223 / 597
連行Ⅱ
しおりを挟む
俺達は場所を教えられることなく何処かへ向かっていた。機内は閉鎖的な空間になっており、乗員はブルーのシートの椅子にかけている。隣との間隔は0距離と言ってもよい。
俺とクロノスを除く5人は終始怯えていた。「これからどうなるんだ」「助けて」と言った類の小言だ。
「俺達どこに連れていかれるんだ?」
「さあ――全く――」
俺とクロノスがそう小声で話をしているとスーに足を蹴られた。この錠のせいで弁慶の泣き所を蹴られると涙が出てきそうになる。
「次普通に話をしたらナイフで刺すからね」
スーはそう言って俺とクロノスに果物ナイフを見せびらかしてきた。
「あっそ。分かったよ」
俺がぶっきらぼうにそう言うとスーは「ほえ~」と何やら感心していた。
「なんだよ」
「君凄いね。ハート強すぎない? 立場分かってる?」
スーにそう問われたので「分かってるよ」とだけ言って俯いた。
「まあ、国主ともなると頭がおかしい奴がチラチラといるからな。案外、私といるよりかタメになるかもしれないぞ」
「いやいやそれは無いでしょ!」
と、捕らえている人間がいるのに緊迫感が無い。これならもしかして――。
「なあマカロフ卿」
「何だ」
「せめて彼等だけでも開放してくれないか?」
俺がそう言って目の前にいるマカロフ卿の顔をじっと見た。
「駄目に決まっているだろ。貴様本当に殺されたいのか? それとも人質を殺してもいいのか?」
そう俺の目をじっと見てくるマカロフ卿。やはり駄目らしい――。イヤリングはまだ取り上げられていないから、皆を開放してくれればいつでも逃げ切ることができるんだけどな。
「間もなく着陸致します。シートベルトをお締め下さい」
パイロットがそうアナウンスをしたが、俺達は始めから座った時にシートベルトをさせられていた。勿論、俺達は手枷をされているからできるはずも無く、メリーザが一人一人のシートベルトを律儀にかけてくれていたのだった。
「大丈夫だ。全員締まっている」
マカロフ卿がそう言うとパイロットがコクリと頷くと同時にオスプレイは減速して着陸態勢に入った。機内が沈んでいく感じが少しだけだが分かる。とまあそれはともかく。オスプレイの運転は誰が教えたのだろう? マカロフ卿って運転できるのか? そういやチャンピオン・ウォーのキャンペーンモードでは、主人公が何でもかんでも乗りこなしていたな――。何か現場でバリバリ戦って成果を上げている登場人物は、操縦士がスナイパーライフルで撃たれたりしたら墜落するから、主人公がとりあえず操縦を試みたりするもんだ。リアルでもそうなのか? それに生きていくうえでのスキルが多かったりもする。軍人ってのは考えれば考えるほど不思議だ。長期の戦争では、無人島サバイバルみたいな生活を送って生き残っていると聞く。元軍人がサバイバルチャンネルに出演して、無人島生活をカメラに収めていたりもするしな。
オスプレイが完全に停止すると、マカロフ卿の隣に座っていたメリーザがシートベルトを外して、俺達のシートベルトを外していった。
「下手に動かないでくださいね。その瞬間貴方達の首を刎ねますので」
メリーザはそう言って兵達を徹底的に脅していた。俺と兵達は横並びになっているので、メリーザの目つきが本当に殺すぞいう殺意が込められているのが分かる。
クロノスがシートベルトを外されて最後には俺といった形だ。
「なあここは一体どこなんだ?」
「すぐに分かります」
マカロフ卿が先に出ると、その次にアヌビス、ワイズ、兵達、クロノス、俺、メリーザの順に出ていく。そして俺の左隣にはレイ。右隣にはスーといった布陣。
ここはどこかの山らしい。気候も全く違い正直に言うと寒い。それもそのはず、地面は雪原になっており、30m級の大木の葉にも雪が積もっている。白と緑のコントラストと言ったところか。緑を保っていることを考えると常緑樹なのだろうか?
