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新たな情報Ⅲ
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トレイビさんのお酒を飲んだ次の日の朝。ベルゾーグとアリスを残して俺とミクちゃんはランベリオンとアマミヤの所へ到着していた。どうやら喫茶店で朝食を摂っていたらしい。
「タテワキさん――待っていたのにミクちゃん達とのんびりとお酒を飲んでいたんですか?」
「申し訳ございません!」
と――このザマである。爽やかな朝を迎えることができる喫茶店という場所で、テーブルに額をつけて謝る男が今この瞬間に一体何人いるのだろうか。凄く情けない。
「まあまあナリユキ殿。それほど気にすることない。我等も昨晩飲んでいたからな」
ランベリオンがそう言うと、アマミヤはランベリオンの口を塞いだ。ものすごく目が泳いでいる。
「アマミヤさんどういうことですか?」
「なんだアマミヤ。俺に謝らせたクセに」
すると、アマミヤはコホンと咳払いをして「さあ、どこから話をしましょうか」と抜かしがる。
「待て。ランベリオン説明しろ」
「まあ、結論我等は飲んでいたのだ。ミユキ殿の飲みっぷりは凄かったぞ。カクテルやビールなど、諸々含めて20杯近く飲んでいたのだ。特段、吐いても無さそうだったしお酒強いのだな」
ランベリオンはそう言って「ガハハハ」と豪快に笑っていた。
俺とミクちゃんがジト目で見ていると、アマミヤは「ブーメランでした! 申し訳ございません!」とこれまた勢いよく謝罪された。
「我等はbarに行っていたのだが、これまた偶然そこで飲んでいた男から有益な情報を手に入れたのだ」
「有益な情報?」
「ああ。結論で言うとQはカルカラの貴族の中の誰かだ――」
ん? どういう事だ。何でカルカラの貴族が出てくるんだ?
「どういうことですか?」
ミクちゃんは紅茶を手に取りランベリオンにそう訊いた。
「そうだな――まず我等が会ったのはカルカラの貴族だ。ナリユキ殿なら記憶あるのではないか? シュベルク・アーティマー・シュタインという名前の男だ」
確かその名前は――そうだ!
「整った太眉に、ふわっとした髪を後ろに流している黒目のイケメンだ!」
俺がそう言うとミクちゃん、アマミヤ、ランベリオンは目を丸くしていた。
「まさか顔を覚えているんですか? タテワキさん――」
「あれだろ? 霊の情報網とかいうスキルを持っている人だろ?」
「当たっている――記憶力凄くないか?」
ランベリオンがそう怪訝な表情を浮かべながら訊いてきた。
「だって変わったスキル名しているし、ドイツ人っぽい名前だったし、イケメンだったから覚えているんだよ。まあ、ストーク・ディアン公爵とオリヴァー・アードレッド公爵のインパクトが強すぎたから何とも言えないけどな」
「私はその2人しか覚えていなかったですよ」
「我もだ。特にディアン公爵は身のこなしが柔らかく社交的だったからな」
「私はアードレッド公爵に口説かれたから覚えているわ」
あらま。アマミヤはアードレッド公爵に口説かれていたんだ。確かにアマミヤも綺麗だからな。アードレッド公爵はチャラいっていう残念な印象だったから凄く納得がいく。
「で、話を戻すけどシュタインさんとどんな話をしたんだ?」
「シュタイン殿はカルカラの貴族しか入ることができない領地内でQを見たらしい。貴族の領地ということだから、原則一般人が入れない結界なりセキュリティが施されているに違いない。貴族の誰か何かあったときは、一般人と比較すればただの事件が大事件として知れ渡るからな」
「まあそうだろうな。貴族ってのは権力者だからな」
俺がそう言うとランベリオンは「うむ」と頷いた。
「という事はQはカルカラの貴族の誰かである可能性が高いということだ」
「それは大きな収穫だな」
とは言ってもカルカラの貴族の領地を調べる必要があるな。だがまあ黒で間違いないだろう。
「そして、Qは我も、ミユキ殿も、ナリユキ殿も会っている可能があるという事だ」
「どういう事ですか? 確かカルカラの貴族達は襲われたのでは?」
ミクちゃんランベリオンに対して行った質問は俺もしようとしていた質問だ。
「話によると、Qは襲って来た連中の中にいたそうだ」
「ん? それは別に関係なくないか? だって仮面を他の人に付けさせることもできるし、Qはボイスチェンジャーという機械を使っている。複数犯だったとしても同じ声に扮して、Qは1人では無く、2人以上って考える事もできるだろうに」
「それは我もミユキ殿も同じ意見だ。なのでその点に関しては調べる必要がある」
「成程ね」
俺がそう言うとアマミヤが「それと」と付け加えた。
「シュタインさんの友人がQの手によって殺害されたらしいです。Qの足取りを追っていたサイスト・クローバー侯爵は、スペード侯爵家の敷地内にある物置小屋で遺体が発見されたらしいので、スペード侯爵家の人間が濡れ衣を着せられているといった状況です。サイスト・クローバー侯爵は何か重要な手がかりを入手したので、口封じの為に殺害されたと考えるのが妥当ですよね」
アマミヤの意見は最もだ。この推測はシュタインさんも行っているだろうから、問題はどうやってその情報を集めるかだ――。
