236 / 597
脱出作戦Ⅳ
しおりを挟む
そう思っている時だった。突如、上空でピカッと太陽より眩しい光が私達の部屋に降り注いだと同時に、レイとスーの姿が無くなった。
「ま――眩しい。しかしどういうことでしょうか?」
クロノスさんがそう目を瞑り私に問いかけてきている。うわあ眩しそう――。かくいう私も目が茶色だから
お日様は基本的に眩しいんだけどね――。
そう思っていると、ドーンという激しい衝撃音が外で鳴った。
「――一体何が起きているの?」
「恐らく青龍様ではないでしょうか?」
「青龍さんってあんな眩しく光るスキル持っていないから多分ワイズのスキルですね」
「と、言うと?」
「あのワイズって人、驚くことに火、水、土、雷、風、闇、光の基本属性全て扱えるんですよ。それに加えて死属性まで――」
「思った以上の化物ですね――」
クロノスさんはそう冷や汗をタラっと流していた。
「とりあえず外に行って様子を見ましょう!」
「そうですね!」
そうなると話は早い。クロノスさんが吐いた地獄の炎弾という名の灼熱の炎弾は壁をアッサリと溶かしてしまった。私、炎の中に包まれて死んだから、パッシブスキルで熱無効が付いていたからここまでの威力を発揮するとは思ってもみなかった。このお城は木で造られている訳でもないのに。
壁は溶けているけれどまだ熱いと思うんだけどな。炎まだ残っているし。
「クロノスさん、加護付けなくてもいいんですか?」
「大丈夫ですよ」
クロノスさんは躊躇なく人が1人分程通れるようなサイズの穴の中を潜った。何か壁の開通ってFPSゲームみたいだなとか思いつつも潜ると――。
「あれは?」
「レイとスーですね」
寒空の下で降りしきる雪は地面を白に塗り替えていくロマンある結晶体だ。そんな結晶体が作り上げたフカフカの白の地面にレイとスーが埋もれていた。目を瞑っているから気絶しているのかな?
「一体何が起きたのでしょうか?」
クロノスさんは怪訝な表情で仰向けで、体の所々に火傷を負って埋もれている2人を眺めていた。
青龍さんとワイズの肉弾戦か何だかよく分からないけど、上空100m程のところで凄まじい攻防を繰り広げているのは、空から鳴り響く衝撃で分かる。
「空――」
「どうかされましたか?」
私が顎に手をついてそう考えていると、クロノスさんがそう問いかけてきた。
「分かったかも――」
「何がですか?」
「この2人が気絶している理由」
「それは何故なのでしょうか?」
半ばワクワクしながら前のめりになっているクロノスさんちょっと可愛いんだけど。
「落ちて2人が気絶している理由は強制転移じゃないのかな?」
「成程。空にいても呼べるんですね」
「強制転移って今思うと強すぎる。物理攻撃無効無かったら空に呼ばれた時点で落下してペチャンコになる」
「もしかして2人が火傷を負っているのはワイズの攻撃を代わりに受けさせたのでしょうか?」
「あ……可能性あり得ますね……」
ヤバいな青龍さん。手段を選ばないって感じか。
「この際なのでこの2人も時を駆ける者してみます」
「お願いします」
私がそう言うとクロノスさんはまずレイに触れた。一分程すると次はスーにも触れた。
「ふう――」
クロノスさんは一息ついた後、お城の上の方を眺めていた。
「どうでしたか?」
「ナリユキ様は最上階にいます」
「どの辺りですか?」
「ちょうどここの塔の最上階の部屋のようですね」
クロノスさんが指を指したところは私達の目の前にある塔の最上階とのことだ。
「分かりました行きましょう」
私がそう言って言って天使の翼を展開すると、クロノスさんも魔族特有の黒翼を展開した。
「何気に初めて見ますね。魔族で翼を生やしているところはベリトさんしか見たこと無いので」
「確かにミク様の前で展開するのは初めてですね」
「ちゃんと黒い」
「魔族ですから。さあ行きましょう」
クロノスさんはそう言って目標の場所を指す。
「はい!」
私達はナリユキ君がいる部屋の前の来た。勿論、窓が無いので本当にこの場所にナリユキ君がいるかどうかなんて分からない。
だから、私は結界が張られているかどうかを確かめてみた。すると案の定結界は張られていたので私はその結界を解除した後、光り輝くオーラを指に宿しながら――。
「光子の十字!」
私が外壁に向かって十字を刻み込むと壁が十字の大穴を開けた。中を覗くと人影のようなものがあった。壁にもたれ掛かっているのは――。
ナリユキ君だ――。
でもそこにはいつものナリユキ君の姿は無かった。あるのは圧倒的な悲壮感。顔面蒼白になっていて少し痩せている。そして一番変わってしまったのは笑顔も余裕も無い事。クロノスさんと別れてからまだ数日しか経っていないのにも何があったんだろう――。
身体向上を使って私が拳で壁を殴ると、壁がさらに大きい穴になり、人がほふく状態で通ることができる穴から、普通に立った状態で入れる程大きな穴になった。
ナリユキ君は身体をブルっと震わせて、ゆっくりこっちを向いた。
「ミクちゃん……?」
私がナリユキ君がこっちに気付いてくれたことに感動すら覚えた。
「今から助けに行くからね」
ナリユキ君は嬉しいような悲しいようなそんな複雑な表情をしていた。そして次に放たれた言葉は――。
「来ちゃ駄目だ! マカロフ卿が来るぞ!」
ナリユキ君の決死の訴え――けど私はその訴えを無視した。
「私はなりゆき君が傍にいてくれないと駄目なんだ。だからごめんね」
私がそう言うととても悲しそうな表情をして――。
「クロノスが殺されたんだ! 皆も俺のせいで……」
目に涙を浮かべながら歯を食いしばって床を何度も殴るナリユキ君。一体何があったんだろう――。クロノスさんはここにいるのに――。
「ナリユキ様! 私は生きています!」
私の後ろに隠れていたクロノスさんは、ナリユキ君にそう訴えた。
「へ?」
そう呆然とナリユキ君がしているなか、革靴の音が鳴り響いた。
「まさか壁を破って来るとはな――そうか。空を飛べたのだったな」
煙を散らしながら現れたのは冷たい眼光を放つマカロフ卿だった――。
「ま――眩しい。しかしどういうことでしょうか?」
クロノスさんがそう目を瞑り私に問いかけてきている。うわあ眩しそう――。かくいう私も目が茶色だから
お日様は基本的に眩しいんだけどね――。
そう思っていると、ドーンという激しい衝撃音が外で鳴った。
「――一体何が起きているの?」
「恐らく青龍様ではないでしょうか?」
「青龍さんってあんな眩しく光るスキル持っていないから多分ワイズのスキルですね」
「と、言うと?」
「あのワイズって人、驚くことに火、水、土、雷、風、闇、光の基本属性全て扱えるんですよ。それに加えて死属性まで――」
「思った以上の化物ですね――」
クロノスさんはそう冷や汗をタラっと流していた。
「とりあえず外に行って様子を見ましょう!」
「そうですね!」
そうなると話は早い。クロノスさんが吐いた地獄の炎弾という名の灼熱の炎弾は壁をアッサリと溶かしてしまった。私、炎の中に包まれて死んだから、パッシブスキルで熱無効が付いていたからここまでの威力を発揮するとは思ってもみなかった。このお城は木で造られている訳でもないのに。
壁は溶けているけれどまだ熱いと思うんだけどな。炎まだ残っているし。
「クロノスさん、加護付けなくてもいいんですか?」
「大丈夫ですよ」
クロノスさんは躊躇なく人が1人分程通れるようなサイズの穴の中を潜った。何か壁の開通ってFPSゲームみたいだなとか思いつつも潜ると――。
「あれは?」
「レイとスーですね」
寒空の下で降りしきる雪は地面を白に塗り替えていくロマンある結晶体だ。そんな結晶体が作り上げたフカフカの白の地面にレイとスーが埋もれていた。目を瞑っているから気絶しているのかな?
