【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
143 / 597

激突Ⅳ

しおりを挟む
「ご無事で何よりです」

 そう言って迎えてくれたのは、ノーディルスだった。

「うぬの支援なかなかのものだった」

「いえいえ。大したことありませんよ」

 いや、実際は本当に大したことがあるスキルだったのだが。

 我がクリンコフを地面におろすと、すぐにネオンが駆け寄って来た。

「すぐに手当てをします」

 そう言って、ネオンはクリンコフに向けて手を向けて回復ヒールを行う。すると、クリンコフの傷はみるみる癒えていく。

「ふう。助かったありがとう」

「いえいえ」

 クリンコフは完全に回復したようで、ムクリと起き上がった。そして、猛々しい声が聞こえる部下達の方に目を向けていた。

「やはり、体力の消耗が多そうだな。先程勢いは無くなってきている」

「そうだな。我等も増援に行くぞ。ネオンはここにてくれ。我等が3人で畳みかける」

「かしこまりました。私は攻撃に参加しなくてもいいのですね?」

「ああ。貴重な回復士ヒーラーだからな」

「わかりました」

「待ってや、うちも行くで。いつまで寝てられへんからな」

 そう声がして馬車から姿を現したのは、レン殿と同じ関西弁を喋る明るめのベージュの髪色をした女性だった。確か名前はアズサ・スギモトだ。

「大丈夫なのか?」

 ノーディルスがそう問いかけるとアズサ殿は「わっ!」と驚いていた。

「なんや、ノーディルスか。久々にその姿見たから、吃驚したやん」

「確かに久しぶりだな。で、体はどうなんだ?」

「ばっちりやで。心配かけたな。ごめんな」

 アズサ殿はそう言って深々と頭を下げていた。

「それにしてもホンマ腹立つわ。あの帝国兵達顔覚えたからな。次会ったら絶対殴り飛ばしたるねん」

「アズサさん。それ全員レンさんが怒って燃やしてしまいました。あの場にいた人間殆ど死んでしまっています」

 ピタリと動きを止めて後、首を傾げるアズサ殿。

「ん? スキル使われへんのに?」

「そうだ。キレて魔眼を開眼したんだ。本来の人間の入手方法としては、邪眼か魔眼を持っている龍族、魔族、闇森妖精ダークエルフを倒して、一定の確率でスキルを入手できるんだ。だが、レンの場合は普通に開眼したから、多分アイツ実は人間じゃないんだろ?」

「いや、めちゃくちゃ人間やけど」

 確かにレン殿は特例すぎる。もはやこれは賢者達に報せないといけないレベルの異例。現実から目を背けているが、レン殿が実は人間ではなかったというのが考えのほうが妥当だ。

「これで3人揃いましたね」

 ネオンはそう言って微笑ましい表情を浮かべていた。

「因みにレンはナリユキ様達と同じ行動をしているから、今はいないぞ」

「なんや、そうやったんか。魔眼持ってるレン見てみたかったけどしゃあないな。よし、ほないっちょ暴れるで。あ、ランベリオンさんお願いします」

 そうアズサ殿にペコリと頭を下げられた。関西人って皆こんな感じなのか? ペースを狂わされる。

「いいだろう。我の背中に乗るがよい」

 アズサ殿が乗ったことを確認すると、我は戦闘している同胞達のほうへ向かっていく。ノーディルスはアンデッド族なのに黒翼を出して、飛んでいるので驚くばかりだ。アンデッドは本来飛べないので、冒険している中で習得したものだろう。クリンコフは再び巨人化ジャイアントになり敵陣の方へ走り、近付いたところで大ジャンプをして一気に距離を縮めていた。

「迎え撃て! 奴等を好きにさせるな!」

 すると、ラドクルスの兵達が、空に飛んでいる我等に向かって、掌を向けて来た。

「先手必勝だ」

「防衛はうちがするから任せて下さい。ランベリオンさんは存分に暴れてもらったら」

「そういえばうぬはどのようなスキルが得意なんだ?」

「うちは防衛の方が得意やねん。タンク役みたいな感じかな」

「タンクか成程」

「分かるんや」

「それはそうだろう」

 我は体内のエネルギーを再び口元まで持ってきた。

紅炎放射プロミネンス・バースト!」

 敵兵が放って来ていたスキルは風属性だった。我が吐いている火の方が圧倒的に火力があるため、相手の風の攻撃スキルの影響で、我のスキルの威力が見違えるほど上がったのだ。

 瞬く間に、ラドクルス以外の敵兵は灰と化した。

「凄い技やな。一瞬で灰になってしまった」

「我のユニークスキルだ。火属性のスキルに直撃した者は、問答無用で灰と化す。直撃した者の生きる資格を奪い取る」

「えらい恐ろしいスキルやな。よし、うちはこの辺で降りてあいつの相手するわ」

 そう言ってアズサ殿は我の背中から飛び降りた。そしてラドクルスに向かって剣を突き出していた。

「残念やけどここで死んでもらうで」

「小癪な小娘がっ!」

 ラドクルスはそう言ってアズサ殿に斬りかかった。アズサ殿は軽々と左手のプレートで受け止めて、ラドクルスの
腹部に横薙ぎを浴びせた。

 勝敗ももう近いだろう。ラドクルスを倒せば大将首を取ったことになる。

「この私がこんな小娘にっ!」

 そう言ってラドクルスは、苦い表情を浮かべながら立ち上がった。

 すると、アズサ殿は剣の鍔付近を握り締めた。短く持っている独特のスタイルに違和感を感じた。

 そして、 身体向上アップ・バーストで自身の身体能力を大幅に底上げしている。

「これでどないや!」

 アズサ殿は、ラドクルスの頬に思いっきり柄で殴りつけた。

 当然、それに直撃したラドクルスは数十メートル吹き飛び、ピクリとも動かない様子だった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

陣ノ内猫子
ファンタジー
 神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。  お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。  チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO! ーーーーーーーーー  これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。  ご都合主義、あるかもしれません。  一話一話が短いです。  週一回を目標に投稿したと思います。  面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。  誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。  感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)  

処理中です...