいるわけだし」
「そうですね。ナリユキ様の知性・記憶の略奪と献上で滅菌Ⅴのスキル付与ができない患者がいましたから――」
「ここは患者を下手に動かすより結界を張っておいたほうがいいだろう。しんどいだろうが、森妖精お得意の結界を張って、この施設には絶対に攻撃が通らないようにしておけ。何かあればミクちゃんにも瞬時に援護に行ってもらう」
「かしこまりました」
「いいな? ミクちゃん」
「勿論大丈夫だよ」
「じゃあ行ってくるぞ」
「ええ。ご武運を」
リーズにそう言われて俺とミクちゃんは転移イヤリングを使って施設内から姿を消した。思い浮かべていたのはレンさんだ。
「お、来るん早かったですね」
「まあな。ネオンさん、状況はどうかな?」
俺は目を瞑って精神を集中しているネオンさんにそう問いかけた。森妖精は目を瞑って両手を祈るようにすると、少し離れた敵の力をある程度測れるという特性を持っている。
「もうすぐに来ます。あと30秒ほどです」
「そうか。厳戒態勢に入るぞ。皆、準備はいいな?」
「任せといてください」
レンさんがそう言うと、アズサさん、ノーディルスさん、ネオンさんも同じく返事をしてくれた。
「ナリユキ様。速かったですね」
そう言って森の中から出て来た軍団は、ベリトとフィオナを含めた人間、森妖精、猪戦士、牛獣人などの兵士達総勢1,000人だ。
「おお。俺とミクちゃんは転移イヤリング使って来たから速いけど、ベリト達も速くない?」
「急いできましたので」
フィオナがそう言って前に出て俺に会釈してくれた。
「そうか。助かるよ」
そう話をしているうちにオスプレイがそのまま突っ込んできた。
「ナリユキさん。誰もおれへんで?」
レンさんがそう言ってくれたので、突っ込んでくる無人のオスプレイを破壊できる。操縦者がいないってことだ。まあ何処に行ったのか分からんが。
「破壊しましょうか?」
「頼む」
ベリトは俺がそう言うと悪の破壊光を筆頭に、フィオナが破壊光線を発射。オスプレイは見事に爆発と共に粉々に消しとんだ。
「随分派手な歓迎だな。ナリユキ・タテワキ」
墜落したオスプレイをバックに歩いて来たのは、ただならぬ怨嗟を宿した目で俺を睨めつけてくるマカロフ卿だった。
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