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語り継がれる噂Ⅱ
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私達は上に報告を行った後、リベリア遺跡にオスプレイで向かった。こんな飛行船がいきなり現れたら、迎撃してくるだろうから、レイには先に報せてもらっていた。冷静に考えればオスプレイを何て説明したのか気になるが。
遺跡近くの平原に降りると、50人のドルドッフ族達が出迎えてくれた。顔や身体全身に独自の文様を描いている上半身が裸の黒人達だ。右手にはトマホークを持っており、野生の魔物にも引けを取らない鋭い目つきをしている。
黙ってはいるが、何人かのドルドッフ族の目つきには闘志が宿っている。納得していないのだろう。いきなり訳の分からん人間が降りてきて偉そうにしているのだからな。
「マカロフ卿。待っておった。俺はドルドッフ族の族長をやっているアリババだ」
「私はジェノーバ・マカロフだ。いきなりけしかけてすまない。どうしてもゾーク大迷宮に入らなくてはならないのだ」
「そうだったのか。ではこちらへ」
そうして私達はアリババの案内でリベリア遺跡の土を踏んだ。大仏のような顔が彫られている、10メートル程の岩山が4つある。その岩山に囲まれているのが、私達が訪れたこの石の城だ。その石の城には草木が生えていることから、Googleの画像検索に混ざっていても違和感はない。
その城の中へ入って行くと中心部に例の井戸があった。
「凄い真っ暗だね~」
そう話したのは、青い瞳をした私と同じ白い肌を持っている茶髪の少年スーだ。身長はまだ130cmくらいしかないが、自分と同じ丈ほどの剣を背中に背負っている。一度その剣を抜けばただの殺戮兵器と化す。ハリウッド映画の子役のように整った顔立ちから想像ができん。
「カカカカカ。ビビっているのかスー? まあまだ子供だもんな~」
そう煽っているのは、小さいペイズリー柄が入った銀色の仮面を付けている、ウェーブがかった長い金髪の男ワイズ。コイツもコイツで曲者だ。私より冷酷で無慈悲な戦闘狂。以前の世界でいうなら精神病質という病気が相応しい男だ。
「何だと! いつもその仮面付けているから恥ずかしがっているくせに! ワイズが先に入りなよ」
「五月蠅い。ガタガタ抜かすな。煙が不味い」
「あん? テメェ俺様に指図するのか? いい度胸じゃねえか」
すると、これもいつも通りだ。ワイズの首元にメリーザのレイピアとレイの小太刀が向けられる。
「チィ」
「分かったなら少し黙れ。仲間を殺すつもりはない」
「ああん? 一体俺様がいつからテメェの仲間になったんだよ。第一、俺様がこんなところに入ってトレーニングしろ? テメェ等雑魚共のお遊戯に付き合えってのか? それがそもそも気に食わねえ」
「お前の戦闘値いくつだ?」
「テメェと同じ5,000だ! 分かってんだろこのアホ」
「私もお前もたったの5,000だ。私が倒そうとしているナリユキ・タテワキというマーズベル共和国の主は6,200ある。それを聞いて何も思わないのか?」
ワイズは舌打ちをして井戸の中を覗き込んだ。
「さっさと来い雑魚共」
ワイズは躊躇なく井戸の中へ落ちて行った。
「待って!」
メリーザがそう言った時にはワイズの姿はもう深淵の中。
「大丈夫だ。奴は馬鹿じゃない。そもそも奴は生体兵器だからな」
「しかし――」
「奴はコヴィー・S・ウィズダムが造りだした生体兵器なんだ。問題は無い。それより俺達に浮遊術のスキルを」
「かしこまりました。浮遊の加護」
メリーザがそう唱えたことで、メリーザは勿論、私とレイとスーの4人はこれでしばらく空中を浮遊することができる。
「アリババ。申し訳なかったな」
「いやいや。くれぐれも無茶はするんじゃないぞ」
「ああ」
そうして私達は井戸の中へと入って行った。
すると、ワイズが歯をギリギリと軋ませながら私を睨めつけていた。
「遅えぞ」
「悪かったな」
「レイ扉はどうやって開くんだ?」
「お任せください」
レイがそう言った瞬間だった。ワイズが巨大なエネルギーを込めた拳で扉を破壊した。
「貴様どういうつもりだ! 扉を破壊する馬鹿がどこにいる!」
「五月蠅いな。俺様の彗星撃にケチをつけるのか?」
「魔物が地上に出る危険性を考えなかったのか!?」
「ああん? そんなの知らねえよ。つうかそれはそれで面白いじゃねえか。早く行くぞ」
ワイズはそう言って、灯籠だけで照らされている真っ暗な地下大迷宮を進んでいった。
「アイツ本当に勝手だよね」
「そういう性格だから仕方ない」
「そうですね。今に始まったことじゃないですし。メリーザ、その扉は流石に修復できないよな?」
「そうですね。とりあえず結界を張っておきましたので、私より弱い力の魔物であればここは潜り抜けることはできません」
「仕事が早いな」
「レイ様程ではありません」
「さっさと来いや!」
と、奥からワイズの声がしたので私達はヤレヤレと溜め息をつきながら足を進めた。
妙に冷えるこの地下空間は流石の私でも不気味さを感じた。それに空間が空間だ。葉巻が妙に湿ってマズい。
しばらく歩いていると、ワイズは立ち止まっていた。
「見ろよ扉があるぜ」
天井の高さまで約10メートル。そしてその高さまである巨大な扉には1と大きく刻まれていた。
「恐らくここを開けば魔物達がいるだろう。1層目だから問題は無いと思うが気を引き締めて行こう」
