【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
173 / 597

語り継がれる噂Ⅱ

しおりを挟む
 私達は上に報告を行った後、リベリア遺跡にオスプレイで向かった。こんな飛行船がいきなり現れたら、迎撃してくるだろうから、レイには先に報せてもらっていた。冷静に考えればオスプレイを何て説明したのか気になるが。

 遺跡近くの平原に降りると、50人のドルドッフ族達が出迎えてくれた。顔や身体全身に独自の文様を描いている上半身が裸の黒人達だ。右手にはトマホークを持っており、野生の魔物にも引けを取らない鋭い目つきをしている。

 黙ってはいるが、何人かのドルドッフ族の目つきには闘志が宿っている。納得していないのだろう。いきなり訳の分からん人間が降りてきて偉そうにしているのだからな。

「マカロフ卿。待っておった。俺はドルドッフ族の族長をやっているアリババだ」

「私はジェノーバ・マカロフだ。いきなりけしかけてすまない。どうしてもゾーク大迷宮に入らなくてはならないのだ」

「そうだったのか。ではこちらへ」

 そうして私達はアリババの案内でリベリア遺跡の土を踏んだ。大仏のような顔が彫られている、10メートル程の岩山が4つある。その岩山に囲まれているのが、私達が訪れたこの石の城だ。その石の城には草木が生えていることから、Googleの画像検索に混ざっていても違和感はない。

 その城の中へ入って行くと中心部に例の井戸があった。

「凄い真っ暗だね~」

 そう話したのは、青い瞳をした私と同じ白い肌を持っている茶髪の少年スーだ。身長はまだ130cmくらいしかないが、自分と同じ丈ほどの剣を背中に背負っている。一度その剣を抜けばただの殺戮兵器と化す。ハリウッド映画の子役のように整った顔立ちから想像ができん。

「カカカカカ。ビビっているのかスー? まあまだ子供だもんな~」

 そう煽っているのは、小さいペイズリー柄が入った銀色の仮面を付けている、ウェーブがかった長い金髪の男ワイズ。コイツもコイツで曲者だ。私より冷酷で無慈悲な戦闘狂。以前の世界でいうなら精神病質サイコパスという病気が相応しい男だ。

「何だと! いつもその仮面付けているから恥ずかしがっているくせに! ワイズが先に入りなよ」

「五月蠅い。ガタガタ抜かすな。煙が不味い」

「あん? テメェ俺様に指図するのか? いい度胸じゃねえか」

 すると、これもいつも通りだ。ワイズの首元にメリーザのレイピアとレイの小太刀が向けられる。

「チィ」

「分かったなら少し黙れ。仲間を殺すつもりはない」

「ああん? 一体俺様がいつからテメェの仲間になったんだよ。第一、俺様がこんなところに入ってトレーニングしろ? テメェ等雑魚共のお遊戯に付き合えってのか? それがそもそも気に食わねえ」

「お前の戦闘値いくつだ?」

「テメェと同じ5,000だ! 分かってんだろこのアホ」

「私もお前もたったの5,000だ。私が倒そうとしているナリユキ・タテワキというマーズベル共和国の主は6,200ある。それを聞いて何も思わないのか?」

 ワイズは舌打ちをして井戸の中を覗き込んだ。

「さっさと来い雑魚共」

 ワイズは躊躇なく井戸の中へ落ちて行った。

「待って!」

 メリーザがそう言った時にはワイズの姿はもう深淵の中。

「大丈夫だ。奴は馬鹿じゃない。そもそも奴は生体兵器だからな」

「しかし――」

「奴はコヴィー・S・ウィズダムが造りだした生体兵器なんだ。問題は無い。それより俺達に浮遊術のスキルを」

「かしこまりました。浮遊の加護エア・ブレス

 メリーザがそう唱えたことで、メリーザは勿論、私とレイとスーの4人はこれでしばらく空中を浮遊することができる。

「アリババ。申し訳なかったな」

「いやいや。くれぐれも無茶はするんじゃないぞ」

「ああ」

 そうして私達は井戸の中へと入って行った。

 すると、ワイズが歯をギリギリと軋ませながら私を睨めつけていた。

「遅えぞ」

「悪かったな」

「レイ扉はどうやって開くんだ?」

「お任せください」

 レイがそう言った瞬間だった。ワイズが巨大なエネルギーを込めた拳で扉を破壊した。

「貴様どういうつもりだ! 扉を破壊する馬鹿がどこにいる!」

「五月蠅いな。俺様の彗星撃コメット・インパクトにケチをつけるのか?」

「魔物が地上に出る危険性を考えなかったのか!?」

「ああん? そんなの知らねえよ。つうかそれはそれで面白いじゃねえか。早く行くぞ」

 ワイズはそう言って、灯籠だけで照らされている真っ暗な地下大迷宮を進んでいった。

「アイツ本当に勝手だよね」

「そういう性格だから仕方ない」

「そうですね。今に始まったことじゃないですし。メリーザ、その扉は流石に修復できないよな?」

「そうですね。とりあえず結界を張っておきましたので、私より弱い力の魔物であればここは潜り抜けることはできません」

「仕事が早いな」

「レイ様程ではありません」

「さっさと来いや!」

 と、奥からワイズの声がしたので私達はヤレヤレと溜め息をつきながら足を進めた。

 妙に冷えるこの地下空間は流石の私でも不気味さを感じた。それに空間が空間だ。葉巻が妙に湿ってマズい。

 しばらく歩いていると、ワイズは立ち止まっていた。

「見ろよ扉があるぜ」

 天井の高さまで約10メートル。そしてその高さまである巨大な扉には1と大きく刻まれていた。

「恐らくここを開けば魔物達がいるだろう。1層目だから問題は無いと思うが気を引き締めて行こう」

「はい!」

 と、メリーザ、レイ、スーの声がしていたが、既にギギギという音がしていた。

「開いたぞ」

 まあ、ワイズの勝手な行動はいつも通りだ。






しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

処理中です...