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立案
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ミクちゃん元気にやってくれているだろう? おじさんはとても心配です。それにミクちゃんがいないと案外退屈だ。やっぱり日常の楽しみは、ミクちゃんと絡むことだったらしい。
「ナリユキ殿、思いを馳せているな」
ランベリオンが、窓から海を眺めている俺を見てそう言っていた。そりゃ、窓のところに肘をつきながら潮風を浴びていたらそう思うわな。まあ、当たっているんだけどね。流石我が盟友よ。
「癒しがいないとこうも俺は駄目になるのか」
「らしいな」
ランベリオンは俺が言った事と、少し抜けた俺の姿を見て微笑んでいた。しかも、赤ワインのグラスを軽く回しながら。いや、飲んでいいって言ったのは俺なんだけどね。
「ベリトはもうすぐ着きそうなのか?」
「時期にアリシアと来るだろ。というか、アリシアの転移を使いすぎじゃないか?」
「だって仕方ないじゃん」
「少しは休ませてあげろよ」
「休ませてるって」
「ならいいが。それにしてもミク殿達は上手くやっているものだろうか? 確かにミク殿はナリユキ殿と行動を共にしていた時間が一番多いから、思考力も大分上がっているはずだが」
「学校の成績はどうだったか知らないけど、地頭はいいよ。恋愛とゲームのチャンネルで、30万人のチャンネル登録者って結構多いんだ。その動画コンテンツも、芸能人とかの参入で、最近始めた人が動画を伸ばすのが難しくなっているから。変な話、エロの路線に走ればそこそこいけるんだけど、ミクちゃんはそれはやっていないって言っていたしな」
「成程な。でもまあ負けることはないだろ。それより問題なのがアードルハイム皇帝をどうするかと、あの悪魔のサインをどうするかだな」
「アリスが念話持っているから、情報がある程度まとまれば報告しに来るだろ。それより、ノアが問題なんだよな」
「一番の暴れん坊将軍だからな」
「お前、暴れん坊将軍なんか知っているのかよ?」
「勿論だ。お偉いさんが悪人を退治していく物語だろ」
「――。凄いな。当たってるんだけど」
「我は日本の文化が好きだからな。詳しくは正直覚えていなかったりするが、簡単になら説明できる」
「優秀だな」
俺がそう笑っていると、窓の外にアリシアとベリトが現れた。
「ナリユキ様、お待たせ致しました」
ベリトはそう言って一礼をした。
アリシアも続いて一礼をしてくれたが、ベリトもアリシアも気持ちのいいくらい綺麗なお辞儀をするので、爽快と言わざるを得ない。
「とりあえずこっち入って来いよ」
「かしこまりました」
ベリトとアリシアを部屋に呼び、俺は4人分のアイスコーヒーを用意した。
「申し訳ございません。ナリユキ様自らコーヒーを淹れてくださるなんて」
「いいんだよ。気にするな」
つかベリトには酷な事を頼むから罪悪感あってみんなのコーヒーを淹れただけなんだけどな。
「作戦を立てるのだろ?」
「幹部連中達を一気にこっちにも呼ぶのもあれだから、このメンバーで話し合うことになった。ベルゾーグとフィオナには後で伝えおくから気にするな」
「かしこまりました。今回集まったのは、アードルハイム帝国についてですよね?」
「そうだ。ミクちゃん、ノア、アリスという強力な3人を送り込んだけど、目標は今の皇帝をアードルハイム皇帝から退けることだ。それによって、アードルハイムは、最低でも今よりは豊かになるはず。まあそうなった場合、俺もほったらかしにするつもりはないから、何らかの援助はするつもりだ」
「ズブズブになるのだな?」
