136 / 597
宣告Ⅰ
しおりを挟む
俺達はレンさんに案内されながら、お店の奥に入った。どうやらここはクラブのホールのような造りをしている。皆が奥でダンスバトルなんかもできそうだ。
と――。そんなことはどうでもいい。重要なのはここに倒れている兵士達だ。皆深い傷を負って苦しんでいる者が多数だった。
「何とか傷を癒したんですけど完全回復とまではいかず。ネオンちゃんも今は精神面が不安定なもんで」
「そうか」
痛々しい傷だ。包帯をぐるぐる巻きにされたり、体は大方癒えているが目を覚ましていない人もいる。
「アリシア」
「はい」
「女神の加護」
アリシアが祈りを捧げながらそう言うと、血の気の引いたよう顔をしている人達は、自分の体の異変に気付いたようだ。俺達から見れば、顔色は一気に良くなっている。いや、一気にどんだけ血流良くなったんだよって言いたいレベルだ。
「これは!」
勿論、疲れて壁にもたれかかっていたネオンさんも、この広範囲回復スキルの範囲内に入っているので、異変に気付いてこっちを見るなり、凄く明るい表情をしていた。
「アリシア様! ナリユキ様!」
そう言ってアリシアに飛びつくネオンさん。
「あれ面識あるの?」
「私は森妖精のなかじゃ有名人ですからね。それに、マーズベルは森妖精の中では、楽園と
呼ぶ人もいるくらいですから、彼女は以前遊びに来た事があったんですよ」
アリシアは俺にそう言った後、ネオンさんの事をぎゅっと抱きしめていた。
「凄く可愛い女の子になりましたね」
表情を見るからに、もはやお姉ちゃんとかそんな感じだ。何かこう俺でも感じ取れるくらいの母性本能が出ている。
「アリシア様に会いたかったですううう!」
と――。ちょっと鼻水をすすりながら言っているネオンさん。
「そういえば、アズサさんはどうしているんだ?」
「それがずっと寝込んでるんですわ。まあ、俺達実はアードルハイム皇帝とガープに捕まったんですよ」
「おい。その報告が一番最初じゃね? てかよく脱出できたな」
「まあ、脱出できたんは俺が魔眼を開眼できたからなんですけどね。そんときに、俺達拷問受けたんですよ。勿論、スキルが発動できへん錠をさせられて」
「それで?」
「まあ予測はしてるかもしれないですけど、そん時にアズサとネオンちゃんがが帝国兵に犯されたんです。で、アズサを犯していた奴が、アズサに咥えさせようとしていたので、アズサはそいつのブツを思いっきり噛みました」
ナイス! でも、痛そうだな。想像しただけも金玉縮み上がる。
「そこからアズサに対して数人がかりで暴行が行われて、アズサは意識不明の重体になりました。ネオンちゃんが回復したものの、まだ目は開けないんですよね。ノーディルスが傍で見守っています」
あの上位のアンデッドのクールな青年か。元の姿は顔面は骸骨なんだろうな。まあアンデッドだし――。
「成程ね。それは災難だったな」
「まあ気を抜いていたんでしょうね。俺達はそんなつもりなかったんですが」
「まあ仕方ないだろ。状況がどうであれ。無事でよかったよ。とりあえず、ランベリオンとノアはここに、ノーディルスさん達に合流してくれ。案内はネオンさんに任せる。その後は、俺達の仲間のところへ合流するんだ」
「分かった」
「いいよ! 方舟で待機しておけばいいんだよね?」
「そうだな。そこで俺達が戻ったときにドデカイ花火を見せてあげるよ。反乱軍の皆には帝都を離れるように指示をしてくれ」
「お前たちは一体何者だ? 見たところ日本人だが――」
そう話しかけてきたのは、金髪のオールバックをしている30代前半の、身長は190cm程ある男だった。彼も反乱軍のなのだろう。そしてニキータ・クリンコフという名前は、恐らくロシア人の転生者だ。
「ああそうだ。ロシア人だな? 俺はナリユキ・タテワキだ宜しく。そんなに不思議がるもんか?」
「ああ。紹介が遅れた。俺は反乱軍の暗殺部隊の兵長をやっているニキータ・クリンコフだ。見たところ、有名人のランベリオン・カーネルに、森妖精の族長で有名なアリシアを従えているからな」
「まあ、色々あるのさ。それよりこのランベリオンとノアの指示に従ってほしいんだ。君たちがやろうとしていた革命は、俺達に預けてほしい」
「一体何をする気なんだ?」
クリンコフの問いに、反乱軍の視線が一気に集まった。こういうとき、アリスがいれば裏切り者が誰か分かるんだけどな――。
「あんまり言いたくないんだけど。ここにもしかしたら、帝国軍のスパイが紛れているかもしれないだろ?」
「いいから言え。自己紹介をしたとは言え、俺は貴様等の事を完璧に信用しているわけではないのだ。第一、いきなり大物ばかり連れて来た転生者なんか怪しいに決まっているだろ?」
クリンコフはそう言ってきた。まあ確かにそうだよな。
「ナリユキさん。それは俺も知りたいから教えてくれへんか?」
そう、レンさんやネオンさんに言われてしまったら仕方ないよな――。
「しゃあねえ。3人集まってくれ」
俺は3人にヒソヒソ話で俺の意思をきちんと伝えた。
俺の話を聞くなり、3人共驚いた表情をしていた。
そんな馬鹿な事ができるのかと――。
そう。俺が告げたのは直径100kmの岩山を落とすから、部下に帝都の住人を洗脳させて、帝都から逃がしているという事と、帝都に残っている国民は反乱軍の君達だけだということだった。
と――。そんなことはどうでもいい。重要なのはここに倒れている兵士達だ。皆深い傷を負って苦しんでいる者が多数だった。
「何とか傷を癒したんですけど完全回復とまではいかず。ネオンちゃんも今は精神面が不安定なもんで」
「そうか」
痛々しい傷だ。包帯をぐるぐる巻きにされたり、体は大方癒えているが目を覚ましていない人もいる。
「アリシア」
「はい」
「女神の加護」
アリシアが祈りを捧げながらそう言うと、血の気の引いたよう顔をしている人達は、自分の体の異変に気付いたようだ。俺達から見れば、顔色は一気に良くなっている。いや、一気にどんだけ血流良くなったんだよって言いたいレベルだ。
「これは!」
勿論、疲れて壁にもたれかかっていたネオンさんも、この広範囲回復スキルの範囲内に入っているので、異変に気付いてこっちを見るなり、凄く明るい表情をしていた。
「アリシア様! ナリユキ様!」
そう言ってアリシアに飛びつくネオンさん。
「あれ面識あるの?」
「私は森妖精のなかじゃ有名人ですからね。それに、マーズベルは森妖精の中では、楽園と
呼ぶ人もいるくらいですから、彼女は以前遊びに来た事があったんですよ」
アリシアは俺にそう言った後、ネオンさんの事をぎゅっと抱きしめていた。
「凄く可愛い女の子になりましたね」
表情を見るからに、もはやお姉ちゃんとかそんな感じだ。何かこう俺でも感じ取れるくらいの母性本能が出ている。
「アリシア様に会いたかったですううう!」
と――。ちょっと鼻水をすすりながら言っているネオンさん。
「そういえば、アズサさんはどうしているんだ?」
「それがずっと寝込んでるんですわ。まあ、俺達実はアードルハイム皇帝とガープに捕まったんですよ」
「おい。その報告が一番最初じゃね? てかよく脱出できたな」
「まあ、脱出できたんは俺が魔眼を開眼できたからなんですけどね。そんときに、俺達拷問受けたんですよ。勿論、スキルが発動できへん錠をさせられて」
「それで?」
「まあ予測はしてるかもしれないですけど、そん時にアズサとネオンちゃんがが帝国兵に犯されたんです。で、アズサを犯していた奴が、アズサに咥えさせようとしていたので、アズサはそいつのブツを思いっきり噛みました」
ナイス! でも、痛そうだな。想像しただけも金玉縮み上がる。
「そこからアズサに対して数人がかりで暴行が行われて、アズサは意識不明の重体になりました。ネオンちゃんが回復したものの、まだ目は開けないんですよね。ノーディルスが傍で見守っています」
あの上位のアンデッドのクールな青年か。元の姿は顔面は骸骨なんだろうな。まあアンデッドだし――。
「成程ね。それは災難だったな」
「まあ気を抜いていたんでしょうね。俺達はそんなつもりなかったんですが」
「まあ仕方ないだろ。状況がどうであれ。無事でよかったよ。とりあえず、ランベリオンとノアはここに、ノーディルスさん達に合流してくれ。案内はネオンさんに任せる。その後は、俺達の仲間のところへ合流するんだ」
「分かった」
「いいよ! 方舟で待機しておけばいいんだよね?」
「そうだな。そこで俺達が戻ったときにドデカイ花火を見せてあげるよ。反乱軍の皆には帝都を離れるように指示をしてくれ」
「お前たちは一体何者だ? 見たところ日本人だが――」
そう話しかけてきたのは、金髪のオールバックをしている30代前半の、身長は190cm程ある男だった。彼も反乱軍のなのだろう。そしてニキータ・クリンコフという名前は、恐らくロシア人の転生者だ。
「ああそうだ。ロシア人だな? 俺はナリユキ・タテワキだ宜しく。そんなに不思議がるもんか?」
「ああ。紹介が遅れた。俺は反乱軍の暗殺部隊の兵長をやっているニキータ・クリンコフだ。見たところ、有名人のランベリオン・カーネルに、森妖精の族長で有名なアリシアを従えているからな」
「まあ、色々あるのさ。それよりこのランベリオンとノアの指示に従ってほしいんだ。君たちがやろうとしていた革命は、俺達に預けてほしい」
「一体何をする気なんだ?」
クリンコフの問いに、反乱軍の視線が一気に集まった。こういうとき、アリスがいれば裏切り者が誰か分かるんだけどな――。
「あんまり言いたくないんだけど。ここにもしかしたら、帝国軍のスパイが紛れているかもしれないだろ?」
「いいから言え。自己紹介をしたとは言え、俺は貴様等の事を完璧に信用しているわけではないのだ。第一、いきなり大物ばかり連れて来た転生者なんか怪しいに決まっているだろ?」
クリンコフはそう言ってきた。まあ確かにそうだよな。
「ナリユキさん。それは俺も知りたいから教えてくれへんか?」
そう、レンさんやネオンさんに言われてしまったら仕方ないよな――。
「しゃあねえ。3人集まってくれ」
俺は3人にヒソヒソ話で俺の意思をきちんと伝えた。
俺の話を聞くなり、3人共驚いた表情をしていた。
そんな馬鹿な事ができるのかと――。
そう。俺が告げたのは直径100kmの岩山を落とすから、部下に帝都の住人を洗脳させて、帝都から逃がしているという事と、帝都に残っている国民は反乱軍の君達だけだということだった。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル
異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた
なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった
孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます
さあ、チートの時間だ
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる