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プチ満喫Ⅲ
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爽やかな桃を堪能して20分ほど経ったときのことだった。コックたちがこの部屋に、ワゴンに料理を乗せて持ってきてくれたのだった。サラダやライスもあることから、ルミエールが気を利かせてくれたんだろ。俺はライスはいらないけど。
「ナリユキ閣下はライスは控えるようにとカーネル王様からご指示がありましたが、問題なかったでしょうか?」
「ああ大丈夫だよ。お気遣いありがとう」
「いえいえ。是非堪能していただければと思います」
そう言って1人に1人の料理人が付いて目の前に配膳された。この大皿が疫病竜の頭の肉のステーキだろう。他にはサラダや白身魚のポワレやカボチャのスープなどもあり、しっかりとした晩御飯だった。メニューとしてはシンプルかつ王道だが、こういった気遣いを行ってくれるルミエールには非常に感謝している。
「少し早い御時間帯ですが、トレイビ様が良く出されるお酒と相性が良いように調理しております。是非楽しんでいって下さい」
俺はコックにそう言われたので「ありがとう」と返すとコックは満足そうだった。
「それでは失礼致します」
コックが出て行くと、ミクちゃんとベルゾーグは我慢をしていたのか――。
「早速食べよう!」
と食い気味に言って来た。
「そうだな。皆、両手を合わせて」
俺の合図に皆は両手を合わせてくれた。それを怪訝な表情をして見ているトレイビさん。
「頂きます」
俺がそう言った後に、ミクちゃん、ベルゾーグ、アリスは「頂きます」と言って料理にありついた。
「その動作は何なのでしょうか?」
「これは日本の文化で、料理に携わった人や、食材に対する感謝を込めた食事をする際の挨拶ですよ」
「それはとてもいい言葉ですね」
トレイビさんがそうニッコリと微笑んでくれたので、やはり日本の文化はとてもいいものだと実感した。と、話をしている場合では無い。
俺は銀色の蓋を開けるとしっかり焼かれているお肉。そして、ポテトとブロッコリーと人参がお皿に盛りつけられていた。赤ワインのデミグラスソースがかけられているステーキをナイフで切ってみると綺麗な赤身が顔をのぞかせた。
一口頬張るとジューシー脂身が口の中で弾けた。そして赤ワインのデミグラスソースがかかっていることによって、お肉の味がより深みを増している。そして美味しいお肉というの甘みもある。疫病竜って名前をしているのに高級な牛肉のようなボリューム感と味。最高の逸品だ。
「皆様気に入って頂いたようですね」
トレイビはそうニッコリとしながら俺達の表情を見ている。正直美味しすぎて言葉が出ない。
「私の方で、すのステーキに合うワインをお出しできればと思うのですがいかがでしょうか?」
「是非!」
「私も!」
「拙者も貰おう」
俺、ミクちゃん、ベルゾーグがそう返答した。
「かしこまりました。赤と白はどちらがお好きですか? また、苦手なワインはありますか?」
「では俺とミクちゃんは白で。ベルゾーグは赤でいいだろ?」
「流石だな。その通り赤でいい」
「では、ナリユキ閣下とミク様が白で、ベルゾーグ様が赤。アリス様はそのまだ不要ということでよろしいでしょうか?」
「はい」
かしこまりましたと言って一礼をして準備を始めてくれた。アリスに関してはお酒はまだそんなに慣れていないからな。爽やかな桃が半分くらい残っているのを見ると、お酒はそんなに強くない方だと見た。
「ナリユキ君、このステーキ本当に美味しいね」
「そうだな。しかし今のところ特に変わった様子は無いな」
俺はミクちゃんのステータスを視ながら話しているが、特段変わった様子は無かった。恐らく胃で完全に消化されてからスキルが習得できるのだろう。
「ナリユキ君はスープ飲んだ?」
「いや、まだだな」
「飲んでみて!」
と、強く主張するミクちゃん。目をキラキラとさせながら特に感想も述べずにそう指示してきたので、飲めばわかるってやつかな。
俺はスープを口の中に含むとコーンの旨味が爆発した。
「これ――砂糖入っていないよな?」
「無いね――」
「めちゃくちゃ甘くね?」
「そうなんだよ」
俺達がそう話をしているとトレイビさんは口を開いた。
「それはここの料理人が優秀だからですよ。使っているコーンはマーズベル産らしいですよ?」
トレイビさんの発言に俺は驚愕した。そうか――モトリーナの村で採れる農作物は種類が確かに豊富で、その中にはコーンも入っていた。いや、素晴らしいなうちの食べ物は。
「ナリユキ閣下で育てる農作物はどれも美味しいとここの料理長が褒めておりました。カーネル王国では重宝しております」
「そうでしたか。うちの食材ヤバいな」
「そうだね。もっと私も料理上手くならないとな」
「ミクちゃん、どのレンジでも戦えて、回復も防御も出来て、家事も一通りできて、料理も美味しい超人なのに、これ以上料理上手くなってどうするの?」
「ナリユキ君をもっと沼らせる!」
ミクちゃんはそう得意気に言っていた。もう十分沼っているんだけどな。
「お待たせしました。ワインです」
皆に渡されたワイン。俺は白ワインでグラスを手に取り、風味を十分楽しんだ後、ワインを口のなかに注ぎ込んだ。ワイン独特のクセが少ないすっきりとした喉越しだ。
「飲みやすくて美味しいですよ」
「ありがとうございます。少し、このワインはクセが強いのですが、牛肉のようなお肉とは相性がいいようでして、そのクセが緩和されて、本来のワインの旨味が引き出されるのです。このワインはカーネル王国で造られた独自ブランドで、牛肉のお料理をする際も使用されます」
「そうでしたか。確かに旨味は凄かったです」
「そう言って頂き幸甚です」
こうして俺達はトレイビさんが出してくれたお酒と、疫病竜《ヴェドラ》の肉がメインの料理を存分に楽しんだ。
「ナリユキ閣下はライスは控えるようにとカーネル王様からご指示がありましたが、問題なかったでしょうか?」
「ああ大丈夫だよ。お気遣いありがとう」
「いえいえ。是非堪能していただければと思います」
そう言って1人に1人の料理人が付いて目の前に配膳された。この大皿が疫病竜の頭の肉のステーキだろう。他にはサラダや白身魚のポワレやカボチャのスープなどもあり、しっかりとした晩御飯だった。メニューとしてはシンプルかつ王道だが、こういった気遣いを行ってくれるルミエールには非常に感謝している。
「少し早い御時間帯ですが、トレイビ様が良く出されるお酒と相性が良いように調理しております。是非楽しんでいって下さい」
俺はコックにそう言われたので「ありがとう」と返すとコックは満足そうだった。
「それでは失礼致します」
コックが出て行くと、ミクちゃんとベルゾーグは我慢をしていたのか――。
「早速食べよう!」
と食い気味に言って来た。
「そうだな。皆、両手を合わせて」
俺の合図に皆は両手を合わせてくれた。それを怪訝な表情をして見ているトレイビさん。
「頂きます」
俺がそう言った後に、ミクちゃん、ベルゾーグ、アリスは「頂きます」と言って料理にありついた。
「その動作は何なのでしょうか?」
「これは日本の文化で、料理に携わった人や、食材に対する感謝を込めた食事をする際の挨拶ですよ」
「それはとてもいい言葉ですね」
トレイビさんがそうニッコリと微笑んでくれたので、やはり日本の文化はとてもいいものだと実感した。と、話をしている場合では無い。
俺は銀色の蓋を開けるとしっかり焼かれているお肉。そして、ポテトとブロッコリーと人参がお皿に盛りつけられていた。赤ワインのデミグラスソースがかけられているステーキをナイフで切ってみると綺麗な赤身が顔をのぞかせた。
一口頬張るとジューシー脂身が口の中で弾けた。そして赤ワインのデミグラスソースがかかっていることによって、お肉の味がより深みを増している。そして美味しいお肉というの甘みもある。疫病竜って名前をしているのに高級な牛肉のようなボリューム感と味。最高の逸品だ。
「皆様気に入って頂いたようですね」
トレイビはそうニッコリとしながら俺達の表情を見ている。正直美味しすぎて言葉が出ない。
「私の方で、すのステーキに合うワインをお出しできればと思うのですがいかがでしょうか?」
「是非!」
「私も!」
「拙者も貰おう」
俺、ミクちゃん、ベルゾーグがそう返答した。
「かしこまりました。赤と白はどちらがお好きですか? また、苦手なワインはありますか?」
「では俺とミクちゃんは白で。ベルゾーグは赤でいいだろ?」
「流石だな。その通り赤でいい」
「では、ナリユキ閣下とミク様が白で、ベルゾーグ様が赤。アリス様はそのまだ不要ということでよろしいでしょうか?」
「はい」
かしこまりましたと言って一礼をして準備を始めてくれた。アリスに関してはお酒はまだそんなに慣れていないからな。爽やかな桃が半分くらい残っているのを見ると、お酒はそんなに強くない方だと見た。
「ナリユキ君、このステーキ本当に美味しいね」
「そうだな。しかし今のところ特に変わった様子は無いな」
俺はミクちゃんのステータスを視ながら話しているが、特段変わった様子は無かった。恐らく胃で完全に消化されてからスキルが習得できるのだろう。
「ナリユキ君はスープ飲んだ?」
「いや、まだだな」
「飲んでみて!」
と、強く主張するミクちゃん。目をキラキラとさせながら特に感想も述べずにそう指示してきたので、飲めばわかるってやつかな。
俺はスープを口の中に含むとコーンの旨味が爆発した。
「これ――砂糖入っていないよな?」
「無いね――」
「めちゃくちゃ甘くね?」
「そうなんだよ」
俺達がそう話をしているとトレイビさんは口を開いた。
「それはここの料理人が優秀だからですよ。使っているコーンはマーズベル産らしいですよ?」
トレイビさんの発言に俺は驚愕した。そうか――モトリーナの村で採れる農作物は種類が確かに豊富で、その中にはコーンも入っていた。いや、素晴らしいなうちの食べ物は。
「ナリユキ閣下で育てる農作物はどれも美味しいとここの料理長が褒めておりました。カーネル王国では重宝しております」
「そうでしたか。うちの食材ヤバいな」
「そうだね。もっと私も料理上手くならないとな」
「ミクちゃん、どのレンジでも戦えて、回復も防御も出来て、家事も一通りできて、料理も美味しい超人なのに、これ以上料理上手くなってどうするの?」
「ナリユキ君をもっと沼らせる!」
ミクちゃんはそう得意気に言っていた。もう十分沼っているんだけどな。
「お待たせしました。ワインです」
皆に渡されたワイン。俺は白ワインでグラスを手に取り、風味を十分楽しんだ後、ワインを口のなかに注ぎ込んだ。ワイン独特のクセが少ないすっきりとした喉越しだ。
「飲みやすくて美味しいですよ」
「ありがとうございます。少し、このワインはクセが強いのですが、牛肉のようなお肉とは相性がいいようでして、そのクセが緩和されて、本来のワインの旨味が引き出されるのです。このワインはカーネル王国で造られた独自ブランドで、牛肉のお料理をする際も使用されます」
「そうでしたか。確かに旨味は凄かったです」
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