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騒動Ⅱ
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「ねえねえ。ボクはどうなってるの? 顔は?」
「格好良くなったかな。大人っぽくなってるよ」
「本当!? ミクにそう言ってもらえるの嬉しい!」
あれ? 俺の直観外れてた? 全力で喜んでいるのノアを見ると、ビビるような恐ろしさは無いんやけどな。
「まあ何にせよ。これで堂々と歩けるはずや。ステータスや見た目が嘘――。なんて都合いいスキルはなかなかレアやから安心していい。もし見破られたら運が無かったと割り切ればいいから」
「本当にありがとうございます」
「お礼を言いたいんはこっちや。依頼主側やのにわざわざ助っ人に来てくれるなんて、ギルドの依頼じゃごっつ珍しいで。やから俺達も期待を裏切らんようにせんとな」
俺がそう言うと、アズサ、ノーディルス、ネオンちゃんは各々頷いて、俺に真っすぐな眼差しを向けてきた。その光景を見て、べりーちゃんは柔らかい笑みを見せてくれた。
「じゃあ俺達はそろそろ――」
そう立ち上がろうとしたときやった。左に目線を向けると、何かがこっちに向かってくるのが見えた。この地鳴りは馬――。て、ことは――。
「あれは帝国兵だね」
「ですね」
ノアが言った後に、ネオンちゃんとアリスちゃんがそう被せた。
「面倒くさいな」
「まあ目的は何となく分かっていますが」
俺達がそう見ていると、数十人の帝国兵を束ねた1人の帝国兵が、俺達を含めたテラス席に座っている客と、店内にいる客数人に向けて発信した。
「貴様等。仮面を付けた怪しい3人組は見なかったか?」
「見ていないですね」
べりーちゃん達が一番始めに答えていた。いやアンタ等3人やん。真っ先に嘘つくやんと思い始めると少し面白かった。
帝国兵が他の客をギロリと睨めつけると、首を小さく左右に振った。実際に仮面をつけた人間なんかおらへんねんから分かる訳ない。て――。言うてもべりーちゃん達が実際に仮面を外しているか分からへん。仮にこっちに来る途中で付けていたらそれはそれでヤバいからな。足取りがバレてまうから、帝国兵が「この付近で見かけたという人間がいたのだが?」って言われるからな。
「この辺りで仮面を付けた3人組がいたという目撃証言があるのだが」
「いえ分かりませんね申し訳ございません」
そう老夫婦の婦人が証言した。しかし、若い青年が挙手をした。若い青年言うても俺と同い年くらいの人間や。
「そういえばそこの7人組が偽名がどうとか言っていましたよ。この国でそんな発言できるのって不思議だと思うのです。少なくとも調べる必要はあると思いますよ」
いらん事言いやがってアホ。
皆を見る限り動揺してる様子は無い。そして、帝国兵の方を見ると俺達の事をギロリと睨めつけてきた。
「ほう。一番始めに見かけていないと発言したグループだな」
「本当に見かけていないので見かけていないと答えるのは当たり前だと思うのですが。それに持ち物検査したければしてもらっても構いません」
「ほほう。よく見たらいい女だな。どうだ? 俺達帝国軍に入らないか? 実力もA級クラスはありそうだ」
帝国兵はそう言ってべりーちゃんの事をやらしい目で見てた。
純白のノースリーブの戦闘服。チラリと覗く太もも。腕には 籠手と 肘当。脚には 膝当と すね当を装着してる出で立ちで、胸もしっかりと強調されてる。まあ男なら発情する奴も中にはおるやろうな。それに森妖精のような美貌で、偽装の力で可愛らしさをほぼ抜いた美人さんやからな。
「入りません。興味も無いです」
「威勢がいい女は俺は好きだぜ」
「私には世界一素敵な恋人がいるので結構です」
……。んんん? 今、恋人おる言うた? ヤバいそうなってくると1択しか無い! ナリユキさんしかおれへん! そう言えば初対面の時、友達同士とは思えへんような雰囲気出とったわ! て――。ことはやで? ナリユキさんはべりーちゃんとS〇Xしたってことかいなっ!
