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ヴェドラウイルス対策Ⅱ
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「問題はここからじゃ。幻幽蝶100年に1度しか現れないと言われていることから、幻幽蝶という名前を付けられたともされている。強力な鱗粉と入手難易度でS級にされているくらいじゃからのう」
「ということは、その鱗粉と体液があればヴェドラウイルスに対抗できる抗体薬は作るれるけど、幻幽蝶と遭遇することができないから、作ることができないという意味ですね?」
「左様。1匹捕獲できれば100人分くらいは作れるんじゃがの」
「他に何かいい方法はないのですか?」
そのルミエールの問いに首を振るアーツさん。
「今のところは考える事ができんな。ワシも色々練ってみるが今のところ答えは出せ無さそうじゃの。効果があるかは別で、現段階ではマーズベルにある薬草で試すのが無難じゃの」
「幻幽蝶の生息地は?」
「不明じゃ。発見されたことがある場所なら、キメール山と呼ばれるところじゃ」
「キメール山はリベリア遺跡の近くですよね?」
「そうじゃの」
ルミエールの問いに頷いたアーツさん。
マジか――。てことはドルドッフ族が近くに住んでいる可能性はあるのか? いずれにせよ、そんな都合のいい魔物が、リベリア遺跡の近くで発見されているのであればいそうな気はする。如何せん、リベリア遺跡って謎が多いゾーク大迷宮があるしな。
「しかし、キメール山はマーズベルくらいの強力な魔物がうじゃうじゃいます。並大抵の冒険者には荷が重いでしょう」
「ルミエール。そういうの全部レンさん達に」
「それは可哀想すぎないかい?」
ルミエールはそう苦笑いを浮かべながら俺を見てきた。確かにぐうの音も出ない。
「そもそも、彼等は君達の国が襲われた時の助っ人だ。それにレン君の魔眼もマカロフ卿と戦う時に必要だろうしね」
「確かに」
「タテワキさんが言い負かされるの珍しいですね」
「うるせ~」
くすっと隣で笑みを浮かべているアマミヤ。まあでも最もな意見だ。
「何じゃ? レンとやらの冒険者は魔眼を使う奴がいるのか? 珍しい魔族じゃな」
「いえ。そのレンという人物は人間です。アードルハイムで仲間が捕らえられたときに怒りで覚醒して開眼しました」
「珍しい事もあるの――そやつは転生者なのか?」
「はい。ナリユキ・タテワキ閣下とミユキ・アマミヤ様と同じ日本人の転生者です」
「成程のう――それを言われたら少し合点もいく。ワシは長い事生きておるが、転生者は血筋と関係なく、他種族の上位スキルを会得したりするからの。まあ稀な話じゃが」
「私が魔族なのに魔眼を持っていないから少し悔しいですけど」
「じゃろうな。お主は魔族の中でもかなり達人じゃからな。まあ、転生者の事をとやかく言っても仕方ないわい」
アーツさんはそう言って深めに座りなおした。
「レンさん達以外にいい冒険者いないのかよ?」
「正直いないね――勿論、レン君達よりか功績を残している冒険者パーティーはあるんだけど、実力や伸びしろで言えばやっぱりあの4人パーティーなんだよね」
「レンさん達と何が違うんだ?」
「ガッツかな――レン君は悪く言えばしつこいし、ナリユキみたいに自分の軸はずらすことないでしょ?」
「確かに」
「他のパーティーは、可笑しいと感じていても流してしまう傾向にある。普段は問題無いけど、重要な任務ほど自分の芯を貫く必要性があるからね」
「まあそれはそうかもな」
俺達がそう話をしているとアマミヤが挙手をしていた。
「何だ?」
「あの、普通に流されているけど私とランベリオンがキメール山に行くのは駄目なんですか?」
アマミヤの質問に俺と同様、ルミエールとアーツさんは「う~ん」と頭を抱えていた。そのリアクションにアマミヤは当然首を傾げる。
「それだとな――」
「ナリユキ風に言うと生産性が悪いんだよね」
俺が呟いた後にルミエールがそう補足してくれた。
「さっきも伝えたが、100年に1度と言われている幻の魔物じゃ。お主とランベリオンをそこに割くのは時間は非効率じゃ。お主たちはランベリオンが戻ってきたらログウェルで調査を行うほうがいいじゃろ」
俺が言いたいことを全て言ってくれたアーツさんの意見に、アマミヤは「成程」と頷いていた。
「探索と戦闘力が高いパーティーはいないのか? 珍しい魔物の素材とか任務をこなしているパーティーだ」
「そうだね――」
ルミエールがそう考えているところ、クロノスが手をポンと叩いた。
「いますよ。ギルドの登録歴は7年くらいのなかなかのベテランで、勢いだけならレンさん達には劣りません。しかし少々クセが強いですが」
「それレンさん達も同じじゃね?」
「また別のクセですね。一度会ってみますか?」
「ああ。因みにどんな人達なんだ?」
「人間、妖鬼、水蛇竜の3人組ですね」
「何その凸凹感がありそうなパーティー」
「でもまあ実力は本物ですよ。水蛇竜の探索能力は特に優れておりますから」
「そうなのか。まあ一度会ってみるよ。話を聞いただけなら強そうだし面白そうだ」
「かしこまりました。それでは後ほど手配を致します。日程は今日の方がいいですよね?」
「できればな」
「じゃあそろそろワシは国に戻るとするか。他の貴族達を待たせているしの。せっかくの機会じゃしカルカラの貴族に挨拶していくか?」
「ええ。お願いします」
