【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
239 / 597

休息Ⅰ

しおりを挟む
「ナリユキ様! ご無事でしたか!?」

 そう言って飛んできたのはクロノスだった。本当に皆に迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。なにより、ミクちゃんが俺の胸のなかでいっぱい泣いてくれたのは生きていてよかったと思った。正直なところ、クロノスや兵士の生首が入っていたのを見せられたときは本気で死にたいと思っていたからな。

「大丈夫だ迷惑かけたな。他の兵士も大丈夫か?」

「問題ありません。本当にミク様と青龍リオ・シェンラン様が来なければどうなっていたか分かりません」

 見た時に直ぐに分かったがミクちゃんは転移テレポートイヤリングを付けている。通りでいきなり現れてクロノス達を救出できたわけだ。

「本当に2人共ありがとう」

 俺がそう言うと、ミクちゃんもマスクを外している青龍リオさんもニッと微笑んでくれた。

「さて帰りましょうか」

「そうですね! それにしてもナリユキ君転移テレポートイヤリング外されてなかったんだね」

「不思議だろ? それだけあの枷の効果であるスキルを発動できないっていう概念が強いって訳さ」

「いつでも逃げることができたのによく耐えたな。やはり魔物の国の主の器だ。マーズベルでここまで器の大きい人間はいないんじゃないか?」

「ミクちゃんやランベリオンも同じことしていましたよ。他の人は分からないですけどね」

「私はどうか分からないけどランベリオンさんはそうだね」

 ミクちゃんは自分がどう行動するかを考えていたがランベリオンに関しては同意していた。

「では兵士達のところへ向かいましょう」

「ああ」

 俺達はクロノスの案内でお城か1km程離れた小屋についた。

「ご無事でなによりです!」

「数々の非礼申し訳ございません。クロノス様からお話はお伺いしました。いつでも逃げることができる状態だったにも関わらず我々の為に犠牲になったと」

 兵士達にはそうやって握手を求められた。俺からすれば巻き込んでしまった事は本当に申し訳ないと思っている。あれが幻覚で本当に良かった。しかし、あの幻覚はどうやって発生していたんだ? 俺はいつの間にかメリーザに幻覚をかけられていたのか? それともあの部屋に何らかの仕掛けがあったのか? 全然身に覚えがないんだけど――。

「それではとりあえずは大丈夫そうだな。余は戻るぞ?」

「ええ。ありがとうございます」

 俺がそう言うとミクちゃんもクロノスも、兵士5人も青龍リオさんに向かって一礼をした。すると「では」と言い残して転移テレポートイヤリングを使って姿を消した。

「さて、ログウェルってことはアマミヤとランベリオンがいるんだよな?」

「多分そうだと思うよ?」

「なら進捗状況聞いてみるか」

「そうだね!」

「と――その前に――」

 今はどうしても連絡したい人がいる。感謝の気持ちでいっぱいな人がもう1人――。

《今大丈夫か?》

《問題ありません。無事に逃げることができたようですね》

 そう。俺が感謝を伝えたいのは俺の為に涙を流して俺の腕を治してくれたメリーザだ。

《お陰様でな。腕ありがとうな》

《いえいえ。しかし次に会う時はて本当の敵同士になるかもしれませんね》

《元から敵同士だけどな。マカロフ卿の事について何か教えてくれ。そしてヤバくなったら俺の元へ来い味方として全力でもてなすよ》

《その言葉ありがたいです》

《その代わりと言ったら何だけど1つ聞きたいことあるんだけどいいか?》

《ええ。答えられる範囲でしたら――》

 メリーザは少し戸惑いながらそう応えてくれた。

《ヴェドラウイルスをまいたのはコードか?》

《ヴェドラウイルス? ヴェドラウイルスってあのヴェドラウイルスですか?》

 おいおいちょっと待て。何でメリーザが知らないんだ? 一体どうなっていやがるんだ?

《知らないのか?》

《はい。もしやマーズベルでヴェドラウイルスの感染者が出ているのですか?》

《そうなんだ。だから元々アンタは敵だけどもし良かったらヴェドラウイルスの情報を収集してくれないか? 一体誰がその計画を立てたのかを――Qという男が事の発端だ。その男がイーサンという男に瓶を飲ませてマーズベルに調査をさせたのが原因だ》

《分かりました。できることはやってみます。貴方はしばらくこの国に?》

《どうか分からん。また何かあったときは連絡するさ。無理なときは応答しなくてもいい》

《解りました。くれぐれも気を付けて下さい》

《ありがとうな。メリーザも気を付けてくれ》

《ええ。では》

 そう言って俺達の会話は終了した。横でその内容を聞いていたミクちゃんが俺の顔をじっと見つめている。

「ものすごくメリーザと仲良さそうだったけど」

 うわ。可愛いけどめちゃ怒っているな。ふくれっ面なってる。

「メリーザは俺を助けてくれたんだ。マカロフ卿に腕を斬り落とされたときに元に戻してくれたんだよ。んで、そん時にやりすぎです! って言って反抗したからマカロフ卿の拷問はそこで終了。腕を再生してくれた挙句に逃げて下さいという提案までされた。少なくともメリーザは自分の中にある正義で動いているんだ」

「そうなんだ。まさか敵まで味方にするとはね~」

 ミクちゃんはそう言ってニヤニヤとした笑みを浮かべている。

「俺もメリーザの以外な正体に吃驚だよ。さあ小屋の中に戻ろう。外はやけに寒い」

「うん。そうだね」

 俺はミクちゃんにそう言って小屋の中に戻った。


 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

処理中です...