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新ヴェドラウイスⅡ
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「で? 俺を呼んだという訳か?」
あれから全ての医師に知性・記憶の略奪と献上を行うと、レンさんを呼んでリーズの体を透視してもらった。先程聞いたミクちゃんからの報告で、50人の命が犠牲になっているというのは正直なところ苦痛でしかない――しかし、その尊い命は決して無駄にはしないと誓った。
そして――。
「ほ~ん。俺にはよう分からんけど確かに前見たんとちょい形状がちゃうな。まあ俺の記憶を奪ってもらったら早いやろ」
「そうだな。じゃあやるぞ?」
「あれやったら魔眼も一回奪ってみます? いちいちするんも俺も面倒やし」
「いいのか?」
「別にいいですよ。だって戻せるんでしょ?」
「スキルに関しては今まで上手くいっていたけど、100%上手くいくわけではないからな」
俺がそう言うとレンさんは間を空けて――。
「うん。止めてとこか。奪われてそのまま返ってこやんかったら困るし」
「そうだろ? とりあえずはヴェドラウイルスの情報だけでいい」
「了解や。いつでもええで」
レンさんにそう言われて俺は知性・記憶の略奪と献上を使用して、レンさんがつい先程入手したヴェドラウイルスに関する情報を奪った。一旦奪った後レンさんにすぐさま情報を共有する。
「もうこれ何回かやられているけどホンマに凄いよな。奪われたと思ったら元通りになってるねんもん。不思議やわ~」
「そんな事言い出したらこっちの世界は不思議な事だらけだろ。科学で解明できない事象が多すぎる」
「確かにそうやな。で? 俺が見たウイルスはどないや?」
レンさんにそう言われて俺は少し考え込んだ。
「正直なところ複雑だな――」
「アーツさんっていう人の知性を一度奪ったんじゃないんですか?」
「奪ったけど医学的な事全部を奪ったわけではないからな。あくまでヴェドラウイルスに関する情報だ。とりあえずこれをリーズにそのまま共有したほうが良さそうだ。それに解決策としては俺の知性・記憶の略奪と献上で滅菌Ⅴのスキルを付けるという事だな。まあ得られた情報としては、知性・記憶の略奪と献上と幻幽蝶の薬の両方を使うと完全に菌は死滅するっぽいな。まああくまで理論上だけど」
「やっぱりそうなんですか」
「幻覚や幻惑って滅菌Ⅴじゃ無理だし後遺症の恐れがあるからな」
俺がそう説明をするとレンさんは「ふむふむ」と頷いていた。
「何か、ナリユキさん医学の専門家ぽくなりましたね」
「よせよ。せめてオタクくらいにしておけ」
「確かにそうかも」
と、レンさんは笑みを浮かべていた。
「まあ、リーズに共有して見つけるんは、知性・記憶の略奪と献上で滅菌Ⅴを習得できなかった人に対しての対策って事でしょ?」
「そういう事」
「ナリユキさんの知性・記憶の略奪と献上が第一のワクチンやとすると、第二のワクチンを見つけるってことか」
「まあそんな事だ」
俺達がそう話をしていると。リーズが「うっ」と唸った。目をゆっくりと開き「ここは?」と呟く。
「病室ですよ」
ミクちゃんがそう言うとリーズは身体を動かそうとしたので、「まだ寝ていて下さい」と告げた。
「申し訳ございません。他の患者は大丈夫ですか?」
「残念ながら何名かは息を引き取っています。先程の報告によると、爆発に巻き込まれた人間と、ヴェドラウイルスに感染してしまった患者合わせて50名の尊い命が犠牲となりました」
リーズは「クソッ!」と拳でベッドの布団を叩いた。しかしリーズはもっとショックが大きいだろう。自分さえいれば犠牲者数を減らせたかもしれないのに! と思うと非常に悔しいだろう。
「記憶は曖昧ですが、熱が酷くて体中に湿疹が出て来てしまい倒れたのを覚えています。そこから事態は急展開したのですね?」
「はい。命を落とす人間が増えてしまいました。ただリーズさんが悔しがることは無いと思います」
「そんなことありません。気の緩みがヴェドラウイルス感染に繋がってしまったわけですし」
「いいんだって。とりあえず無事でよかったよ。菌は完全に死滅しているしな」
俺がそう言うと、リーズは「えっ?」といった感じの表情をしていた。
「治ったんですか!?」
「そうだぞ? 俺とミクちゃんは滅菌Ⅴというスキルを疫病竜の子供を食べたんだけどそのときに入手したんだ。それを共有したらリーズに滅菌Ⅴのスキルが付いてヴェドラウイルスは死滅した。勿論、幻幽蝶の薬も服用しているけどな」
「そうでしたか。ありがとうございます」
リーズはそう言って俺に向かって頭を下げてきた。
「看病していたのはミクちゃんだからミクちゃんに言ってくれ」
するとリーズは「はい」と返事をするなり「ありがとうございます!」とミクちゃんに言うと「どういたしまして」と笑顔でミクちゃんは応えた。
「気分はどうだ? 気持ち悪いところとか無いか?」
「いえ、特に問題ありません」
「じゃあ新しいヴェドラウイルスが魔眼で見るとどうなっているのかを共有するけどいいか?」
「ええ。勿論」
起きて早々に仕事を頼むのは酷かもしれないが、知性・記憶の略奪と献上でレンさんの視覚情報を共有した。これを共有することによって、リーズが持っている経験値を合わせると一体どのような結果が待っているのか――?
