【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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マカロフについて

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 皆とBBQバーベキューを楽しんだ後、俺達は一度俺の屋敷に戻ることにした。そこで俺は青龍リオ・シェンランさんのと対談。とは言ってもコーヒーを飲みながらの雑談だが。ミクちゃんはアテナさんの接待をしている。何やら二次会を開くらしく、温泉に浸かりながら日本酒を提供したいとのことだ。

「最近は来客多いのか?」

「お蔭様で多いですね。なにより、アードルハイム帝国を潰した新生マーズベルってどんな感じ? という感じで観光客が多いんですよ。あと、マーズベルの周辺って結構魔物が現れて、中級者くらいの冒険者パーティーの経験値上げになっているので、それで医療機関の小遣い稼ぎなっていますね。実際にここにいるミクが責任者なんですが、彼女自身、死んでいない人なら如何なる重症だろうと、一瞬で元通りにできますので、聖女様って呼ばれていますよ」

「確かに、マーズベル周辺はそうだが、森の中へ入ってしまえば地獄クラスの難易度になるからな。随分と変わってしまったものだ」

「実際、凄く野蛮だったらしいですね」

「そうだな。森の中には森妖精エルフの楽園があるし、マーズベルを滅ぼすって考えたことがある国のトップはいなかったのだ。それでも己の実力を過信してマーズベルに侵入し、魔物に食い荒らされるのだから、それはもう自己責任にしてくれというわけだ。今はナリユキ殿が統率してくれているお陰で、余の国の国民がマーズベルで死者が出たという報告も出ていないので、お主はよくこの国を統率出来ている。それはひとえに、お主が国民達に衣食住を提供しているからであろう」

「でも、全く不満が上がらないのは、それはそれで不気味なんですよね。まあ、最近は国民の人数が増えたので、国民達が好きな事業をやってもいいと言っているんです。野生のなかで生き残って来た彼等が、戦わずして食べる手段を身に着けているわけですから、個々の種族の知能が随分あがりました。勿論、それは私達と同様の言語を話すことができる知能を持っている個体に限ってですが」

「なかなか面白い事をしているな。おっとそうだ。お主に伝えておかなければならんことがあった」

 青龍リオ・シェンランさんはそう言った後に、手元にあるアイスコーヒーを一口飲んだ。

「伝えておかなければいけないこと?」

「そうだ。余の国の諜報部隊が入手した情報だが、マカロフ卿がどうやらゾーク大迷宮に入ったらしい。お主はまだこの世界に来て間もないから、名前を聞いたことないかもしれないが」

 ゾーク大迷宮――。確かコヴィー・S・ウィズダムさんの本に書いてあったな――。私も訪れたことが無いが、セガールという国のどこかにあるらしいと――。

「コヴィー・S・ウィズダムの著書で拝見したことがあります。しかし、それは伝説では?」

「いや、それが本当だったらしいのだ。様々な調査をしている結果、ドルドッフ族がマカロフ卿達に案内をしていたそうだ」

「ドルドッフ族?」

 やばい。流石にその民族は聞いたことないわ。

「ああ。セガールのリベリア遺跡の付近に住んでいる戦闘民族だ。魔物を従えており、領域テリトリーに入った者を容赦無く殺す残忍性を持つ。そこで殺した人間を、その日の食料として扱うそうだ」

 あら~。人肉食カニバリズムなのね。それに戦闘民族って――。戦うことが好きなのか? 人肉食カニバリズムってことなら、戦うのが好きなのではなく、人間を殺して食べることが目的な気がするから、戦うのはあくまで手段な気がするが――。分からん。

「そうでしたか。確かゾーク大迷宮にも強力な魔物がいるんですよね?」

「そうだ。それこそカーネル王国のカルベリアツリーのダンジョンのようにな。お主の配下にいるノアのような者も当然いるわけだ。マカロフ卿のことだ。気に入った魔物なら、お主のように味方につけるかもしれない」

「それは笑えない冗談だ」

「それに、大迷宮に潜ったなら、奴の戦闘値も大幅に上がってくるはずだ。まあ、ゾーク大迷宮を出れればの話だが――」

「出てくるでしょうね」

「だろうな。奴はログウェルの国家の裏組織の人間だが、そういう奴に限って生存率0%の場所に行っても戻ってきたりする」

「ログウェルの裏組織の人間?」

「そうだ。ログウェルは政治力に優れていてな。しかし、兵力はあまり――。と、いった感じなのだ。そこで兵力を補填する為に作られた組織が黒の殲滅軍ブラック・ジェノサイドと呼ばれている」

「なかなかのネーミングセンス」

 ちょっと厨二臭いネーミングセンスに思わず笑いそうになった。危ない危ない。

「その部隊を統率しているのがマカロフ卿だ。キレる頭と残忍性。冷静な分析力。また、お金を稼ぐ能力も優れていることから、マカロフ卿を慕う国主もいるくらいだしな」

「成程。確かに汚い仕事をしている人間は、全員マカロフ卿と繋がっていそう」

「そういうことだ。だから、マカロフ卿は裏世界の支配者と呼ばれているのだ。正直、ログウェルの国家についているのが不思議くらいだ」

「確かに。そこまでの実力があれば、小国家は最低でも築けそうですけどね」

「そうなのだ。まあ自分の力じゃどうしても稼げないほどの資金をログウェルから与えられているのだろう。問題はここからだ」

「問題?」

 青龍リオ・シェンランさんが神妙な顔つきで俺の目を見てきた。

「マーズベルはログウェルに目をつけられた。だから、マカロフ卿達は力をつけて、マーズベルを襲ってくるだろう」

 そう告げられた俺はやはりそうかと思っいた。多かれ少なかれ、ビジネスの邪魔をしていることになるもんな。
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