「はい!」
と、メリーザ、レイ、スーの声がしていたが、既にギギギという音がしていた。
「開いたぞ」
まあ、ワイズの勝手な行動はいつも通りだ。
遺跡近くの平原に降りると、50人のドルドッフ族達が出迎えてくれた。顔や身体全身に独自の文様を描いている上半身が裸の黒人達だ。右手にはトマホークを持っており、野生の魔物にも引けを取らない鋭い目つきをしている。
黙ってはいるが、何人かのドルドッフ族の目つきには闘志が宿っている。納得していないのだろう。いきなり訳の分からん人間が降りてきて偉そうにしているのだからな。
「マカロフ卿。待っておった。俺はドルドッフ族の族長をやっているアリババだ」
「私はジェノーバ・マカロフだ。いきなりけしかけてすまない。どうしてもゾーク大迷宮に入らなくてはならないのだ」
「そうだったのか。ではこちらへ」
そうして私達はアリババの案内でリベリア遺跡の土を踏んだ。大仏のような顔が彫られている、10メートル程の岩山が4つある。その岩山に囲まれているのが、私達が訪れたこの石の城だ。その石の城には草木が生えていることから、Googleの画像検索に混ざっていても違和感はない。
その城の中へ入って行くと中心部に例の井戸があった。
「凄い真っ暗だね~」
そう話したのは、青い瞳をした私と同じ白い肌を持っている茶髪の少年スーだ。身長はまだ130cmくらいしかないが、自分と同じ丈ほどの剣を背中に背負っている。一度その剣を抜けばただの殺戮兵器と化す。ハリウッド映画の子役のように整った顔立ちから想像ができん。
「カカカカカ。ビビっているのかスー? まあまだ子供だもんな~」
そう煽っているのは、小さいペイズリー柄が入った銀色の仮面を付けている、ウェーブがかった長い金髪の男ワイズ。コイツもコイツで曲者だ。私より冷酷で無慈悲な戦闘狂。以前の世界でいうなら精神病質という病気が相応しい男だ。
「何だと! いつもその仮面付けているから恥ずかしがっているくせに! ワイズが先に入りなよ」
「五月蠅い。ガタガタ抜かすな。煙が不味い」
「あん? テメェ俺様に指図するのか? いい度胸じゃねえか」
すると、これもいつも通りだ。ワイズの首元にメリーザのレイピアとレイの小太刀が向けられる。
「チィ」
「分かったなら少し黙れ。仲間を殺すつもりはない」
「ああん? 一体俺様がいつからテメェの仲間になったんだよ。第一、俺様がこんなところに入ってトレーニングしろ? テメェ等雑魚共のお遊戯に付き合えってのか? それがそもそも気に食わねえ」
「お前の戦闘値いくつだ?」
「テメェと同じ5,000だ! 分かってんだろこのアホ」
「私もお前もたったの5,000だ。私が倒そうとしているナリユキ・タテワキというマーズベル共和国の主は6,200ある。それを聞いて何も思わないのか?」
ワイズは舌打ちをして井戸の中を覗き込んだ。
「さっさと来い雑魚共」
ワイズは躊躇なく井戸の中へ落ちて行った。
「待って!」
メリーザがそう言った時にはワイズの姿はもう深淵の中。
「大丈夫だ。奴は馬鹿じゃない。そもそも奴は生体兵器だからな」
「しかし――」
「奴はコヴィー・S・ウィズダムが造りだした生体兵器なんだ。問題は無い。それより俺達に浮遊術のスキルを」
「かしこまりました。浮遊の加護」
メリーザがそう唱えたことで、メリーザは勿論、私とレイとスーの4人はこれでしばらく空中を浮遊することができる。
「アリババ。申し訳なかったな」
「いやいや。くれぐれも無茶はするんじゃないぞ」
「ああ」
そうして私達は井戸の中へと入って行った。
すると、ワイズが歯をギリギリと軋ませながら私を睨めつけていた。
「遅えぞ」
「悪かったな」
「レイ扉はどうやって開くんだ?」
「お任せください」
レイがそう言った瞬間だった。ワイズが巨大なエネルギーを込めた拳で扉を破壊した。
「貴様どういうつもりだ! 扉を破壊する馬鹿がどこにいる!」
「五月蠅いな。俺様の彗星撃にケチをつけるのか?」
「魔物が地上に出る危険性を考えなかったのか!?」
「ああん? そんなの知らねえよ。つうかそれはそれで面白いじゃねえか。早く行くぞ」
ワイズはそう言って、灯籠だけで照らされている真っ暗な地下大迷宮を進んでいった。
「アイツ本当に勝手だよね」
「そういう性格だから仕方ない」
「そうですね。今に始まったことじゃないですし。メリーザ、その扉は流石に修復できないよな?」
「そうですね。とりあえず結界を張っておきましたので、私より弱い力の魔物であればここは潜り抜けることはできません」
「仕事が早いな」
「レイ様程ではありません」
「さっさと来いや!」
と、奥からワイズの声がしたので私達はヤレヤレと溜め息をつきながら足を進めた。
妙に冷えるこの地下空間は流石の私でも不気味さを感じた。それに空間が空間だ。葉巻が妙に湿ってマズい。
しばらく歩いていると、ワイズは立ち止まっていた。
「見ろよ扉があるぜ」
天井の高さまで約10メートル。そしてその高さまである巨大な扉には1と大きく刻まれていた。
「恐らくここを開けば魔物達がいるだろう。1層目だから問題は無いと思うが気を引き締めて行こう」
「はい!」
と、メリーザ、レイ、スーの声がしていたが、既にギギギという音がしていた。
「開いたぞ」
まあ、ワイズの勝手な行動はいつも通りだ。
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