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語り継がれる噂Ⅲ
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扉を開き辺りを見渡すと、床も壁もレンガ造りとなっているのが確認できる。そして床から天井までの高さはやはり10メートル程あるようだ。
そして、現れ出て来たのは大量の電黒狼だ。その数は100頭前後だろうか。1層目にしてはなかなかの難易度だ。床をよく見てみると白い粉のような物がある。拾って確認してみると、これは明らかに人間の骨だ。反乱軍に所属していたとき、敵軍の人間を捕えては、生きたまま火炙りの刑などの古典的な死刑方法を行ったこともあるので、人間の骨の質感に関しては自信がある。
それを踏まえると、やはりこの地に人間が足を踏み入れるのは初めてでは無いらしい。やはり一度足を踏み入れてしまったら戻ることができない。それに1階層目がこの電黒狼の群れだ。普通の冒険者パーティーは絶望的だろうな。
私はホルスターからマカロフを取り出して、ちまちまと電黒狼を倒していた。狙撃手が付いているお陰で、目に一発浴びせると、それだけで電黒狼は混乱し、仲間にぶつかったりなどをして、しっちゃかめっちゃかになる。狙いたい箇所付近に銃口を向けて、当てたい箇所をイメージする。すると、FPSのオートエイムのように勝手にイメージしている箇所に当たる。まあ実際、前の世界で狙撃に関しては誰にも負けていなかったことから、こっちに転生して始めから狙撃手Ⅴが付いていたわけだが――。なのでこの距離なら例えスキルが無くても、電黒狼の目に当てることは容易だ。
そして他の者はと言うと、メリーザ、レイ、スーの3人に関しては自身が所有している剣で応戦している。そして問題児のワイズだが――。
電黒狼達を自身の爪で切り裂いていた。驚くべきなのはコレはスキルとかでも何でも無い。奴によるただの引っかき攻撃だ。生体兵器というだけの事はある。
結局のところ、電黒狼を倒した数は40頭という記録でただの素手で戦っていたワイズだった。
「フッ――。口ほどにもねえ」
ワイズはそう言って自身の足元に転がっている電黒狼の死体に唾を吐き捨てた。
グルルルル――。
突如として獣が唸る声がした。暗闇から現れ出たのは10メートル程の体長をした雷黒狼が出て来た。マーズベルにいたベルゾーグと同等の種だ。
黒い体表に頭には雷を帯びた角。そして明らかに怨念が籠った真っ赤な眼。何より、毛が逆立っているのがいい証拠だ。そして、驚くことにこの雷黒狼が3頭も出てきている。
「あ?」
ワイズがそう言って睨めつけただけで1頭の雷黒狼の胴体は真っ二つになった。流石に、これは生体兵器だから――。と、いう適当な事を吐くつもりはない。奴のれっきとしたユニークスキルである。
怒りの冷眼。それが奴のスキルだ。自身の血圧の数値により、眼で視た対象者に何らかの攻撃を与える。先程は血圧がまだ低めの怒りだった為、鎌鼬が雷黒狼の身体を引き裂いた。まあ何とも迷惑なユニークスキルだ。私の復讐の時限爆弾と比べたら、キレやすい奴にとったらかなり便利だ。
「何だ。仲間がやられて少しビビっていやがるのか? かかってこいよワンコ」
ワイズがそう挑発すると、2頭の雷黒狼は案の定ワイズに襲い掛かった。その巨躯のお陰で、ワイズの身体はスッポリと陰に呑まれる。
「テメェ等のその角は何のためにあるんだ? ああ!?」
ワイズはそう怒号を散らしながら、放雷電を放った。青い雷を周囲に放つというスキルだ。当然ながら、普通の放雷電であれば、雷耐性が高い雷黒狼に喰ら訳がない。
しかし、雷黒狼はそのスキルを直撃した事によって麻痺を起こす。麻痺耐性が付いているが、レベルⅣの為に喰らってしまったというわけだ。
その隙にワイズは身体向上を使い、自身の腕に目一杯の力を込めた後、爪を数十センチに意図的に伸ばした。それはまるで、収納自在の鉤爪だ。
その鋭い爪を駆使して、雷黒狼の身体を引き裂いた。
この巨体が自身の爪で、切れ味に定評がある死絶や水刃のように切れる。私がもし使えたら斬った時の感触は爽快なんだろうか? なんて事を考えてしまう。
そして麻痺が解除したもう1頭は大きく口を開けた。
「悪の破壊光!」
ワイズの手からは、邪悪で巨大なエネルギー光が放たれた。そのエネルギー光は見事なまでに雷黒狼を吹き飛ばした。
壁に激突したが、雷黒狼は既に絶命している。
「呆気ねえな行くぞ」
電黒狼と雷黒狼を倒したことにより、部屋の奥からギギギという開く音がした。誰が仕掛けたスキルかは知らんが、フロア内の敵を全滅させると次の扉が勝手に開くらしい。
「ほとんどワイズが倒したね」
「まあ、実力は本物だからな」
「私は、ワイズのMPを絶対に回復させませんから」
そう各々感想を述べていると――。
「来いっ! つってんだろ雑魚共!」
と、怒号が部屋の奥から言うまでもない。フロアを進むごとによって敵は強くなる。当然、自身の余裕がなくなってくるわけだ。すると、ワイズは他の皆にイライラし始める。ではどうなる? 仲間同士での喧嘩が始まる。
そう思うと連れてくるべきではなかったか。などと頭によぎってしまうが、ナリユキ・タテワキと戦うにあたって、ワイズの力は必須だ。乗り越えるしかない。
そして、現れ出て来たのは大量の電黒狼だ。その数は100頭前後だろうか。1層目にしてはなかなかの難易度だ。床をよく見てみると白い粉のような物がある。拾って確認してみると、これは明らかに人間の骨だ。反乱軍に所属していたとき、敵軍の人間を捕えては、生きたまま火炙りの刑などの古典的な死刑方法を行ったこともあるので、人間の骨の質感に関しては自信がある。
それを踏まえると、やはりこの地に人間が足を踏み入れるのは初めてでは無いらしい。やはり一度足を踏み入れてしまったら戻ることができない。それに1階層目がこの電黒狼の群れだ。普通の冒険者パーティーは絶望的だろうな。
私はホルスターからマカロフを取り出して、ちまちまと電黒狼を倒していた。狙撃手が付いているお陰で、目に一発浴びせると、それだけで電黒狼は混乱し、仲間にぶつかったりなどをして、しっちゃかめっちゃかになる。狙いたい箇所付近に銃口を向けて、当てたい箇所をイメージする。すると、FPSのオートエイムのように勝手にイメージしている箇所に当たる。まあ実際、前の世界で狙撃に関しては誰にも負けていなかったことから、こっちに転生して始めから狙撃手Ⅴが付いていたわけだが――。なのでこの距離なら例えスキルが無くても、電黒狼の目に当てることは容易だ。
そして他の者はと言うと、メリーザ、レイ、スーの3人に関しては自身が所有している剣で応戦している。そして問題児のワイズだが――。
電黒狼達を自身の爪で切り裂いていた。驚くべきなのはコレはスキルとかでも何でも無い。奴によるただの引っかき攻撃だ。生体兵器というだけの事はある。
結局のところ、電黒狼を倒した数は40頭という記録でただの素手で戦っていたワイズだった。
「フッ――。口ほどにもねえ」
ワイズはそう言って自身の足元に転がっている電黒狼の死体に唾を吐き捨てた。
グルルルル――。
突如として獣が唸る声がした。暗闇から現れ出たのは10メートル程の体長をした雷黒狼が出て来た。マーズベルにいたベルゾーグと同等の種だ。
黒い体表に頭には雷を帯びた角。そして明らかに怨念が籠った真っ赤な眼。何より、毛が逆立っているのがいい証拠だ。そして、驚くことにこの雷黒狼が3頭も出てきている。
「あ?」
ワイズがそう言って睨めつけただけで1頭の雷黒狼の胴体は真っ二つになった。流石に、これは生体兵器だから――。と、いう適当な事を吐くつもりはない。奴のれっきとしたユニークスキルである。
怒りの冷眼。それが奴のスキルだ。自身の血圧の数値により、眼で視た対象者に何らかの攻撃を与える。先程は血圧がまだ低めの怒りだった為、鎌鼬が雷黒狼の身体を引き裂いた。まあ何とも迷惑なユニークスキルだ。私の復讐の時限爆弾と比べたら、キレやすい奴にとったらかなり便利だ。
「何だ。仲間がやられて少しビビっていやがるのか? かかってこいよワンコ」
ワイズがそう挑発すると、2頭の雷黒狼は案の定ワイズに襲い掛かった。その巨躯のお陰で、ワイズの身体はスッポリと陰に呑まれる。
「テメェ等のその角は何のためにあるんだ? ああ!?」
ワイズはそう怒号を散らしながら、放雷電を放った。青い雷を周囲に放つというスキルだ。当然ながら、普通の放雷電であれば、雷耐性が高い雷黒狼に喰ら訳がない。
しかし、雷黒狼はそのスキルを直撃した事によって麻痺を起こす。麻痺耐性が付いているが、レベルⅣの為に喰らってしまったというわけだ。
その隙にワイズは身体向上を使い、自身の腕に目一杯の力を込めた後、爪を数十センチに意図的に伸ばした。それはまるで、収納自在の鉤爪だ。
その鋭い爪を駆使して、雷黒狼の身体を引き裂いた。
この巨体が自身の爪で、切れ味に定評がある死絶や水刃のように切れる。私がもし使えたら斬った時の感触は爽快なんだろうか? なんて事を考えてしまう。
そして麻痺が解除したもう1頭は大きく口を開けた。
「悪の破壊光!」
ワイズの手からは、邪悪で巨大なエネルギー光が放たれた。そのエネルギー光は見事なまでに雷黒狼を吹き飛ばした。
壁に激突したが、雷黒狼は既に絶命している。
「呆気ねえな行くぞ」
電黒狼と雷黒狼を倒したことにより、部屋の奥からギギギという開く音がした。誰が仕掛けたスキルかは知らんが、フロア内の敵を全滅させると次の扉が勝手に開くらしい。
「ほとんどワイズが倒したね」
「まあ、実力は本物だからな」
「私は、ワイズのMPを絶対に回復させませんから」
そう各々感想を述べていると――。
「来いっ! つってんだろ雑魚共!」
と、怒号が部屋の奥から言うまでもない。フロアを進むごとによって敵は強くなる。当然、自身の余裕がなくなってくるわけだ。すると、ワイズは他の皆にイライラし始める。ではどうなる? 仲間同士での喧嘩が始まる。
そう思うと連れてくるべきではなかったか。などと頭によぎってしまうが、ナリユキ・タテワキと戦うにあたって、ワイズの力は必須だ。乗り越えるしかない。
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