「一体何が起きたのでしょうか?」
クロノスさんは怪訝な表情で仰向けで、体の所々に火傷を負って埋もれている2人を眺めていた。
青龍さんとワイズの肉弾戦か何だかよく分からないけど、上空100m程のところで凄まじい攻防を繰り広げているのは、空から鳴り響く衝撃で分かる。
「空――」
「どうかされましたか?」
私が顎に手をついてそう考えていると、クロノスさんがそう問いかけてきた。
「分かったかも――」
「何がですか?」
「この2人が気絶している理由」
「それは何故なのでしょうか?」
半ばワクワクしながら前のめりになっているクロノスさんちょっと可愛いんだけど。
「落ちて2人が気絶している理由は強制転移じゃないのかな?」
「成程。空にいても呼べるんですね」
「強制転移って今思うと強すぎる。物理攻撃無効無かったら空に呼ばれた時点で落下してペチャンコになる」
「もしかして2人が火傷を負っているのはワイズの攻撃を代わりに受けさせたのでしょうか?」
「あ……可能性あり得ますね……」
ヤバいな青龍さん。手段を選ばないって感じか。
「この際なのでこの2人も時を駆ける者してみます」
「お願いします」
私がそう言うとクロノスさんはまずレイに触れた。一分程すると次はスーにも触れた。
「ふう――」
クロノスさんは一息ついた後、お城の上の方を眺めていた。
「どうでしたか?」
「ナリユキ様は最上階にいます」
「どの辺りですか?」
「ちょうどここの塔の最上階の部屋のようですね」
クロノスさんが指を指したところは私達の目の前にある塔の最上階とのことだ。
「分かりました行きましょう」
私がそう言って言って天使の翼を展開すると、クロノスさんも魔族特有の黒翼を展開した。
「何気に初めて見ますね。魔族で翼を生やしているところはベリトさんしか見たこと無いので」
「確かにミク様の前で展開するのは初めてですね」
「ちゃんと黒い」
「魔族ですから。さあ行きましょう」
クロノスさんはそう言って目標の場所を指す。
「はい!」
私達はナリユキ君がいる部屋の前の来た。勿論、窓が無いので本当にこの場所にナリユキ君がいるかどうかなんて分からない。
だから、私は結界が張られているかどうかを確かめてみた。すると案の定結界は張られていたので私はその結界を解除した後、光り輝くオーラを指に宿しながら――。
「光子の十字!」
私が外壁に向かって十字を刻み込むと壁が十字の大穴を開けた。中を覗くと人影のようなものがあった。壁にもたれ掛かっているのは――。
ナリユキ君だ――。
でもそこにはいつものナリユキ君の姿は無かった。あるのは圧倒的な悲壮感。顔面蒼白になっていて少し痩せている。そして一番変わってしまったのは笑顔も余裕も無い事。クロノスさんと別れてからまだ数日しか経っていないのにも何があったんだろう――。
身体向上を使って私が拳で壁を殴ると、壁がさらに大きい穴になり、人がほふく状態で通ることができる穴から、普通に立った状態で入れる程大きな穴になった。
ナリユキ君は身体をブルっと震わせて、ゆっくりこっちを向いた。
「ミクちゃん……?」
私がナリユキ君がこっちに気付いてくれたことに感動すら覚えた。
「今から助けに行くからね」
ナリユキ君は嬉しいような悲しいようなそんな複雑な表情をしていた。そして次に放たれた言葉は――。
「来ちゃ駄目だ! マカロフ卿が来るぞ!」
ナリユキ君の決死の訴え――けど私はその訴えを無視した。
「私はなりゆき君が傍にいてくれないと駄目なんだ。だからごめんね」
私がそう言うととても悲しそうな表情をして――。
「クロノスが殺されたんだ! 皆も俺のせいで……」
目に涙を浮かべながら歯を食いしばって床を何度も殴るナリユキ君。一体何があったんだろう――。クロノスさんはここにいるのに――。
「ナリユキ様! 私は生きています!」
私の後ろに隠れていたクロノスさんは、ナリユキ君にそう訴えた。
「へ?」
そう呆然とナリユキ君がしているなか、革靴の音が鳴り響いた。
「まさか壁を破って来るとはな――そうか。空を飛べたのだったな」
煙を散らしながら現れたのは冷たい眼光を放つマカロフ卿だった――。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる