【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
257 / 597

アードルハイムからの来訪者Ⅰ

しおりを挟む
 俺とミクちゃんは、カルディア達のところへ行くと、すでにカルカラに到着して朝食を摂っていた3人に、一通りの説明して依頼を追加した。特に依頼が追加されたところで、お金を追加要求する気はないらしく、本当にありがたい。俺としては払いたい気持ちはあるが、受け取ってくれないのだ。

「任せろ」のカルディア達の言葉を聞き、マーズベルに戻ると、メイが俺達の所へ駆け寄ってきた。

「ナリユキ様。ちょうどいいところに戻られました!」

「何かあったのか?」

「はい。ラングドール様が来ておられます」

「ラングドールさんってアードルハイムの?」

 ミクちゃんがそう問いかけると、メイは「はい」と応えた。

「水晶の玉を渡したかったのに、アードルハイムに行けてなかったもんな。ちょうどいい」

 行かなきゃ詐欺をしていたので申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらもメイに、ラングドールがいるというカフェルームに向かった。俺達が近付くとラングドールは席を立って笑顔で迎えてくれた。

「ナリユキ様、ミク様お久しぶりです」

「遠いのにわざわざ申し訳ないな。とりあえず部屋移ろうか」

「いえいえ。お構いなく。ここ結構ゆったりしていていいですね。こうして朝から美味しいコーヒーも飲むことができますし」

 俺なりに拘った甲斐があったようだ。それにラングドールが飲んでいるコーヒーは普通のコーヒーではなくマーズベル産の豆を使った特性のブレンドコーヒーのようだ。深いコクに豊かな風味が特徴的なコーヒー豆は、少し値段は張るが、各国から人気殺到中にコーヒーだ。勿論、カーネル王国は大量輸出している商品となる。

「マーズベル産のコーヒーは美味しいと昔から言われていたので、是非一度飲みたかったのですが、アードルハイムは鎖国的な国だった為、飲むことができなかったんですよね。ほんのりとした苦みに深いコクと豊かな香り。100gで銀貨20枚が相場なのが頷けます。うちの国にも入れたいですね」

 と、大満足の様子だった。

「以前は自分達でこの魔物の土地に足を運ばないといけないという危険を背負って商売をしていた人が多かったからな。モトリーナの村の人達の知恵も使って、俺が国主になったことで入手がし易くなって値段は下げることができたし、美味しくなったからマーズベルでもヒット商品の部類なんだ」

「そうでしたか。いや~これだけでも来た甲斐がありましたよ」

「まだまだ見てもらうところもあるし、料理も美味しいからそれだけでは満足してほしくないけどな」

 俺がそう言って自慢気に話すと「それもそうですね」とラングドールはニッコリと笑みを浮かべていた。

「昨日の夕方に着いたので、ベリトさんやレンさん達に案内してもらいましたよ。何やらマカロフ卿にしばらく捕まっていたと聞きましたが――」

 ラングドールはそう言って心配そうに俺の顔を覗く。

「まあな。マカロフ卿に腕を一回斬り落とされた」

「それ本当の話だったんですね! ナリユキ様がマカロフ卿に捕まったという話は世界中に広まっておりましたので、心配している人が多かったんですよ。中には腕を切り落とされたらしいぞって話もありましたから」

「本当だよ。まあ皆のお陰で無事だから別にいいんだ」

「ご無事で何よりです。その腕は義手とかではないすよね?」

 そう言われたので俺はぐーぱーしながら「ああ」と返した。

「とろこでそっちはどうだ? あれから他国に攻め入られたりはしていないか?」

「お恥ずかしい話、やっぱりアードルハイムに恨みを持つ人間がいるので、攻撃されたりはしましたが、今のところ被害者は0人です。帝国兵の実力で対処できるほどなので、留置場で身柄を確保したりなんかもしています。ただ、あまりにも傲慢な態度だと拷問をするフリをして脅したりしていますが」

 ラングドールは自分達の力はまだまだ駄目だと言いたげだった。結局脅すという陳腐な方法を使わないと、攻め入った人間を制圧することができないという現実が、ラングドールにとっては恥ずかしい話なのだろう。

「まあ実際に拷問を行っていないんだったらいいじゃないか?」

「そうですね。まあアードルハイムという国には変わりないので、拷問というワードだけで震え上がりますから少し皮肉ですよね」

「次の国主はラングドールにしようって六芒星会議ヘキサグラム・サミットでは発言したんだけど大丈夫?」

「私ですか!?」

 ラングドールは声を大にして驚いていた。ゴホゴホと飲んでいたコーヒーでむせていた。

「いや、驚きすぎですよ。実際、私が見ていたなかでは一番適任だと思っています」

 ミクちゃんの意見に「う~ん」と頭を抱えるラングドール。

「でも、私はまだまだ若いですし国を統率するような人格者ではな無いですからね」

「若いで括るならば、俺やカーネル王だってそうだ。やり切ろうと思う気持ちが大事だぜ? それにラングドールが国主になってくれたら、俺も出来る限りそっちの政治にも協力するからよ」

「それは大変嬉しいのですが、少し考えさせてください。気持ちが固まれば一度国民投票を行いたいと思います」

「お! いい返事期待しているぞ」

 俺がそう言うとラングドールは「困ったな」と苦笑いを浮かべていた。

「あと、コレをあげるよ」

 俺がそう言って取り出したのは、青龍リオさんからくすねたガラス玉だ。

「これを1つ持っていてくれ」

「これは何ですか?」

「どれだけ遠い場所でも、このガラス玉を通して話しをすることができるんだ。距離が関係ない念話みたいな感じかな」

「それは凄いですね! どこで手に入れたんですか?」

青龍リオ・シェンランさんから買ったんだ」

 俺がそう言うとラングドールは目を丸くさせて驚いていた。

「生ける伝説の青龍リオ・シェンラン様ですか……?」

「ああそうだ」

「ナリユキ様が凄い人脈なのは把握しておりましたが、青龍リオ・シェンラン様とそこまでの関係とは――功績は代々語り継がれるほど凄いのですが、同時に凄く面倒臭がり屋のクセの強い龍という話も有名ですからね。まさか、青龍リオ・シェンラン様が他人に物を売るとは――」

 ああ。それで六芒星会議ヘキサグラム・サミットの時に青龍リオがマーズベルに遊びに行くって発言したとき皆驚いていたのか。まあ、ランベリオンでもそうだけど、喋る魔物ってまあまあクセ強いよな――他人からしたら俺もクセ強いって思われているかもしれないけど。 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

異世界でスローライフとか無理だから!

まる
ファンタジー
突如青白い光に包まれ目を開ければ、目の前には邪神崇拝者(見た目で勝手に判断)の群れが! 信用できそうもない場所から飛び出していざ行かん見慣れぬ世界へ。 ○○○○○○○○○○ ※ふんわり設定。誤字脱字、表現の未熟さが目につきます。 閲覧、しおり、お気に入り登録ありがとうございます!

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...