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アードルハイムからの来訪者Ⅰ
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俺とミクちゃんは、カルディア達のところへ行くと、すでにカルカラに到着して朝食を摂っていた3人に、一通りの説明して依頼を追加した。特に依頼が追加されたところで、お金を追加要求する気はないらしく、本当にありがたい。俺としては払いたい気持ちはあるが、受け取ってくれないのだ。
「任せろ」のカルディア達の言葉を聞き、マーズベルに戻ると、メイが俺達の所へ駆け寄ってきた。
「ナリユキ様。ちょうどいいところに戻られました!」
「何かあったのか?」
「はい。ラングドール様が来ておられます」
「ラングドールさんってアードルハイムの?」
ミクちゃんがそう問いかけると、メイは「はい」と応えた。
「水晶の玉を渡したかったのに、アードルハイムに行けてなかったもんな。ちょうどいい」
行かなきゃ詐欺をしていたので申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらもメイに、ラングドールがいるというカフェルームに向かった。俺達が近付くとラングドールは席を立って笑顔で迎えてくれた。
「ナリユキ様、ミク様お久しぶりです」
「遠いのにわざわざ申し訳ないな。とりあえず部屋移ろうか」
「いえいえ。お構いなく。ここ結構ゆったりしていていいですね。こうして朝から美味しいコーヒーも飲むことができますし」
俺なりに拘った甲斐があったようだ。それにラングドールが飲んでいるコーヒーは普通のコーヒーではなくマーズベル産の豆を使った特性のブレンドコーヒーのようだ。深いコクに豊かな風味が特徴的なコーヒー豆は、少し値段は張るが、各国から人気殺到中にコーヒーだ。勿論、カーネル王国は大量輸出している商品となる。
「マーズベル産のコーヒーは美味しいと昔から言われていたので、是非一度飲みたかったのですが、アードルハイムは鎖国的な国だった為、飲むことができなかったんですよね。ほんのりとした苦みに深いコクと豊かな香り。100gで銀貨20枚が相場なのが頷けます。うちの国にも入れたいですね」
と、大満足の様子だった。
「以前は自分達でこの魔物の土地に足を運ばないといけないという危険を背負って商売をしていた人が多かったからな。モトリーナの村の人達の知恵も使って、俺が国主になったことで入手がし易くなって値段は下げることができたし、美味しくなったからマーズベルでもヒット商品の部類なんだ」
「そうでしたか。いや~これだけでも来た甲斐がありましたよ」
「まだまだ見てもらうところもあるし、料理も美味しいからそれだけでは満足してほしくないけどな」
俺がそう言って自慢気に話すと「それもそうですね」とラングドールはニッコリと笑みを浮かべていた。
「昨日の夕方に着いたので、ベリトさんやレンさん達に案内してもらいましたよ。何やらマカロフ卿にしばらく捕まっていたと聞きましたが――」
ラングドールはそう言って心配そうに俺の顔を覗く。
「まあな。マカロフ卿に腕を一回斬り落とされた」
「それ本当の話だったんですね! ナリユキ様がマカロフ卿に捕まったという話は世界中に広まっておりましたので、心配している人が多かったんですよ。中には腕を切り落とされたらしいぞって話もありましたから」
「本当だよ。まあ皆のお陰で無事だから別にいいんだ」
「ご無事で何よりです。その腕は義手とかではないすよね?」
そう言われたので俺はぐーぱーしながら「ああ」と返した。
「とろこでそっちはどうだ? あれから他国に攻め入られたりはしていないか?」
「お恥ずかしい話、やっぱりアードルハイムに恨みを持つ人間がいるので、攻撃されたりはしましたが、今のところ被害者は0人です。帝国兵の実力で対処できるほどなので、留置場で身柄を確保したりなんかもしています。ただ、あまりにも傲慢な態度だと拷問をするフリをして脅したりしていますが」