「見解は?」
「そうですね……」
リーズは顎に手をついてそう唸った。
あれから全ての医師に知性・記憶の略奪と献上を行うと、レンさんを呼んでリーズの体を透視してもらった。先程聞いたミクちゃんからの報告で、50人の命が犠牲になっているというのは正直なところ苦痛でしかない――しかし、その尊い命は決して無駄にはしないと誓った。
そして――。
「ほ~ん。俺にはよう分からんけど確かに前見たんとちょい形状がちゃうな。まあ俺の記憶を奪ってもらったら早いやろ」
「そうだな。じゃあやるぞ?」
「あれやったら魔眼も一回奪ってみます? いちいちするんも俺も面倒やし」
「いいのか?」
「別にいいですよ。だって戻せるんでしょ?」
「スキルに関しては今まで上手くいっていたけど、100%上手くいくわけではないからな」
俺がそう言うとレンさんは間を空けて――。
「うん。止めてとこか。奪われてそのまま返ってこやんかったら困るし」
「そうだろ? とりあえずはヴェドラウイルスの情報だけでいい」
「了解や。いつでもええで」
レンさんにそう言われて俺は知性・記憶の略奪と献上を使用して、レンさんがつい先程入手したヴェドラウイルスに関する情報を奪った。一旦奪った後レンさんにすぐさま情報を共有する。
「もうこれ何回かやられているけどホンマに凄いよな。奪われたと思ったら元通りになってるねんもん。不思議やわ~」
「そんな事言い出したらこっちの世界は不思議な事だらけだろ。科学で解明できない事象が多すぎる」
「確かにそうやな。で? 俺が見たウイルスはどないや?」
レンさんにそう言われて俺は少し考え込んだ。
「正直なところ複雑だな――」
「アーツさんっていう人の知性を一度奪ったんじゃないんですか?」
「奪ったけど医学的な事全部を奪ったわけではないからな。あくまでヴェドラウイルスに関する情報だ。とりあえずこれをリーズにそのまま共有したほうが良さそうだ。それに解決策としては俺の知性・記憶の略奪と献上で滅菌Ⅴのスキルを付けるという事だな。まあ得られた情報としては、知性・記憶の略奪と献上と幻幽蝶の薬の両方を使うと完全に菌は死滅するっぽいな。まああくまで理論上だけど」
「やっぱりそうなんですか」
「幻覚や幻惑って滅菌Ⅴじゃ無理だし後遺症の恐れがあるからな」
俺がそう説明をするとレンさんは「ふむふむ」と頷いていた。
「何か、ナリユキさん医学の専門家ぽくなりましたね」
「よせよ。せめてオタクくらいにしておけ」
「確かにそうかも」
と、レンさんは笑みを浮かべていた。
「まあ、リーズに共有して見つけるんは、知性・記憶の略奪と献上で滅菌Ⅴを習得できなかった人に対しての対策って事でしょ?」
「そういう事」
「ナリユキさんの知性・記憶の略奪と献上が第一のワクチンやとすると、第二のワクチンを見つけるってことか」
「まあそんな事だ」
俺達がそう話をしていると。リーズが「うっ」と唸った。目をゆっくりと開き「ここは?」と呟く。
「病室ですよ」
ミクちゃんがそう言うとリーズは身体を動かそうとしたので、「まだ寝ていて下さい」と告げた。
「申し訳ございません。他の患者は大丈夫ですか?」
「残念ながら何名かは息を引き取っています。先程の報告によると、爆発に巻き込まれた人間と、ヴェドラウイルスに感染してしまった患者合わせて50名の尊い命が犠牲となりました」
リーズは「クソッ!」と拳でベッドの布団を叩いた。しかしリーズはもっとショックが大きいだろう。自分さえいれば犠牲者数を減らせたかもしれないのに! と思うと非常に悔しいだろう。
「記憶は曖昧ですが、熱が酷くて体中に湿疹が出て来てしまい倒れたのを覚えています。そこから事態は急展開したのですね?」
「はい。命を落とす人間が増えてしまいました。ただリーズさんが悔しがることは無いと思います」
「そんなことありません。気の緩みがヴェドラウイルス感染に繋がってしまったわけですし」
「いいんだって。とりあえず無事でよかったよ。菌は完全に死滅しているしな」
俺がそう言うと、リーズは「えっ?」といった感じの表情をしていた。
「治ったんですか!?」
「そうだぞ? 俺とミクちゃんは滅菌Ⅴというスキルを疫病竜の子供を食べたんだけどそのときに入手したんだ。それを共有したらリーズに滅菌Ⅴのスキルが付いてヴェドラウイルスは死滅した。勿論、幻幽蝶の薬も服用しているけどな」
「そうでしたか。ありがとうございます」
リーズはそう言って俺に向かって頭を下げてきた。
「看病していたのはミクちゃんだからミクちゃんに言ってくれ」
するとリーズは「はい」と返事をするなり「ありがとうございます!」とミクちゃんに言うと「どういたしまして」と笑顔でミクちゃんは応えた。
「気分はどうだ? 気持ち悪いところとか無いか?」
「いえ、特に問題ありません」
「じゃあ新しいヴェドラウイルスが魔眼で見るとどうなっているのかを共有するけどいいか?」
「ええ。勿論」
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