「ズブズブ言うな。俺はミクちゃん達には、反乱軍のスパイを探せって任務を与えたけど、ミクちゃんの性格を考えると、それだけ終えて、俺達のところへ戻ってくることは考えられない。捕まっている人達の解放や、反乱軍に干渉するだろう。そして、最悪なシナリオを考えて、ベリトにはアードルハイム侵入し、少しずつでいいから民間人を洗脳して帝都の外に逃がしておいてほしい」
「――。つまりそれはどういう作戦なのですか?」
「ベリトが関係ない民間人を帝都から追いやってくれれば、俺が心置きなく帝都を潰すことができるのさ」
「そうだ。俺達が出る幕になったらそれを決行する。ミクちゃんチームと、レンさんチームが上手くやってくれればいいけど、アードルハイム皇帝の出方も、マカロフ卿の出方も、ガープの出方も分からないからな」
「成程。確かに名案です。それで下準備を行っておくという話ですか?」
「そういうこと。俺の予測だと多かれ少なかれ近々帝国軍と反乱軍が激突する。ミクちゃん達がアードルハイムに侵入したから事態は急加速すると思うんだ。民間人達は避難するだろうから、そのときに次々に洗脳して避難させても、町の皆が帝都の外にいても不思議な光景ではないから、異変に気付くまで時間がかかるはずだ」
「その戦いで事態がややこしくならなければいいですけどね」
アリシアは不安を吐露していた。
「帝国軍と反乱軍がぶつかった場合は、アードルハイム皇帝も出てくるだろうさ。収拾がつかない場合は、ミクちゃん達とレンさん達を回収して、アードルハイムを潰す。そんな作戦だ。なんで、最悪の事態に備えてベリトには動いてほしい。胸糞悪い話かもしれないがやってくれるか?」
「はい。責務を果たします。場合によっては帝国を殺してもよいのですか?」
「勿論だ。自分の身に危険がありそうなら迷わず殺せ」
「そう言って頂ければ遠慮せずに与えられた任務果たせそうです」
「悪いな。この作戦は誰が一人欠けてもできないし、ベリトには負担が大きいから申し訳ないんだけどな」
「ナリユキ様の為ならば私の命惜しくありません」
「そう言ってくれて有難いよ。アリスにはベリトに定期的に連絡するよう指示しておく」
「かしこまりました。必ず果たしてみせます」
「おう。頼んだぜ」
「ナリユキ殿、思いを馳せているな」
ランベリオンが、窓から海を眺めている俺を見てそう言っていた。そりゃ、窓のところに肘をつきながら潮風を浴びていたらそう思うわな。まあ、当たっているんだけどね。流石我が盟友よ。
「癒しがいないとこうも俺は駄目になるのか」
「らしいな」
ランベリオンは俺が言った事と、少し抜けた俺の姿を見て微笑んでいた。しかも、赤ワインのグラスを軽く回しながら。いや、飲んでいいって言ったのは俺なんだけどね。
「ベリトはもうすぐ着きそうなのか?」
「時期にアリシアと来るだろ。というか、アリシアの転移を使いすぎじゃないか?」
「だって仕方ないじゃん」
「少しは休ませてあげろよ」
「休ませてるって」
「ならいいが。それにしてもミク殿達は上手くやっているものだろうか? 確かにミク殿はナリユキ殿と行動を共にしていた時間が一番多いから、思考力も大分上がっているはずだが」
「学校の成績はどうだったか知らないけど、地頭はいいよ。恋愛とゲームのチャンネルで、30万人のチャンネル登録者って結構多いんだ。その動画コンテンツも、芸能人とかの参入で、最近始めた人が動画を伸ばすのが難しくなっているから。変な話、エロの路線に走ればそこそこいけるんだけど、ミクちゃんはそれはやっていないって言っていたしな」
「成程な。でもまあ負けることはないだろ。それより問題なのがアードルハイム皇帝をどうするかと、あの悪魔のサインをどうするかだな」
「アリスが念話持っているから、情報がある程度まとまれば報告しに来るだろ。それより、ノアが問題なんだよな」
「一番の暴れん坊将軍だからな」
「お前、暴れん坊将軍なんか知っているのかよ?」
