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交流会Ⅱ
しおりを挟む 俺、ミクちゃん、青龍さんで席に戻ると、さっそく俺達の席はあっという間に貴族達に囲まれていた。
「転生者様とは言え、お若いのに建国する行動力は素晴らしいと思います。私共では到底できない――。マーズベル共和国が、無事に発展していくことを願っております」
「マーズベル共和国と言えば、珍しい鉱石や美味しいぶどうが採れるとか。是非我が国に流通させて下さい」
「青龍閣下からお伺いさせて頂いております。転生初日でランベリオン・カーネル様をミク・アサギ様と共闘して10分以内に倒したところから全てが始まったようですね。いや~。文武両道見習うところがたくさんあります。是非とも御贔屓に」
など、まあ色々と話しかけられて会話したものだ。貴族だけでも30人程いたからまあ疲れた。元の世界にいたときは、こんな交流会みたいなのは無かったから余計だろうか。確かに、自社での交流会というか忘年会みたいなものだと、これよりもっと大人数だったりするけど――。そうじゃないんだよな。
「ふう」
俺は席にドカッと座り、テーブルに置かれている白ワインを堪能した。
「流石のナリユキも疲れたようだね」
「本当だよ。あんなにいっぱい挨拶したらそうなるわ」
「だね。でももう落ち着くと思うから料理を堪能しよう」
「そうだな」
「余の国の自慢の料理だ。口にあうかどうか分らんが楽しんでくれ」
青龍さんはそう言われた。会った時から思っていたけど。余っていう一人称で龍族なのに優しいんだよな。つか、意外と皆優しい。ルミエールは少し抵抗ありそうだったのが謎なんだけど。
で、怪鳥の丸焼きの切身が、いつの間にかお皿の上に盛られていたので口に運んでみた。
鶏肉の部類なので当然と言えば当然だが、脂が程よくジューシーだ。スーパーとかで買う鶏肉って少しパサついたりするけど、肉厚や噛み応え、食感などは豚肉に近いものだった。いや、マジで意味分からん。鶏肉でこの食感は不思議だ。何ていう名前だろ。
それにこのお肉は塩だけで味付けされているらしい。お肉の旨味を存分に生かした塩加減。それに手元には好みでコショウをかけても良いとのことだが、小皿に入っているオレンジ色のソースは一体――。
「なあなあルミエール。このソース一体何なんだよ」
「それが分からないんだよね。ただ言えるのはそれを付けると10倍は美味しくなるよ。もはや腰が抜けると思う」
「そんなに? よし食べてみるか」
そのソースを軽く付けて、お肉を再び口に運んでみた。
「やばあ」
ソースの正体が全く分からんが、深いコクとまろやかな味わい。ほんの少しだが磯の香りがする――。
「もしかしてウニか?」
すると、どや顔で青龍さんがこっちを見ている。
「正解だ。だが他にも入っているが分かるか?」
「卵黄? あと1つは予測もつかないですね」
「正解は白みそだ。ウニ、卵黄、白味噌で出ている」
「まるで日本食みたいな組み合わせですね」
「昔、日本人の料理人が残してくれたレシピだ。余の国自慢の一品だぞ」
「成程。合点がいきました」
「それを考えると日本の料理って素晴らしいんだね。お酒も美味しかったし」
「自慢の国だったからな。でも、便利になりすぎてこういう創作料理って俺達の歳くらいの人は味が薄い! とか言って繊細な味が分かる人が少なくなってきているんだよ。悲しいよな」
「レシピは金貨1枚とるからな」
「結構しますね。考えておきます」
こういう風にちゃっかり営業をしてきた青龍さん。確かに日本の創作料理を再現したいな。従者達を何人か修行させるか。
「ところでナリユキ閣下はどのような女性がタイプなのだ」
と、舌なめずりをしながらこっちを見てくるアスモデウスさん。当然魔族だろうが何だろうが、こんなに絶世の美女と何かしらのハプニングが起きるなら、男であれば食いつくのが当然だが――。
「何ですか藪から棒に」
と、知らないフリをしてみた。
「そんなに詮索する必要ない。ただの情報収集じゃ」
そうは言ってきているが絶対何か企んでいるだろ。
「そうですね。優しい心の持ち主であることは前提で、精神的に自立しているけど、2人きりのときは甘えん坊な人ですかね」
そう言った後にワインを飲みながらミクちゃんを思い浮かべていた。
「ミク殿の事だろ?」
「ゲホッ!」
何を言い出すんだこの人は!
「あれそうだったの? ナリユキも隅に置けないね~」
「別にいいだろ。両想いなんだから」
「確かに転生者同士というものは運命的なもの感じるもんじゃからの」
「他人の恋事にとやかく言わなくてもいいだろ。もっと政治の話をせんか。ワシ等は彼が何を提供できて、何を買ってくれるのかを聞くべきなのだ」
ヴェストロさんは飽きれた口調で話した後、ワインを口に運んでいた。
「とは言ってもマーズベル共和国がどのような資源が豊富かは我々は把握しているからな。さっき言っていた装置い以外で必要なものがあれば言ってくれればいいさ」
青龍《リオ・シェンラン》さんがそう言ってきていたが、俺の国で足りないものな~。
「強いて言うならガソリン、灯油、重油などの液体燃料でしょうか。それがあれば手から戦闘機を出して、それを使用することができるのですが」
「それならワシの国に任せるんだ」
と、得意気に言ってきたヴェストロさん。
「確かに戦闘機と言えば、マカロフ卿が持っている軍事兵器だな。また厄介なものを」
青龍《リオ・シェンラン》さんがそう言ってきていたが、やはりマカロフ卿も持っているのかということだ。オスプレイを持っているから不思議ではないが。
「マカロフ卿の。実力自体はヴェストロと同じくらいじゃが、奴が所有している軍事兵器が厄介すぎる」
「もしかしてそれで手が出せない感じですか?」
「そうじゃ。それでなかなか手を出せないでいると、数年前にアードルハイム皇帝と手を組み始めて、アードルハイム帝国は、技術力が格段に上がり、アードルハイムにもマカロフ卿にも手が出せなくなったというのが構図じゃ。。まあ、アードルハイムは其方が潰してくれたので大変有難いがの」
「そういうことだったんですね」
マカロフ卿か――。アイツは今何をしているのだろう。そして、どこに身を潜めているのだろう。
「転生者様とは言え、お若いのに建国する行動力は素晴らしいと思います。私共では到底できない――。マーズベル共和国が、無事に発展していくことを願っております」
「マーズベル共和国と言えば、珍しい鉱石や美味しいぶどうが採れるとか。是非我が国に流通させて下さい」
「青龍閣下からお伺いさせて頂いております。転生初日でランベリオン・カーネル様をミク・アサギ様と共闘して10分以内に倒したところから全てが始まったようですね。いや~。文武両道見習うところがたくさんあります。是非とも御贔屓に」
など、まあ色々と話しかけられて会話したものだ。貴族だけでも30人程いたからまあ疲れた。元の世界にいたときは、こんな交流会みたいなのは無かったから余計だろうか。確かに、自社での交流会というか忘年会みたいなものだと、これよりもっと大人数だったりするけど――。そうじゃないんだよな。
「ふう」
俺は席にドカッと座り、テーブルに置かれている白ワインを堪能した。
「流石のナリユキも疲れたようだね」
「本当だよ。あんなにいっぱい挨拶したらそうなるわ」
「だね。でももう落ち着くと思うから料理を堪能しよう」
「そうだな」
「余の国の自慢の料理だ。口にあうかどうか分らんが楽しんでくれ」
青龍さんはそう言われた。会った時から思っていたけど。余っていう一人称で龍族なのに優しいんだよな。つか、意外と皆優しい。ルミエールは少し抵抗ありそうだったのが謎なんだけど。
で、怪鳥の丸焼きの切身が、いつの間にかお皿の上に盛られていたので口に運んでみた。
鶏肉の部類なので当然と言えば当然だが、脂が程よくジューシーだ。スーパーとかで買う鶏肉って少しパサついたりするけど、肉厚や噛み応え、食感などは豚肉に近いものだった。いや、マジで意味分からん。鶏肉でこの食感は不思議だ。何ていう名前だろ。
それにこのお肉は塩だけで味付けされているらしい。お肉の旨味を存分に生かした塩加減。それに手元には好みでコショウをかけても良いとのことだが、小皿に入っているオレンジ色のソースは一体――。
