【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
161 / 597

元の日常Ⅲ

しおりを挟む
 しばらくトレーニングした後は、自分の仕事部屋に戻って、溜めまくったタスクを処理することに。アードルハイム行っていたから考える事がいっぱいで大変だが――。

 その前に書類をどうにかしなければ――。

 俺は隣に置かれている書類の山を見た。

「皆、意外とアイデアを出すんだな」

 1つは、俺がアードルハイム帝国に行く前に、残っている皆に出した宿題だ。マーズベルを発展するためのアイデアなら、何でもいいから出してほしいと。

 当然何でも出していいと言うと、皆が困ってしまいストレスを与えてしまうので、ある程度制限を設けた。例えばリリアンでやりたいお店はあるか? とか、こういうアーティファクトがあったら観光客が増えるんじゃないか? とかなどだ。また、マーズベル山脈の鉱脈をもっと拡張したい! とかなどの要望でもいいわけだ。

 この書類に関しては合計で50枚。他の書類に関しては、俺が留守にしている間の報告書とかだ。運営ってのはやっぱり大変だな。俺が昔やっていたことは、営業活動と5人の部下のマネジメントだったからな。それ考えるとまとめる人数が一気に増えたな。普通なら統率も難しいが、俺が神格化されているのでその辺は楽だ。

 そう書類に目を通しながら1つずつ赤ペンで修正してほしい箇所コメントしたり、いいと思った事はただただ褒めるだけのコメントをした。しばらくそうやっていると、コンコンと部屋をノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

 俺がそう言うと部屋に入っ来たのは 従者サーヴァントではなく、メイド服姿のメイだった。

「あれ?」

 俺が首を傾げるとメイはあたふたとしながら。

「お――。お茶をお持ち致しました」

 と、頬を紅潮させながらコップに入ったお茶をデスクに置いてくれた。

「もしかしてその服装が恥ずかしいのか?」

「は……い……」

 と、耳の先まで真っ赤に染まっていた。もし、ミクちゃんがいなければ可愛いさ故に爆発していたところだ。それこそ、SNSなんかで写真が上がってみろ。裏垢なら間違いなくいいねを押している。イラストだったらどうかって? 本垢でもいいねしているな。

「この服どうですか? あまりその慣れていないので」

「似合っているよ。まあ――。あれ? メイのだけワンピース全体的に短くないか?」

「え? そうなんですか? ミーシャさんにこれを着るように言われたのですが――」

 アイツ何を考えているんだ? あとで聞いておこう。オジサンからすると丈が短いのは眼福だがな。ただ目的が分からんから、もう少し長いいつものメイド服でいい。いや、無難にメイド喫茶なんか開いたら、観光客の男共はお金落とすよな? いや、でも大事な国民に色目使わせるのってどうなんだ? メイみたいな引っ込み思案な 森妖精エルフではなく、アリシアみたいな色気がある、オープンな性格の人の方がいいか。変な事したら普通に怒るだろうし。うん、検討しておこう。

「いい! サンキュ!」

 俺がそう言ってガッツポーズをすると、メイは「あれ? あれ? あ――。ありがとうございます!」と、とりあえず訳も分からず頭を下げていた。

「では私はこれで失礼します。また何かございましたら念話でお声がけください」

「おう。分かった。ありがとうね」

 俺がそう言うと、何故かまた顔を紅潮させていた。いや? マジで何で?

「さて――」

 と、意気込んでいると、またノックの音がした。マジで?

「どうぞ」

 すると、レンさん達が入って来た。

「失礼します。忙しいのにすみません」

「おう、どうした? もう出発?」

「いや、せっかくやしマーズベル観光したいなと思いまして。んで、誰かつけてくれへんかなって」

 と、申し訳なさそうなレンさん。

 勿論、アズサさんも、ノーディルスさんも、ネオンさんも同様の表情をしている。

「誰もいいぜ。特別な」

「じゃあべりーちゃん!」

 と、レンさんが即答した。

「――。却下。その稟議は通りません」

「何でなんですか! クソオオオオ!」

  と、めちゃくちゃ頭をかいていたレンさん。いや、オーバーリアクションが凄い。流石関西人。

「ミクちゃん、ランベリオンは仕事があるから無理。じゃあアリシアとかどうだ?」

「お、お、お、恐れ多いです!」

 と、全力で拒んできたネオンさん。もう何かギャグ漫画みたいな表情しているぞ。つけてほしそうだけど、申し訳ないみたいな。そんな複雑かつ面白い顔。普段のネオンさんをイメージしていると想像つかん。某顔芸モノマネタレントのような顔の忙しさだ。

「うち、アリスちゃんがいいです! 面識あるし!」

「確かにそうだな。よし念話で呼ぶか」

 て、思ったけど冷静に考えたら、 人魚姫マーメイドの姫を安売りし過ぎである。当人は気にしていないだろうがな。そうしてアリスを待つこと数分。

 アリスが部屋をノックして来て入って来た。

「どうぞ」

「失礼致します」

 そう入って来るなり、アズサさんがアリスに飛びついた。

「可愛いわ~」

 と、抱きしめながら頬ずりする姿は、久々に家に帰った時に、愛犬に向ける愛情表現のソレだった。ミクちゃんも一緒の事するし、同性からでも好かれるタイプの童顔美少女だもんな。んで、出るところ出てるし。

 何だろ。アリスの結婚相手は絶対に立ち会いたいのだが?

「じゃあ回ってきますね」

「おう! 楽しんできてな!」

 そう言って、レンさん、アズサさん、ネオンさんが出て行った。と――。ノーディルスさんが残ったまま。

「どうした?」

「レン達が観光している間、鍛錬をつけて頂きたく存じます」

「遠距離だもんな――。ベリトとかどうだ? ベリトは遠距離に特化したアクティブスキルがあるからな。あと一応近接攻撃も覚えておいたほうがいいから、剣術教わるのもアリ」

 俺がそうやって厨二病臭い剣を出してあげると「おお!」とめちゃくちゃ喜んでくれた。金色の骸骨が柄になっている黒刀だ。適当に考えたけど、まあまあ凝ったデザインだと思う。

「ありがとうございます!」

 全力で頭を下げてくれた。もう誠意がうるさいくらい伝わる。

「いいんだよ。連絡して来させるから、屋敷の前で待っててくれ」

「かしこまりました。本当にありがとうございます! 失礼致します!」

 そうキビキビと動き、この部屋を出て行った。人型化ヒューマノイドだからそんなに違和感無いけど、ノーディルスさん冷静に考えたら、体長5mの上位アンデッドだもんな――。シュールだ。

 これで一安心と。さて仕事続行だ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

異世界でスローライフとか無理だから!

まる
ファンタジー
突如青白い光に包まれ目を開ければ、目の前には邪神崇拝者(見た目で勝手に判断)の群れが! 信用できそうもない場所から飛び出していざ行かん見慣れぬ世界へ。 ○○○○○○○○○○ ※ふんわり設定。誤字脱字、表現の未熟さが目につきます。 閲覧、しおり、お気に入り登録ありがとうございます!

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...