そんな自然に囲まれたなかで聳える黒の巨城――。ここがマカロフ卿達のアジトになるのだろうか? それともログウェルで権力を持つマカロフ卿達のボスにあたる人か? いずれにしても良い事は起きないだろうな。
それにしても――。
「俺だけ待遇厚くない? VIP待遇なのか?」
「今なら殺せるんだぞ? 本当に分かって口を開いているのか?」
レイが俺にそう言って小太刀を向けて来た。これ以上刺激したら本当に殺されそうだから止めておこう。てかそもそもだが、俺を捕らえる必要があるのか? それとも何か俺を利用しようとしているのか? 俺が邪魔ならさっさと殺せばいいのに――死にたくないけど。でも冷静に考えたらおぞましい拷問が待っている可能性がある。いや、そうとしか考えられない――。
けれども一番は無関係なクロノスやカーネル王国の兵達を巻き込んでいる事だ。俺が苦しむのはいいとして、彼等が無抵抗に酷い拷問を受けるのは見たくない。
俺はそう思いながら歩いていると、マカロフ卿が甲冑に身を包んだ城の守り番に「ご苦労」とねぎらいの言葉を放って城の中へと入って行った。俺達もそれについていくと、メリーザ達に挨拶するなり、「アイツがそうか」という声が聞こえた。恐らくアレがアードルハイム皇帝を倒した人間――とでも言いたいのだろう。
案内されるがまま城の中へと入って行った。
俺とクロノスを除く5人は終始怯えていた。「これからどうなるんだ」「助けて」と言った類の小言だ。
「俺達どこに連れていかれるんだ?」
「さあ――全く――」
俺とクロノスがそう小声で話をしているとスーに足を蹴られた。この錠のせいで弁慶の泣き所を蹴られると涙が出てきそうになる。
「次普通に話をしたらナイフで刺すからね」
スーはそう言って俺とクロノスに果物ナイフを見せびらかしてきた。
「あっそ。分かったよ」
俺がぶっきらぼうにそう言うとスーは「ほえ~」と何やら感心していた。
「なんだよ」
「君凄いね。ハート強すぎない? 立場分かってる?」
スーにそう問われたので「分かってるよ」とだけ言って俯いた。
「まあ、国主ともなると頭がおかしい奴がチラチラといるからな。案外、私といるよりかタメになるかもしれないぞ」
「いやいやそれは無いでしょ!」
と、捕らえている人間がいるのに緊迫感が無い。これならもしかして――。
「なあマカロフ卿」
「何だ」
「せめて彼等だけでも開放してくれないか?」
俺がそう言って目の前にいるマカロフ卿の顔をじっと見た。
「駄目に決まっているだろ。貴様本当に殺されたいのか? それとも人質を殺してもいいのか?」
そう俺の目をじっと見てくるマカロフ卿。やはり駄目らしい――。イヤリングはまだ取り上げられていないから、皆を開放してくれればいつでも逃げ切ることができるんだけどな。
「間もなく着陸致します。シートベルトをお締め下さい」
パイロットがそうアナウンスをしたが、俺達は始めから座った時にシートベルトをさせられていた。勿論、俺達は手枷をされているからできるはずも無く、メリーザが一人一人のシートベルトを律儀にかけてくれていたのだった。
「大丈夫だ。全員締まっている」
マカロフ卿がそう言うとパイロットがコクリと頷くと同時にオスプレイは減速して着陸態勢に入った。機内が沈んでいく感じが少しだけだが分かる。とまあそれはともかく。オスプレイの運転は誰が教えたのだろう? マカロフ卿って運転できるのか? そういやチャンピオン・ウォーのキャンペーンモードでは、主人公が何でもかんでも乗りこなしていたな――。何か現場でバリバリ戦って成果を上げている登場人物は、操縦士がスナイパーライフルで撃たれたりしたら墜落するから、主人公がとりあえず操縦を試みたりするもんだ。リアルでもそうなのか? それに生きていくうえでのスキルが多かったりもする。軍人ってのは考えれば考えるほど不思議だ。長期の戦争では、無人島サバイバルみたいな生活を送って生き残っていると聞く。元軍人がサバイバルチャンネルに出演して、無人島生活をカメラに収めていたりもするしな。
オスプレイが完全に停止すると、マカロフ卿の隣に座っていたメリーザがシートベルトを外して、俺達のシートベルトを外していった。
「下手に動かないでくださいね。その瞬間貴方達の首を刎ねますので」
メリーザはそう言って兵達を徹底的に脅していた。俺と兵達は横並びになっているので、メリーザの目つきが本当に殺すぞいう殺意が込められているのが分かる。
クロノスがシートベルトを外されて最後には俺といった形だ。
「なあここは一体どこなんだ?」
「すぐに分かります」
マカロフ卿が先に出ると、その次にアヌビス、ワイズ、兵達、クロノス、俺、メリーザの順に出ていく。そして俺の左隣にはレイ。右隣にはスーといった布陣。
ここはどこかの山らしい。気候も全く違い正直に言うと寒い。それもそのはず、地面は雪原になっており、30m級の大木の葉にも雪が積もっている。白と緑のコントラストと言ったところか。緑を保っていることを考えると常緑樹なのだろうか?
そんな自然に囲まれたなかで聳える黒の巨城――。ここがマカロフ卿達のアジトになるのだろうか? それともログウェルで権力を持つマカロフ卿達のボスにあたる人か? いずれにしても良い事は起きないだろうな。
それにしても――。
「俺だけ待遇厚くない? VIP待遇なのか?」
「今なら殺せるんだぞ? 本当に分かって口を開いているのか?」
レイが俺にそう言って小太刀を向けて来た。これ以上刺激したら本当に殺されそうだから止めておこう。てかそもそもだが、俺を捕らえる必要があるのか? それとも何か俺を利用しようとしているのか? 俺が邪魔ならさっさと殺せばいいのに――死にたくないけど。でも冷静に考えたらおぞましい拷問が待っている可能性がある。いや、そうとしか考えられない――。
けれども一番は無関係なクロノスやカーネル王国の兵達を巻き込んでいる事だ。俺が苦しむのはいいとして、彼等が無抵抗に酷い拷問を受けるのは見たくない。
俺はそう思いながら歩いていると、マカロフ卿が甲冑に身を包んだ城の守り番に「ご苦労」とねぎらいの言葉を放って城の中へと入って行った。俺達もそれについていくと、メリーザ達に挨拶するなり、「アイツがそうか」という声が聞こえた。恐らくアレがアードルハイム皇帝を倒した人間――とでも言いたいのだろう。
案内されるがまま城の中へと入って行った。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる