245 / 597
密告者Ⅳ
しおりを挟む
「そんなものを持ってきて大丈夫なのか?」
「寧ろ良い事しかないぞ?」
「良い事?」
「コイツの頭の肉には特殊な成分があるらしくてな――殆どのウイルスや毒に対抗できる抗体を作ることができるらしい。俺達はお腹や心臓を頂いたからな。なかなかの美味だったぞ」
カルディアはそう言って舌なめずりをした。と、言う事はカリブデウス、スカーは何らかのスキルを手に入れている筈――。
そう覗いてみたら、滅菌Ⅴというスキルが付いていた。効果はあらゆる病の干渉を受けないということなので、もしかして心臓病とかも患わないってこと? 凄くない?
「カルディアのステータスはアテにならないけど、2人のステータスを見ると滅菌Ⅴっていうスキルが付いているな」
「わ! 本当だね」
ミクちゃんもこれには驚いていた。
「疫病竜は細菌系を扱う魔物の頂点だからな――なので、大人の疫病竜でも問題無い! とは言いたいが実際はどうか分からん」
「キメール山にいたのかい?」
「そうだ」
ルミエールの質問に不愛想にそう答えたカルディア。すると、ルミエールは怪訝な表情を浮かべていた。
「可笑しいね。疫病竜は人が住む場所には姿を現さないんだ。不思議な事に疫病竜は会ったら危険だけど、人口が0の所にしか姿を現さないとされているからね――キメール山の麓には人間が住んでいるから姿を現さないと思っていたけど――しかも子供だったんだろ?」
「ああそうだ」
「本当に不思議だね。無事ってことは親はいなかったんだろ?」
「そうだな」
ルミエールの質問に対して適当な返事をするカルディア。質問攻めされて怠いと感じているのが丸分りだ。
「そんなに変な事なのか? そりゃたまに人が住んでいるところに来ることだってあるだろうに」
「変だよ。疫病竜が人が住んでいるとこに現れると災いが起きるって言われているからね」
「そりゃ。疫病竜そのものが災いの集合体だからそうじゃない?」
「違うんだ。疫病竜が生み出す災いではなく別のものだ」
「疫病竜では無く別のもの――」
俺がそう呟いているとミクちゃんが口を開いた。
「例えば地震や噴火とかってことですか?」
「そんな感じだね。実際数百年前に未曾有の津波に襲われた町があって壊滅したという話があるんだけど、その数日前に疫病竜が別の町で目撃されたとことから、このような逸話が残されているんだ――」
俺は知っている。疫病竜が関係しているのかどうかは分からないけど、そう遠くない未来に黒龍が復活してしまうことを――もし、そうならば、その逸話が正しい事になる。人間と違い、生物たちは何らかの異変に気付き、普段と違った行動をとることはどの世界でも同じことだからな。
「ナリユキ君どうしたの? 考え事?」
「ん? 何でもないよ」
ミクちゃんにそう声をかけられたので、どうやら俺はめちゃくちゃ真剣に考えていたらしい。まあ無意識だったから気付かなかったけど、拳を作った手を顎に当てていた。
「絶対に何か別の事考えていた。後で教えてね」
バレバレだ。何で分かるんだ?
「そうだったのか。まあ俺には関係ない。とりあえずこの頭を焼き料理にして食べるといい」
カルディアはそう言って俺に疫病竜の子供の頭を渡して来た。
「有難うな」
そうお礼を言った後に気付いたが、この疫病竜に付いている水晶は何なんだろう?
「この水晶って何なんだ?」
「知らん」
カルディアにそうキッパリと言われた。
「その水晶は疫病を生成する疫病竜の第二のコアみたいなものだよ」
そう教えてくれたのはルミエールだった。
「武器にも使える事から重宝されているからね。市場に出せば大きさにもよるけど金貨3枚は貰えると思うよ」
ってことは日本円で30万円くらいか――。スゲーな。
「とりあえず有難うな」
俺はそう言って3人に金貨7枚を渡した。
「思ったより多いな」
カルディアはそう言いながら金貨を眺めていた。
「この幻幽蝶で治すことができるなら安い物だろ」
俺がそう言うと「金持ちは分からんな」と呟いていた。カルディアって実際にところ良く分からないところが多い。と、言うのもカルディアの性格なら「少ない」とか普通に言いそうだもんな。後は黙って受け取るとか。
「で、どうする? カルカラの貴族を襲った連中の調査は」
カルディアにそう言われた。依頼をこなしたばかりなのに、もう次の依頼を受けようとしているけど、どこからその体力湧いて来るんだ?
「長年やっていると疲れないように連続で動ける癖がつくらしい」
周りはカルディアがいきなり脈の無い話をしていたのでピンとこなかった。
「何か心読むの止めてくれね?」
「無理だな」
カルディアはそう言って鼻を鳴らした。
「とりあえずこれで抗体薬が作れるね」
ルミエールがそう言ったので俺は「そうだな」と言って笑みを浮かべた。
ヴェドラウイルスに関しては問題は無さそうだ――ただ、カルカラの貴族達では無いと仮定すると果たして誰が俺の情報を密告し、誰がカルカラの貴族達を襲ったのだろう。
その疑問に歯がゆさを覚えた。
「寧ろ良い事しかないぞ?」
「良い事?」
「コイツの頭の肉には特殊な成分があるらしくてな――殆どのウイルスや毒に対抗できる抗体を作ることができるらしい。俺達はお腹や心臓を頂いたからな。なかなかの美味だったぞ」
カルディアはそう言って舌なめずりをした。と、言う事はカリブデウス、スカーは何らかのスキルを手に入れている筈――。
そう覗いてみたら、滅菌Ⅴというスキルが付いていた。効果はあらゆる病の干渉を受けないということなので、もしかして心臓病とかも患わないってこと? 凄くない?
「カルディアのステータスはアテにならないけど、2人のステータスを見ると滅菌Ⅴっていうスキルが付いているな」
「わ! 本当だね」
ミクちゃんもこれには驚いていた。
「疫病竜は細菌系を扱う魔物の頂点だからな――なので、大人の疫病竜でも問題無い! とは言いたいが実際はどうか分からん」
「キメール山にいたのかい?」
「そうだ」
ルミエールの質問に不愛想にそう答えたカルディア。すると、ルミエールは怪訝な表情を浮かべていた。
「可笑しいね。疫病竜は人が住む場所には姿を現さないんだ。不思議な事に疫病竜は会ったら危険だけど、人口が0の所にしか姿を現さないとされているからね――キメール山の麓には人間が住んでいるから姿を現さないと思っていたけど――しかも子供だったんだろ?」
「ああそうだ」
「本当に不思議だね。無事ってことは親はいなかったんだろ?」
「そうだな」
ルミエールの質問に対して適当な返事をするカルディア。質問攻めされて怠いと感じているのが丸分りだ。
「そんなに変な事なのか? そりゃたまに人が住んでいるところに来ることだってあるだろうに」
「変だよ。疫病竜が人が住んでいるとこに現れると災いが起きるって言われているからね」
「そりゃ。疫病竜そのものが災いの集合体だからそうじゃない?」
「違うんだ。疫病竜が生み出す災いではなく別のものだ」
「疫病竜では無く別のもの――」
俺がそう呟いているとミクちゃんが口を開いた。
「例えば地震や噴火とかってことですか?」
「そんな感じだね。実際数百年前に未曾有の津波に襲われた町があって壊滅したという話があるんだけど、その数日前に疫病竜が別の町で目撃されたとことから、このような逸話が残されているんだ――」
俺は知っている。疫病竜が関係しているのかどうかは分からないけど、そう遠くない未来に黒龍が復活してしまうことを――もし、そうならば、その逸話が正しい事になる。人間と違い、生物たちは何らかの異変に気付き、普段と違った行動をとることはどの世界でも同じことだからな。
「ナリユキ君どうしたの? 考え事?」
「ん? 何でもないよ」
ミクちゃんにそう声をかけられたので、どうやら俺はめちゃくちゃ真剣に考えていたらしい。まあ無意識だったから気付かなかったけど、拳を作った手を顎に当てていた。
「絶対に何か別の事考えていた。後で教えてね」
バレバレだ。何で分かるんだ?
「そうだったのか。まあ俺には関係ない。とりあえずこの頭を焼き料理にして食べるといい」
カルディアはそう言って俺に疫病竜の子供の頭を渡して来た。
「有難うな」
そうお礼を言った後に気付いたが、この疫病竜に付いている水晶は何なんだろう?
「この水晶って何なんだ?」
「知らん」
カルディアにそうキッパリと言われた。
「その水晶は疫病を生成する疫病竜の第二のコアみたいなものだよ」
そう教えてくれたのはルミエールだった。
「武器にも使える事から重宝されているからね。市場に出せば大きさにもよるけど金貨3枚は貰えると思うよ」
ってことは日本円で30万円くらいか――。スゲーな。
「とりあえず有難うな」
俺はそう言って3人に金貨7枚を渡した。
「思ったより多いな」
カルディアはそう言いながら金貨を眺めていた。
「この幻幽蝶で治すことができるなら安い物だろ」
俺がそう言うと「金持ちは分からんな」と呟いていた。カルディアって実際にところ良く分からないところが多い。と、言うのもカルディアの性格なら「少ない」とか普通に言いそうだもんな。後は黙って受け取るとか。
「で、どうする? カルカラの貴族を襲った連中の調査は」
カルディアにそう言われた。依頼をこなしたばかりなのに、もう次の依頼を受けようとしているけど、どこからその体力湧いて来るんだ?
「長年やっていると疲れないように連続で動ける癖がつくらしい」
周りはカルディアがいきなり脈の無い話をしていたのでピンとこなかった。
「何か心読むの止めてくれね?」
「無理だな」
カルディアはそう言って鼻を鳴らした。
「とりあえずこれで抗体薬が作れるね」
ルミエールがそう言ったので俺は「そうだな」と言って笑みを浮かべた。
ヴェドラウイルスに関しては問題は無さそうだ――ただ、カルカラの貴族達では無いと仮定すると果たして誰が俺の情報を密告し、誰がカルカラの貴族達を襲ったのだろう。
その疑問に歯がゆさを覚えた。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
現代にモンスターが湧きましたが、予めレベル上げしていたので無双しますね。
えぬおー
ファンタジー
なんの取り柄もないおっさんが偶然拾ったネックレスのおかげで無双しちゃう
平 信之は、会社内で「MOBゆき」と陰口を言われるくらい取り柄もない窓際社員。人生はなんて面白くないのだろうと嘆いて帰路に着いている中、信之は異常な輝きを放つネックレスを拾う。そのネックレスは、経験値の間に行くことが出来る特殊なネックレスだった。
経験値の間に行けるようになった信之はどんどんレベルを上げ、無双し、知名度を上げていく。
もう、MOBゆきとは呼ばせないっ!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる