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密会Ⅰ
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「レヴァベルさんが私に客人に会わせようとするなんて珍しいですね」
「うるさい。これでいいだろ聖女様よ。何の話をするのか知らんが俺達は帰るぞ」
「ありがとう。あと、私が言った約束は守ってね」
「分かってる。もしバレたら殺されそうだもんな」
レヴァベルはそう言ってこの場から姿を消した。そして今目の前にいるのは、反乱軍の副団長でありながら、帝国軍第5騎士団、騎士団長のヴェルナー・リベリア・ラングドール。
「レヴァベルさん、随分風当たり強いけどなにかされたんですか?」
「気にしなくていいですよ。あと、ここは少しマズいので場所を変えませんか?」
「そうですね。あ、そこの君。私は少し席を外していると言っておいてくれないか?」
「しかし得体の知れない人間達と騎士団長様のみの空間にするのはまずいかと」
「大丈夫だ。心配ないよ」
ラングドールさんは、近くの兵士達にそう伝えると、「ついて来てください」と招かれた。
ここは第5騎士団の帝都の中心地にある支部基地。ラングドールさんが、本部の次に姿を現す場所らしく、第一候補のここに訪れたという訳だ。
建物自体は、周りの家と馴染むように造られているらしくレンガ造りだった。
招かれた部屋は8畳くらいの部屋で普通の会社の面接ブースみたいな感じだ。
「次から次へとややこしい事が起きるな本当に――。単刀直入に伺いますが、貴方達はどこから来たのですか?」
「それは言えません。ただ私が持っている情報としては、ラングドールさんが副団長をやっているという情報です」
すると、ラングドールさんの目の色が一気に鋭くなった。
「そんな冗談はよしてください。私が反乱軍の副団長だなんて」
「大丈夫です敵ではありません。むしろ手助けをしようとしています」
「手助け?」
「はい。まず状況が掴めないと思いますので、軽く説明させて頂きますと、私達はとある人物達を送り込んだ依頼側の人間です。その送り込んだ人物の情報のよりますと、今、反乱軍に二重スパイがいるという話を聞きました。そこで私達はそのスパイを炙り出したいと考えております」
私がそう話をするとラングドールさんは少し困ったような表情を浮かべていた。
「確かに嘘は言っていなさそうだけど――」
何やらまだ懸念点があるらしい。多かれ少なかれ、私達が何者か分からないということだろう。そしてこの人は視ている。アリスちゃんが 人魚姫という情報は持っているのだ。
「前提として、貴方達は目立ってはいけない存在です。鑑定士を持っている人間がいれば、アリスさんの存在が魔物だと気付き狙われることになるでしょう。もし、アリスさんの存在が皇帝に知られてしまってはマズいことになる」
「私達は強いので大丈夫ですよ」
「確かに強さは異次元だと思います。緑の模様が入っている少年に関しては、さらに異次元の存在だ。正直人間なのか疑うレベルだ。しかしながら下手に動かれては困る」
「じゃあ――。彼等と合流する必要があるね」
その彼等というのはレンさん達のことだ。レンさんが持っている偽装ならステータスや顔を誤魔化すことができる。
「私のスキルには、何かしらの形で裏切っているかと、その言葉に対して嘘を言っているかどうかを判別することができるスキルを持っております。一目視ただけで裏切っているのは分かりますので、お役に立てると思います。私を味方にすると、反乱軍がより有利に進めることができると思うのですが」
「それはなかなか便利なスキルですね。できれば私の方で保護したいのですがそれもできませんしね。正直なところ、レヴァベルさんは貴方達の存在を見過ごしているようですが、絶対に誰か1人は皇帝に、貴方達の情報を流す人間もいるのです。そうなってきたとき、戦闘を避けることはできないでしょう」
ラングドールさんはそう言って頭を抱えていた。何となく言いたいことが分かった気がする。私達は大きなお世話をしたかもしれないという事だ。
もっと慎重に行動するべきだったのかもしれない。そういった悩みが頭のなかでグルグルと巡っていた。
「申し訳ございません。迷惑だったでしょうか?」
「いや! そうは言っておりません」
そう必死に言ってくれたけど、ラングドールさんの顔には、どうしようと書かれている気がする。冷静に考えれば、レヴァベルが何やら怪しげな仮面を付けた3人組を連れて、ラングドールさんと会わせたとなれば怪しさ満点だ。
他国のスパイと何やら怪しい取引をしていると思われても仕方がないことだろう。反乱軍のスパイを見つけたいけど、バレたら帝国軍と反乱軍の衝突は避けれない。なので、反乱軍のアジトで匿ってもらうのも厳しいという選択肢だ。
「正直アジトへ連れて行くのも厳しいですからね」
「先に捕まえたらいい話じゃないの?」
「駄目なんだ。スパイは恐らく複数人にいるから厳しい。1人捕まってしまったらもう1人がアジトを知らせて戦争になるだろう」
「そもそも、何で硬直状態が続いているのか分からないけどね。反乱軍のアジトを知っているのであれば先に潰せばいいのに」
「恐らく戦力を把握しているのだろう」
「ならどちらにせよ不利じゃない? それだと潰されるのも時間の問題だよ」
ノア君の意見はごもっともで、ラングドールさんは大きく頷いていた。
「とりあえず、しばらく考えさせてくれ。貴方達は目立たない宿で泊まるといい。宿に関しては私が手配する」
ラングドールさんがそう言って席を立ったので、私達も立ってこの部屋を後にした。
「うるさい。これでいいだろ聖女様よ。何の話をするのか知らんが俺達は帰るぞ」
「ありがとう。あと、私が言った約束は守ってね」
「分かってる。もしバレたら殺されそうだもんな」
レヴァベルはそう言ってこの場から姿を消した。そして今目の前にいるのは、反乱軍の副団長でありながら、帝国軍第5騎士団、騎士団長のヴェルナー・リベリア・ラングドール。
「レヴァベルさん、随分風当たり強いけどなにかされたんですか?」
「気にしなくていいですよ。あと、ここは少しマズいので場所を変えませんか?」
「そうですね。あ、そこの君。私は少し席を外していると言っておいてくれないか?」
「しかし得体の知れない人間達と騎士団長様のみの空間にするのはまずいかと」
「大丈夫だ。心配ないよ」
ラングドールさんは、近くの兵士達にそう伝えると、「ついて来てください」と招かれた。
ここは第5騎士団の帝都の中心地にある支部基地。ラングドールさんが、本部の次に姿を現す場所らしく、第一候補のここに訪れたという訳だ。
建物自体は、周りの家と馴染むように造られているらしくレンガ造りだった。
招かれた部屋は8畳くらいの部屋で普通の会社の面接ブースみたいな感じだ。
「次から次へとややこしい事が起きるな本当に――。単刀直入に伺いますが、貴方達はどこから来たのですか?」
「それは言えません。ただ私が持っている情報としては、ラングドールさんが副団長をやっているという情報です」
すると、ラングドールさんの目の色が一気に鋭くなった。
「そんな冗談はよしてください。私が反乱軍の副団長だなんて」
「大丈夫です敵ではありません。むしろ手助けをしようとしています」
「手助け?」
「はい。まず状況が掴めないと思いますので、軽く説明させて頂きますと、私達はとある人物達を送り込んだ依頼側の人間です。その送り込んだ人物の情報のよりますと、今、反乱軍に二重スパイがいるという話を聞きました。そこで私達はそのスパイを炙り出したいと考えております」
私がそう話をするとラングドールさんは少し困ったような表情を浮かべていた。
「確かに嘘は言っていなさそうだけど――」
何やらまだ懸念点があるらしい。多かれ少なかれ、私達が何者か分からないということだろう。そしてこの人は視ている。アリスちゃんが 人魚姫という情報は持っているのだ。
「前提として、貴方達は目立ってはいけない存在です。鑑定士を持っている人間がいれば、アリスさんの存在が魔物だと気付き狙われることになるでしょう。もし、アリスさんの存在が皇帝に知られてしまってはマズいことになる」
「私達は強いので大丈夫ですよ」
「確かに強さは異次元だと思います。緑の模様が入っている少年に関しては、さらに異次元の存在だ。正直人間なのか疑うレベルだ。しかしながら下手に動かれては困る」
「じゃあ――。彼等と合流する必要があるね」
その彼等というのはレンさん達のことだ。レンさんが持っている偽装ならステータスや顔を誤魔化すことができる。
「私のスキルには、何かしらの形で裏切っているかと、その言葉に対して嘘を言っているかどうかを判別することができるスキルを持っております。一目視ただけで裏切っているのは分かりますので、お役に立てると思います。私を味方にすると、反乱軍がより有利に進めることができると思うのですが」
「それはなかなか便利なスキルですね。できれば私の方で保護したいのですがそれもできませんしね。正直なところ、レヴァベルさんは貴方達の存在を見過ごしているようですが、絶対に誰か1人は皇帝に、貴方達の情報を流す人間もいるのです。そうなってきたとき、戦闘を避けることはできないでしょう」
ラングドールさんはそう言って頭を抱えていた。何となく言いたいことが分かった気がする。私達は大きなお世話をしたかもしれないという事だ。
もっと慎重に行動するべきだったのかもしれない。そういった悩みが頭のなかでグルグルと巡っていた。
「申し訳ございません。迷惑だったでしょうか?」
「いや! そうは言っておりません」
そう必死に言ってくれたけど、ラングドールさんの顔には、どうしようと書かれている気がする。冷静に考えれば、レヴァベルが何やら怪しげな仮面を付けた3人組を連れて、ラングドールさんと会わせたとなれば怪しさ満点だ。
他国のスパイと何やら怪しい取引をしていると思われても仕方がないことだろう。反乱軍のスパイを見つけたいけど、バレたら帝国軍と反乱軍の衝突は避けれない。なので、反乱軍のアジトで匿ってもらうのも厳しいという選択肢だ。
「正直アジトへ連れて行くのも厳しいですからね」
「先に捕まえたらいい話じゃないの?」
「駄目なんだ。スパイは恐らく複数人にいるから厳しい。1人捕まってしまったらもう1人がアジトを知らせて戦争になるだろう」
「そもそも、何で硬直状態が続いているのか分からないけどね。反乱軍のアジトを知っているのであれば先に潰せばいいのに」
「恐らく戦力を把握しているのだろう」
「ならどちらにせよ不利じゃない? それだと潰されるのも時間の問題だよ」
ノア君の意見はごもっともで、ラングドールさんは大きく頷いていた。
「とりあえず、しばらく考えさせてくれ。貴方達は目立たない宿で泊まるといい。宿に関しては私が手配する」
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