くううううう。えちえちですね! つかめちゃ羨ましい。だってさ? 動画のべりーちゃんの恋愛相談は、そのシュチエーションめちゃくちゃいいですよね! 羨ましい! とかよく言ってたから、ピュアピュアやけど、性に対する探究心みたいなんが凄かった気がする。つまり夜はドエロイ――。
パチン!
「ライアー。何をしているんだ?」
俺がいきなり自分で自分の頬をぶったもんやから、周囲の視線が一気に集中した。
「いやいや。ちょっと別の事考えていたから」
「アンタ。凄い空気の持ち主やな」
ってアズサに言われた。多分その新喜劇ネタ俺とお前しか分からへん。まあスルーしたけど心のなかでは「許してやったらどうや」って叫んだんは内緒。まあそんな事はええねん。どう出る? 帝国兵。
「ほう。この帝国兵の私より立派な男がいると」
「そうですよ」
「それは見てみたいものだな。その男とやらはどこにいる? 私が勝てば貴様は私の恋人になってもらうぞ?」
「今はこの国にいないので無理ですよ。私達は冒険者でたまたまこの国にいるだけなので」
「それは残念だな。では代わりの奴はいるか?」
「何で勝手に話を進めているのですか? 私達は別に戦うとは言っていませんよ?」
「ほう。さらに反抗する気か? どうなっても知らんぞ?」
「そもそも戦ったところで、貴方が私に勝てると思いませんし、当然ここにいる私以外の人間にも勝てないですよ」
「私の聞き間違いでなければ、そこの子供にも私が負けるという意味に聞こえるのだが?」
「そう言いましたからね」
するとひそひそと話を始める帝国兵達。
「ハハハハハ! 面白い冗談じゃないか! なあ皆!」
そう帝国兵が言うと、他の帝国兵もニヤニヤと笑みを浮かべ始めた。まあ冗談じゃないねんけどな。
「アル君。遊んできていいよ」
「本当に? ムカつくからちょうど体動かしたかったんだよね」
そう言ってアルことノアは立ち上がるなり、馬に乗っている帝国兵のところに近づいた。
さあ、お手並み拝見やな。
「格好良くなったかな。大人っぽくなってるよ」
「本当!? ミクにそう言ってもらえるの嬉しい!」
あれ? 俺の直観外れてた? 全力で喜んでいるのノアを見ると、ビビるような恐ろしさは無いんやけどな。
「まあ何にせよ。これで堂々と歩けるはずや。ステータスや見た目が嘘――。なんて都合いいスキルはなかなかレアやから安心していい。もし見破られたら運が無かったと割り切ればいいから」
「本当にありがとうございます」
「お礼を言いたいんはこっちや。依頼主側やのにわざわざ助っ人に来てくれるなんて、ギルドの依頼じゃごっつ珍しいで。やから俺達も期待を裏切らんようにせんとな」
俺がそう言うと、アズサ、ノーディルス、ネオンちゃんは各々頷いて、俺に真っすぐな眼差しを向けてきた。その光景を見て、べりーちゃんは柔らかい笑みを見せてくれた。
「じゃあ俺達はそろそろ――」
そう立ち上がろうとしたときやった。左に目線を向けると、何かがこっちに向かってくるのが見えた。この地鳴りは馬――。て、ことは――。
「あれは帝国兵だね」
「ですね」
ノアが言った後に、ネオンちゃんとアリスちゃんがそう被せた。
「面倒くさいな」
「まあ目的は何となく分かっていますが」
俺達がそう見ていると、数十人の帝国兵を束ねた1人の帝国兵が、俺達を含めたテラス席に座っている客と、店内にいる客数人に向けて発信した。
「貴様等。仮面を付けた怪しい3人組は見なかったか?」
「見ていないですね」
べりーちゃん達が一番始めに答えていた。いやアンタ等3人やん。真っ先に嘘つくやんと思い始めると少し面白かった。
帝国兵が他の客をギロリと睨めつけると、首を小さく左右に振った。実際に仮面をつけた人間なんかおらへんねんから分かる訳ない。て――。言うてもべりーちゃん達が実際に仮面を外しているか分からへん。仮にこっちに来る途中で付けていたらそれはそれでヤバいからな。足取りがバレてまうから、帝国兵が「この付近で見かけたという人間がいたのだが?」って言われるからな。
