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騒動Ⅴ
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「降参したほうがいいわよ。どう考えても貴女に勝ち目はないわ」
「確かにそのようね」
アマミヤさんはそう言うと微笑みながら掌を向けてきた。
「凍結」
その詠唱で、アマミヤさんの手から冷気が噴出されて、ラングドールさんが一瞬で氷漬けにされてしまった。
そして女性は再度手を向けてきた。
一体何をする気? いくらでも防いであげる。そう心構えをしていると――。
「絶対零度」
その掌が向いている方向はノア君だった。
「ノア君!」
私は咄嗟に庇おうとしたけど時すでに遅し。ノア君は一瞬にして、如何なるスキルも通用しない氷の中に封じ込められてしまった。
「ノア様!」
アリスちゃんの質問には当然応じることができないノア君。
「貴女! ノア様に何をしたんですか!?」
「どんなスキルも通用しない氷の中に閉じ込めたのよ。一番危険な気がしたからね」
「お姉様。それは本当ですか?」
「そうね。どう考えても私のスキルじゃ解放することはできないわ。これを解くのはアリシアさんに頼んで、この氷がもたらす効果を無効にして、氷を割るか、術者に解除してもらうしかないわね」
「ご名答。ミクとノア――。そう――。貴女達がマカロフ卿が言っていたマーズベルの人間なのね。と、いうことは帯刀さんもいる訳ですね」
タテワキさん――? なりゆき君の苗字――。
「ナリユキさんとどういう関係なのですか?」
「別に貴女に答える義務はありません。それより帯刀さんもこの国に来ているのですか?」
「一国の主だからいるわけないでしょう」
「そう。じゃあとりあえず死んでもらうわ。悪の破壊光」
「こんなところで何を考えているの!」
アマミヤさんの掌から、強力な邪悪で禍々しい闇のエネルギー光が放たれた。同時にラングドールさんの氷が溶けてきた。
「星光の聖域」
私はラングドールさんを巻き込みながら、周囲を光で包み込んだ。私がいる場所を中心として、光が包み込まれている範囲内には魔法陣が描かれていた。
「ありがとうございます。助かります」
「いえいえ。それより逃げられてしまいましたね」
アマミヤさんは部下を放ったからしてこの場を立ち去った。
「このまま、皇帝に知らされると本格的にマズいことになります」
「そうですね。それにうちのメンバーで一番強いノア君が身動き取れなくなりましたし――」
「その少年が一番強いのですか?」
「そうです」
「それは大幅な戦力ダウンですね。とりあえず今は彼女を追いましょう。絶対零度が破壊されることはまず無いくらい頑丈です。このままでも大丈夫でしょう」
「分かりました。アリスちゃん、アマミヤさんはどっちに行った?」
「左の方角ですね」
「やはり帝国軍の本部のほうだ。急ぎましょう」
ラングドールさんはそう言ってここを飛び出した。私達もそのあとに着いて行く。
身体向上を使って町中を駆け巡った。
「アリスちゃん。向かっている場所はあってる?」
「はい。青の瞳ではしっかり足跡を捉えておりますので、ラングドール副団長が向かっている方向は合っています。やはり本部に戻るのかと」
「足跡はそれってどういう風に見えているの? 上空からでも分かる?」
「はい。不要な足跡は任意で削除してターゲットを絞ることできますから」
「よし! 飛んでいくよ!」
私は走りながら天使の翼を展開して、アリスちゃんを持ち上げた。
高度15m程を維持し始めた時だった。
ドーン! という爆発音が鳴り響いた。
「あの方向は、ティラトンじゃないですか? ノア様が!」
「そうね――。ノア君は例えあの氷に閉じ込められていなくても、無抵抗で、核爆弾を落とされても生存できる程の耐久力があるから大丈夫よ。それより問題は他の反乱軍の皆ね。あっちこっちで動きすぎよ。アリスちゃん念話でラングドールさんに指示をして。アマミヤさんは私達が追いかけるから、ティラトンに向かってって」
「かしこまりました」
すると、アリスちゃんはラングドールさんに念話で連絡をとった。首を左後ろにするとラングドールさんが後方に走っていくことが確認できた。
「ありがとうアリスちゃん」
「いえいえ。あ! あそこにいますよ!」
アリスちゃんが指した方向には街中を駆けているアマミヤさんがいた。
私はスピードを上げてアマミヤさんの数十メートル先に立ち止まると、アマミヤさんは立ち止まらずに馬を
そのまま走らせてきた。
「遠慮ないな」
私が掌を向けると、アマミヤさんは騎座の上に立つなり、空高く舞い上がった。
そしてアマミヤさんは大きく深呼吸をしていた。
彼女は民間人を巻き込む気だ。
「燦爛の光線!」
アマミヤさんがスキルを繰り出す前に、極大の美しく輝く光線を放つ。
アマミヤさんは呼吸をピタリと止めて小太刀を構えて私の方向に向かってきた。
「空中で方向転換とは――。身体向上を使った体の身のこなしだ」
狙われているところは首――。
「いただいたわよ!」
首元に小太刀の刃が私に突き刺さる。
「何で奥までいかないの?」
ガキン!
そう金属音が響くなり唖然としているアマミヤさん。
「首に強化をかけているから無駄よ」
私は思いっきりアマミヤさんの頬を殴ると、アマミヤさんは民家の方へと吹き飛んでいった。
「お姉様――。民間人巻き込んでいます」
アリスちゃんの言葉に苦笑いしか出ない私だった。
「確かにそのようね」
アマミヤさんはそう言うと微笑みながら掌を向けてきた。
「凍結」
その詠唱で、アマミヤさんの手から冷気が噴出されて、ラングドールさんが一瞬で氷漬けにされてしまった。
そして女性は再度手を向けてきた。
一体何をする気? いくらでも防いであげる。そう心構えをしていると――。
「絶対零度」
その掌が向いている方向はノア君だった。
「ノア君!」
私は咄嗟に庇おうとしたけど時すでに遅し。ノア君は一瞬にして、如何なるスキルも通用しない氷の中に封じ込められてしまった。
「ノア様!」
アリスちゃんの質問には当然応じることができないノア君。
「貴女! ノア様に何をしたんですか!?」
「どんなスキルも通用しない氷の中に閉じ込めたのよ。一番危険な気がしたからね」
「お姉様。それは本当ですか?」
「そうね。どう考えても私のスキルじゃ解放することはできないわ。これを解くのはアリシアさんに頼んで、この氷がもたらす効果を無効にして、氷を割るか、術者に解除してもらうしかないわね」
「ご名答。ミクとノア――。そう――。貴女達がマカロフ卿が言っていたマーズベルの人間なのね。と、いうことは帯刀さんもいる訳ですね」
タテワキさん――? なりゆき君の苗字――。
「ナリユキさんとどういう関係なのですか?」
「別に貴女に答える義務はありません。それより帯刀さんもこの国に来ているのですか?」
「一国の主だからいるわけないでしょう」
「そう。じゃあとりあえず死んでもらうわ。悪の破壊光」
「こんなところで何を考えているの!」
アマミヤさんの掌から、強力な邪悪で禍々しい闇のエネルギー光が放たれた。同時にラングドールさんの氷が溶けてきた。
「星光の聖域」
私はラングドールさんを巻き込みながら、周囲を光で包み込んだ。私がいる場所を中心として、光が包み込まれている範囲内には魔法陣が描かれていた。
「ありがとうございます。助かります」
「いえいえ。それより逃げられてしまいましたね」
アマミヤさんは部下を放ったからしてこの場を立ち去った。
「このまま、皇帝に知らされると本格的にマズいことになります」
「そうですね。それにうちのメンバーで一番強いノア君が身動き取れなくなりましたし――」
「その少年が一番強いのですか?」
「そうです」
「それは大幅な戦力ダウンですね。とりあえず今は彼女を追いましょう。絶対零度が破壊されることはまず無いくらい頑丈です。このままでも大丈夫でしょう」
「分かりました。アリスちゃん、アマミヤさんはどっちに行った?」
「左の方角ですね」
「やはり帝国軍の本部のほうだ。急ぎましょう」
ラングドールさんはそう言ってここを飛び出した。私達もそのあとに着いて行く。
身体向上を使って町中を駆け巡った。
「アリスちゃん。向かっている場所はあってる?」
「はい。青の瞳ではしっかり足跡を捉えておりますので、ラングドール副団長が向かっている方向は合っています。やはり本部に戻るのかと」
「足跡はそれってどういう風に見えているの? 上空からでも分かる?」
「はい。不要な足跡は任意で削除してターゲットを絞ることできますから」
「よし! 飛んでいくよ!」
私は走りながら天使の翼を展開して、アリスちゃんを持ち上げた。
高度15m程を維持し始めた時だった。
ドーン! という爆発音が鳴り響いた。
「あの方向は、ティラトンじゃないですか? ノア様が!」
「そうね――。ノア君は例えあの氷に閉じ込められていなくても、無抵抗で、核爆弾を落とされても生存できる程の耐久力があるから大丈夫よ。それより問題は他の反乱軍の皆ね。あっちこっちで動きすぎよ。アリスちゃん念話でラングドールさんに指示をして。アマミヤさんは私達が追いかけるから、ティラトンに向かってって」
「かしこまりました」
すると、アリスちゃんはラングドールさんに念話で連絡をとった。首を左後ろにするとラングドールさんが後方に走っていくことが確認できた。
「ありがとうアリスちゃん」
「いえいえ。あ! あそこにいますよ!」
アリスちゃんが指した方向には街中を駆けているアマミヤさんがいた。
私はスピードを上げてアマミヤさんの数十メートル先に立ち止まると、アマミヤさんは立ち止まらずに馬を
そのまま走らせてきた。
「遠慮ないな」
私が掌を向けると、アマミヤさんは騎座の上に立つなり、空高く舞い上がった。
そしてアマミヤさんは大きく深呼吸をしていた。
彼女は民間人を巻き込む気だ。
「燦爛の光線!」
アマミヤさんがスキルを繰り出す前に、極大の美しく輝く光線を放つ。
アマミヤさんは呼吸をピタリと止めて小太刀を構えて私の方向に向かってきた。
「空中で方向転換とは――。身体向上を使った体の身のこなしだ」
狙われているところは首――。
「いただいたわよ!」
首元に小太刀の刃が私に突き刺さる。
「何で奥までいかないの?」
ガキン!
そう金属音が響くなり唖然としているアマミヤさん。
「首に強化をかけているから無駄よ」
私は思いっきりアマミヤさんの頬を殴ると、アマミヤさんは民家の方へと吹き飛んでいった。
「お姉様――。民間人巻き込んでいます」
アリスちゃんの言葉に苦笑いしか出ない私だった。
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