俺がそう言うとアーツさんは「付いて来るがよい」と俺を誘って来た。皆はこの部屋から出て、俺、アマミヤ、ルミエール、クロノスはアーツさんの後を追う。ガブリエルはそのまま部屋に残る形となった。
「ということは、その鱗粉と体液があればヴェドラウイルスに対抗できる抗体薬は作るれるけど、幻幽蝶と遭遇することができないから、作ることができないという意味ですね?」
「左様。1匹捕獲できれば100人分くらいは作れるんじゃがの」
「他に何かいい方法はないのですか?」
そのルミエールの問いに首を振るアーツさん。
「今のところは考える事ができんな。ワシも色々練ってみるが今のところ答えは出せ無さそうじゃの。効果があるかは別で、現段階ではマーズベルにある薬草で試すのが無難じゃの」
「幻幽蝶の生息地は?」
「不明じゃ。発見されたことがある場所なら、キメール山と呼ばれるところじゃ」
「キメール山はリベリア遺跡の近くですよね?」
「そうじゃの」
ルミエールの問いに頷いたアーツさん。
マジか――。てことはドルドッフ族が近くに住んでいる可能性はあるのか? いずれにせよ、そんな都合のいい魔物が、リベリア遺跡の近くで発見されているのであればいそうな気はする。如何せん、リベリア遺跡って謎が多いゾーク大迷宮があるしな。
「しかし、キメール山はマーズベルくらいの強力な魔物がうじゃうじゃいます。並大抵の冒険者には荷が重いでしょう」
「ルミエール。そういうの全部レンさん達に」
「それは可哀想すぎないかい?」
ルミエールはそう苦笑いを浮かべながら俺を見てきた。確かにぐうの音も出ない。
「そもそも、彼等は君達の国が襲われた時の助っ人だ。それにレン君の魔眼もマカロフ卿と戦う時に必要だろうしね」
「確かに」
「タテワキさんが言い負かされるの珍しいですね」
「うるせ~」
くすっと隣で笑みを浮かべているアマミヤ。まあでも最もな意見だ。
「何じゃ? レンとやらの冒険者は魔眼を使う奴がいるのか? 珍しい魔族じゃな」
「いえ。そのレンという人物は人間です。アードルハイムで仲間が捕らえられたときに怒りで覚醒して開眼しました」
「珍しい事もあるの――そやつは転生者なのか?」
「はい。ナリユキ・タテワキ閣下とミユキ・アマミヤ様と同じ日本人の転生者です」
「成程のう――それを言われたら少し合点もいく。ワシは長い事生きておるが、転生者は血筋と関係なく、他種族の上位スキルを会得したりするからの。まあ稀な話じゃが」
「私が魔族なのに魔眼を持っていないから少し悔しいですけど」
「じゃろうな。お主は魔族の中でもかなり達人じゃからな。まあ、転生者の事をとやかく言っても仕方ないわい」
アーツさんはそう言って深めに座りなおした。
「レンさん達以外にいい冒険者いないのかよ?」
「正直いないね――勿論、レン君達よりか功績を残している冒険者パーティーはあるんだけど、実力や伸びしろで言えばやっぱりあの4人パーティーなんだよね」
「レンさん達と何が違うんだ?」
「ガッツかな――レン君は悪く言えばしつこいし、ナリユキみたいに自分の軸はずらすことないでしょ?」
「確かに」
「他のパーティーは、可笑しいと感じていても流してしまう傾向にある。普段は問題無いけど、重要な任務ほど自分の芯を貫く必要性があるからね」
「まあそれはそうかもな」
俺達がそう話をしているとアマミヤが挙手をしていた。
「何だ?」
「あの、普通に流されているけど私とランベリオンがキメール山に行くのは駄目なんですか?」
アマミヤの質問に俺と同様、ルミエールとアーツさんは「う~ん」と頭を抱えていた。そのリアクションにアマミヤは当然首を傾げる。
「それだとな――」
「ナリユキ風に言うと生産性が悪いんだよね」
俺が呟いた後にルミエールがそう補足してくれた。
「さっきも伝えたが、100年に1度と言われている幻の魔物じゃ。お主とランベリオンをそこに割くのは時間は非効率じゃ。お主たちはランベリオンが戻ってきたらログウェルで調査を行うほうがいいじゃろ」
俺が言いたいことを全て言ってくれたアーツさんの意見に、アマミヤは「成程」と頷いていた。
「探索と戦闘力が高いパーティーはいないのか? 珍しい魔物の素材とか任務をこなしているパーティーだ」
「そうだね――」
ルミエールがそう考えているところ、クロノスが手をポンと叩いた。
「いますよ。ギルドの登録歴は7年くらいのなかなかのベテランで、勢いだけならレンさん達には劣りません。しかし少々クセが強いですが」
「それレンさん達も同じじゃね?」
「また別のクセですね。一度会ってみますか?」
「ああ。因みにどんな人達なんだ?」
「人間、妖鬼、水蛇竜の3人組ですね」
「何その凸凹感がありそうなパーティー」
「でもまあ実力は本物ですよ。水蛇竜の探索能力は特に優れておりますから」
「そうなのか。まあ一度会ってみるよ。話を聞いただけなら強そうだし面白そうだ」
「かしこまりました。それでは後ほど手配を致します。日程は今日の方がいいですよね?」
「できればな」
「じゃあそろそろワシは国に戻るとするか。他の貴族達を待たせているしの。せっかくの機会じゃしカルカラの貴族に挨拶していくか?」
「ええ。お願いします」
俺がそう言うとアーツさんは「付いて来るがよい」と俺を誘って来た。皆はこの部屋から出て、俺、アマミヤ、ルミエール、クロノスはアーツさんの後を追う。ガブリエルはそのまま部屋に残る形となった。
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