「この辺りで仮面を付けた3人組がいたという目撃証言があるのだが」
「いえ分かりませんね申し訳ございません」
そう老夫婦の婦人が証言した。しかし、若い青年が挙手をした。若い青年言うても俺と同い年くらいの人間や。
「そういえばそこの7人組が偽名がどうとか言っていましたよ。この国でそんな発言できるのって不思議だと思うのです。少なくとも調べる必要はあると思いますよ」
いらん事言いやがってアホ。
皆を見る限り動揺してる様子は無い。そして、帝国兵の方を見ると俺達の事をギロリと睨めつけてきた。
「ほう。一番始めに見かけていないと発言したグループだな」
「本当に見かけていないので見かけていないと答えるのは当たり前だと思うのですが。それに持ち物検査したければしてもらっても構いません」
「ほほう。よく見たらいい女だな。どうだ? 俺達帝国軍に入らないか? 実力もA級クラスはありそうだ」
帝国兵はそう言ってべりーちゃんの事をやらしい目で見てた。
純白のノースリーブの戦闘服。チラリと覗く太もも。腕には 籠手と 肘当。脚には 膝当と すね当を装着してる出で立ちで、胸もしっかりと強調されてる。まあ男なら発情する奴も中にはおるやろうな。それに森妖精のような美貌で、偽装の力で可愛らしさをほぼ抜いた美人さんやからな。
「入りません。興味も無いです」
「威勢がいい女は俺は好きだぜ」
「私には世界一素敵な恋人がいるので結構です」
……。んんん? 今、恋人おる言うた? ヤバいそうなってくると1択しか無い! ナリユキさんしかおれへん! そう言えば初対面の時、友達同士とは思えへんような雰囲気出とったわ! て――。ことはやで? ナリユキさんはべりーちゃんとS〇Xしたってことかいなっ!
くううううう。えちえちですね! つかめちゃ羨ましい。だってさ? 動画のべりーちゃんの恋愛相談は、そのシュチエーションめちゃくちゃいいですよね! 羨ましい! とかよく言ってたから、ピュアピュアやけど、性に対する探究心みたいなんが凄かった気がする。つまり夜はドエロイ――。
パチン!
「ライアー。何をしているんだ?」
俺がいきなり自分で自分の頬をぶったもんやから、周囲の視線が一気に集中した。
「いやいや。ちょっと別の事考えていたから」
「アンタ。凄い空気の持ち主やな」
ってアズサに言われた。多分その新喜劇ネタ俺とお前しか分からへん。まあスルーしたけど心のなかでは「許してやったらどうや」って叫んだんは内緒。まあそんな事はええねん。どう出る? 帝国兵。
「ほう。この帝国兵の私より立派な男がいると」
「そうですよ」
「それは見てみたいものだな。その男とやらはどこにいる? 私が勝てば貴様は私の恋人になってもらうぞ?」
「今はこの国にいないので無理ですよ。私達は冒険者でたまたまこの国にいるだけなので」
「それは残念だな。では代わりの奴はいるか?」
「何で勝手に話を進めているのですか? 私達は別に戦うとは言っていませんよ?」
「ほう。さらに反抗する気か? どうなっても知らんぞ?」
「そもそも戦ったところで、貴方が私に勝てると思いませんし、当然ここにいる私以外の人間にも勝てないですよ」
「私の聞き間違いでなければ、そこの子供にも私が負けるという意味に聞こえるのだが?」
「そう言いましたからね」
するとひそひそと話を始める帝国兵達。
「ハハハハハ! 面白い冗談じゃないか! なあ皆!」
そう帝国兵が言うと、他の帝国兵もニヤニヤと笑みを浮かべ始めた。まあ冗談じゃないねんけどな。
「アル君。遊んできていいよ」
「本当に? ムカつくからちょうど体動かしたかったんだよね」
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