「勿論だ。お偉いさんが悪人を退治していく物語だろ」
「――。凄いな。当たってるんだけど」
「我は日本の文化が好きだからな。詳しくは正直覚えていなかったりするが、簡単になら説明できる」
「優秀だな」
俺がそう笑っていると、窓の外にアリシアとベリトが現れた。
「ナリユキ様、お待たせ致しました」
ベリトはそう言って一礼をした。
アリシアも続いて一礼をしてくれたが、ベリトもアリシアも気持ちのいいくらい綺麗なお辞儀をするので、爽快と言わざるを得ない。
「とりあえずこっち入って来いよ」
「かしこまりました」
ベリトとアリシアを部屋に呼び、俺は4人分のアイスコーヒーを用意した。
「申し訳ございません。ナリユキ様自らコーヒーを淹れてくださるなんて」
「いいんだよ。気にするな」
つかベリトには酷な事を頼むから罪悪感あってみんなのコーヒーを淹れただけなんだけどな。
「作戦を立てるのだろ?」
「幹部連中達を一気にこっちにも呼ぶのもあれだから、このメンバーで話し合うことになった。ベルゾーグとフィオナには後で伝えおくから気にするな」
「かしこまりました。今回集まったのは、アードルハイム帝国についてですよね?」
「そうだ。ミクちゃん、ノア、アリスという強力な3人を送り込んだけど、目標は今の皇帝をアードルハイム皇帝から退けることだ。それによって、アードルハイムは、最低でも今よりは豊かになるはず。まあそうなった場合、俺もほったらかしにするつもりはないから、何らかの援助はするつもりだ」
「ズブズブになるのだな?」
「ズブズブ言うな。俺はミクちゃん達には、反乱軍のスパイを探せって任務を与えたけど、ミクちゃんの性格を考えると、それだけ終えて、俺達のところへ戻ってくることは考えられない。捕まっている人達の解放や、反乱軍に干渉するだろう。そして、最悪なシナリオを考えて、ベリトにはアードルハイム侵入し、少しずつでいいから民間人を洗脳して帝都の外に逃がしておいてほしい」
「――。つまりそれはどういう作戦なのですか?」
「ベリトが関係ない民間人を帝都から追いやってくれれば、俺が心置きなく帝都を潰すことができるのさ」
「そうだ。俺達が出る幕になったらそれを決行する。ミクちゃんチームと、レンさんチームが上手くやってくれればいいけど、アードルハイム皇帝の出方も、マカロフ卿の出方も、ガープの出方も分からないからな」
「成程。確かに名案です。それで下準備を行っておくという話ですか?」
「そういうこと。俺の予測だと多かれ少なかれ近々帝国軍と反乱軍が激突する。ミクちゃん達がアードルハイムに侵入したから事態は急加速すると思うんだ。民間人達は避難するだろうから、そのときに次々に洗脳して避難させても、町の皆が帝都の外にいても不思議な光景ではないから、異変に気付くまで時間がかかるはずだ」
「その戦いで事態がややこしくならなければいいですけどね」
アリシアは不安を吐露していた。
「帝国軍と反乱軍がぶつかった場合は、アードルハイム皇帝も出てくるだろうさ。収拾がつかない場合は、ミクちゃん達とレンさん達を回収して、アードルハイムを潰す。そんな作戦だ。なんで、最悪の事態に備えてベリトには動いてほしい。胸糞悪い話かもしれないがやってくれるか?」
「はい。責務を果たします。場合によっては帝国を殺してもよいのですか?」
「勿論だ。自分の身に危険がありそうなら迷わず殺せ」
「そう言って頂ければ遠慮せずに与えられた任務果たせそうです」
「悪いな。この作戦は誰が一人欠けてもできないし、ベリトには負担が大きいから申し訳ないんだけどな」
「ナリユキ様の為ならば私の命惜しくありません」
「そう言ってくれて有難いよ。アリスにはベリトに定期的に連絡するよう指示しておく」
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