ラングドールは自分達の力はまだまだ駄目だと言いたげだった。結局脅すという陳腐な方法を使わないと、攻め入った人間を制圧することができないという現実が、ラングドールにとっては恥ずかしい話なのだろう。
「まあ実際に拷問を行っていないんだったらいいじゃないか?」
「そうですね。まあアードルハイムという国には変わりないので、拷問というワードだけで震え上がりますから少し皮肉ですよね」
「次の国主はラングドールにしようって六芒星会議では発言したんだけど大丈夫?」
「私ですか!?」
ラングドールは声を大にして驚いていた。ゴホゴホと飲んでいたコーヒーでむせていた。
「いや、驚きすぎですよ。実際、私が見ていたなかでは一番適任だと思っています」
ミクちゃんの意見に「う~ん」と頭を抱えるラングドール。
「でも、私はまだまだ若いですし国を統率するような人格者ではな無いですからね」
「若いで括るならば、俺やカーネル王だってそうだ。やり切ろうと思う気持ちが大事だぜ? それにラングドールが国主になってくれたら、俺も出来る限りそっちの政治にも協力するからよ」
「それは大変嬉しいのですが、少し考えさせてください。気持ちが固まれば一度国民投票を行いたいと思います」
「お! いい返事期待しているぞ」
俺がそう言うとラングドールは「困ったな」と苦笑いを浮かべていた。
「あと、コレをあげるよ」
俺がそう言って取り出したのは、青龍さんからくすねたガラス玉だ。
「これを1つ持っていてくれ」
「これは何ですか?」
「どれだけ遠い場所でも、このガラス玉を通して話しをすることができるんだ。距離が関係ない念話みたいな感じかな」
「それは凄いですね! どこで手に入れたんですか?」
「青龍さんから買ったんだ」
俺がそう言うとラングドールは目を丸くさせて驚いていた。
「生ける伝説の青龍様ですか……?」
「ああそうだ」
「ナリユキ様が凄い人脈なのは把握しておりましたが、青龍様とそこまでの関係とは――功績は代々語り継がれるほど凄いのですが、同時に凄く面倒臭がり屋のクセの強い龍という話も有名ですからね。まさか、青龍様が他人に物を売るとは――」
ああ。それで六芒星会議の時に青龍がマーズベルに遊びに行くって発言したとき皆驚いていたのか。まあ、ランベリオンでもそうだけど、喋る魔物ってまあまあクセ強いよな――他人からしたら俺もクセ強いって思われているかもしれないけど。
「任せろ」のカルディア達の言葉を聞き、マーズベルに戻ると、メイが俺達の所へ駆け寄ってきた。
「ナリユキ様。ちょうどいいところに戻られました!」
「何かあったのか?」
「はい。ラングドール様が来ておられます」
「ラングドールさんってアードルハイムの?」
ミクちゃんがそう問いかけると、メイは「はい」と応えた。
「水晶の玉を渡したかったのに、アードルハイムに行けてなかったもんな。ちょうどいい」
行かなきゃ詐欺をしていたので申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらもメイに、ラングドールがいるというカフェルームに向かった。俺達が近付くとラングドールは席を立って笑顔で迎えてくれた。
「ナリユキ様、ミク様お久しぶりです」
「遠いのにわざわざ申し訳ないな。とりあえず部屋移ろうか」
「いえいえ。お構いなく。ここ結構ゆったりしていていいですね。こうして朝から美味しいコーヒーも飲むことができますし」
俺なりに拘った甲斐があったようだ。それにラングドールが飲んでいるコーヒーは普通のコーヒーではなくマーズベル産の豆を使った特性のブレンドコーヒーのようだ。深いコクに豊かな風味が特徴的なコーヒー豆は、少し値段は張るが、各国から人気殺到中にコーヒーだ。勿論、カーネル王国は大量輸出している商品となる。
「マーズベル産のコーヒーは美味しいと昔から言われていたので、是非一度飲みたかったのですが、アードルハイムは鎖国的な国だった為、飲むことができなかったんですよね。ほんのりとした苦みに深いコクと豊かな香り。100gで銀貨20枚が相場なのが頷けます。うちの国にも入れたいですね」
と、大満足の様子だった。