「策を講じるしかないか」
俺がそう呟くと、ミクちゃん、ランベリオン、アマミヤは首を縦に振ってくれた。
「タテワキさん――待っていたのにミクちゃん達とのんびりとお酒を飲んでいたんですか?」
「申し訳ございません!」
と――このザマである。爽やかな朝を迎えることができる喫茶店という場所で、テーブルに額をつけて謝る男が今この瞬間に一体何人いるのだろうか。凄く情けない。
「まあまあナリユキ殿。それほど気にすることない。我等も昨晩飲んでいたからな」
ランベリオンがそう言うと、アマミヤはランベリオンの口を塞いだ。ものすごく目が泳いでいる。
「アマミヤさんどういうことですか?」
「なんだアマミヤ。俺に謝らせたクセに」
すると、アマミヤはコホンと咳払いをして「さあ、どこから話をしましょうか」と抜かしがる。
「待て。ランベリオン説明しろ」
「まあ、結論我等は飲んでいたのだ。ミユキ殿の飲みっぷりは凄かったぞ。カクテルやビールなど、諸々含めて20杯近く飲んでいたのだ。特段、吐いても無さそうだったしお酒強いのだな」
ランベリオンはそう言って「ガハハハ」と豪快に笑っていた。
俺とミクちゃんがジト目で見ていると、アマミヤは「ブーメランでした! 申し訳ございません!」とこれまた勢いよく謝罪された。
「我等はbarに行っていたのだが、これまた偶然そこで飲んでいた男から有益な情報を手に入れたのだ」
「有益な情報?」
「ああ。結論で言うとQはカルカラの貴族の中の誰かだ――」
ん? どういう事だ。何でカルカラの貴族が出てくるんだ?
「どういうことですか?」
ミクちゃんは紅茶を手に取りランベリオンにそう訊いた。
「そうだな――まず我等が会ったのはカルカラの貴族だ。ナリユキ殿なら記憶あるのではないか? シュベルク・アーティマー・シュタインという名前の男だ」
確かその名前は――そうだ!
「整った太眉に、ふわっとした髪を後ろに流している黒目のイケメンだ!」
俺がそう言うとミクちゃん、アマミヤ、ランベリオンは目を丸くしていた。
「まさか顔を覚えているんですか? タテワキさん――」
「あれだろ? 霊の情報網とかいうスキルを持っている人だろ?」
「当たっている――記憶力凄くないか?」
ランベリオンがそう怪訝な表情を浮かべながら訊いてきた。
「だって変わったスキル名しているし、ドイツ人っぽい名前だったし、イケメンだったから覚えているんだよ。まあ、ストーク・ディアン公爵とオリヴァー・アードレッド公爵のインパクトが強すぎたから何とも言えないけどな」
「私はその2人しか覚えていなかったですよ」
「我もだ。特にディアン公爵は身のこなしが柔らかく社交的だったからな」
「私はアードレッド公爵に口説かれたから覚えているわ」
あらま。アマミヤはアードレッド公爵に口説かれていたんだ。確かにアマミヤも綺麗だからな。アードレッド公爵はチャラいっていう残念な印象だったから凄く納得がいく。
「で、話を戻すけどシュタインさんとどんな話をしたんだ?」
「シュタイン殿はカルカラの貴族しか入ることができない領地内でQを見たらしい。貴族の領地ということだから、原則一般人が入れない結界なりセキュリティが施されているに違いない。貴族の誰か何かあったときは、一般人と比較すればただの事件が大事件として知れ渡るからな」
「まあそうだろうな。貴族ってのは権力者だからな」
俺がそう言うとランベリオンは「うむ」と頷いた。
「という事はQはカルカラの貴族の誰かである可能性が高いということだ」
「それは大きな収穫だな」
とは言ってもカルカラの貴族の領地を調べる必要があるな。だがまあ黒で間違いないだろう。
「そして、Qは我も、ミユキ殿も、ナリユキ殿も会っている可能があるという事だ」
「どういう事ですか? 確かカルカラの貴族達は襲われたのでは?」
ミクちゃんランベリオンに対して行った質問は俺もしようとしていた質問だ。
「話によると、Qは襲って来た連中の中にいたそうだ」
「ん? それは別に関係なくないか? だって仮面を他の人に付けさせることもできるし、Qはボイスチェンジャーという機械を使っている。複数犯だったとしても同じ声に扮して、Qは1人では無く、2人以上って考える事もできるだろうに」
「それは我もミユキ殿も同じ意見だ。なのでその点に関しては調べる必要がある」
「成程ね」
俺がそう言うとアマミヤが「それと」と付け加えた。
「シュタインさんの友人がQの手によって殺害されたらしいです。Qの足取りを追っていたサイスト・クローバー侯爵は、スペード侯爵家の敷地内にある物置小屋で遺体が発見されたらしいので、スペード侯爵家の人間が濡れ衣を着せられているといった状況です。サイスト・クローバー侯爵は何か重要な手がかりを入手したので、口封じの為に殺害されたと考えるのが妥当ですよね」
アマミヤの意見は最もだ。この推測はシュタインさんも行っているだろうから、問題はどうやってその情報を集めるかだ――。
「策を講じるしかないか」
俺がそう呟くと、ミクちゃん、ランベリオン、アマミヤは首を縦に振ってくれた。
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