【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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隠し通路Ⅱ

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 隠し通路は大人がギリギリ入れるくらいの横幅しかない。一番最初にノーディルス、アズサ、ネオンちゃん、そんで最後に俺って順番で、梯子に手をかけた。

 人が何か入ると、勝手に扉が閉まっていくんは少し不気味やわ。

「暗いな~。全然何も見えへんからうち怖いねんけど」

「そうですね。私も少し怖いです」

「ガタガタ言わんと早よちゃっちゃ行かんかい」

「うるさいな! 言われんくても行くわ!」

 と、いつものようにいじってると――。

「ひゃっ!」

 と、ネオンちゃんの可愛い声が聞こえました。ご馳走様です。

「どないしたん?」

「ここの梯子ぬるってしてました――」

「ネオンちゃんにローションプレイか。なかなかいいセンスしとるやん」

「いや、絶対ローションじゃないですよ」

「いや、ボケやボケ。とりあえず我慢してゆっくり進も?」

「はい~」

 と、多分この声は少し涙目になっとるパターンや。まあ普通に考えたら梯子の油やろうな。梯子の金属も少しザラついとるし錆てるんやろう。

 梯子をしばらく下っていくと、少し埃くさい通路に入った。全然通らへんから整備されていないんやろう。

「ネオンちゃん。灯りお願いしてええか?」

「はい」

 ネオンちゃんはそう言って灯りをつけてくれた。まあ灯りついて分かるけど、マジで通りたくない通路やわ。埃くさくてかなわん。

「やばいなここ。めちゃ埃っぽい」

「そうですね」

「我慢しろ。ほら進むぞ」

 ノーディルスにそう言われて渋々進む俺達。途中で別れ道やらもあり、ひたすら適当に進んでると、ダクトのような細い通路があった。ほふく前進じゃないと進まれへんようなところや。


 普通にめちゃくちゃキツい。けれどもネオンちゃんのお尻が目の前にあるからな。それで我慢したろ。

 しばらくほふく前進していると、通路がいきなり広くなって、ノーディルスが金網から下を覗きこんでた。

 ノーディルスが手元に口を当てて、静かにしろという合図を送ってくると、その金網からは鎧を着た兵士がいた。

 地下ではあるけど兵士がウロウロとしてるから多分警備をしているんやろうな。まあ一番疑問なんはここはどこやねんって話やけど。大分歩いたからな。

 ただの地下っぽいからこの金網からじゃ何も見えへんな。分かるんは床がコンクリートだけってことやねんけど。

「しかし、マカロフ卿も粋なことをしてくれるな」

「そうだな。反乱軍とやらがあるらしいが、そんな偽善者集団はマカロフ卿が送り込んだ刺客達が炙り出してくれるさ」

「女だったら俺達も加わって犯してやるのによ」

「お前は男で十分だろ。彼女すら出来ずに、ひたすら奴隷たちを犯しているじゃないか」

「うるさい殺すぞ」

 そうか。マカロフ卿ってのは相当ややこしいな。せやけど何でや? 武器のやり取りだけでなく、マカロフ卿は普通にアードルハイム皇帝に雇われてるんか? それに刺客達ってのは複数おるってことか。そら何人おるか分からんところで俺達の情報の公にしたくないってことやろうな。

 いや、待て。つかそもそも俺達がその刺客とやらに接触してる可能性ないか? 直接喋ってる可能性もあるし、結構マズそうやな。

 もう何か色々考えるんしんどいわ。誰か助けて。いや、マジで――。よしナリユキさん助けてください。ホンマ頼んます。

「おい。無駄口を叩くな。いい加減にするんだ」

 そう言いながら出てきたんは葉巻をしている黒髪をオールバックにした男。どこかオーラが凄いから鑑定士をしてみたけど、究極の阻害者アルティメット・ジャマーが発動しているからステータスを視ることはできへん。

 この異世界で黒のスーツを着とるから、相当な権力者なことだけは分かる。

「無駄口を叩いていないで警備に専念しろ。気を張るんだ」

「か――かしこまりました!」

 そう言って2人の兵士は妙に怯えているようやった。嫌な上司がきた。そんな感じのリアクションやな。

 すると、男が葉巻を外したかと思えば、突然こっちを見上げてきた。

 俺は咄嗟に片手で口を塞いだ。当然アズサもネオンちゃんも同様の行動をしたけど、ノーディルスだけは平然としてた。ホンマにこういうとき冷静なコイツ。尊敬するわ。

「気のせいか」

 男はそう言ってそのまま葉巻を吸い始めた。

 マジで何者なにもんやねん。勘でこっち見たんかい。

 早くあっち行ってくれ。なんや分からんけどコイツにはやたら神経使わされるし勝てる気しやん。

 しばらく口を塞いだまま待っていると男は俺たちの視界から消えた。

 閉じてる口を解放すると緊張感のせいか、この埃くさい空間でも空気が美味しく感じることができた。いや、なんでやねん! って言いたくなりそうやけどそんだけ緊張したんやな。

 俺が戻ろって手でサインすると、3人は頷いて俺に付いて来てくれた。順番は単純に逆になっただけやから、俺、ネオンちゃん、アズサ、ノーディルスの順番や。

 しばらくほふく前進して、来た道を戻り一旦引き返すことにした。

 部屋に戻ると、監視の兵士が来た様子は無かった。

「いや、何なんあの人やばなかった?」

 アズサの感想に俺は「そうやな」と返し、ネオンちゃんはコクコクと激しく頷いてた。

「ただ者ではないな。究極の阻害者アルティメット・ジャマーを持っていることから相当な手練れだと分かる」

「面倒そうなあれは。ナリユキさんと同じようなパワー感じたで」

「気になって念波動したら5,000でした――」

「絶対戦いたくないな。それよりマジでどないする?」

「そうだな。念話でも使えればいいのだが」

「ネオンちゃん。念話ってどんくらいの距離から使えるんやった?」

「そうですね。森妖精エルフが念話を使える範囲は、基本的に1,000kmまでです。私はそれよりかちょっと上くらいまで使えますけど」

「1,000km? そいやラングドールも1,000だって言っていたな――もしかして、ちょうど1,000kmだから使えるってことか? 試しにやってみてくれへん?」

「分かりました」

 ネオンちゃんはそう言って目を瞑ってくれた。
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