「以前は自分達でこの魔物の土地に足を運ばないといけないという危険を背負って商売をしていた人が多かったからな。モトリーナの村の人達の知恵も使って、俺が国主になったことで入手がし易くなって値段は下げることができたし、美味しくなったからマーズベルでもヒット商品の部類なんだ」
「そうでしたか。いや~これだけでも来た甲斐がありましたよ」
「まだまだ見てもらうところもあるし、料理も美味しいからそれだけでは満足してほしくないけどな」
俺がそう言って自慢気に話すと「それもそうですね」とラングドールはニッコリと笑みを浮かべていた。
「昨日の夕方に着いたので、ベリトさんやレンさん達に案内してもらいましたよ。何やらマカロフ卿にしばらく捕まっていたと聞きましたが――」
ラングドールはそう言って心配そうに俺の顔を覗く。
「まあな。マカロフ卿に腕を一回斬り落とされた」
「それ本当の話だったんですね! ナリユキ様がマカロフ卿に捕まったという話は世界中に広まっておりましたので、心配している人が多かったんですよ。中には腕を切り落とされたらしいぞって話もありましたから」
「本当だよ。まあ皆のお陰で無事だから別にいいんだ」
「ご無事で何よりです。その腕は義手とかではないすよね?」
そう言われたので俺はぐーぱーしながら「ああ」と返した。
「とろこでそっちはどうだ? あれから他国に攻め入られたりはしていないか?」
「お恥ずかしい話、やっぱりアードルハイムに恨みを持つ人間がいるので、攻撃されたりはしましたが、今のところ被害者は0人です。帝国兵の実力で対処できるほどなので、留置場で身柄を確保したりなんかもしています。ただ、あまりにも傲慢な態度だと拷問をするフリをして脅したりしていますが」
ラングドールは自分達の力はまだまだ駄目だと言いたげだった。結局脅すという陳腐な方法を使わないと、攻め入った人間を制圧することができないという現実が、ラングドールにとっては恥ずかしい話なのだろう。
「まあ実際に拷問を行っていないんだったらいいじゃないか?」
「そうですね。まあアードルハイムという国には変わりないので、拷問というワードだけで震え上がりますから少し皮肉ですよね」
「次の国主はラングドールにしようって六芒星会議では発言したんだけど大丈夫?」
「私ですか!?」
ラングドールは声を大にして驚いていた。ゴホゴホと飲んでいたコーヒーでむせていた。
「いや、驚きすぎですよ。実際、私が見ていたなかでは一番適任だと思っています」
ミクちゃんの意見に「う~ん」と頭を抱えるラングドール。
「でも、私はまだまだ若いですし国を統率するような人格者ではな無いですからね」
「若いで括るならば、俺やカーネル王だってそうだ。やり切ろうと思う気持ちが大事だぜ? それにラングドールが国主になってくれたら、俺も出来る限りそっちの政治にも協力するからよ」
「それは大変嬉しいのですが、少し考えさせてください。気持ちが固まれば一度国民投票を行いたいと思います」
「お! いい返事期待しているぞ」
俺がそう言うとラングドールは「困ったな」と苦笑いを浮かべていた。
「あと、コレをあげるよ」
俺がそう言って取り出したのは、青龍さんからくすねたガラス玉だ。
「これを1つ持っていてくれ」
「これは何ですか?」
「どれだけ遠い場所でも、このガラス玉を通して話しをすることができるんだ。距離が関係ない念話みたいな感じかな」
「それは凄いですね! どこで手に入れたんですか?」
「青龍さんから買ったんだ」
俺がそう言うとラングドールは目を丸くさせて驚いていた。
「生ける伝説の青龍様ですか……?」
「ああそうだ」
「ナリユキ様が凄い人脈なのは把握しておりましたが、青龍様とそこまでの関係とは――功績は代々語り継がれるほど凄いのですが、同時に凄く面倒臭がり屋のクセの強い龍という話も有名ですからね。まさか、青龍様が他人に物を売るとは――」
ああ。それで六芒星会議の時に青龍がマーズベルに遊びに行くって発言したとき皆驚いていたのか。まあ、ランベリオンでもそうだけど、喋る魔物ってまあまあクセ強いよな――他人からしたら俺もクセ強いって思われているかもしれないけど。
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