【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
121 / 597

騒動Ⅱ

しおりを挟む
「ねえねえ。ボクはどうなってるの? 顔は?」

「格好良くなったかな。大人っぽくなってるよ」

「本当!? ミクにそう言ってもらえるの嬉しい!」

 あれ? 俺の直観外れてた? 全力で喜んでいるのノアを見ると、ビビるような恐ろしさは無いんやけどな。

「まあ何にせよ。これで堂々と歩けるはずや。ステータスや見た目が嘘――。なんて都合いいスキルはなかなかレアやから安心していい。もし見破られたら運が無かったと割り切ればいいから」

「本当にありがとうございます」

「お礼を言いたいんはこっちや。依頼主側やのにわざわざ助っ人に来てくれるなんて、ギルドの依頼じゃごっつ珍しいで。やから俺達も期待を裏切らんようにせんとな」

 俺がそう言うと、アズサ、ノーディルス、ネオンちゃんは各々頷いて、俺に真っすぐな眼差しを向けてきた。その光景を見て、べりーちゃんは柔らかい笑みを見せてくれた。

「じゃあ俺達はそろそろ――」

 そう立ち上がろうとしたときやった。左に目線を向けると、何かがこっちに向かってくるのが見えた。この地鳴りは馬――。て、ことは――。

「あれは帝国兵だね」

「ですね」

 ノアが言った後に、ネオンちゃんとアリスちゃんがそう被せた。

「面倒くさいな」

「まあ目的は何となく分かっていますが」

 俺達がそう見ていると、数十人の帝国兵を束ねた1人の帝国兵が、俺達を含めたテラス席に座っている客と、店内にいる客数人に向けて発信した。

「貴様等。仮面を付けた怪しい3人組は見なかったか?」

「見ていないですね」

 べりーちゃん達が一番始めに答えていた。いやアンタ等3人やん。真っ先に嘘つくやんと思い始めると少し面白かった。

 帝国兵が他の客をギロリと睨めつけると、首を小さく左右に振った。実際に仮面をつけた人間なんかおらへんねんから分かる訳ない。て――。言うてもべりーちゃん達が実際に仮面を外しているか分からへん。仮にこっちに来る途中で付けていたらそれはそれでヤバいからな。足取りがバレてまうから、帝国兵が「この付近で見かけたという人間がいたのだが?」って言われるからな。

「この辺りで仮面を付けた3人組がいたという目撃証言があるのだが」

「いえ分かりませんね申し訳ございません」

 そう老夫婦の婦人が証言した。しかし、若い青年が挙手をした。若い青年言うても俺と同い年くらいの人間や。

「そういえばそこの7人組が偽名がどうとか言っていましたよ。この国でそんな発言できるのって不思議だと思うのです。少なくとも調べる必要はあると思いますよ」

 いらん事言いやがってアホ。

 皆を見る限り動揺してる様子は無い。そして、帝国兵の方を見ると俺達の事をギロリと睨めつけてきた。

「ほう。一番始めに見かけていないと発言したグループだな」

「本当に見かけていないので見かけていないと答えるのは当たり前だと思うのですが。それに持ち物検査したければしてもらっても構いません」

「ほほう。よく見たらいい女だな。どうだ? 俺達帝国軍に入らないか? 実力もA級クラスはありそうだ」

 帝国兵はそう言ってべりーちゃんの事をやらしい目で見てた。

 純白のノースリーブの戦闘服。チラリと覗く太もも。腕には 籠手ガントレットと 肘当クーター。脚には 膝当ボレインと すね当グリーブを装着してる出で立ちで、胸もしっかりと強調されてる。まあ男なら発情する奴も中にはおるやろうな。それに森妖精エルフのような美貌で、偽装フェイクの力で可愛らしさをほぼ抜いた美人さんやからな。

「入りません。興味も無いです」

「威勢がいい女は俺は好きだぜ」

「私には世界一素敵な恋人がいるので結構です」

 ……。んんん? 今、恋人おる言うた? ヤバいそうなってくると1択しか無い! ナリユキさんしかおれへん! そう言えば初対面の時、友達同士とは思えへんような雰囲気出とったわ! て――。ことはやで? ナリユキさんはべりーちゃんとS〇Xしたってことかいなっ!

 くううううう。えちえちですね! つかめちゃ羨ましい。だってさ? 動画のべりーちゃんの恋愛相談は、そのシュチエーションめちゃくちゃいいですよね! 羨ましい! とかよく言ってたから、ピュアピュアやけど、性に対する探究心みたいなんが凄かった気がする。つまり夜はドエロイ――。

 パチン!

「ライアー。何をしているんだ?」

 俺がいきなり自分で自分の頬をぶったもんやから、周囲の視線が一気に集中した。

「いやいや。ちょっと別の事考えていたから」

「アンタ。凄い空気の持ち主やな」

 ってアズサに言われた。多分その新喜劇ネタ俺とお前しか分からへん。まあスルーしたけど心のなかでは「許してやったらどうや」って叫んだんは内緒。まあそんな事はええねん。どう出る? 帝国兵。

「ほう。この帝国兵の私より立派な男がいると」

「そうですよ」

「それは見てみたいものだな。その男とやらはどこにいる? 私が勝てば貴様は私の恋人になってもらうぞ?」

「今はこの国にいないので無理ですよ。私達は冒険者でたまたまこの国にいるだけなので」

「それは残念だな。では代わりの奴はいるか?」

「何で勝手に話を進めているのですか? 私達は別に戦うとは言っていませんよ?」

「ほう。さらに反抗する気か? どうなっても知らんぞ?」

「そもそも戦ったところで、貴方が私に勝てると思いませんし、当然ここにいる私以外の人間にも勝てないですよ」

「私の聞き間違いでなければ、そこの子供にも私が負けるという意味に聞こえるのだが?」

「そう言いましたからね」

 するとひそひそと話を始める帝国兵達。

「ハハハハハ! 面白い冗談じゃないか! なあ皆!」

 そう帝国兵が言うと、他の帝国兵もニヤニヤと笑みを浮かべ始めた。まあ冗談じゃないねんけどな。

「アル君。遊んできていいよ」

「本当に? ムカつくからちょうど体動かしたかったんだよね」

 そう言ってアルことノアは立ち上がるなり、馬に乗っている帝国兵のところに近づいた。

 さあ、お手並み拝見やな。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

処理中です...