「なあなあルミエール。このソース一体何なんだよ」
「それが分からないんだよね。ただ言えるのはそれを付けると10倍は美味しくなるよ。もはや腰が抜けると思う」
「そんなに? よし食べてみるか」
そのソースを軽く付けて、お肉を再び口に運んでみた。
「やばあ」
ソースの正体が全く分からんが、深いコクとまろやかな味わい。ほんの少しだが磯の香りがする――。
「もしかしてウニか?」
すると、どや顔で青龍さんがこっちを見ている。
「正解だ。だが他にも入っているが分かるか?」
「卵黄? あと1つは予測もつかないですね」
「正解は白みそだ。ウニ、卵黄、白味噌で出ている」
「まるで日本食みたいな組み合わせですね」
「昔、日本人の料理人が残してくれたレシピだ。余の国自慢の一品だぞ」
「成程。合点がいきました」
「それを考えると日本の料理って素晴らしいんだね。お酒も美味しかったし」
「自慢の国だったからな。でも、便利になりすぎてこういう創作料理って俺達の歳くらいの人は味が薄い! とか言って繊細な味が分かる人が少なくなってきているんだよ。悲しいよな」
「レシピは金貨1枚とるからな」
「結構しますね。考えておきます」
こういう風にちゃっかり営業をしてきた青龍さん。確かに日本の創作料理を再現したいな。従者達を何人か修行させるか。
「ところでナリユキ閣下はどのような女性がタイプなのだ」
と、舌なめずりをしながらこっちを見てくるアスモデウスさん。当然魔族だろうが何だろうが、こんなに絶世の美女と何かしらのハプニングが起きるなら、男であれば食いつくのが当然だが――。
「何ですか藪から棒に」
と、知らないフリをしてみた。
「そんなに詮索する必要ない。ただの情報収集じゃ」
そうは言ってきているが絶対何か企んでいるだろ。
「そうですね。優しい心の持ち主であることは前提で、精神的に自立しているけど、2人きりのときは甘えん坊な人ですかね」
そう言った後にワインを飲みながらミクちゃんを思い浮かべていた。
「ミク殿の事だろ?」
「ゲホッ!」
何を言い出すんだこの人は!
「あれそうだったの? ナリユキも隅に置けないね~」
「別にいいだろ。両想いなんだから」
「確かに転生者同士というものは運命的なもの感じるもんじゃからの」
「他人の恋事にとやかく言わなくてもいいだろ。もっと政治の話をせんか。ワシ等は彼が何を提供できて、何を買ってくれるのかを聞くべきなのだ」
ヴェストロさんは飽きれた口調で話した後、ワインを口に運んでいた。
「とは言ってもマーズベル共和国がどのような資源が豊富かは我々は把握しているからな。さっき言っていた装置い以外で必要なものがあれば言ってくれればいいさ」
青龍《リオ・シェンラン》さんがそう言ってきていたが、俺の国で足りないものな~。
「強いて言うならガソリン、灯油、重油などの液体燃料でしょうか。それがあれば手から戦闘機を出して、それを使用することができるのですが」
「それならワシの国に任せるんだ」
と、得意気に言ってきたヴェストロさん。
「確かに戦闘機と言えば、マカロフ卿が持っている軍事兵器だな。また厄介なものを」
青龍《リオ・シェンラン》さんがそう言ってきていたが、やはりマカロフ卿も持っているのかということだ。オスプレイを持っているから不思議ではないが。
「マカロフ卿の。実力自体はヴェストロと同じくらいじゃが、奴が所有している軍事兵器が厄介すぎる」
「もしかしてそれで手が出せない感じですか?」
「そうじゃ。それでなかなか手を出せないでいると、数年前にアードルハイム皇帝と手を組み始めて、アードルハイム帝国は、技術力が格段に上がり、アードルハイムにもマカロフ卿にも手が出せなくなったというのが構図じゃ。。まあ、アードルハイムは其方が潰してくれたので大変有難いがの」
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